昨日、この白樺の林の中に掛けてあった2個の罠をはずした。
この林の左手には牧場のどの場所よりも早く朝日の射す草地があって、人の登ってくる前の一時、鹿は存分に草を食むことができたのだ。いつしか白樺やダケカンバのこの林は、一部の猟師の間では「ダケ」と呼ばれるようになった。そういう奇妙な名前が付くほど、幾頭もの鹿を捕獲した良い猟場だった。
鹿ばかりでなく、ここでクマを捕獲したこともある。クマは有害駆除の対象動物ではないので、捕獲した場合は本来、所定の方法でまた森に帰してやる決まりになっている。しかし4ミリばかりのワイヤーを今にも食い千切って、こちらに突進してきそうな野生動物の狂暴な振る舞いを前にしては、そうすることができないこともある。倒されたクマのうつ伏せになった姿は、歌でうたわれる愛嬌のある「クマさん」によく似ていた。
今年もこの林で幾頭かの鹿を捕った。しかし最近はもう、鹿はここに寄り付かなくなった。危険な場所と学習したのかも知れない。それならそれでいい。安息の場所を求めて鹿がもっと森の深くへ去っていったことにして、役目の終えた罠をはずしたのだ。
曇天。雨も降らず、霧も湧かず、しかしこんな天気もまた、いかにも秋らしくていい。何日か続いた良く晴れた秋空は、太陽の光が弱まった分、青色が一段と深まった。そしてその青には、赤ワインのような赤が溶け込んだように見える。色付き始めた森の艶やかさを牽制して、秋の空は濃く、重い。
昨夜は上に泊まる。Ume氏が帰ったあと、氏の送ってくれ作品のアップロードにまたしても苦労する。しかし、苦労のしがいがあったとはこのこと。さぁ、どうだ、Ume氏の実力、入笠の実力。もう、文章は要らないと思いつつも、ここでのいつもの朝のように、とりとめのないことを書いて、添える。
カメラに腕の覚えある人、星に興味のある人、おいでください。山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。