どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

食う 寝る

2020年08月13日 | 昔話(日本)

        いまに語りつぐ日本民話集5/監修:野村純一・松谷みよ子/作品社/2002年

 

食って寝の男(山形県)

 あるところに、たいそうななまけ男がいて、食うのも 食わせてくれないと食わないでいたので、干死んだと。

 この男エンマ王に、ネコに生まれ返してやると言われ、口ばしと鼻を白くしてくれという。

 「寝転んでいて、ネズミが団子と思って食いついたら、すぐに捕まえて食うから」と男が言ったので、エンマさまもあきれたと。

寝てて食れるところ(岩手県)

 寝てて食くれるところへ婿に行かないかといわれ、奥山の古寺につくと、仲人は「この六地蔵の前にいると、山から化け物がでてきて食れるから、寝てれ食れるとこだ」といったと。

寝とって食われる(和歌山県)

 村の祭りに見世物師がやってきて、寝ておっても食うていける方法があるという。

 死んでしまった虎の皮を着て、虎の小屋で寝てくれればいいという。

 何日かして、見世物師は、別の檻に入れられているライオンと戦わせるからと、客に特別料金を払うようにいった。

 虎の皮をかぶっていた男が、もう命がないと覚悟していると、ちかずいてきたライオンが「心配すんなよ。わしも皮着せてもろうておるんじゃ」と、いったと。

 

 楽して食えたならいうことはありません。昔話になまけ者がよくでてくるのは、それだけ労働が厳しかったことの反映でしょう。