どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おいてけぼり

2020年08月24日 | 絵本(昔話・日本)

       おいてけぼり/さねとうあきら・文 いのうえようすけ・画/教育画劇/1998年

 

 子どもたちにとって今年の夏休みはコロナの影響で例年の半分。おまけに感染を警戒して出かける機会も少なかったようですが、夏はやっぱり怖い話でしょうか。

 まちはずれに だれもよりつかない 気味の悪い堀があって、だれがいいだしたのか「おいてけぼり」とよばれていました。

 噂を聞いて火事と喧嘩が三度の飯より好きといういせいのいい 大工のきんじが きめだめしに でかけました。

 おてんとうさまが 頭の上にいるあいだは 魚がつれず はらをたてたきんじでしたが、夕方「ごーん、ぐわーん」と、お寺の鐘がなりだすと、きゅうに魚がつれはじめました。魚籠がいっぱいになり、帰り支度をはじめると、堀の底から「おいてけー、おいてけー・・」と、不気味な声。魚籠の魚が嬉しそうに暴れること、あばれること。

 きんじが力任せに魚籠をだきしめると「おいてけー、おいてけー・・」という叫び声。

 それも聞こえなくなって、ほっとひといきいれると「もうし もうし、おまえさん・・」と よびとめる声。おんなが あたまからかぶった てぬぐいを、するする はずすと・・。

 のっぺらぼうにびっくりして、家にかえり、「ばけもんがでた・・」というと、きんじの かかあが「おまえさん、そのばけもんは・・ こんな かおをしてなかったかね?」とふりむくと・・。

 

 堀のようす、うなぎやなまずの大きさににびっくりの絵です。

 「おいてけー、おいてけー・・・」は、読むときや語るときの工夫のしどころです。