入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     山の事故報道を読んで

2014年09月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

右手経ヶ岳の背後は御嶽山


 PCがグズグズ言って、ブログをアップできなかった。1年やっていてこんなもので、五領丸先生他各位から「遭難したか」とか「どうした」などご心配いただいた。Ume氏にはご苦労をおかけした。

 遭難と言えば、先週の3連休、山の事故が相次いだようだ。毎日新聞の県版には、北アルプスでは13件とある。また、キノコ採りに出掛けて、行方不明になってしまった人もいるようだ。「好天 増えた登山者」という見出しは、天気が良くて登山者が多かったため、それで事故も増加したとの県警地域課の分析から得たようだ。
 その上で、「致命傷を防げるヘルメット着用」と小見出しを入れ、ヘルメットのお蔭で、一命を取り留めた人の例をあげている。「北鎌尾根を4人で歩いていた云々」とあり、そのうちの一人が落石を受けたが、ヘルメットを着用していたため死なずに済んだ、と。「県や県警は、現在ヘルメットの着用を推奨してい」て、「北アルプスを中心に山小屋などでも貸し出しを行っている」と報じ終わっている。
 まず、北鎌倉尾根は、「歩く」と表現するような場所ではない。これだけで、記者が山を知らずに書いているということが分かる。「北鎌尾根では死人が獲れる」と、かつては歌にうたわれたほどで、幾人もの人が命を落としている。
 こういう場所や、他には西穂からジャンダルム経由奥穂高岳のコースとか、前穂の北尾根あたりは、言われなくてもヘルメットを着用する方が賢明だ。しかし、どうもこのヘルメットには、別の意図を感じる。
 昨今山ガールとかの登山ブームで登山用品の販売が好調のようだが、これと似たような商業戦略の臭いがする。某登山用品メーカーからヘルメットを寄贈された県警が、山小屋に配分して、小屋はかなりの料金を取って登山者に貸しているようだ。これをメーカーの巧妙と言うか狡猾と言うか、一つの販売戦略だと観る者もいる。もしもそうなら、今度は、ヘルメットを被った山ガールとやらが、そこら辺りの山にも出没することになるのだろうか。
 今の時代、当然商売上の戦略は大事だろうが、登山靴のフックが飛んだり、紐がすぐ切れたり、衣服が洗濯に弱かったり、雨具の丈やフード短かったり小さかったり・・・、こういう点にも、さらなる企業努力を惜しまないで欲しいとお願いしたい。

 天気はそれほど悪くないが、天体観測隊は諦めたのかな。窮理の船」に乗って星の海へは、入笠牧場からの乗船となります。お間違えのないように。今日はブログ2本上げました。1本は一昨日に中断したブログです。
 
 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。
 
 
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    「木なんて何でもいいよ・・・」

2014年09月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



 第4牧区のC放牧地は、縦線が入笠山の登山道と並行して走っている部分がある。冬季の入山者の中には、そこが牧場内であることを知ってか知らでか、中まで入ってくる者がいる。そしてその際に、牧柵を切ってしまう。
 いろいろな事情でもう、この放牧地に牛を出すことを考えてはいないが、かといって勝手に入られても困る。そうさせないためには管理を怠らないことだが、毎年のことながらこの牧柵には手を焼くし、また腹立たしくもある。
 まず長いこと行ってなかった山頂の下にある横線に沿って歩いてみた。もうこの横線に手をいれるつもりはないが、ただ状況だけは知っておきたかった。案の定ひどいことになっている。どこもかしこもズタズタに切られている。鹿のせいである。このクマ笹の生い茂る森の中で、牧柵の修復に費やした悪戦苦闘の日々が甦ってきた。が、それらは結果として、徒労だったのか。


    ヒルデエラ(大阿原)                                          Photo by NKZW氏


 引き返す途中、森の中にはキノコも目に付いたが、もうそんなものに興味はなかった。そして、縦線に行ってみた。登山道と最も接近する辺りは、きちんと管理しておかねばと、幾箇所となく破断したバラ線の修理を始めた。
 すぐ近くで登山者の声がする。
「ああ、いつ見ても白樺の木はいいなぁ。みんな早く来な」
 初老のなかなかお洒落な恰好をしたその人の声に、あとから同じような年恰好の人が幾人か加わって、眺めている。あまりに悦に入ってる風がおかしくて、少しからかいたくなって言ってやった。
「感動に水を注すようだけど、その木は白樺じゃないですよ。ダケカンバ」
 すると、その中の一人の女性が、笑いながら応じた。
「本当だ、色が少しクリーム色がかっているし、白樺とは違うわ」
 白樺の木だと思って感動していた男が、今度は気まずそうに言った。
「木なんて何でもいいよ・・・」
 
 笑った。一人で笑った。その日は、そのことを思い出すと愉快だった。

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