糖質制限食
江部康二 / 高雄病院理事長
毎日新聞 2015年6月25日 医療プレミア
◆古人骨から虫歯を探してみたら
今回は、縄文人の虫歯率が意外に多かったのには、糖質が関係しているという話です。具体的には縄文人の虫歯率は8.2%でした。30%を超える現代日本人や、農耕が始まった弥生時代の16.2〜19.7%よりは低いのです。しかし、近現代イヌイットや、7600〜3000年前のアメリカ先住民が3%未満であるのに比べると、縄文人の虫歯の多さは際だっています。人類史と虫歯の関係がとても興味深かったので、「古病理学辞典」(藤田尚編、同成社)を読んでみました。151ページの表1に古人骨における虫歯率の比較が載っていましたので、以下一部を抜粋してみました。
ちなみに、農耕を開始して穀物(糖質)を食べ始めて、虫歯が倍以上に増加したのは日本だけではありません。世界中で確認されています。虫歯菌の代表として知られるストレプトコッカス・ミュータンスなどの餌は糖質なので、さもありなんです。
◆原因は主⾷の⽊の実に含まれる糖質
縄⽂⼈は、「採集」「漁労」「狩猟」の三つのなりわいで⾷べ物を⼿に⼊れ
ていました。縄⽂時代というと、狩りで得た⾁を主に⾷べていたというイメー
ジが強いのですが、実際には植物採集の割合が⾼かったと考えられています。
特にクリ、クルミ、トチ、ドングリ類などの⽊の実は主⾷といえるほど⾷べて
いました。これらには糖質が⼀定量含まれていますので、昔のアメリカ先住⺠
やイヌイットよりも、⾍⻭率が⾼かったのだと考えられます。
⽇本の旧⽯器時代は、ナウマンゾウ、オオツノジカ、マンモス……といった
動物を狩る狩猟が主ななりわいでした。これらには糖質はほとんどなく、この
時代の⽇本⼈は、⾍⻭率はほぼゼロだったと⾔われています。ちなみに⽇本の
旧⽯器時代は、最終氷期(ウルム氷期)と呼ばれるかなり寒かった時期で、針
葉樹林に覆われた地域が多く、そこでは⾷料となる植物資源は極めて乏しかっ
たのです。
縄⽂時代でも、北海道の住⺠には⾍⻭が少なく2.4%くらいでした。これも当
時の北海道の環境や⾷⽣活が関係していると考えられます。北海道の縄⽂⼈は
「漁労」「狩猟」の⼆つが主ななりわいで、⿂や海獣類を好んで⾷べていたよ
うです。このため糖質摂取が少なく、⾍⻭率も低かったのでしょう。
◆⻭磨きをしなくても⾍⻭が少なかった⼤昔の⼈
⽇本において、つまようじを⽤いた⻭の掃除の習慣が⺠衆に広まり、需要が
拡⼤したのは江⼾時代以降と⾔われています。現在の⻭ブラシによる⻭磨きは
明治以降です。弥⽣⼈も縄⽂⼈も旧⽯器⼈も、現在のような⻭磨きはしていま
せん。ということは、⻭磨きをしなくても、糖質さえ取らなければ⾍⻭の発⽣
率はかなり低かったということになります。げに、糖質恐るべしですね。
江部康⼆(えべ・こうじ):⾼雄病院理事⻑。1950 年⽣まれ。京都⼤学医学部
卒業。京都⼤学胸部疾患研究所(現京都⼤学⼤学院医学研究科呼吸器内科学)
などを経て、78 年より医局⻑として⼀般財団法⼈⾼雄病院(京都市)に勤務。
2000 年理事⻑に就任。内科医、漢⽅医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質
制限⾷」の体系を確⽴したパイオニア。⾃⾝も02 年に糖尿病であることが発覚
し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで⾼雄病院などで3000 ⼈を超
える症例を通じて、糖尿病や肥満、⽣活習慣病、アレルギーなどに対する糖質
制限⾷の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。
薬歴未記載81万件超
昨年、1220の薬局で未記載
薬剤師会など自主点検
共同通信社 2015年6月24日(水) 配信
大手ドラッグストアの調剤薬局で相次いで発覚した薬剤服用歴(薬歴)未記載問題を受け、日本薬剤師会など関係3団体が傘下の調剤薬局を自主点検した結果、1220の薬局で昨年1年間に計約81万2千件の薬歴未記載があったことが24日、分かった。厚生労働省が2月、自主点検を要請していた。
薬歴は、重複処方などを防ぐため薬剤師が患者の症状や併用薬などを聞き取って保存する記録。薬歴を保管し患者に適切な指導をする対価として、薬を出すごとに340円か410円が診療報酬として加算される。
今回の問題で診療報酬の不正請求額は試算上、最大で3億3千万円余りになる可能性があるといい、厚労省は各薬局に対し不正請求額の自主返納を求める。
厚労省によると、3団体は日本薬剤師会のほか日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会。それぞれの傘下薬局のうち、重複分を除いて計1220の薬局で81万2144件の薬歴未記載があった。故意かミスかなど詳しい状況は確認していないという。未記載だった薬局の割合はドラッグストア協会傘下の薬局が約7%で、ほかの2団体所属の薬局では2%台だった。
未記載の問題は2月、ツルハホールディングス(HD)の子会社「くすりの福太郎」(千葉県鎌ケ谷市)や、「CFSコーポレーション」(横浜市)が運営する調剤薬局で相次いで発覚した。
民間主導で医療費抑制
日本健康会議が7月発足
共同通信社 2015年6月24日(水) 配信
厚生労働省は23日、経団連などの経済団体や連合、健康保険組合連合会をはじめとした幅広い民間組織が連携して健康づくりや医療費抑制を推進する「日本健康会議」が7月10日に発足すると発表した。
先進的な取り組みを紹介し、全国的な運動を展開していく。
日本商工会議所の三村明夫会頭と日本医師会の横倉義武会長を中心に31人が実行委員に名を連ねた。10日に東京都内で発足イベントを開き、今後の具体的な活動方針を公表する。
厚労省や経済産業省なども活動を後押しする。
見た目は健康の鏡
見た目の若い人の特徴は?
毎日新聞 2015年6月15日 医療プレミアニュース
西田佐保子 / 毎日新聞 医療プレミア編集部
◆あなたは実年齢よりも年下に見られますか? それとも年上に見られますか?
見た目は生命予後(寿命の長さ)の指標となる−−。このような研究結果を2009年、南デンマーク大学のグループが英医学誌「British Medical Journal」で発表しました。01年、デンマークに住む70歳以上の双子1826人(男性840人、女性986人)の顔写真を見せて、41人の男女に見た目年齢を判定してもらいました。7年後の追跡調査時(08年)に亡くなっていたのは675人 (全体の37%)。分析の結果、実年齢より若く見える人は長生きする傾向にあり、同じ双子でも見た目年齢に大きく差のある場合、実年齢より見た目年齢が高く見られた人の寿命が短いことが判明しました。
また、見た目年齢が若い人ほど、身体機能、握力、認知機能が高く、細胞の寿命に関係すると言われる染色体の「テロメア」が長いことが分かったのです。テロメアは、細胞分裂に伴い短くなり、限界まで短くなるとそれ以上細胞が分裂できなくなるため、老化との関連が指摘されています。
それでは、見た目の老化、具体的には顔と肌の老化を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。5月29日に福岡市で行われた日本抗加齢医学会総会で、オランダ・ライデン大学のAnton JM de Craen教授は次のように報告しました。
まず、見た目の若い人は、毛細血管が拡張して起こる赤ら顔(毛細血管拡張症)ではないこと、シワ、シミ、たるみが少ないことが特徴だといいます。シワは喫煙と紫外線、シミは紫外線、たるみは皮膚の厚さや皮膚を構成するたんぱく質であるコラーゲンとエラスチンの質が関係していました。
さらに未婚の人、やせすぎを示す低BMI(体格指数)値、肌および口内のケアが不足したライフスタイルなども、肌の老化を早める要因になると指摘しました。
そして具体的な対策です。まず禁煙して紫外線を避け、血糖値と、強いストレスを長く受けたときに分泌される副腎皮質ホルモンの一つ「コルチゾール」の値を低く保つこと。つまりストレスフルな生活を避けることが重要です。またポリフェノール、特に緑茶に含まれるものの摂取が有効だといいます。
どれも一つ一つは意外と簡単に始められる対策なのです。皆さんも日常生活で「見た目の老化防止」、さっそく始めてみませんか?
政治改革の鬼っ子?
── 安倍首相の政治戦略
高安健将・成蹊大学法学部教授
THE PAGE 2015年1月2日
第二次政権の安倍首相は第一次政権時と比べて明らかにケンカ上手になった。首相あるいはその周辺が過去の政治からよく学んでいることがうかがえる。
今日の日本政治の基底をなすのは1994年の政治改革である。政治改革は、非自民非共産の8党会派からなる細川連立政権のもとで、(1)衆議院の選挙制度を中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変更する選挙制度改革、(2)政治家個人への企業・団体献金の制限と献金の透明化を図る政治資金改革、そして(3)税によって賄われる政党交付金制度の整備、を内容としている。政治改革により、政治家個人ではなく政党中心の政治、利益誘導ではなく政策中心の政治の実現が目指された。
政治改革後の政治にはいくつかの特徴がみられる。その例を挙げるとすれば、第1には政権が有権者からの付託を受けるうえで衆院選の重要性が大きく高まったこと、第2には党首が政治の前面に登場するようになったこと、第3には政治のテーマ設定が重要になったこと、第4にメディアを味方につけ離反させないことが重要になったこと、第5に世論の支持が高ければ党内は抑え込める可能性が特に自民党では高まったこと、などということになろう。安倍・自民党もまたこうした変化に対応してきた。2014年の解散・総選挙は、こうした学習を経た安倍政治の特徴を如実に物語っている。
今回、安倍・自民党は、「アベノミクス」以外を争点にしないように最大限の努力を払っている。首相は街頭演説では大きな議論を呼び続けている集団的自衛権や特定秘密保護法には触れず、自民党の選挙公約にも言及はなかった。特に集団的自衛権関連の安全保障法制の整備は2015年に行われることになっており、政権を担う自公両党の主張に齟齬があるなか、有権者はその真の意味合いについて知らなければ本来的には候補者や政党を選択することはできない。憲法改正についても、自民党が具体的に訴えることはなかった。原発政策を長年主導してきた自民党政権が福島第一原発の事故を総括し、反省し、未来を展望することもなかった。中国との緊張関係をどうするのか、あるいは日本の国際的な評価に大きく響いている靖国問題をどうするのかについても説明はなかった。徹底して「アベノミクス」という経済政策をテーマに絞る戦術をとったのが安倍・自民党である。
ただ、その際も、「アベノミクス」が具体的に何を意味するのか、語られることはなかった。「第一の矢」である異常な金融緩和とこれに伴う円安誘導、それに「第二の矢」である伝統的な公共事業が結局はアベノミクスの実態なのではないのか。さらに「第三の矢」が農政改革であり、カジノ解禁であり、雇用の流動化の加速であり、原発の輸出や再稼働であれば、影響は大きい。世論の方向性が定まっていないにもかかわらず、ここでも安倍・自民党からの説明は乏しかった。今日の日本において深刻な課題となっている社会保障や貧困問題についても、消費増税の延期を理由とした解散であったにもかかわらず、今後の構想が語られることはほとんどなかった。
今回の解散は、野党やマスメディアが異なるテーマを総選挙の主題にできないようにするためのスナップ・ショットの抜き打ち解散でもあった。もちろん、野党の側の準備不足は当然野党に非がある。しかし、問題は安倍・自民党の側が正攻法の議論を回避しようとしたその姿勢にある。これはテレビへの対応にも端的に表れている。すでに多く論じられてはいるが、自民党は、各テレビ局に要望書を送り、出演者の発言回数や時間の配分、ゲスト出演者の選定、テーマ設定、街頭インタヴューや資料映像の使い方について「公平中立、公正」を求めた。結果的に、マスメディア特にワイドショーやバラエティに近い情報番組は解散や総選挙を大きく取り上げることはなかった。少数政党ならば「公平中立、公正」を求めることは理解も可能であるが、政権を担当し、圧倒的に多くの議員数を抱えて、あらゆる場面で優位に立つ政党がこのような要望書を出すというのは、政治における議論の範囲を狭め、政権の業績を評価し今後を考える機会を奪う行為にほかならない。最大政党の危機感がそこには反映されているということかもしれない。だが、野党やマスメディアを「良い子」にしようとする行為は自由な社会にとって背信的である。大きな権力をどうにかコントロールし「ほかの道」を考え認める機会を奪うことになるからである。
くわえて、今回の解散は、有権者に考える時間も与えないものであった。日本の選挙運動期間はきわめて短い。今回も投票日は告示日から12日後である。これ自体問題ではあるが、近年は解散から総選挙までの期間が比較的長くなり、人びとが考える時間は増えている。2009年の場合は解散から総選挙まで40日もあった。それが今回はたったの23日である。突然の解散に人びとが戸惑う中で、とにかく総選挙をやってしまおうという姿勢がそこには見て取れる。今回の解散・総選挙は、安倍首相の言葉とは裏腹に、さまざまな政策について幅広い議論が喚起され、政権と政権党がこれを受けて立つという「王道」の戦いとはとても言えなかった。
安倍首相は、政治改革後の政治において、総選挙が政権の正当化にとって決定的に重要な契機であることを理解し、これに訴えることを選択した。支持率を維持できれば、党内におけるグリップも確保できると首相は認識している。首相が前面に出てテーマ設定を行うという姿勢も示し続けた。しかし、人びととの対話と真の意味での選択の機会、そしてこれによって政権にもたらされる人びとからの信頼の獲得という道が求められることはなかった。民主党のように、約束し過ぎれば、政権運営の足枷になりかねない。ならば約束は狭く、曖昧にする。そのような姿勢が安倍・自民党にはみられたのではないか。マスメデイアも味方につけるのではなく、「公平中立、公正」という建前とテレビ事業者に対する許認可という力の組み合わせによって、テレビを無力化する道を採った。何が問われているのか、何が行われてきたのか、何が選択肢なのか、選択の帰結は何かについて真摯に語られ、あるいは人びとの意見が求められることはなかった。十分な議論もないままに議員と政党、政権の選択が求められ、選挙の結果、全てが了解されたという形式のみが重視された。
政治改革は、政権交代可能な複数の政党が政権をめぐって競合し、総選挙の際にその政党が掲げるマニフェスト(選挙公約)を有権者が選択することで、政治と人びととのつながりを作り、人びとの思いを政治に反映させ、政治家に責任を負わせることを目指した運動である。そこでは、政党は、自らの行う政策プログラムを有権者に誠実に示し、有権者は望ましいプログラムを選択できなければならないはずであった。
安倍首相は、総選挙に勝利することで政権運営の正当化を行うという、政治改革によって作り出された表の手続きを利用することに成功し、ケンカ上手を示した。しかし、政党間の競争がない状況をあえて選択し、政権が真に追求しようとする政策は隠して議論せず、人びとの理解と了解を誠実に求める姿勢をみせたとは言えない。選挙運動期間中、語られることがあまりなかった安全保障法制の整備と憲法改正については総選挙後すぐに語られ始めている。政治改革が本来的に求めた、政治と人びととのつながりの確保と信頼の醸成というその魂は置き去りにされた。政治改革の魂は顧みられず、総選挙という手続きとそこでの勝利という形式のみが重視された。政党間に適切な競争がない状況では、責任を問われないかたちで、権力行使の正当化のみを総選挙で得ようとすることが、実は政治改革の構想からは可能となる。制度の整備だけでは日本のリベラル・デモクラシーの質は担保されないということである。
安倍・自民党には、総選挙が人びとからの信頼の獲得を目指す作業であって、自らの意思を人びとに押し付ける正当化の機会ではないということを今一度認識してもらう必要がある。首相は、総選挙の前後にテレビ出演してインタヴューに応えているが、その際に示された態度からは、異なる意見や批判が存在することを認められず、聞く耳を持たない指導者の姿が浮かび上がり、不安を禁じ得ない。政治指導者のケンカ上手も、実はケンカの相手が有権者、国民であったということでは冗談にはならない。
◇高安 健将(たかやす けんすけ):成蹊大学法学部教授。専門は比較政治学・政治過程論。Ph.D. (Government) University of London. 著書に、『首相の権力―日英比較からみる政権党とのダイナミズム』(創文社)など。
費用対効果評価は保険収載後の再算定に使用
診療側・支払側が一致
Webmedicalニュース 2015年6月25日 配信
◆中医協専門部会、資料提出の義務化も
中医協・費用対効果評価専門部会は6月24日、来年度に予定されている試行的導入のあり方について議論、医薬品と医療機器を念頭に、保険収載から一定期間経過後に費用対効果評価を行い価格を再算定する形とする方向を、支払側、診療側がともに支持した。対象品目選定基準は、①補正加算の要件を満たすもの②原価計算品目③製品単価や売上高が一定以上のもの、などの考え方が示されている。
マイナンバーで医療費控除
活用へ手続き簡素化
読売新聞 2015年6月22日(月) 配信
国民一人ひとりに12桁の番号を割り振る共通番号(マイナンバー)制度の利便性を高めるため、政府が作成した計画案が明らかになった。
年間医療費が10万円を超えた場合に所得税・住民税負担を軽くする「医療費控除」の手続きを簡略化するため、2017年度以降の活用を明記した。
計画案は、関係府省が3月から協議してきた内容を取りまとめた「アクションプログラム」で、22日の会合で公表する。政府は、6月末に閣議決定する成長戦略「日本再興戦略」の改訂版に盛り込み、関連法改正の準備を進める方針だ。
マイナンバー制度は、今年10月から番号が国民に通知され、来年1月から順次運用を開始する。計画案では、15~17年度の年度ごとに活用内容を定めた。
「寛大な判決を」、造影剤誤投与事件
保険医協会が嘆願書
m3.com 2015年6月22日(月)配信 橋本佳子(m3.com編集長)
◆熊本・東京・長崎の3保険医協会が東京地裁に嘆願書提出
国立国際医療研究センター病院の整形外科医が、造影剤ウログラフインを誤投与、業務上過失致死罪に問われている事件で、各地の保険医協会から「寛大な判決」を求める嘆願書が、東京地裁に相次いで出されている。2014年4月に起きた本事故は、今年3月に業務上過失致死罪で起訴され、計3回の公判で6月8日に結審、7月14日に判決が言い渡される予定だ(『造影剤誤投与「過失は重大」、禁錮1年求刑』を参照)。
口火を切ったのは、熊本県保険医協会。同協会勤務医部会部会長名で6月12日付で提出。その後、6月15日付で東京保険医協会が会長名と勤務医委員会委員長名で、6月16日付で長崎県保険医協会が会長名でそれぞれ嘆願書を提出した。他にも、検討予定の保険医協会、医師会がある。
過去の同様のウログラフイン誤投与事故で、刑事責任を問われた例では、いずれも有罪になっている。今回も検察の求刑は禁錮1年で、整形外科医も誤投与を認めていることから、有罪判決は免れない可能性が高い。
3保険医協会の嘆願書は、いずれも誤投与で死亡した患者の遺族に哀悼の意を示し、同様の事故を防ぐ必要性を指摘している。複雑化多様化する医療の中で、医療の安全を個人責任で守ることには限界があるとし、事故原因をヒューマンファクターに求めるのではなく、システムエラーという観点から検証し、再発防止を図ることが重要である点を踏まえ、東京地裁に対し、「寛大な判決」を求めている。
さらに東京保険医協会の嘆願書では、日本の医療安全管理体制やリスクマネジメントの遅れ、さらには医療事故調査における医療者の人権擁護の劣悪さにも言及。WHOは、非懲罰性・秘匿性・監督官庁からの独立・システム指向性を柱とした事故調査を推奨しているが、我が国ではこれらの対極にある「説明責任」と「責任追及」を目的とした事故調査が主流であると指摘。10月から医療法上の制度として医療事故調査制度がスタートしても、「本件事件のように過去の事案については、重大かつ繰り返し発生している類型であっても、全く無策」との見方を示し、今回の事件で整形外科医が有罪になっても、「何ら医療安全に資することはない」と指摘した。その上で、この先も、同様の事件の発生を、法律や制度として防御するシステムが日本にはない不条理を、今回の判決で言い渡すように求めている。
教授が医大学長をパワハラで提訴へ、浜松医大
労基署、パワハラとPTSDの因果認定
レポート 2015年6月22日(月)配信池田宏之(m3.com編集部)
浜松医科大学(静岡県浜松市)の50代男性教授が、同大の中村達学長から、ポストや教育範囲を減らすように恫喝を受けるなどのパワーハラスメントがあったとして、7月にも、謝罪や慰謝料を求めて、静岡地裁浜松支部に民事訴訟を起こす方針を固めた。今年1月、中村氏のパワハラを訴え、浜松労働基準監督署から、PTSDを発症したとして労災の認定を受けているほか、大学も、男性教授を含む2人について、中村氏のパワハラを調査する委員会を立ち上げている。
男性教授によると、中村氏のパワハラは2005年ごろから始まり、准教授ポストや教育内容を減らされてきたほか、恫喝と受け止められる言動があったという。2014年4月に、中村氏と男性教授と面談した際には、中村氏は准教授のポストや教育範囲の減少、教室のスペースの明け渡しなどを求め、男性教授が固辞すると、中村氏は「みんなに認めてもらった」「准教授が辞めた際、別の准教授の任用を許可しない」旨の発言をして、恫喝したという。男性教授は、「准教授ポストを巡る発言は職権濫用」「10年以上保持してきたポストやスペース、仕事を奪われると知り、深い絶望に陥った」と訴えている。
男性教授は、PTSDと不眠症を発症し、2014年7月に浜松労基署に労災を申請。浜松労基署は、今年1月に、PTSDとパワハラの因果関係を認め、治療費の支払いを決めている。労災認定の詳細な事実関係は明らかになっていないが、厚生労働省が示している「精神障害の労災認定」では、「精神障害の発病前おおむね6カ月の間に、業務よる強い心理的負担が認められること」を認定の基準として挙げていて、2014年4月の事実は、パワハラと認定された可能性が高い。その後、2015年5月にも、大学の理事から2014年4月と同様の内容について「決まった」との通告があり、男性教授は、2014年と同様の要求であることから、「中村氏の関与があるのではないか」としている。
男性教授は、パワハラを受けている理由について、中村氏と人事などを巡って考え方の違いが明らかになる中で、「気に入らない人物だとして狙われたのではないか」としている。男性教授は、2015年6月の時点で勤務を続けている。
男性教授は、7月にも、中村氏個人を相手どり、労基署によって認定された事実も含め、複数回にわたるパワハラがあったとして、慰謝料や謝罪を求めて民事訴訟を起こす方針を決め、弁護士などと相談しているという。
中村氏のパワハラを巡っては、男性教授以外にも、別の60代の男性教授が、「虚言の流布や恫喝などがあった」「60代男性教授の息のかかった人物を後任に選ばない旨の発言をした」と証言。2人は、同大のハラスメント委員会に対して、調査を求め、4月中旬に調査委員会の設置が決まった。2人は、調査委員会のパワハラの認定に中村氏が関与しないようにすることや、第三者の弁護士が入るように求めている。2人によると、大学は「弁護士などの第三者に入れたい」との方針を示しているという。中村氏は、パワハラの事実関係について、「調査委員会に任せていて、コメントを控えたい」と回答した。
┏━━━━━━━━━━━【PMDAメディナビ】━━━━━━━━━━┓
平成26年度 医療機関における医薬品安全性情報の入手・伝達・活用
状況等に関する調査 報告書掲載のお知らせ (2015/06/25配信)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
PMDAでは、講じた安全対策措置のフォローアップの強化・充実を図るため、
標記調査を実施しております。
本日、平成26年度「医療機関における医薬品安全性情報の入手・伝達・活用
状況等に関する調査」の結果と結果から考察される望まれる方向を
公表いたしました。
医療関係者の皆様におかれましては、貴施設における安全性情報の
適切な管理のためにご活用ください。
調査にご協力くださった医療機関の方々に、厚く御礼申し上げます。
■調査の概要
調査対象及び有効回収数:
調査対象:全国の病院全数(8,481施設)
回収数:4,903施設(回収率:57.8%)
調査期間:
平成26年12月15日 から 平成27年3月13日
調査方法:
調査対象施設に調査票を郵送し、医薬品安全管理責任者もしくは
医薬品情報管理業務に従事する薬剤師等によりウェブ、紙面等により回答
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■「主な調査結果及び望まれる方向」は、以下のページをご覧ください。
http://www.pmda.go.jp/files/000205744.pdf
■「調査結果報告書」は、以下のページをご覧ください。
http://www.pmda.go.jp/files/000205739.pdf
■調査の趣旨、方法等の概要は、以下のページをご覧ください。
http://www.pmda.go.jp/safety/surveillance-analysis/0010.html
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【本件に関するお問合わせ先】
医薬品医療機器総合機構 安全第一部 リスクコミュニケーション推進課
〒100-0013
東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル13階
電話(ダイヤルイン)03-3506-9003
ファクシミリ03-3506-9543
夏の美しい花々のお写真に癒されました。ありがとうございます。次回の作品展の参考とさせて頂きます。
ちなみに今年の作品展は、いろいろ悩んだ末、クレマチスとオンシジュームとし、先月完成しました。タイトルは「羽ばたくオンシジューム」です。