医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

詩歌を吟じてきた日本人ならではの感受性

2014-09-30 13:05:45 | 受けとめる力
「秋の月はかぎりなくめでたきものなり」
「光はいつも変わらぬものを、殊更秋の月の影は などか人にも思わす」
人生経験を重ねることで、同じ月の光が違って見える。
「万(よろず)のことは、月見るにこそ慰むものなれ」
「折にふれば、何かはあはれならざむ」
折にかなっていれば、何でもしみじみとした趣のないものはない、というのが兼好の主張だ。
月や花は無論のこと、風の音や水の様子に思いを寄せ、心を遊ばせ、詩歌を吟じてきた日本人ならではの感受性。
吉田兼好は、夜ごとに変わる月の姿に、この世の無常を実感し、人生哲学を確立していったのだ。
「月満ちては欠け、物盛りして衰ふ」
これは「史記」の言葉を引いたものだが、兼好の心に最も沁みたに違いない。
 西村和子さん









会議体「歯科医療発展の鍵は・・・? -歯科衛生士の役割を考える(その2)- 」

2014-09-30 11:53:09 | 医療と介護

HPI歯科同好会

開催日時  平成26年9月28日(日)午後1時00分~午後4時30分
開催場所  八重洲倶楽部「第1会議室」

(順不同・略)
協議事項

 ・議案提案者:K <議案の説明>
(K)
 ・患者は病気の経験があれば歯科医の説明も受け入れやすいが経験のない患者には難しい。
 ・現状の歯科衛生士のレベルでは患者への最初のアプローチがうまく行かないので、歯科医が口腔指導を行っている。
 ・それではマンパワー不足になり、歯科衛生士に任せるにはどうしたら良いか?を考える必要性が出て来る。
 ・又長年継続して行うと慢性化で中だるみが出て来る。
 ・上記のことを解決するためにガイドマニュアルを皆さんと考えて行きたい。

(T)
 ・K先生が話されたように患者には最初のアプローチが大切。
 ・患者からのニーズがあれば効果もあるが歯科衛生士が話しても患者に伝わらないことがある。
 ・患者にどうやって伝えたらいいか痛感している。もっと歯科医も前に出るようにして患者に感心を持ってもらえるよう、歯科衛生士に繋げたい。
 ・口腔衛生の確立と維持は大切だが長年診ていると中だるみが出て歯周病にもなってしまう。その事に自分を責めたりもする。
 ・患者にうまく意思を伝える術を知りたい。
 ・これからも口腔衛生の確立と維持に努めていく。
(O)
 ・歯科医は忙しいので歯科衛生士に任せている部分がある。
・患者は一生懸命歯ブラシをするが磨き方の動きが大きい。
・患者も歯科医と同じ意識レベルになるといい。
・スマホで顕微鏡が見られるアプリがある。それも活用できるといいが・・・?
・ハブラシの使い方をアングル4のように残せないか。
・若い患者の衛生状態の悪い人が多く居る。問題はコンビニが近くにあるため食生活の変化にある。

(S)
 ・技工士の立場から見た歯科衛生士を述べる。
 ・専門学校を卒業したばかりでは現場では使えない。職業のプロ意識がない。
 ・歯科衛生士の能力不足をどう対応するか?教育の環境が整っていない。
 ・現場では歯科衛生士より助手を教育した方がいいと考えている歯科医がいる。
 ・実際助手を対象の研修があり「○○コーディネータ」という役職がある。
 ・歯科衛生士の能力をあげる方法、しくみを考える必要がある。
 ・助成金の利用も考えている。

(G)
 ・以前の調査で月\3000位なら歯の健康のために費やすという結果がある。
 ・歯科医が感じる歯の資産価値は2913万円で患者が感じる資産価値は973万円と差がある。
 ・歯の平均寿命は男59.81歳+10、女58.46歳+10
 ・我が国の健康寿命は男70.42歳、女73.62歳で歯の健康寿命との関連があると考えられる。
 ・歯の寿命を延ばすためには6番と7番の歯を残す計画を立て、保守メンテナンスを実行することが必要。
 ・体の中で直接的にメンテナンスできるのは歯だけ。歯科衛生士の価値は高い。

(T)
 ・我々は歯科衛生士の存在や役割は当たり前だが、一般的には歯科衛生士と助手の区別や役割が解っていない人が多い。
 ・IDIの審査で行く診療所は歯科衛生士の雇用が多い。しかし歯科衛生士の仕事でなく、歯科医の手伝いや助手、受付の仕事をしている。歯科衛生士専任は少ない。
 ・もっと社会的に歯科衛生士の役割をマスコミなどを使ってアピールする必要がある。
 ・自分は虫歯になりたくないので定期的に歯科衛生士に罹りたい。

(H)
 ・ガイドライン作りは技術を踏まえたものだろうと思う。
 ・歯科医が歯科衛生士を尊重していないように感じる。
 ・HPIには歯科衛生士のルールはあるが、一般の歯科医院にはない。
 ・歯科医の要求と歯科衛生士の意識に差がある。
 ・4つの治療目的は大切。
 ・歯科医と歯科衛生士の約束事が明文化されたらいいと思う。
(K)
 ・今回の議案は歯科衛生士を取り上げたが、1つのパーツが歯科界全体の問題になった。
 ・我々は患者の口腔を守るという意識が大切で、そのために具体的なガイドライン作りが必要。
 ・ガイドラインの内容は患者一人ずつ個人向けにすることが重要。

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当日欠席・紙上参加(参考意見)
(Y)組織は人である。
だが、その人が集まらない、つまり戦力となる人材が集まらない。
組織としての歯科診療所の零細性にも問題がある。
歯科医療分野における診療報酬の低評価も問題である。
このため、歯科衛生士を雇いたくとも雇えないのが実情。
また、歯科助手を廃止すべきという意見もある。
歯科衛生士の評価が正当になされていなことも事実である。
厳密に言えば医療機関として歯科衛生士が居ないことは組織的な欠陥である。
言わば看護師の居ない医療機関のようなものだ。

日本歯科技工士会 来年、創立60年を迎え記念行事を開催

2014-09-30 11:39:47 | 歯科
日本歯科技工士会は来年、創立60年を迎え記念する行事が福岡市で開かれる。
同会は50周年記念大会を天皇陛下ご臨席のもと行ったが、その席上陛下のお言葉にもあったように、歯科技工の歴史は古く、1538年に亡くなった尼僧仏姫の黄楊材にさかのぼる。
同会の源流は、大正から昭和初期にかけていくつかの団体による運動を経て、昭和9年に東京技工所同業組合の結成、昭和14年にこれが発展的に解消し東京歯科技工協会の結成、そして昭和18年、現在の日本歯科技工士会の前身である日本歯科技工所結成にある。
そして寺元武士初代会長の下、多くの先達たちの奮闘努力により、歯科技工法の制定と日本歯科技工士会の設立を勝ち取った。
今春の診療報酬改定で、医療の高度化等に対応する観点から、先進医療の一つであるCAD/CAM冠が新たに保険収載された。
時代は、歯科用CAD/CAM装置や3Dプリンターのデジタル技術を利用する時代へと変貌しつつある。
木製義歯の入歯師の時代から、産業技術の導入により、歯科技工は大きな変貌を遂げ続けている。
しかし、機器等を扱うのは人である。
このデジタル時代こそ、変化に対応でき、働く者の立場から変化を推進できる人材育成が求められる。
技術の高度化に対応するために、歯科技工士養成の就業年限延長は必須である。

ほんとうに人の一生なんておかしなもの

2014-09-30 07:40:38 | 受けとめる力



「女の一生」は座付き作家の森本薫が、恋人でもあった杉本春子(1906年~1997年)に当てて書いた作品。
主人公の布引けいは天涯孤独で、東京都心の斜陽の商家に雇われ、やがて女主人として家を仕切る。
<誰が選んでくれたでもない。自分で選んで歩きだした道ですもの。間違いと知ったら自分で間違いでないようにしなくちゃ>
第三幕の台詞である。
1945年5月の初演以来、杉村はこの当たり役を1990年まで947回も演じ続けた。
晩年、自著で第三幕の台詞が一番好きといい、「私が女優という道をただひたすら歩いてきた、ということにそのまま使いたい」と述べている。
杉村は声楽家を志して音楽学校を2度受験し失敗している。
だが、故郷の広島で観た芝居の公演に感激し築地小劇場に滑り込んだ。
強い広島訛りのため初舞台は台詞なし。
その後、文学座の中心女優として地歩を築いた。
1990年6月、84歳での最終公演で杉村は終盤の台詞に初舞台の台本の5行を復活させたいと願った。
<ほんとうに人の一生なんておかしなもの。(略)一生の運が変わってしまうなんて>
「禍福をすべてのみこんで演技に生きた名女優は、その言葉にどんな思いを込めただろうか。」奥田祥子さん
初演は東京・渋谷の東横映画劇場。
演出は劇作家・久保田万太郎。
舞台監督は戌井市郎。
主人公けいの嫁ぎ先は東京千代田区平河町を想定。
作者で杉本の恋人であった森本は1946年、初演の翌年亡くなっている。
1947年森本の追悼公演で、杉村は戦後第1回の芸術院賞を受賞。
東京大空襲があった昭和20年4月が初演であることに今更ながら驚く。









金木犀の香りただよう季節

2014-09-29 05:13:48 | 雑記・断片・映像


写真:茨城県久慈郡大子町の田中りんご園に咲く彼岸花

午前3時40分に家を出た。
ここ数日は午前5時過ぎに家を出ていたので、新川さん(仮名)に会うこともなく富田さん(仮名)のマンション7階の灯を見上げることもなかった。
家を出て直ぐに、懐中電灯を手に握り走っている人が背後から来る。
かなりの走力であった。
新川さんは玄関前でタバコを吸っていた。
「台風が来なくてよかったね」
「そうですね。大子町のりんごへ台宿の寺川さんと行ってきました。片道152㌔ありましたね」
「遠いんだね」
「福島の県境に近いですからね」
寺川さんの趣味「川のお宝探し」の話をした。
探した石を持ち帰り業者に磨くのを依頼、毎回2万5000円~3万円を投じてきた。
そのため、タバコをやめ、酒もやめたのだ。
「石を磨くために、かなり金は使ったそうです」
「そんな趣味もあるのか」と新川さんは感心していた。

○ 午前4時 星座輝く 土手を行く
○ 秋風や 星降る土手を 友と行く
午前4時19分富田さんが車で出勤。

金木犀の香りただよう。

5時5分に帰宅。













「死ぬからこそある医療」

2014-09-29 03:26:49 | 受けとめる力
★「健康第一は間違っている」名郷直樹著
たいした医師がいるものだと思った。
著者の述べるところは、はっきりしている。
現代は、医療はというものが健康や生存への欲望をやみくもに刺激するまことに大がかりな装置になっている。
これによって莫大な利益を得る人々がいる。
実際には、人は誰でもいつかは死ぬ。
医療行為がどんなに進歩しても、その技術で引きのばせる命の時間は、わずかなものだ。
それが、どのくらいわずかであるかを、著者は統計上のさまざまなデータを通して示す。
何らかの医療が特定の病気を予防し、人を長生きさせる根拠は、実は薄弱である。
が、この事実は、医学の進歩そのものによって隠されている。
医者も研究者も、「死なないための医療」だけを目的にし、その目的に好都合なデータの解釈を、ほとんど無意識のうちに拡散させる。
その結果、「死ぬからこそある医療」は見失われ、患者の選択肢から
消されてしまう。
批評家・立教大学教授・前田英樹さん
★炎を越えて 杉原美津子著
著者は、1980年に新宿駅西口で起きたバス放火事件の被害者である。
この事件で彼女は、生死をさまようほどの火傷を全身に負う。
そのときは、「今なら死ねる」と思った。
当時彼女は家庭のある人と思い合うようになり、心身ともに疲れ果てていた。
<人々は「醜いもの」「劣ったもの」には、目を背けたい。そういうものは「健全な社会」には相応しくないと、体よく排除する。「排除」の対象になる者は排除されないように隠す。
私に向けられた「被害者」という呼び名には「蔑み」の感情が明らかに見えた。
やけどの醜い痕には明らかに人の嫌悪の視線が走った>
凍るまなざしを身に受ける日々のなかで彼女は、自らのうちに尽きることのない光が宿っていることに気が付いてゆく。
この事故は、自身にも気が付かないところで彼女を変えていた。
彼女の人生は、大切なひとを、自己を、そして自らを傷つけた者の存在すらも受け入れることに費やされる。
批評家・若松英輔さん











かつて建築家には思想があった

2014-09-29 02:31:49 | 編集スクランブル
★「理想のリタイア生活」
読書が蘇らせる若き日の思い出
最後まで私は本を読みつづけることだろう、―そして忘れつづけるだろう。(中略)かつて読んだもののうちわずかばかりの断片しか私は覚えていないのである。
それでも私は、しつように、喜んで読みつづけるだろう。
まさか将来の生活にそなえて博学になろうとしているわけでもない。
もう忘れるのも苦にならなくなった。
刻々にすぎてゆく瞬間瞬間の幸福を私はしみじみと感じる。
人間としてこれ以上求めるものはないと思う。
ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」
昔読んだことのある本は、老年にとっての一つの楽しみである「記憶の蘇り」も助けてくれるというのだ。
その本を書棚から取り出すだけで思い出が蘇ってくる。
仏文学者・鹿島茂さん
★ことばは不思議な生きもの。
光の中のみ育たない。
世界がぐしゃりと潰れたとき、めざましく霊妙に生まれたりする。
虚構か、事実か。どちらでもいい。真実だ。
持田叙子(にぶこ)さん
★東京オリンピック「ブラウド信仰は強いる多額の国民支出」
もっと根源的な理由を問えば、現代のスノビズムに行き着く。
俗物趣味、「資本の力だけを人前で振りかざす」「成り上がり者」の意向が日本国民に3000億円の支出を強いる。
かつて建築家には思想があった。
伊藤豊男は、3・11の後、仮説住宅に住む人たちの話を聞いて「絶対に裏切れない、この人たちを」と思い、東北各地に「みんなの家」を建てた。
これも伊藤「らいさ」というのはぼくの偏見か。
池澤夏樹さん
















なつかしい未来創造について

2014-09-28 13:56:19 | 受けとめる力

 「なつかしい未来創造」は陸前高田の経営者を中心に、株式会社ソシオ エンジン・アソシエイツのメンバーを交えて、岩手県中小企業家同友会や一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワークの協力を得ながら歩みを進める〝復興まちづくり会社〟です。
 地域の資源を活かしながら、社会の今日的課題に応え、将来的に約500名の雇用を創出。複数の事業を育成し、むこう10年間で発展的に解散することを目指しています。
 陸前高田に軸足をおいて

ための諸活動を、積極的に実践します。
 「なつかしい未来」の創造は、震災以前から岩手県中小企業家同友会気仙支部の経営者たちの間で育まれてきたコンセプトです。
詳しくは「わたしたち|なつかしい未来創造 とは」をご覧ください。


交通:JR一ノ関・釜石・気仙沼駅のいずれかより車。2013年3月からJR大船渡線 BRT(バス高速輸送システム)の運行が始まり、気仙沼駅からアクセス可能。(2013年6月)

陸前高田は、大船渡市と気仙沼市の間にある三陸沿岸部の街。沿岸最大級の平野部を持ち、2011年3月11日の大津波で中心部はすべて押し流され、全世帯の7割以上が被害を被り、約7.5%の人々を亡くした。
写真:義援バルーン空撮 www.t01.com

※ 2013.2月以降の活動については、Facebookサイトをご覧ください。
2013.2 「ソーシャルビジネス復興フォーラム in 陸前高田」の開催
2012.9~2013.3 「東日本大震災アーカイブ基盤構築事業」気仙地域を担当
2012.9~ 「陸前高田・今泉地区 明日へのまちづくり協議会」設立支援、事務局運営
2012.秋 陸前高田の授産施設「あすなろホーム」と「スワンベーカリー」による商品開発・販売支援
2012.8 夏休み交流企画「かわいい子には旅をさせよ」(陸前高田・3泊4日)の実施
2012.7~2013.3 インターンシップ事業「ふるさとは負けない! 東北仕事復興リーグ」支援
2012.7~9 市の若手職員と地域事業者による「未来創造塾」の開催・運営
2012.7 イベント「東北復興ギャザリング in 陸前高田」の開催
2012.5~2013.3 内閣府 復興事業「被災地の未来をつくるビジネスプラン募集」の実施
2012.4~2013.3 総務省「緑の分権改革」実証調査プロジェクト受託
• 地元材(気仙杉)の間伐材を利用 した商品づくりと流通開発の試み
• 「つみきハウス」のフランチャイズ契約、企画推進など
2012.2~ テレワークによる仕事創出のコーディネート、マネジメント
2012.2 「ソーシャルビジネス経営塾 in 陸前高田」開催支援
2012.1~2 ワークショップ〝「なつかしい未来」ってどんなものだろう?〟開催
2012.1 イベント「東北復興緊急ギャザリング 〜ソーシャルビジネスのちからで 日本(東北)から未来は変わる〜」の開催
2011.11 竹駒保育園の建設費獲得支援
2011.11~12 森林資源の活用に向けた調査・検討
2011.10~11 「陸前高田未来商店街」の立ち上げ協力
2011.9.23 なつかしい未来創造株式会社、生命環境産業振興協議会 設立
2011.7~9 復興構想会議「陸前高田千年みらい創造会議」の運営
2011.6~9 被災地インターンシップ事業「共に挑む、明日をつくるトライアル in 東北」の実施
「仕事をつくる」「出会いを増やす」「良い社会資本を残す」ことを目的に、震災後に陸前高田で立ちあがった会社。
ミッション
企業理念

私たちは、みんながニコニコできる地域を創るため
人々が共感する企業をたくさん生みだします
基本情報
代表取締役:田村滿(株式会社陸前高田自動車学校 代表取締役社長)
取締役副社長:町野弘明(株式会社ソシオ エンジン・アソシエイツ 代表取締役社長)
専務取締役:河野通洋(株式会社八木澤商店 代表取締役社長)
取締役:長谷川順一(株式会社長谷川建設 代表取締役社長)
取締役:服部直子(株式会社ソシオ エンジン・アソシエイツ 代表取締役副社長)
 

診療報酬 後絶たぬ不正請求 基準曖昧で審査甘く

2014-09-28 13:02:05 | 医療と介護

カナロコ by 神奈川新聞 9月28日(日)7時3分配信

診療報酬をめぐる不正・過大請求が後を絶たない。JA県厚生連伊勢原協同病院(伊勢原市)で疑いが明らかになった「検体検査管理加算」の不正請求も、過去に他の医療機関で発覚している。一方、不正が明るみに出るのはわずかとみられる。医療関係者は、届け出基準の曖昧さや厚生労働省の審査の甘さを指摘する。

 同加算をめぐっては、2005年に滋賀県内の病院、12年には宮城県内の病院でそれぞれ1千万円単位の不正請求が発覚。それぞれ、臨床検査の担当医が手術補助などの業務を受け持っていたり、週1回の外来診療に当たっていたりしていた。県内でも09年、川崎市内の病院で数百万円の不正請求が明らかになっている。

 静岡県内の病院は今年7月、同加算4の請求をめぐり、臨床検査医の「常勤」の基準を満たしていないと厚労省から指摘を受けた。同院によると、6月末で請求資格を取り下げ、13年4月からの本来の資格との差額分の診療報酬を患者の自己負担分を含めて返還する方針だ。

 同院は常勤医に必要な勤務時間について、医療法に基づき「週32時間以上」と解釈。だが厚労省は「週5日40時間」を原則とし、患者1人当たりの診療点数が月400点(4千円)低い同加算2に当たると指摘したという。同院関係者は「医療法に準じるのが当然だと思っていた。同様の解釈をしている病院は多いのではないか」と話した。

 ただ、不正や過大請求が発覚するケースはまれだ。

 同加算など特別な診療行為ごとに算定される特掲診療料を請求できる資格は、施設規模に応じた医療機関の届け出に基づき、厚労省が審査して決定される。ある病院関係者は「審査はほぼスルーと言っていい」と打ち明ける。

 なぜか。「病院の性善説が根底にある」。別の医療関係者が説明する。基準を満たすため、実労働がなくとも名義を使うためだけに医師を在籍させている病院もあるという。「(診療所を除いた)病院だけでも1万軒近くあり、厚労省はチェックを徹底しようにも、手が回らないはず」とみるこの関係者は、「結果的に不正を野放しにしている、と言われても仕方がない」と国を批判した。

 東京医科歯科大の川渕孝一教授(医療経済学)は「日本のチェック体制はアナログで、先進国の中で非常に遅れている。制度設計に明らかな欠陥がある」と指摘する。診療報酬の請求内容を調べる厚労省の指導医療官ら指導・監査担当者が、慢性的に不足しているのが実態という。医療機関から市町村や健康保険組合に請求されるレセプト(診療報酬明細書)は年間十数億枚に上るとされ、「レセプトと院内体制の二重チェックで精いっぱいだ」と強調する。

 不正請求を防げなければ、患者の自己負担が増えるだけでなく、不必要な医療費の増大を招く。川渕教授は抜本的な不正請求対策として、「診療報酬の管理を全面的に電子化してシステム監査に移行し、(医師の配置の把握を容易にするため)専門医の登録制もさらに進めるべきだ」と提言している。

打倒ポリオ 闘う歯科医 九大出身、甲斐拓也さん 

2014-09-28 13:00:36 | 医療と介護
慈善プロレスでワクチン1万400本寄付 [福岡県]



2014年09月27日(最終更新 2014年09月27日 15時26分)

相手選手に技をかけ、リングの上で激しい闘いを見せる甲斐さん

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普段は優しい歯医者さん。甲斐さんは東日本大震災の被災地でも治療活動を行った

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 「闘う歯科医」がチャリティーのゴングを鳴らす-。九州大歯学部出身で、千葉県野田市で歯科医院を開業する甲斐拓也さん(47)が10月16日、福岡市のアクロス福岡で「ワクチンファイトプロレスリング IN FUKUOKA」を開催する。収益の全額を発展途上国の子どもたちにポリオワクチンとして寄付する同大会は2010、12年に東京で行い、3度目の今回は「第二の故郷」という福岡での初開催だ。今大会には趣旨に賛同する人気プロレスラーの高山善広、藤原喜明両選手らも参加。歯科医と格闘家の「二足のわらじ」で鍛えてきた甲斐さんもリングに上がる。

 太い腕に大きく盛り上がった胸筋。甲斐さんの姿は一見すると、歯科医とは思えない。格闘技の道場「BRAVE」に所属し、週5日、診療後にトレーニングで汗を流す。歯医者と格闘家という二重生活だ。

 大会開催のきっかけは、米大リーグ・カブスの和田毅投手が行っているチャリティー活動。プロ野球の福岡ソフトバンク時代の2005年から投球数に応じてワクチンを寄付する和田投手に倣い、06年から歯科医院でインプラント治療を1本行うごとに、ポリオワクチン100本の寄付を開始した。これまでに1万2千本を、NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」を通じて発展途上国などに送ったが、一人の歯科医としてできることは限られる。世界ではワクチンがないために1日約4千人の子どもが予防可能な感染症で命を落とすといわれ、「もっと大きな動きにしたい」とプロレス大会を思いついた。

 甲斐さんは九州大時代にラグビー部に所属。立ち技の総合格闘技、シュートボクシングの道場にも通った。大学卒業後はトレーニングから遠ざかったが、大会で選手としてリングに上がるため、再び総合格闘技道場の門をたたき、43歳でデビューを飾った。

 「魅力ある大会に」という甲斐さんの情熱は生半可ではない。10年の第1回大会前、ミクロネシアの総合格闘技チャンピオンの“ケルビン”ザ・ビッグヒット選手を訪ねてサイパンへ。連絡先も分からなかった本人を探し当て、出場交渉に成功した。大会では第2ラウンドで対決し、ギブアップして敗れたが、チャンピオンは甲斐さんの熱意に感動。第2回大会には、参加できない本人の代わりに弟子を送り込んでくれた。

 活動の原点は、幼いころに読んだプロレス漫画「タイガーマスク」だ。主人公の伊達直人は覆面レスラーとして活躍。ファイトマネーを孤児院に寄付する姿に心を打たれ、「大人になったら同じことをしたい」と思い描いた。

 最初の大会で寄付できた金額は5万円ほどだったという。会場費用や交通費を差し引くと残るのはわずか。「その額なら財布から出せばいい、と言われることもある」。ただ、個人で寄付の額を増やすことだけが目的ではない。闘う甲斐さんを見て、米国在住の友人は「自分ができることを」と米国のダンスコンテストに出場し、優勝賞金の約100万円を全額寄付してくれた。自らの活動を通じて、支援の輪が広がることが理想だ。

 念願だった福岡での開催が実現した今回は、友人たちが準備やチケット販売に駆け回ってくれている。闘う歯医者さんとして、自らもリングに上がる甲斐さんは「100万人の命を救うのが目標」と熱いファイトを見せるつもりだ。

 ■来月6日、福岡で初開催

 「ワクチンファイトプロレスリング IN FUKUOKA」は10月16日、福岡市中央区のアクロス福岡で午後6時30分から。特別リングサイド8000円、リングサイド6000円、指定席4000円。鈴木みのる、ウルティモ・ドラゴン、ザ・グレートサスケの各選手や、地元団体「九州プロレス」の選手らが参加予定。問い合わせはワクチンファイト実行委員会=090(6546)9475。


=2014/09/27付 西日本新聞夕刊=

人の命側に立つ崇高な使命が、やはり行政にはあると思う

2014-09-28 12:46:35 | 編集スクランブル
★つい最近、私の中で一つの結論が出た。「勝ち続ける」ということは、同時進行で「衰退し続ける」ということだ。

勝っている安心感が隙間を生むのかもしれないし、互いの信頼関係が甘えを呼ぶかもしれないし、あるいは無意識のうちに慢心が芽生えるのかもしれない。
巨人・原辰徳監督
★広島市の土砂災害を報じる新聞の写真に目を奪われました。
自分の住む土地の成り立ちと、そこに刻まれた災害の歴史を知って、わが身の守り方を考えるしかない。
先祖たちがそうした歴史上の事実を地名にとどめて警告しているのに、現代人はしれを忘れたがっている。
もっぱら土地の価値をめぐる商業上また資産上の要請でしょう。
人の命側に立つ崇高な使命が、やはり行政にはあると思うからです。
読売新聞編集委員・芥川喜好さん
★夫婦関係の希薄化
2014年09月26日
中高年セックスレス ~夫婦関係の希薄化 指摘~
「中高年セックスレス ~夫婦関係の希薄化 指摘~」(読売新聞)
◆40代以上の中高年夫婦のセックスレスがここ10年で急増している。
“誰がそんなこと調べた”って?医師や大学教授らが集う研究会「セクシュアリティ研究会」による実態調査だそうです。
◆配偶者と1年間性交渉なし→2000年調査約25%→2012年調査約50%。
◆健康な高齢者ほど性交渉が盛んという調査結果もあるらしい。
★「日本人には『なるようにしかならぬ』などと言い、現実を直視せず、現状追認を続ける傾向がないか考えたかった」
作家に必要なのは「サービス精神」。
執筆は、「トレーニング」の積み重ねだ。
作家・奥泉光さん

経済学は、専門家だけがわかるものであってはいけない

2014-09-28 00:30:56 | 編集スクランブル


★作家・吉村昭の真骨頂は、自分の眼と耳しか信用しない「現場主義」の手法だった。
その意味で、作品の多くはノンフィクションに近い。
選んだ題材は、時流に乗らず、信念に生きる主人公が多かった。
「事実こそ小説である」との創作姿勢を最後まで貫いた作家。
(柳)
★経済学は、専門家だけがわかるものであってはいけない。
チャールズ・ウィーラン
その発想は重要すぎるし、おもしろすぎる。
なぜビル・ゲイツは大金もちになったのか?
マクドナルドより美味しいハンバーガーはたくさんあるだろうに、なぜマクドナルドは売れるのか?
そのシンプルな理由を説明されることで、読者はブランドの意味に気が付く。(晋)
★「僕は天才でないけれど、努力家です」指揮者・小澤征爾さん
★経営学の研究対象は組織。
だから人間が根幹。
1 人間の尊厳の無条件の尊重
2 全ての意思決定に倫理的考慮を反映する。
3 全ての利害関係者と対話を展開する。
★もともと経営学は、組織を運用し、価値を生み出すための学問。
心理学、哲学、社会学、高額、経済学など多岐にわたる知見が必要な総合科学。
★「貧困」「人権」「環境」などの課題は、ビジネスが密着に関わっている。
弱者の犠牲の上に自己の利益を築かないといった企業倫理が求められる。
企業の社会的責任に対する目も厳しくなっている。
★確固たる企業理念・哲学が不可欠。










海抜ゼロからの視点が大事

2014-09-27 23:36:39 | 受けとめる力


★人にはそれぞれ立場があるという認識。
誰もが同じように苦しみをもつものだという意識。
それが人をつなげる。
★他国の苦しみや痛みをしめして、人々をつないでいくのが民間交流。
その意味で、平和を志向する人たちが自由に活動できる状況を保つ必要がある。
★できるだけ国益を超えて、共同体意識をつくることが肝要。
“民”は背中に国益を背負っていない。
だから人間として他者と付き合える。
そうしたパイプがいくつもあって、太い関係を生み出していくことが市民社会の役割。
★「生物多様性」聞いたことがない人が半数。
環境意識の啓発が不可欠。
★スマホ利用の低年齢化。
中学生の利用約50%。
性犯罪に巻き込まれる少女の増加。
★「3・11」で被災した人たちが、何をどう苦しんだのか、それをきちんと書きたかった。
どういう寄り添い方をしたらいいのか、真剣に考えることがものづくりの第一歩だと思って神経を使いましたね。
新しもので、世の中の真っ黒なものに染まっている人たちの心を洗う。
「心の洗濯屋」だと思っています。
あと、昔からなんですが、台本を書く時はいつも怒っています。
世の中の不条理とかに対して。
怒りがモチベーションを高めています
人間は本来、生きるエネルギーを自分の中にもっているんですよ。
最近、私も年をとってきて、理性でものを書いているんじゃないかな。
恥ずかしですなあ。
もっと感情でものを書きたい。
「一度、世の中の常識から離れて、“海抜ゼロ”で考えてほしですね」と若者にメッセージ。
海抜ゼロでものを見ていけば、相当視野は広くなるし選択肢も多くなる。
若い皆さんは、うんと人生の選択肢を広げてほしいですね。
海抜ゼロからの視点が大事だと思います。
脚本家・劇作家・演出家の倉本聰さん





大切な存在なのに気づかない

2014-09-27 23:07:13 | 編集スクランブル


★自分に近いのに見えない。
大切な存在なのに気づかない場合がある。
★我々の「民衆運動には世界史的は使命と意義がある」それを自覚するどうかだ。
世界の識者が存在を認め、高く評価していることを真摯に受けとめる。
★21世紀は真実を、価値を「受けとめる」時代!
★人生には、必ず試練がある。その時が一番大事!
★大事なのは平和。
平和でなければ何もできない。
平和とは戦争を避ければいいというものではない。
必要なのは人類の連帯。
★詩と政治、詩人と政治家。
互いが最も遠い存在のように思えるが、それを心に共存させることができる人こそ、真の指導者。
★「詩人。それは民衆の心とともに生きる人。民主の鼓動とともに歌う人」
★「本来、政治家はじめ社会の指導者には詩心が必要」
★清冽な詩心が胸にわいていてこそ、卑小な現実に染まることなく、高邁な理想の実現へ突き進める。
★平和は祈るだけで終わってはならない。
「平和はつくるものだ」










極道の女たち

2014-09-27 22:18:36 | 創作欄
極道の女になった雪絵に輪太郎は、寂しさを感じた。
その寂しさは、哀れみを含んでいた。
「輪ちゃんに、出会うのが遅かったよ」とその日、雪絵はひどく酔った
雪絵は目に涙を溜めた。
輪太郎は女の涙が苦手だった。
酒の席での湿っぽい空気を忌んだのだ。
輪太郎はその日の朝刊で、雪絵の男がいわゆる親分を射殺し、逮捕されたことを知った。
狭い取手市内のことであり、その事件はみんなが知るこことなった。
だが、逮捕された男と雪絵の間柄を知る者は極限られていた。
「輪ちゃん、私はこれからどうすればいい?」
その日、スナック「黄色いリボン」の客は輪太郎一人になっていた。
もっとも時刻は午前1時を回っていた。
「酒飲みの俺が言うのも、筋が通らないかもしれないが、人に役立つ仕事はどうかな?」
輪太郎に深い意味があったわけではなかったが、提案したのだ。
「人に役立つ仕事?」雪絵は飲みかけた日本酒のコップをカウンターに置きながら輪太郎の目を見詰めた。
「水商売を長くやってきて、人の心もそれなりに分かっているだろう?だから、それを活かす仕事はどうかな?」
「水商売を卑下するつもりはないの。この商売肌に合っているしね」
雪絵は日本酒のコップを手にして、それを両手で包むようにした。
指の爪の黄色いマニュキュアに輪太郎は目にとめた。
「ママは黄色が好きなんだね」
「私のラッキーナンバーなのよ。輪ちゃんのラッキーナンバーは?」
「子どものころは青が好きだったけれど、現在は赤かな」
輪太郎はウイスキーのロックを飲んでいた。
「なぜ赤なの?」雪絵は微笑みを浮かべながら、身を乗り出すように聞く。
「赤い服、赤いハイヒールの女に惚れたことがあってね・・・」
「そうなんだ。詳しくきこうかな」雪絵はカウンターから出ると輪太郎の脇に座った。
雪絵の太ももが輪太郎の脚に触れた。
「その人は日赤の看護婦で、はじめは献血で知り合ったんだ。いわゆる一目惚れというやつ。それでその人に逢いたいばかりで、5度も献血に行ってね。それでデートに誘ったらOK」
「そうなだったのね」雪絵は声をたてて笑った。
その朗らかな笑い声に輪太郎は安心した。
「そうだ、看護婦になるのはどうかな?」
「この私が?看護婦に?!」
「そう、応援するよ。真剣に考えてみなよ」輪太郎は促すように雪絵の手を握り締めた。
「私の手を握ってくれたのね」雪絵が輪太郎に身を預けるようにした。