どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

まちがいまちにようこそ

2020年08月09日 | 絵本(日本)

     まちがいさがしにようこそ/斉藤倫・うきまる・作 及川賢治・絵/小峰書店/2019年

 

 いい天気の日、おとうさんとおかあさん、犬のころと、ぼくが引っ越したのは「まちがいまち!」。
 到着してすぐに目にとびこんできたのは「あなばたけ」。あなを そだてています。

 町の人が忙しそうにかけているのは、携帯電話ならぬ「兵隊でんわ」。

 町の住宅の屋根には、煙突ならぬ「鉛筆」。

 駅の改札では、定期ならぬ「ケーキ」をみせて 通ります。

 バスは、椅子ならぬ「リス」に 座ります。

 池のフラメンコ、水族館でマンゴーが泳いでいたり、金魚すくいでは、人魚をつり、駒回しならぬ熊回しと、あれれと思うばかり。

 「言葉遊び」ですが、ちょっと例が多すぎて、ちょっとついていけないところも。

 普段当たり前と思っているものでも、視点を変えると見えるところもありそうです。


トランクのなかの日本

2020年08月09日 | 画集・写真集


     トランクのなかの日本 米従軍カメラマンの非公式記録/ジョー・オダネル/小学館/1995年初版


 若い海兵隊員が、カメラマンとして1945年9月から1946年3月まで、ヒロシマ、ナガサキほか日本を記録した非公式記録写真(私用のカメラ)で、戦後ずーとそのままにしていたという。出版されたのは1995年。

 1995年には、スミソニアン博物館でも展示が企画されていたのが、キャンセルになったといいます。

 出版直後に、日本で写真が展示され、昨年も安全保障関連法案が国会で議論されていたとき、この写真展が開催されていたようです。

 戦争の傷跡だけでなく、少ないながら戦後直後の人びとの生活の状況もうかがえます。

 雨の夜、海兵隊員が蒸気機関車との事故で10名が亡くなって、その出棺風景もあります。

 もちろん、広島、長崎の廃墟と化した風景に息をのみますが、やはり衝撃だったのは、一人の少年が、直立不動で赤ん坊の焼却を見送る場面です。

 少年の弟は夜の間に死んでしまったのだといいます。幼児の焼却を、まっすぐ背筋を伸ばし、見つづけた少年。

 長崎に原爆が落とされてから75年。2019年11月、長崎でのローマ教皇の演説では「焼き場に立つ少年」のパネル写真をそばにき、核廃絶の必要性を訴え、あらためて注目されました。

 NHKEテレで「焼き場に立つ少年をさがして」と、写真の撮影日時、場所を特定する特集が放送されていました(2020.8.8)。

 この当時、親を亡くし戦争孤児になった子どもは2300人ほどだったといいます。当時のことは家族にもはなしていないという人が、この放送をきっかけに体験を話されていました。

 原爆はうつるとからかわれ、何年後かに自殺したという話を聞いて、思わず絶句。

 焼き場に立つ少年とおなじような体験をした人も高齢化で少なくなります。この少年はその後、どうなったのでしょうか。