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40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

東電・吉田昌郎を描いて見えた 原発の“嘘”

2015-07-31 12:45:01 | 社会問題・生活
日経ビジネスONLINE 2015年7月30日(木) ニュースを斬る/黒木亮

 
 東芝の粉飾決算が世論の批判を浴びている。しかし、その比ではない嘘とごまかしがまかり通ってきたのが日本の原発である。民間企業であれば株主代表訴訟で経営者の責任を問えるが、こちらのほうは政府も経済産業省の役人たちも何のお咎めもなしというのだから始末が悪い。
 今般上梓した『ザ・原発所長』では、モデルにした故・吉田昌郎福島第一原発所長のライフ・ストーリーに、日本の原発発展史や政官財の思惑を重ね合わせたが、取材を進めるにつれ、嘘とごまかしの横行を目の当たりにすることになった。
半永久の「見切り発車状態」と夢物語の高速増殖炉
 戦後、日本の原発導入を推進したのは、中曽根康弘(元首相)、正力松太郎(読売新聞社長、A級戦犯)、河野一郎(農林大臣、経済企画庁長官)らである。彼らは、日本が第二次大戦に敗北したのは資源の乏しさが原因で、これを克服するために、高速増殖炉によって無限のエネルギーを産み出すことが是非とも必要だと考えた。そして昭和32年に日本原子力発電株式会社(略称・日本原電)が設立され、昭和41年に日本最初の商業用原子炉・東海原子力発電所1号機が営業運転を開始した。
 しかし、導入を急ぐあまり、使用済み燃料をどうやって処理するかの問題は後回しにされ、その状態が今も続いている。高速増殖炉の開発のほうは昭和41年に始まり、これまで1兆円を優に超える税金が投じられたが、半世紀経った今も実現の目処は立っていない。民間企業なら、とうの昔に事業は打ち切られ、責任者のクビが飛んでいるはずだ。
発電コストのごまかし
 経済産業省や政府の審議会が発表する燃料別の発電コストでは原子力発電が常に一番安いことになっている。3・11以前に使われていたのは、政府の総合資源エネルギー調査会の数字で、1キロワット時当たりの発電コストが、原子力5円30銭、水力13円60銭、石油火力10円20銭、石炭火力6円50銭、LNG火力6円40銭というものだ。しかし、この数字には、地元自治体にばら撒かれる電源三法交付金や、垂れ流しの高速増殖炉開発費用、廃炉費用、事故処理費用などが含まれていない。
 立命館大学の大島堅一教授や慶応義塾大学の金子勝教授からこの点を厳しく指摘され、経済産業省は3・11事故以降、こうした費用も含めて発電コストを発表するようになった。今年4月の数字では、2030年時点で原子力10円10銭以上、水力11円、石油火力28円90銭~41円60銭、石炭火力12円90銭、ガス火力13円40銭とされた。
 しかし、原発事故が起きる頻度を前回試算(2011年12月)の40年に1度から80年に1度に変え、賠償費用を小さくしたりしている。また原発の稼働率を70%にしているが、実際の原発稼働率は3・11以前で60~65%(それも定期点検の期間を競うように短くし)、3・11以降は3~25%にすぎない。
イギリスの原発と経産省の試算の比較
 私が住むイギリスでは、約20年ぶりに原発の建設計画が進められている。国の南西部、ブリストル海峡に面したヒンクリー・ポイント原発に加圧水型原発2基(326万キロワット)を増設するプロジェクトだ。フランス電力(EDF)が中心となり、中国企業2社が30~40%の出資をし、生産された電力はイギリス政府が35年間にわたって1キロワット時あたり11ユーロセント(約15円)で買取り保証する(価格はインフレ率にスライド)。
 仮に10%の利益が織り込まれているとしても、発電コストは13円50銭程度で、地震がなく建設コストも少ないはずのイギリスの原発のほうが日本の原発より発電コストが高いことになり、先の経済産業省の数字を疑いたくなる。ちなみに孫正義氏の自然エネルギー財団は、原発の発電コストを(低い場合でも)14円30銭と見積もっている。
 イギリスが原発をやるのは、EUが強く推進している地球温暖化対策(EU域内ではEU-ETSという独自の排出量取引制度を実施中)、北海ガス田の枯渇、景観を損なう風力発電への保守層からの反対、地震や津波がほとんどない、規制・監督団体が原子力業界から独立している、核保有国で日本のようなプルトニウム保有制限がない、等の理由による。
東電の歴史はコストカットの歴史
 『ザ・原発所長』執筆にあたっては、吉田所長を含む東電の経営幹部たちが、なぜ適切な津波対策を取れなかったかにも焦点を当てた。原因は一言で言えば、コストカット至上主義である。東電の歴史自体が、コストカットの歴史なのだ。
 5重、6重の下請け構造の中で、電力会社が原発作業員に支払う賃金が10分の1になってしまうほど、日本の原発(ひいては電気事業全般)は利権の温床で、それゆえ電力料金が高く、長年にわたって産業界から値下げ要請に晒されてきた。昭和58年に刊行された東電の30年史を見ても、「コストダウン対策」「経営効率化」といった言葉が溢れている。1993年から6年間社長を務めた荒木浩氏は、就任と同時に「兜町のほうを見て仕事をする」「東京電力を普通の民間企業にする」とコスト削減の大号令を発し、3・11事故当時の社長だった清水正孝氏は、1990年代の電力一部自由化の時代に前任社長の勝俣恒久氏の命を受け、資材調達改革を断行してトップの座を射止めた。東電は、入社と同時にコストカットの文字が頭に刷り込まれる特異な企業風土だった。
 そうした社風は、津波対策を怠らせただけでなく、原発の定期点検期間の強引な短縮にも走らせた。原発は13ヶ月に1度、定期点検を行わなくてはならないが、稼働率アップのため、日立や東芝などのメーカーの尻も叩き、点検期間の短縮に血道を上げていた。平成の初め頃まで90日間かけていたのが、平成11年頃には40日前後が当たり前になり、同年秋には福島第二原発3号機が36日間という新記録を打ち立てた。被曝線量の限度を守っていると期限内に点検作業が終わらないので、線量計を外して作業するのが日常茶飯事になっている。
世界一厳しい規制基準?
 日本の原発の規制基準は世界一厳しいというのが政府の謳い文句だが、これは「世界一杜撰」の間違いではないかと思う。何が一番ひどいかというと、素人の役人が安全審査や検査をやっていることだ。かつて電力会社で安全審査を担当した人によると、当時の監督官庁である資源エネルギー庁では、昨日まで紙の業界や酒類業界を担当していた役人が安全審査の担当になり、原発のイロハを電力会社から教わって、何とか書類を見ることはできるようになるが、指摘してくるのは「下記の通りと書いてあれば、その下に必ず『記』と書かなくてはならない」とか、配管等と書くと「等とは何だ? 等のリストを作れ」というようなことばかりだったという。
 現場の検査でも、書類の辻褄合わせが第一で、実質的な検査は二の次。原子力安全委員長が、原発誘致を目論む自治体に招かれ、原発は安全であるという講演をするというような利益相反も横行してきた。原子力安全委員会が長時間にわたる原発の全電源喪失を想定しておらず、非常用冷却装置は8時間保てばよいとしていたために3・11事故の拡大を招いた。事故後、原子力安全・保安院は解体され原子力規制委員会ができたが、環境省の外局で、政権の息がかかった組織であることに変わりはない。
 欧米の原子力規制はもっとまともである。たとえばアメリカの監督機関NRC(米原子力規制委員会 )は、すべての原発に検査官を2人から4人常駐させ、運転日誌や作業記録を自由に閲覧し、電力会社の会議も自由に傍聴し、原発内のどこでも自由に出入りし、いつでも検査をできる権限を持ち、実質をしっかり監督している。また検査官になるには、制御盤のシミュレーターで7週間の訓練を受け、それから実際に現場で一年間働いて、その上で試験に合格して初めて検査官になれる。
人材の宝庫の東電でさえ
 福島第一原発所長だった故・吉田昌郎氏は昭和30年生まれで、大阪のミナミに近い金甌小学校から大阪教育大学附属天王寺中学・高校を経て、東工大で機械物理と原子核工学を専攻した。ちょうど日本の高度成長と科学技術開発の黎明期で、鉄腕アトム、大阪万博、アポロ11号月面着陸、講談社ブルーバックス創刊、原子力発電開始などが時代を彩った。大学の原子力学科には優秀な学生が集まり、そうした人材が向かった企業の一つが東京電力だった。3・11の事故当時は、福島第一の吉田氏、第二の増田尚宏氏、柏崎刈羽の横村忠幸氏と、3つの原発の所長は現場を知り尽くした「凄腕」が揃い、東大工学部で原子力工学を専攻した武藤栄副社長も(津波対策を怠った非難は別として)まるで現場の課長のように献身的に事故対応に当った。事故当時、休暇を取っていた当直長や社員の多くが現場に駆け付け、事故の夜には柏崎刈羽原発の20数人の放射線管理チームがマイクロバスで福島第一に向うなど、モラルは高かった。
 ところがこれほどの人材を揃えていても、津波対策、シビアアクシデント対策、事前の訓練などが出来ていなかったため、大惨事を招いた。原因は、突き詰めて言えば、規制の問題と企業風土の問題である。
 現在、原発の再稼働が議論されているが、原発というきわめて危険な施設を、嘘をついたりごまかしたりする役人や、コストカット至上主義の電力会社に委ねることは、到底受け入れられるものではない。

黒木 亮:くろき・りょう、作家。1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。大学時代は箱根駅伝に2度出場し、20キロメートルで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生は自伝的長編『冬の喝采』に、ほぼノンフィクションの形で綴られている。英国在住。

※政府寄り、財界寄りと言われる日経の雑誌で、原子力発電の批判をするのは珍しいので、投稿しましたが、なぜ人命よりも経済優先、国策優先がこの国では続くのでしょうか。いつからでしょう? 戦前のリーダーたち(岸信介、正力松太郎ら)が復活して、国力、国策、防衛と再び言い始めた頃からでしょうか…。

幼児マッサージ死亡事故

2015-07-31 01:18:51 | 社会問題・生活
「免疫力を上げる」などとうたい文句に、生後4か月の幼児をうつぶせにして首筋をマンサージする施術により死亡させた元NPO法人理事長の姫川尚美被告(57)。
医師の忠告を無視して、2人の乳児の命を失わせた被告の罪は思いが、ネットではむしろ施術を受けさせた母親へのバッシングが強い。
窒息事故が3度。

「母親の責任」では防げないのか?
マッサージは資格がなくとも行なえる。
「独学と経験。続けるかどうかは自由」と被告。
「専門知識がないまま成功体験を頼りにしてしまった」
検察も「施術の安全性に医師と相談するように」と指摘。

又吉直樹が語る「芸人の経済学」とは?

2015-07-22 05:38:35 | 社会問題・生活
大学ノートにネタを書き続けた日々
@DIME 7月20日(月)11時20分 配信

文才が花開き、ついに芥川賞も受賞!自ら書いた小説が104万部も出版されるなど今注目の芸人。彼の頭の中はいったいどうなっているのか? 取材を重ねてわかったことは、彼は努力の人だったということ。売れない頃、バイトに精を出し少しでも良い暮らしをしようとするライバルたちを横目に、風呂なし・トイレ共同のアパートでひたすら本を読みふけり、大学ノートにネタを書き続けた日々。「その時があったからこそ、今の自分がある」と、振り返る。そんな彼が口にした「芸人の経済学」とは意外なものだった。

 読破した本は2000冊以上という、お笑い界はもとより、芸能界きっての読書家として知られ、これまでエッセイや短編小説も発表するなど、知性派のイメージが強い又吉直樹。この春よりリニューアルするNHKの経済学番組『オイコノミア』で経済を語っている。文学とは違い、経済がテーマとなると、本人にも戸惑いがあったという。

「やっぱりお金の話がメインになると思ったんです。僕、これまで、ほとんどお金に関しては、無縁というか、ま、無縁ではありえないんですけど、深く関わってこなかったので、この仕事のお話をいただいた時は、どこまで話についていけるかなと、正直不安でした」

 だが、番組が回を重ねるごとに、意外な事実が判明する。彼がこれまでの人生で選択してきた“生き方”が、実は、最先端の経済理論に、ことごとく当てはまることが明らかになっていくのだ。

◎家賃2万5000円の風呂なしアパートに住み続けた理由とは?

 例えば、東京での下積み時代のこと。又吉は、吉本興業の養成所に通っていた時を含めて、生活が維持できる程度の必要最低限のアルバイトしか、やってこなかったという。それは、実家からの仕送りが多かったとか、貯金があったからというのではない。お金は全然なかった。しかし、あえてバイトをしない、という選択をしたのだ。

「同期のヤツとかは、大体週3とか週4でバイトして、月15万円くらい稼いで、風呂付きのアパートに住んだりしてました。同世代の大学生と同じような生活をしようとしてたんです。それを見て、すごい違和感があったんですよ。“何しに東京に来てるんだ?”って」

 その時の又吉は、仕方なく月に5~6回バイトに行って、風呂なし・トイレ共同の家賃2万5000円のアパートで暮らしていたという。極力バイトをしないようにして、同期たちがバイトに割いている時間を、お笑いのネタを書くことに費やしていたのだ。

「お笑い芸人として売れることを目標とするなら、お笑いに費やす時間をまず確保しなければダメですよね。バイトを週1回にすれば、週の半分バイトしているヤツが5年間かけてお笑いに費やす時間を、2年半で確保することができるはず。もし、そのふたりの才能が同程度なら、売れる可能性が2倍早くなると考えていました」

 このような、限られた資源(この場合は時間)の投資すべき順序を考えることは、さまざまな国の所得格差を経済モデルから分析する開発経済学の分野でも重要視されている。

「そのときの僕の考え方について、番組に出演している先生からは正しいと言われて、ああやっぱりな、と思いました。同時に、自分の中にも経済の合理性があったんだなという驚きも。でも、なかなかこの考え方は、世間では通用しないですよね。普通、きちんとバイトをしながら、夢を追っているヤツのほうが偉いと思われるじゃないですか。僕の場合は、結構、周りにも迷惑をかけてましたから(笑)」

 知り合った人には、お米を送ってくれるように頼んだり、本当に空腹が辛くなった時は、お笑いライブのチケットを売っていて、興味を持ってくれた人に、「今日はどちらでご飯を食べるんですか? 僕もお邪魔していいですか?」などと聞いたことがあったという。

「芸人仲間からも、アイツは人間としてヤバい、とか言われてました(笑)。ただ、それができたのは、自分のやっていることは間違っていないという確信があったから。あと、こういう話は、お笑いのライブでも話せるので、そんなに悲惨な気持ちではなかったんですよね。空腹は辛かったですけど(笑)」

◎自分の夢を諦めずに達成する「経済学的ノウハウ」

 もうひとつ、例を挙げよう。又吉といえば、サッカーが得意なことでも有名だ。高校はサッカーの強豪校へ行き、大阪府代表としてインターハイに出場した経験を持つ。高校卒業後の進路としては、大学への推薦やサッカーチームのある企業への就職という道もあった。しかし、中学生の頃から、芸人になることを決めていたという。

「中学生の時に、芸人にならなかった自分をイメージしてみたんです。別の仕事に就いて、結婚して、子供もできて、夕飯を家族で食べながら、お笑い番組とか見ていると思うんですよ。で、そこに出ている芸人を見ながら、“こんなんオモロない、おれのほうが全然オモロいよ”なんて言ったりしている……それを想像したら、すごいストレスになったんですね。そんなストレスを味わうくらいなら、芸人を一回やって、自分の限界を知って、辞めた方がまだマシだと。それなら、“コイツらのおもしろさはオレにはわからへんけど、きっとこの番組に出ているんだからスゴいんやろな”と思える気がするんです。自分が本当にやりたいことを、納得するまでやることが、大事なんだと思います。たとえ、成功しなくっても」

 経済学に「時間非整合」という理論がある。時間が経過することで、ものの見方や考え方などの価値観が変わってしまうことを指している。卑近なケースでいうと、将来の目標を決めても、時間が迫ってくると、煩わしさやネガティブな面が意識され、諦めるということが起こりやすい、という理論だ。

 それを防ぐためには、まず、将来についてじっくりと考えておくこと、そして、なるべく早くその目標に向かって具体的な行動を起こすことが重要になるという。また、目標を口に出す「コミットメント」を行なうと、自分への強制力になると説かれている。

 又吉の場合は、中学生から将来のイメージを明確に持ち、高校時代も1年生のときから、芸人になるために、「卒業後は父親の仕事を継ぐ」とサッカー部の監督に嘘をついていたとか。卒業後の進路として、サッカーの選択肢を排除するためだ。これは、もともと「自分の目標を口に出して言うことが嫌いだった」という、彼ならではのコミットメントといえるだろう。

◎実は“つぶし”が効く芸人という職業

 生来のセンスに加え、努力、さらには、意図せざる合理的な選択などによって、ピース・又吉は売れっ子芸人として活躍することになる。だが、今の彼のようなポジションにいる芸人はほんのひと握り。夢を目指すといえば聞こえはいいが、挫折をしたときのことを考えれば、その人生にはリスクがつきまとう。長らく続いているお笑いブームの影響で、芸人を目指す若者は後を絶たないが、辞めていったその他大勢はどうなっているのだろうか。

 話題の小説『火花』に、そのあたりの状況が描かれている。実は、芸人はつぶしが効く職業なのだという。

「芸人を辞めた人間は、営業職に就くケースが多いみたいで、不動産会社や携帯電話の販売会社などに転職してますね。で、すぐに結果を出して、店長とかになったり。僕なんかより、メチャメチャ稼いでいる人、いっぱいいますよ。人を笑わせる技術は、少なくとも普通の人よりはあるので、営業では有利になるんだと思いますよ。僕は、全く営業には向いてないと思いますけど(笑)」

 お笑いのスキルを磨くということは、ビジネスで必要とされる、コミュニケーション能力を養うことにつながっているというわけだ。お笑いブームが一過性で終わらない背景には、こうした理由があるのかもしれない。

 また、『火花』では、主人公の芸人が、先輩芸人のエピソードをノートに書き溜めていく姿も描かれている。何年にもわたって書き続けられているシーンは、作者である又吉自身が、小学生時代から書き続けてきた“ネタ帳”を連想させる。

「普通の大学ノートなんですが、100冊以上にはなってますね。ネタ帳とはいっても、きちんと形になっているものではなく、とにかく発想だけを書き溜めています。書いた時は実現できそうもないネタでも、そのうち技術が身に付けばできるかもしれない、というものも含めて。だから、コントになるのか、漫才になるのか、それ以外の何に使えるのか、わからない雑な状態のままになってます。きっと、小説のネタにもなると思います」

 そうしたネタ帳も、経済学の視点から見ると、立派な、先を見越しての「貯蓄」となる。「実際、僕自身も、将来、歳を取って、ネタが浮かばなくなったら使えるだろうと思っていた部分もあるのですが、最近ヤバイなと感じているのは、すでにもう、かなり使い始めているんですよ(笑)。まだ、34歳なんですけどね。ネタ帳を見返して、19歳とか20歳の頃の自分の発想にハッとしている。まずいなと思いつつも、書いておいてホンマに良かったと」。

 又吉は、常々こんな言葉を口にしている。「経済学は、人生における落とし穴や迷子になりがちな場所を教えてくれる“地図”になり得るもの」と。それは今の彼の実感だろう。若い時にたっぷりと自分への投資を行ない、芸人としての膨大な資産を保有している彼から、さて、次はどんな創作が生み出されるのだろうか。

★又吉直樹さん:1980年大阪府寝屋川市生まれ。身長164cm、B型。1999年NSC東京校5期生に。2003年、同じ期の綾部祐二と「ピース」を結成。高校時代は名門・北陽高校でサッカー部に所属。趣味は読書で、太宰治、芥川龍之介らをリスペクトし自らも小説を執筆。著書に『第2図書係補佐』『東京百景』などがある。2015年、雑誌『文学界』に発表した小説『火花』が話題となり、3月11日に単行本として発売。初版は15万部という異例の部数に。そして先日、第153回芥川賞に輝いた。レギュラー番組に『オイコノミア』(NHK)がある。


化療学会が調査委立ち上げへ
出展書籍販売禁止問題
「大会長独断」とした事実関係などが対象

m3.com 2015年7月21日(火) 配信 池田宏之(m3.com編集部)

 6月の日本化学療法学会総会において、神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎氏の著書などが出展した出版社や書店で販売禁止となった問題で、学会が外部委員による調査委員会を設置することを決め、岩田氏側に文書で連絡した(『化療学会の著書販売禁止措置、態度表明なく1カ月』を参照)。文書は7月16日付。学会が、「大会長の独断」としていた事実関係も含め調査する方針。
 文書によると、今回の問題の事実関係の調査のために、3人の外部委員から成る調査委員会を立ち上げる方針で、「詳細な調査を依頼した上で、報告の提出を求める」という。委員は現在選考中。
 調査委員会の調査・検討対象となるのは、「事実関係」「関係者への謝罪」「再発防止策」「学会運営支援会社との付き合い方」の4点。学会は、6月12日付で、販売禁止措置について「大会長であった昭和大学医学部感染症内科教授の二木芳人氏による指示」と連絡したが、岩田氏は「単独とは考え難い部分もある」としている。

高齢者の刑法犯、万引容疑が6割
「孤独感引き金」

共同通信社 2015年7月17日(金) 配信

 全国の警察が摘発した今年上半期の刑法犯のうち、65歳以上の高齢者の60・0%は万引をした疑いだったことが16日、警察庁の集計(暫定値)で分かった。摘発された高齢者は2万3656人で、1万4186人が万引容疑だった。
 警察庁によると、万引が高齢者の罪種手口別で一番多い傾向は続いている。担当者は「孤独感が引き金となり、万引に手を染める高齢者が多いのではないか」と分析している。
 2014年の上半期でも、高齢者の摘発者2万3034人のうち、万引容疑は62・1%に当たる1万4308人だった。
 一方、昨年までの刑法犯の統計によると、高齢者が犯罪の被害に遭う事件が増加しており、高齢者の被害割合は13年に初めて10・4%と1割を超え、14年には10・7%に増えた。

「医学教育の密室性を排除」◆慈恵医大Vol.2
講座制と教育を分離、実習は74単位に増加

m3.com 2015年7月19日(日) 配信 医療維新:スペシャル企画 橋本佳子(編集長)

 東京慈恵会医科大学が、医学教育の外部評価で高い評価を受けた一つが、「統合カリキュラム」だ。その歴史は古く1996年度にさかのぼり、同年にそれまで行っていた講座別の教育を全廃、「統合カリキュラム」を導入、学生試験の在り方も刷新した。
 その狙いについて、慈恵医大教育センター長の福島統氏は、「講座制と教育の分離であり、『私が教え、私が試験を行い、私が採点し、私が合否を決める』という教育の密室性を排除するのが目的だった」と説明する。

東京慈恵会医科大学の前身である成医会講習所は、1881年5月開設。2010年5月に創立130年を迎えた(写真提供:学校法人慈恵大学)

 1995年度までは、2年間の教養教育の後、4年間の専門教育、つまり内科学、外科学、解剖学、生理学、生化学、病理学などに関する教育を講座別に行っていた。例えば、解剖学でも、第1講座は肉眼解剖学と神経解剖学など、第2講座は組織学と発生学などをそれぞれ教え、両者の間で教育内容の調整などはしていなかった。その上、教育目標や評価も、各講座が独自に決定しており、「各科目の教育の総和が、『病気を診ずして病人を診よ』という慈恵医大のスクール・ミッション(教育目標)にはなっていなかった」(福島氏)。
 それを抜本的に変えて、導入したのが、「統合カリキュラム」だ。
■「コース・ユニット制」で責任の所在も明確に
 「統合カリキュラム」は、「コース・ユニット制」を採る。「コース」は、医学総論IからVI、総合教育、生命基礎科学、外国語IからIV、医療情報・EBM I~IV、社会医学など、大きな単位ごとに設定される。各コースの下に、「ユニット」という教育単位を設定した。例えば、1年次で学ぶ「生命基礎科学」コースには、生物学、物理学、化学のユニットを、2年次の後期の臓器別正常構造・機能を学ぶ目的の「基礎医科学II」コースには、循環器系、呼吸器系、神経系、生殖器系などのユニットを、それぞれ配置している。3年次の「臨床基礎医学」コースでは、免疫学、感染症、病理学など、基礎医学の中でも臨床に近いものを統合している(詳細は、慈恵医大のホームページを参照)。
 この「コース・ユニット制」の特徴は、教育の責任の所在が明確である点。教学委員会が、各コースの責任者をまず決め、教授会の承認を得る。コース責任者が、ユニット責任者を指名する。ユニット責任者が教育計画を立て、それを教える教員については、所属する講座以外から、場合によっては学外からも指名することができる。各ユニットの教育計画を総括する立場にあるのが、コース責任者だ。コースとユニットの責任者になれるのは、講師以上。その権限は大きいため、任期は1年、ただし再任は可能。
 慈恵医大では、コース責任者の講義・実習依頼は、業務命令としている。福島氏自身、解剖学講座の講師時代に、「運動系」のユニット責任者になったことがあった。当時の整形外科の主任教授に、「関節障害」の講義を依頼したこともあったという。
■過去問題、学生に全て公開
 さらにカリキュラムの見直しの際、評価の在り方も見直した。「試験実施者と、その結果を評価する人を分離した。この思想は、(臨床実習に入る前に各大学が実施する)共用試験につながったと考えている」(福島氏)。試験問題は、まず教育を担当した教員が作成する。それを試験委員会が確認した上で、学生に出題する。試験を実施後、正答率が低かったりするなどの問題は削除などの対応を取る。試験問題についてはデータベース化しており、出題後、作成教員名、学生の回答パターンと模範解答などを「試験問題サーバ」に蓄積し、学生に公開している。問題ある出題をした教員には問い合わせを行うこともある。
■「自分のカリキュラム、学生が作る」
 慈恵医大の実習面での特徴の一つが、「プライマリケア・選択学外臨床実習」。ユニークなのは、「学生が自分で自分のカリキュラムを作る」という点だ。
 学生は、いつでも、どんな期間でも、ユニット責任者が許可すれば実習することが可能。ただし、正規のカリキュラムがある時は実習に行くことができず、土日曜日や夏休みなどを利用する。1日単位で認定し、5日の実習を行った場合に1単位としてカウントする。
 実習先は、他の地域の中核病院や診療所、保健所、離島へき地の診療所、児童養護施設、障害者福祉施設など、極めて多岐にわたる。海外での実習も可能。「医療の場は多様。学生が、自ら学ぶ『場』を選び、学ぶ機会を提供するのが、プライマリケア・選択学外臨床実習。実習先も、学生自身に交渉してもらい、ユニット責任者が実習場所として適当と判断した場合に実習が可能になる」(福島氏)。実習後は、レポート提出を求め、単位を認定する。これとは別に、慈恵医大の姉妹校である、英国のキングス大学には、慈恵医大が補助を出して、毎年3人が実習に行く。
■臨床実習、62単位から74単位に増加
 もっとも、外部評価では、診療参加型の実習の少なさが指摘された。この点については既に2015年度から見直しを進めている。
 2014年度までの実習は、計62単位。医学部1年次は福祉体験実習、2年次は重症心身障害児療育体験実習と地域子育て支援体験実習、3年次は在宅ケア実習と高齢者医療体験実習を行い、計6単位。5年次の41週間、6年次の15週間、合計56週間(単位)が臨床実習だったが、5年次の実習は必ずしも参加型ではなかった。臨床実習は、6年間で計62単位。これ以外に、4年次で看護業務実習を実施していた。
 2015年度からは、4年次以降の在り方を見直し、臨床実習は6年間で計74単位まで増やす。4年次の1年間実施していた臨床講義を4月から6月の3カ月に短縮し、9月から「全科見学型臨床実習」(28週間)に入り、大学での教育を組み合わせながら進め、診療の現場で求められる知識・技能・態度を、実体験を踏まえながら、習得していく。基本的には本院で実施する。その後、6年次の7月まで、1診療科当たり4週間、計10診療科、40週間の参加型臨床実習を行う。実習の場は、分院のほか、関連病院まで広げる方針だ。同実習を終えた時点で、臨床能力が目標に達しているかを評価するため、卒業時OSCEを実施する。
◎プライマリケア・選択学外臨床実習のレポート
 (3年生が、2年生の時に実習した「児童館」に、再び行った際のレポート)
 今回の実習では、2年生の時、子育て支援体験実習でお世話になった○○児童館で実習されていただいた。個人的な目標としては大きく2つ。前回行ったときに、家庭の事情を抱えている子について、もう少し注意深く観察し、関わること、もう一つは1年半経って子どもたちがどんな変化をしているか見るということである。
 (中略)今回の私のように、一度きりではなく、長いスパンで子どもたちを見ていくというのは、その趣旨に当てはめても実りの多いものだと考えた。
 実は正規の実習期間が終わってからも、秩父への遠足の引率、秋の縁日でのお店屋さん・料理の手伝い、夏の児童館のサマーキャンプで博士に扮しての節電や科学のワークショップ開催など、様々な場面で児童館に呼んでいただき、参加していた。その中で、もちろん勉強以前の問題として、ボランティアとして仕事をしたり、次々と寄ってくる子どもたちの遊び相手をした。今回はその中で培った先生方、子どもたちとの信頼関係があったからこそ、受け入れていただいたと考えている。
 以前、先生が医学部の実習は全部「貢献実習」だということをおっしゃっていたが、最近やっと貢献しながら勉強するということは、どういうことなのか分かってきた。正に今回の実習のようなものが、貢献学習な野だと思う。レポートでは、今回の実習で出会った3つの疾患について、調べたものをまとめ考察を加えようと思う。
 まず1つ目「場面緘黙症」について。この子は去年、児童館を訪れたときに私自身気づいていなかった。(中略)実習初日に、児童館で行われる祭りの準備を一緒にしていた子が、長時間何もしゃべらずに、一人で黙々と作業をしていたことに気付いたのが、その子との出会いであった。(中略)
 2つ目に「アスペルガー症候群」について。(中略)
 最後の「パニック障害」の子について書く。(中略)
 上記のような子どもたちを通じて今回学んだことは、第一に障害を持つ子にはきめ細かいサポートが必要だということである。サポートの第一段階はその障害について知る、勉強することだと思う。(中略)
 人は人のかかわりの中で成長するものである。子どもたちと接して私が勉強させてもらったし、医学生として成長もできた。願わくば子どもたちも私とのかかわりの中で何かを感じ、楽しいだけでなく少しでも成長してくれたら良いと思う。
◎プライマリケア・選択学外臨床実習のレポート
 (4年生が、地域のリハビリテーション病院で4日間実習した際のレポート)
 今までチーム医療というものの重要性については講義を受けてきたものの、実際の医療機関でのチーム医療というものについて疑問を持っていました。○○病院でのシステムはまさに様々な業種がチームの医療を行っていました。○○病院は教育機関ではないことを感じました。今までの実習では教えてもらえることが当たり前でえしたが、○○病院は多忙で、私の相手をしている暇などありませんでした。
 初日は誰にも相手にされない「放置状態」で、何もできずに、見学に来たことを後悔したくらいでした。しかし、後半は自分から患者さんやスタッフの方に質問したり、患者さんと手を握り話をしたりと、とても有意義に過ごすことができました。今まで、自分が上げ膳下え膳の温室環境にいたんだということを痛感させられました。今回は医師にも、コメディカルにも両方につかせていただいて、両方の目線を体感しました。
 改めて、患者さんがよくなっていくことの喜びを感じられました。
(Vol.3◆医学部・大学病院のみで教育は完遂できずへつづく)

中国ガス田開発に目くじら立てる必要は全くない

2015-07-17 10:45:34 | 社会問題・生活

中国ガス田開発に目くじら立てる必要は全くない
『 大前研一 ニュースの視点 』

メルマガ・大前研一 ニュースの視点 2015年7月17日 配信


「中国ガス田開発・尖閣諸島問題・上海協力機構」

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中国ガス田開発 軍事拠点化の可能性に言及
尖閣諸島問題 日本の領土と認識の文書公開へ
上海協力機構 「ウファ宣言」採択し閉幕

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▼中国ガス田開発に目くじら立てる必要は全くない
-------------------------------------------------------------
中谷防衛相は10日、中国が東シナ海に建設している新たな海洋プラットホームが軍事拠点化される可能性に言及し、日本の安全保障にとって新たな脅威になるとの認識を示しました。

東シナ海のガス田開発をめぐり、中国が2013年6月以降、日中中間線の中国側海域でプラットホームの建設を拡大しており、菅官房長官も記者会見で
「中国側の動きを注視し、引き続き警戒監視をしっかり行っていきたい」と牽制しています。

私に言わせれば、中国がガス田を掘りたいなら好きなようにさせれば良いのです。
私はボーダレス経済の提唱者です。

もし中国がガス田を掘り当てたのなら、安い国際価格で買ってあげればいいだけです。

オホーツク海で「流し網漁」が禁止された時にも騒がれていましたが、あんな危険な海で漁業をするのはロシアに任せて、収穫されたものを購入すればいいのです。

どうしても「日本がやらなくてはいけないこと」ではないのなら、目くじらを立てる必要はないと思います。

軍事拠点としての活用に懸念しているというのも、私には不思議です。

もし本当に中国が軍事拠点を置くのなら、もっと尖閣諸島に近い場所のほうが良いでしょうし、あえてこの場所を選択しないと思います。

仮にその可能性があっても、採掘に利用されるリグを破壊するのはそれほど難しいことではないでしょう。

また、根本的に今回の中国ガス田に関して言えば、採算がとれる可能性は非常に低いと私は見ています。
同じような事例を見ても、深いところまで掘ってみたものの採算コストがかさんでしまい、黒字にならない場合がほとんどです。

中国は経済の成長が止まってしまっていますし、このガス田も下火になっていくと思います。

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▼尖閣諸島問題について、中国側は派手に議論したいわけではない
-------------------------------------------------------------
政府は沖縄県石垣市と連携し、中国が同県・尖閣諸島を日本の領土と認識していた根拠となる1920年の中華民国から日本人への感謝状を2015年度内にも公開する予定。

これは1920年、尖閣沖で遭難した中国漁民を救助したことに謝意を示す中で、漁民の漂着場所を「沖縄県八重山郡尖閣列島」と明記しているとのことです。

このような「証拠」を出そうと思えば、いくらでも出てくるでしょうが、中国側が納得するかは疑問です。

そもそも中国側は帰属の議論は棚上げにしつつ、日本の実効支配を認めていました。そのような状況において、石原慎太郎氏がお金を集めて民間で買い取ると言い出した結果、歴史的な背景や経緯を知らない当時の民主党政権が国有化してしまったのが問題でした。

現状で言えば中国側も所有権について分が悪いのは百も承知でしょうが、歴史的に見れば、尖閣諸島は「明」に帰属していた時代もあれば
「沖縄」に帰属していた時代もあれば、どの時点で考えるのかによって変わってしまいます。

中国も日本も「現状のまま変更せず放っておく」という暗黙の了解があったにも関わらず、事前説明もなく、突然日本が国有化に踏み切ったことに対して中国は怒りを感じているのでしょう。

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▼抗日戦勝70年記念式典と称する歴史認識の間違い
-------------------------------------------------------------
ロシア、中国、中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)は10日、首脳会議を開き、「ウファ宣言」を採択して閉幕しました。

ロシアのプーチン大統領は中国が9月に開く抗日戦勝70年記念式典にSCO加盟国の首脳がそろって出席すると表明しています。
インドとパキスタンの加盟手続きを開始することも決めたとのことです。

EU、米国、日本が手を組んでロシアに対抗しているということを受けて、上海協力機構が「政治運動化」してしまっている状況だと思います。

インドとパキスタンにも上海協力機構の正式メンバーとして声がかかっており、両国は抗日戦勝70年記念式典にも招待されているそうです。

驚くべきは、抗日戦勝70年記念式典には日本の安倍首相も招待されていることです。

さすがに安倍首相が出席するとは思えませんが、数日ずらして近くまで行くという話も聞きます。

飛んで火に入る夏の虫にならなければ良いのですが、安倍首相としては国内が不安定な状況が
続いているので、中国との関係性を改善し、良い材料にしたいのでしょう。

それにしても、今回の「抗日戦勝70年記念式典」というのはおかしな話です。

もし「抗日戦勝」というのなら、蒋介石に敬礼し、馬英九氏を呼ぶべきだと私は思います。

終戦時の中国は国民党政権であり、今の中国共産党が「戦勝」したわけではありません。
実際に勝った人とは違うのですから、私ならそんな人から招待されても絶対に出席しないでしょう。

むしろ、世界に対して「中国共産党は当事者ではなかった」という事実を知らしめるべきだと思います。

中国共産党にとっては存立基盤に触れることですから、彼らは激怒するでしょう。
しかしそれこそ、歴史を直視し正しい歴史認識を持つのなら、事実を認めるべきだと思います。


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事務局
今週は中国のガス田開発について解説をお届けしました。
大前は記事中、日本がやる必要がないことであれば、
他国に目くじらを立てる必要はないと言及しています。

皆さんは「やるべきこと/やらなくても良いこと」を分けて考えられていますか?

複雑なビジネス環境において、やるべきことは一見するとたくさんあると思われがちです。
しかしリソースが限られている中では、
どの課題に取り組めば効率的に問題解決できるかを考えることが大切です。

闇雲にあたるのではなく、勘所をつけてから動き始めること。
より大きなインパクトを出すために必要な、問題解決の考え方です。


※本当に脅威なの? 現実的にあたれば……という論評が、
北朝鮮ばかりではなく、中国への対応についてもありましたので、
投稿しました。
グローバル化社会では、中東地域の問題を除けば、経済の戦争
という視点から、どの国民も飢えさせない、戦争させないように、
問題解決の優先順位を探っていくことが求められていると思います。
あと、心の問題をうまく使って、自国を利する政治を行おうとする
政治家、国の挑発に対しては気を付けないと、ハメられてしまいます。

我々に正義がある、と声高に言う人には気をつけねばなりません。
歴史に学ぶというとき、そういう人たちが沢山人を殺に導いている
のですから。

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中国ガス田開発に目くじら立てる必要は全くない
『 大前研一 ニュースの視点 』

メルマガ・大前研一 ニュースの視点 2015年7月17日 配信


「中国ガス田開発・尖閣諸島問題・上海協力機構」

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中国ガス田開発 軍事拠点化の可能性に言及
尖閣諸島問題 日本の領土と認識の文書公開へ
上海協力機構 「ウファ宣言」採択し閉幕

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▼中国ガス田開発に目くじら立てる必要は全くない
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中谷防衛相は10日、中国が東シナ海に建設している新たな海洋プラットホームが軍事拠点化される可能性に言及し、日本の安全保障にとって新たな脅威になるとの認識を示しました。

東シナ海のガス田開発をめぐり、中国が2013年6月以降、日中中間線の中国側海域でプラットホームの建設を拡大しており、菅官房長官も記者会見で
「中国側の動きを注視し、引き続き警戒監視をしっかり行っていきたい」と牽制しています。

私に言わせれば、中国がガス田を掘りたいなら好きなようにさせれば良いのです。
私はボーダレス経済の提唱者です。

もし中国がガス田を掘り当てたのなら、安い国際価格で買ってあげればいいだけです。

オホーツク海で「流し網漁」が禁止された時にも騒がれていましたが、あんな危険な海で漁業をするのはロシアに任せて、収穫されたものを購入すればいいのです。

どうしても「日本がやらなくてはいけないこと」ではないのなら、目くじらを立てる必要はないと思います。

軍事拠点としての活用に懸念しているというのも、私には不思議です。

もし本当に中国が軍事拠点を置くのなら、もっと尖閣諸島に近い場所のほうが良いでしょうし、あえてこの場所を選択しないと思います。

仮にその可能性があっても、採掘に利用されるリグを破壊するのはそれほど難しいことではないでしょう。

また、根本的に今回の中国ガス田に関して言えば、採算がとれる可能性は非常に低いと私は見ています。
同じような事例を見ても、深いところまで掘ってみたものの採算コストがかさんでしまい、黒字にならない場合がほとんどです。

中国は経済の成長が止まってしまっていますし、このガス田も下火になっていくと思います。

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▼尖閣諸島問題について、中国側は派手に議論したいわけではない
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政府は沖縄県石垣市と連携し、中国が同県・尖閣諸島を日本の領土と認識していた根拠となる1920年の中華民国から日本人への感謝状を2015年度内にも公開する予定。

これは1920年、尖閣沖で遭難した中国漁民を救助したことに謝意を示す中で、漁民の漂着場所を「沖縄県八重山郡尖閣列島」と明記しているとのことです。

このような「証拠」を出そうと思えば、いくらでも出てくるでしょうが、中国側が納得するかは疑問です。

そもそも中国側は帰属の議論は棚上げにしつつ、日本の実効支配を認めていました。そのような状況において、石原慎太郎氏がお金を集めて民間で買い取ると言い出した結果、歴史的な背景や経緯を知らない当時の民主党政権が国有化してしまったのが問題でした。

現状で言えば中国側も所有権について分が悪いのは百も承知でしょうが、歴史的に見れば、尖閣諸島は「明」に帰属していた時代もあれば
「沖縄」に帰属していた時代もあれば、どの時点で考えるのかによって変わってしまいます。

中国も日本も「現状のまま変更せず放っておく」という暗黙の了解があったにも関わらず、事前説明もなく、突然日本が国有化に踏み切ったことに対して中国は怒りを感じているのでしょう。

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▼抗日戦勝70年記念式典と称する歴史認識の間違い
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ロシア、中国、中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)は10日、首脳会議を開き、「ウファ宣言」を採択して閉幕しました。

ロシアのプーチン大統領は中国が9月に開く抗日戦勝70年記念式典にSCO加盟国の首脳がそろって出席すると表明しています。
インドとパキスタンの加盟手続きを開始することも決めたとのことです。

EU、米国、日本が手を組んでロシアに対抗しているということを受けて、上海協力機構が「政治運動化」してしまっている状況だと思います。

インドとパキスタンにも上海協力機構の正式メンバーとして声がかかっており、両国は抗日戦勝70年記念式典にも招待されているそうです。

驚くべきは、抗日戦勝70年記念式典には日本の安倍首相も招待されていることです。

さすがに安倍首相が出席するとは思えませんが、数日ずらして近くまで行くという話も聞きます。

飛んで火に入る夏の虫にならなければ良いのですが、安倍首相としては国内が不安定な状況が
続いているので、中国との関係性を改善し、良い材料にしたいのでしょう。

それにしても、今回の「抗日戦勝70年記念式典」というのはおかしな話です。

もし「抗日戦勝」というのなら、蒋介石に敬礼し、馬英九氏を呼ぶべきだと私は思います。

終戦時の中国は国民党政権であり、今の中国共産党が「戦勝」したわけではありません。
実際に勝った人とは違うのですから、私ならそんな人から招待されても絶対に出席しないでしょう。

むしろ、世界に対して「中国共産党は当事者ではなかった」という事実を知らしめるべきだと思います。

中国共産党にとっては存立基盤に触れることですから、彼らは激怒するでしょう。
しかしそれこそ、歴史を直視し正しい歴史認識を持つのなら、事実を認めるべきだと思います。


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事務局
今週は中国のガス田開発について解説をお届けしました。
大前は記事中、日本がやる必要がないことであれば、
他国に目くじらを立てる必要はないと言及しています。

皆さんは「やるべきこと/やらなくても良いこと」を分けて考えられていますか?

複雑なビジネス環境において、やるべきことは一見するとたくさんあると思われがちです。
しかしリソースが限られている中では、
どの課題に取り組めば効率的に問題解決できるかを考えることが大切です。

闇雲にあたるのではなく、勘所をつけてから動き始めること。
より大きなインパクトを出すために必要な、問題解決の考え方です。


※本当に脅威なの? 現実的にあたれば……という論評が、
北朝鮮ばかりではなく、中国への対応についてもありましたので、
投稿しました。
グローバル化社会では、中東地域の問題を除けば、経済の戦争
という視点から、どの国民も飢えさせない、戦争させないように、
問題解決の優先順位を探っていくことが求められていると思います。
あと、心の問題をうまく使って、自国を利する政治を行おうとする
政治家、国の挑発に対しては気を付けないと、ハメられてしまいます。

我々に正義がある、と声高に言う人には気をつけねばなりません。
歴史に学ぶというとき、そういう人たちが沢山人を殺に導いている
のですから。

振り込め詐欺 過去最悪


志ある若者を立候補させない
選挙制度のトンデモ参入障壁(上)

DIAMOND online 2015年7月17日 配信

政治ジャーナリスト・松井雅博

18歳選挙権なんて意味がない?
「数」より「質」の議論が大事

717人もいる現職の国会議員の中で、20代の国会議員の数は?
 安全保障関連法案の成立を目指し、戦後最長の95日間、通常国会が延長された。憲法学者からも「違憲」と見做された法案をめぐって燃え盛る国会議事堂で、戦後70年ぶりの改革が実現されたのを、読者諸氏は覚えておられるだろうか。
 それが、国民が選挙に行ける年齢を18歳に引き下げる公職選挙法改正案だった。
 筆者は先だっての記事「18歳選挙権実現!10代の若者は政治の変革者になれるのか」で「数の観点からすれば、18歳選挙権の影響は小さい」と断言した。なんとにべもないことを言うやつだ、と感じた方もおられるかもしれない。
 しかしながら、筆者は選挙権の年齢を下げること自体には大賛成であり、むしろ影響が少ないならもっと下げたらいい、と考えている。冒頭に挙げた安全保障関連法案にしてみても、もし仮に本当に日本が戦争に参加することになった場合、戦争へ行くのは国会で安全保障関連法案を決めた高齢議員ではなく、まさに新しく選挙権を得た若者たちの世代であり、彼らに選挙権を与えるのは当然だと思う。
 むしろ、筆者が伝えたいのは、選挙権年齢の引き下げをきっかけに「質」の議論を始めなくてはいけない、ということだ。つまり、若いうちから選挙に触れることで、将来的に投票の「質」を上げていくことに意味がある。
 では、投票の「質」を高めるとは、具体的にどうすればいいのだろうか?
 政治に直接影響力を持ちたければ「被選挙権」を行使する、つまり自らが立候補するという道もある。しかし、被選挙権は、選挙権と対をなす重要な権利であるものの、若者がその権利を行使するケースは極めて少ないのが現状だ。彼らの政界入りを阻んでいる「参入障壁」とは何なのか?
 どんなに投票へ行け、と言われても、投票したい候補者が立候補していなければ投票できるわけがない。なぜ「被選挙権」の改革は何もなされないままだったのか?
 筆者が与野党の政策秘書として2年半国会議事堂の内幕を生で見て来た経験と、民間企業で働いていた普通の感覚を活かし、「18歳選挙権実現」というキレイゴトの陰で政治の内幕に残り続ける、公選法の本当の問題点について解説する。
止まらない投票率の低下
時代遅れの選挙活動に若者がシラけている?
 投票率の低下が止まらない。
 2014年12月に行われた衆議院議員選挙の投票率は全国平均で52.7%で、国政選挙としては史上最低を更新した。2015年4月に行われた統一地方選挙でも各地で史上最低を更新し、無投票で当選する人の割合も高かった。特に、若ければ若いほど投票率は低くなる傾向があり、選挙に行ける年齢が引き下げられたことにより、投票へ行かない有権者が増え、ますます投票率は下がることが予想される。
 選挙へ行かない人を「意識が低い」と責めるのはたやすい。
 若い世代においては、もはや選挙へ行かない人の方が多いのが現状であるならば、むしろ選挙へ行く人が「変わり者」で、選挙へ行かない人の方が「まとも」とも言える。選挙へ行かない人は、「意識が低い」から行かないのではなく、選挙という制度そのものに疑問を抱いている可能性が高いのではないか。この「投票へ行くのがバカらしい」と感じてしまう背後には、「間接民主主義」の限界があると筆者は考えている。
「自分たちの代表を選び、議会へ送って議論してもらう」というのが間接民主主義の理屈だが、これがいかに机上の空論でキレイゴトか、少し落ち着いて考えてもらえばわかるだろう。自分たちの代表を選ぶ、と言われても、ほとんどの有権者にとって候補者は知らない人ばかり。国政選挙のような大型選挙になればなるほど、会ったこともない知らない人が候補者になり、政党で選ぶしかなくなる。個人を選べと言われても無理な話だ。
 すなわち、日本の民主主義は危機に瀕しているのだ。
 ちなみに、アメリカでも同じ傾向が強まっているという説がある。かつて上院議員選挙(ミズーリ州)で候補者が飛行機事故で亡くなったにもかかわらず当選したケースがあり、有権者が候補者個人よりも「政党」で選択する傾向が極めて強く、「政党の公認さえ受ければカカシでも当選してしまう」という笑い話まである。ちなみに、この時は当選した故人の妻が上院議員となった。民主主義の先進国と思われているアメリカでさえ、選挙の実態はこんなものである。
 選挙に勝つべく、候補者たちは懸命に自分のことを知ってもらおうと、選挙カーで自分の名前を連呼したり、タスキをかけてペコペコお辞儀をしたり、駅前で名前と顔写真とキレイゴトばかりが並べ立てられたチラシを配布したり、誰も聞いてないのにマイクで演説したりするわけだが、これが逆に普通の人々からすれば「アホらしい」とシラけさせてしまう。
 なぜ、彼らは昭和の香りのするおかしな活動ばかり続けているのだろうか。自分でやっていて「おかしい」と気づかないのだろうか。
 実は、この皆さんをシラけさせている選挙活動こそが、政治の世界への新規参入を阻むために意図的に仕組まれた「参入障壁」だったのだ。
20代の若者が「政治家」になれない原因
公選法に意図的に仕組まれた「参入障壁」
 18歳選挙権が実現できたと双手を上げて喜んでいる皆さんに尋ねたいことがある。
 717人もいる現職の国会議員の中で、20代の国会議員が何人いるか、ご存じだろうか。
 答えは、民主党の鈴木貴子衆議院議員、たった1人である。鈴木氏は、父である鈴木宗男元衆議院議員が汚職事件で公民権を停止されたため出馬できず、代わりに北海道7区から立候補した。いわば、父親の支持基盤を頼って当選した「世襲議員」である。2009年の衆院選で28歳の若さで当選した小泉進次郎衆議院議員もまた、小泉純一郎元内閣総理大臣の息子であり「世襲議員」である。
 これまでも20代の若者は選挙権を持っていたが、20代の政治家はほとんどいない。これが現実だ。現在、被選挙権は地方議会及び衆議院議員で25歳以上、参議院議員で30歳以上と定められているから、20代が少ないのは仕方ないかもしれないが、政治の世界で多数を占めているのは、民間だととっくに定年退職した世代。今回の公選法改正でも被選挙権については変更はなかった。制度の問題はさておき、若い政治家はマイノリティであり、60歳以上の現役世代を引退した世代が過半数を占めているのが、今の議会の姿だ。
 実は、複雑な選挙制度が若者や新人の参入障壁となっている。そして、この複雑な選挙制度は、半ば「意図的に」仕組まれたものであることは意外と知られていない。
 今から90年前の1925年、普通選挙法が成立し、25歳以上のすべての男子に選挙権が与えられた。この時から政治家は、顔も知らない大衆に選ばれる存在になったのだが、それ以上に既存議員たちが恐れたのは、30歳以上のすべての男子に被選挙権を与えてしまったことだった。
 既存議員たちは、猫も杓子も立候補することで自分たちの立場が危うくなることを恐れ、わざと公職選挙法の規定を複雑にした。当時、政友会と憲政会の2大政党が根付きつつある時代だったが、お互いの「選挙違反」を上げつらって候補者を失格に追い込むという不毛な政争の具として公選法を使い始めた。そして、その頃の公選法 はほとんど改正されることなく、そのまま現代にも残ってしまったというわけだ。無駄に高い供託金を候補者に要求するのも、「無所属」で新人が立候補することを防ぐための制度にすぎない。既存政党から出馬すれば、資金面での障壁は下がるが、既存政党は大抵世襲議員や年寄り議員が牛耳っており、時代遅れの風習やルールを押し付けてくる。
 だから、「選挙活動」を見てバカらしいと感じていた人は、むしろ「まともな人」と言えよう。
 既存の政治家からしてみれば、有権者が多少増えたところで自分の立場にはほとんど影響しない。だからこそ、彼らは18歳選挙権を全会一致で賛成したくせに、新人や若者が政界に入ることは拒む。
 新規参入を阻んでいるのは、制度だけではなく、制度とともに政治の業界人が無批判に信じ込んでいる悪習もまた、選挙を歪めてしまっている。誰も見ていないのに朝は始発前から駅前に立て、雨が降っている日こそ道端でずぶ濡れになれ、葬式や結婚式には呼ばれてなくても顔を出せ……こんなことを黙ってやるような人物に、優秀な人間がいるわけはなかろう。
 だが、それでいいのだ。既存の政治家にとって一番の脅威は「新規参入」だからだ。
 彼らの立場を危うくするのは、新しい有権者の登場ではなく、新しい候補者の登場なのだ。
選挙カーにも細かい規定、ウグイス嬢がチラシを配るとNG
「よくわからないルール」で逮捕者続出
 複雑な公選法がいかに時代遅れかを示す例を挙げ始めたらキリがないが、いくつか紹介したい。
 たとえば、選挙の度に騒音で世間に迷惑をかけている選挙カー。見た目からして古くさい印象を持つ人も多いかもしれないが、この選挙カーには候補者の名前を書いた看板を設置することができる。ところが、これを「夜でも見えるように光を当てたい」と考えた瞬間、公選法の規定が問題になる。
 公選法において、選挙カーに設置する文書図画は「ポスター、立札、ちょうちん及び看板の類」でなければならないと定められており、それぞれに大きさなどが細かく規定されている。看板の裏側から光を照らしてしまうと、四方が閉じられた中から光を当てているため、「ちょうちん」と見做されてしまうのである。「ちょうちん」となると、大きさ制限に引っかかってしまい、「こんな大きなちょうちんは公選法違反だ」と選挙違反になってしまう。

筆者が使った選挙カー
 筆者が2014年12月の衆議院議員選挙に立候補したときに、実際に使った選挙カーをよく見てもらうとわかるが、実は四隅に5cmほどの隙間を開けてある。これをもって「閉ざされた形じゃないから、ちょうちんではない」と主張できる。ちなみに、この選挙カーは警察署に持っていき、警察官が数名で検査をして合格したものだ。
 こんなバカげたことを大の大人たちが大真面目でやっているのが今の選挙制度だ。こんなしょうもないことを若者や新人候補者が知っているはずがないし、知らない方がまともだ。
 筆者がこの選挙カーを警察に持ち込んだ時、警察官は真面目な顔でこう言った。
「ルールを作る先生になろうとしているんだから、ルールはちゃんと守ってもらわないとね」
 たしかに一理ある。ただ、改革や変化を志向する人ほど、細かく意味のわからないルールや風習などが苦手な傾向はないだろうか。柔軟で自由な発想をする人が、こんなわけのわからない規制だらけの世界に来たいとは思うまい。
>>後編『志ある若者を立候補させない選挙制度のトンデモ参入障壁(下)』に続きます。

志ある若者を立候補させない
選挙制度のトンデモ参入障壁(下)

DIAMOND online 2015年7月17日 配信

政治ジャーナリスト・松井雅博

>>(上)より続く

まつい・まさひろ:1979年6月14日生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。工学・教育学の2つの修士号を持つ。国家公務員1種法律職試験合格(政策秘書資格取得)。国連英検A級。マッキンゼーアンドカンパニーなどグローバル企業での勤務を経て、国会議員政策担当秘書として政界へ飛び込む。35歳の若さで、第47回衆議院議員選挙に兵庫10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)より出馬し、5万1316票を獲得するも落選。一民間人の感覚で政治の現場や裏側を見た経験を活かし、これまでブラックボックスだった政治の世界をできる限りわかりやすく面白く伝えることに情熱を燃やす。
 また、この選挙カーの中から騒音をまき散らすウグイス嬢についても奇妙な規定がある。選挙をお手伝いする運動員は、基本的に常に腕章をつけていないといけない。これは、人海戦術を防止するため運動員の数を制限することを意図したルールである。
 だが、運転手とウグイス嬢はお金で雇ってもよいとされているため、異なる色の腕章を付けることになっている。
 すると、たとえばお金で雇われているウグイス嬢が、停車中に外へ出てチラシを配った場合、運動員買収になってしまうことになる。不便としか言いようのない規制である。
 この手の「よくわからないルール」が山のようにあるのが選挙制度であり、選挙の度に新人候補者が警察に目を付けられ、多数の逮捕者が出てしまっている。
 こんな無意味なルールは、さっさと変えなくてはいけない。
 だが、既存議員からすれば、ややこしい選挙制度は自分たちの立場を守るためには嬉しい存在なのである。だから、いつまでもなくならない。
現職有利の公職選挙法に「公平性の担保」はない!
新人議員を手玉にとる業者も
 そもそも公職選挙法という法律は、お金の有無によって選挙結果が左右されないように公平性を担保するためにあるのかと思いきや、現実の選挙は極めて不公平で現職有利な仕組みと言わざるを得ない。この複雑な選挙制度に目を付けて、何も知らない新人議員の足元を見て高額のお金を請求してくる印刷業者やウグイス嬢、選挙コンサルタント、いわゆる「選挙ゴロ」と呼ばれる生業まで存在している。
 与党の選挙事務所を見ると、ファミレスみたいに大きな事務所がどーんと複数ヵ所に構えられており、数多くのスタッフが支持団体から動員されている。選挙になると、平日の昼間に100人以上の人が集まって気勢を上げている光景をよく目にするが、常識的に考えて、平日の昼間にそんなにたくさんの人が集まること自体、おかしな話である。
 そもそも運動員買収が禁止されているのも、選挙期間中だけの話であり、公示・告示前に関してはほとんど規定がない。「どこが公平やねん」とツッコミを入れざるを得ないザル法であり、抜け穴を知らない新人候補者ほどバカを見る制度である。
 他にも、膨大な立候補手続き書類、バラバラに大量にやってくるマスコミからのアンケートなど、新人に厳しい制度や慣習は山のようにある。現職議員は秘書に書かせたり、以前のものを使い回せばよいので楽だが、新人にとっては対応が困難だろう。
 特に衆議院議員選挙は解散総選挙となることが多いため、選挙は突然決まる。ここに新人が参入するのは至難の業である。
 そして、これらは新人が乱立しないように既存議員によって意図的に築き上げられたものだったのだ。
 本当に破壊しなければならないのは、この「参入障壁」だと筆者は考えている。
セクハラ、飲酒運転、覚せい剤、号泣…懲りない現職議員たち
新人候補はニートの若者 、リタイヤ後の高齢者ばかり
 さて、そんな世にも奇妙な選挙を勝ち抜き、議員となった先生方はさぞ立派な人たちだろう……と思いきや、国会議員も地方議員も「変な人」で溢れている。
 つい最近の例で言えば、2015年6月25日に、不倫相手の女性への傷害容疑で被害届が出され、市議会で辞職勧告処分を受けた酒上太造姫路市議会議員。 高校・大学と相撲部で活躍していたことから「どすこい市議」とマスコミが大々的に報道したため、知っている方も多いと思う。
 2015年5月31日、上山隆弘元兵庫県議会議員が飲酒運転で現行犯逮捕された。兵庫県議会議員といえば、野々村竜太郎元議員の号泣会見で一躍注目を浴びて大恥をかいたはずだが、性懲りもなく不祥事が止まらない。
 2014年6月の東京都議会で、塩村文夏議員に対してセクハラ野次を飛ばして謝罪した鈴木章浩東京都議会議員。8月には山本景大阪府議会議員が女子中学生にLINEで威圧的なメッセージを送ったとして話題になった。他にも、政務活動費で女性に海外視察を委託し、コピペで調査報告書を提出した半田晃士愛知県議会議員や、万引きで現行犯逮捕された上に覚せい剤使用で再逮捕された沢田正之元山口市議会議員 など、地方議会議員の不祥事を挙げ始めるとキリがない。
 一方、国会議員の先生方は立派なのかと言えば、ちっともそんなことはない。最近では、自民党の若手議員が集まった「文化芸術懇話会」で、大西英男衆院議員の「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけてほしい」などと言論統制ともとれる発言が問題視された。
 また、初登院の際にテレビ局からの質問に「わかんな~い」と答えてネット上で叩かれた元料理研究家の前川恵衆議院議員(自民党)、本会議をさぼって外出していたとして維新の党から除名された上西小百合衆議院議員、今年の6月3日、泥酔状態で議員宿舎に朝帰りした際にタクシー運転手と揉めて警察官が出動するトラブルを起こした後藤祐一衆議院議員(民主党)など、与党も野党も議員のレベルの低さを露呈してしまっている。ちなみに、3人とも今現在、現職の“先生”である。
 なぜ、苦労して当選したのに、こんなことになってしまうのだろう。いくらなんでもレベルが低すぎる。理解に苦しむ読者も多いはずだ。だが、実はおかしな選挙制度こそ、こういったレベルの低い議員を誕生させ、温存する原因になってしまっていると筆者は思う。
 政治の業界にいるとわかることだが、新しい候補者を公募しても、まともな人はほとんど応募してこない。今の世の中、優秀な人は安定した職業を求める。志が高い人ほど政治は敬遠するという哀しい実態がある。エネルギーや資源に関心があれば総合商社を目指すし、経済に関心があれば投資銀行や外資のコンサルティング会社を目指すし、わけのわからない「地元活動」に時間を費やすほど自分の人生を安売りしていないのだ。政治に関心のある人がいたとしても、政治を真剣に考えている人ほど深く考えすぎて軽はずみに立候補したりはしないし、立候補を決意しても選挙費用の準備が難しかったり、複雑すぎる選挙制度の壁に阻まれたりと、あまりにも壁が高すぎる。
 正直、議員になりたいと積極的に手を上げる人の大半は、ニートの若者か、リタイヤ後の高齢者か、というのが実情である。地方議会議員の選挙では中選挙区なので、「若い」というだけで目立ち、当選してしまうケースも少なくない。
 こう考えると、正直、「議員」「議会」という仕組み自体、現実と乖離した机上で作られた空論の産物であり、特に地方議会に至っては、様々な議会を実際に見た結果として、「なくした方がいいのではないか」とさえ筆者は考えている。
なぜ議員になることを選ぶのか?
志のない新人候補の志望動機
 なぜ、彼らはそうまでして議員になることを選ぶのか。「世の中を変えたい」とか「政治理念を実現させるためには選挙に勝たないといけない」とか、そんな建前の理由ではなく、もっと邪な動機こそ有権者は知りたいのではなかろうか。
 筆者が知る限り、邪な動機で議員を目指す人間には3つのタイプが存在している。
 まず、「一発逆転」タイプ。議員という職業自体に強い執着を持っている人。視察という名の旅行や、じーっと座っているだけの議会出席で年収1000万円以上ももらえるような気楽な職業は他にない。国会議員となれば秘書が3人もつき、JRや飛行機が無料で使えるなどの特権まである。まして皆から一目置かれる社会的地位も付いてくる。タレントやアイドルとして落ち目になったり、ビジネスがうまくいかなくなった人たちなど、本業で行き詰まっても「一般人より知名度とカネがある」ことを有効活用して、やりたい政策も政治自体への興味さえないまま、人生の一発逆転で政界へ挑戦する。民間企業でも役所でもスポーツでも学問でも、長い下積みや努力や資格などが必要となる。それに対して選挙は一発逆転のギャンブル。比例単独なんて、名簿に名前を載せておくだけでいいのだから、美味しくて仕方ない。政策さえ興味がないが、「当選したらラッキー」程度の感覚で選挙に出馬する。
 次に、 「お祭り野郎」タイプ。選挙そのものを競技やゲームとして楽しむ、という人。運動会のように、紅白に分かれて競技を行うのと同じような感覚で選挙そのものが好きなのだ。政策の中身の議論というよりも、単純に戦いやお祭りが好きな人が選挙の世界には集まってきやすい。地元の人間関係や商売のライバル関係を、選挙にそのまま持ってくるケースが多い。「商売敵がXX党だから、自分は絶対に○○党だ!」というような動機である。
 最後に、「目立ちたがり屋」タイプ。有名人になりたい、偉そうにしたい、尊敬されたい――。あるいは、自分のポスターを街中にたくさん貼ってあること自体に快感を得る人。読者の中には選挙活動は大変だと思っている人も多いかもしれないが、実はわりと楽しい。街中でマイクを使ってわーわー騒いだり、仲間と何か1つのことに向かっていくのは、どんなしょうもないことでも楽しいものだ。「我こそが改革派」「我こそが市民派」と自己陶酔に浸っている。
 世襲で議員になることを運命づけられた人や、本当に純粋な気持ちで政治家を目指した先生を除けば、筆者が知る限り、大体は上の3つのタイプに分類されよう。
 こういった動機で議員になった先生方は、キャリアもなく能力も低いため、「政治屋」という職業以外することができない。したがって、議員であり続けなければならず、一番の脅威である「新規参入」を阻止するため、「参入障壁」を撤廃しようとしない。
 皆さんが18歳選挙権が実現しただけで満足しているなら、彼らの思うつぼである。今こそ、議員たちにとっての「不都合な真実」を直視し、「参入障壁」を取っ払わなければ政治の世界は変わらない。
政治・選挙の「不都合な真実」を学ぼう
本当に勝ち取らねばならないものは何か
 本稿の最初に掲げた問いである「質の高い投票」とは、こういう邪な人たちを議会から退け、賢い候補者を見極め、投票することを意味している。
 だが、それは極めて難しいことだと言わざるを得ない。
 選挙という制度そのものが、あまりにいまいち過ぎる。民主主義=選挙だと思ったら大間違い。公選法は「民主政治の健全な発達を期することを目的とする」と明記されているが、選挙が逆に民主政治を阻害する参入障壁として機能してしまっているのが実態だ。
 だからこそ、公選法では選挙期間を限定し、選挙活動が過熱しすぎることを防止しているわけだが、現実の運用ではそんな規定は無視され、政治家は選挙のことで頭が一杯である。これが壮大なる「参入障壁」となり、優秀な若者を遠ざける。受験勉強と同じようなもので、本来有能な人を発掘するはずの受験が、「受験に必要な課目だけやっていればいい」、に変わっていく。同じように、政策なんかそっちのけで「規定に反しない選挙活動だけやっていればいい」になってしまうと、もうそれは政治屋である。
 今、投票率が低いのは、政治そのものに対する諦めだけでなく、選挙でそれを変えられないということへの気づきの表れではないか。
 しかしながら、忘れないでほしい。結局、制度はしょせん制度であり、欠陥があって当たり前だということを。そして、この参政権を奪い取るために、歴史上人類がどれだけの血を流してきたか、ということを。
 選挙を否定するなら、もう暴動を起こすしかないが、そこまで覚悟のある人も少ないだろう。日本の民主主義は外来品であり、まだまだ改善が必要なものだ。だからこそ、こういった「不都合な真実」から目をそらさず、しっかりと向き合っていかねばならない。
 今は、選挙に負けたって死なない時代だ。筆者だって選挙に負けたが、こうして生きている。
 公の場で何を主張したって構わない時代でもある。筆者だって、こうして主張しているではないか。
 不満があるなら挑戦したらいい。私たちが闘わなければならないのは、官僚やマスコミではない。私たち自身一人ひとりの心の中にある「どうせ変わらない」という意識だ。
 民主主義とは決して多数決ではない。参画することこそが民主主義である。
 選挙で当選することが偉いのではない。志のある人を当選させるのが選挙である。
 このことを理解しなければ、選挙権を何歳から与えようが、全く無意味である。
「マスコミを懲らしめよう」などと言ってる既存議員を懲らしめることができるのは、あなたの参政権の使いようでしかない。
 さぁ、政治屋たちを懲らしめよう!

輪太郎 師匠

何度も起きる腹部の痛みは気になりますね。

ブログを読んでると、私は医者ではありませんが、
持続性の鈍痛は無いようだし、突発的ですし、
おそらく胆石や膵臓炎の可能性が高いのでは
ないでしょうか。
微熱も、全身症状もなければ、胆石の可能性大?
未来予測学的には、
“医者単”で、胆石-手術の本命線の1本買い!
これが当たれば、私はニセ医者になれるかも(笑)。

もちろん、癌の可能性もある訳ですが、病院に行かない
理由はご自分が一番よく知っている訳ですから、
どうなってもよい覚悟はあるのでしょう…。
それも人生ですね…。
私は90%以上それはないと思っています。

あるいは、はっきり診断を下され、先々のことを意思とは
違う方向に持っていかれるのが、ただ嫌なだけでしょうか…。

実は先日、大田さん(仮名)が胆管結石の手術をしましたが、
入院は4日くらいで、今は大変快適になっているようです。
また、用心しながらでも美味しい酒が飲むことが
できるようです。
意外とそんな病気という気がしますがね…。
そうそう、最近は、ウツによる痛み(痛みの増幅)が
明らかになっていますが、まさか…。

┏━━━━━━━━━【PMDAメディナビ】━━━━━━━━━┓
   医薬品に関する評価中のリスク等の情報掲載のお知らせ
                   (2015/07/17 配信 )
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
本日、「医薬品に関する評価中のリスク等の情報について」のページを
更新しましたのでお知らせします。

1.使用上の注意の改訂等に繋がりうる注目しているリスク情報 に
以下の医薬品(一般的名称)について評価中のリスク情報を掲載しました。
http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/risk-communications/0001.html


※なお、掲載の情報は、現在、評価中のリスクに関するものですので、
直ちに対応を求めるものではありません。

■ ポマリドミド
■ タルク(胸膜腔内注入用懸濁剤)

■ パニツムマブ(遺伝子組換え)
■ ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
■ ザナミビル水和物
■ ヒドロキシジン塩酸塩
■ ヒドロキシジンパモ酸塩
■ メマンチン塩酸塩
■ デフェラシロクス

numata727 さんが 2014年07月17日 に書かれた記事をお届けします。

「健康寿命」延ばすことを重視…厚労白書原案


読売新聞 2014年7月14日(月) 配信  2014年版の厚生労働白書の原案が明らかになった。 14年を「健康・予防元年」と位置づけ、医療費抑制の観点から、介護などを受けずに自立して生活できる期間である「健康寿命」を延ばすことの重要性を強調した。白書は8月上旬に閣議で報告された後、厚労省が公表する。 原案...
>続きを読む



H26.7.15(火) 田村厚生労働大臣閣議後記者会見概要


(9:00 〜 9:14 省内会見室)【厚生労働省広報室】会見の詳細《閣議等について》(大臣) おはようございます。今日は私からは1点御報告をさせていただきます。本日、厚生労働省は指定手続の特例によりまして、新たに2物質を指定薬物に指定いたしました。施行日は7月25日であります。この2物質でありますけれども、...
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集団的自衛権をめぐる自民党案の曖昧さや矛盾がずいぶん露呈


★大量破壊や弾道ミサイルの開発、各国間のパワーバランス(力関係)の変化など、日本を取り巻く安全保障環境は大きく変化し、より厳さを増している。★国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の責任である。そこで「万全の備え」が不可欠。★1)安全保障環境の変化に対応 2)武力行使は自国防衛に限定 3)自衛権発動の要件を厳...
>続きを読む



夢みる子ども基金 第20回夏のイベントを開催します!!

多くの方々のお力添えのお陰で基金は20年を迎えました。こどもの夢を実現するというキャンペーンは世界的にも珍しいとの評価を頂いているのも私たちの誇りでもあります。この20年目を新たな出発点にして、また新しい歴史を刻んで行く心算です。 第20回目を迎える今年のイベントは、8月3日(日)福岡市中央区天神の「都久志会...
>続きを読む



医療事故調、15年秋に発足 届け出・院内調査が義務に


日本経済新聞 2014/6/18 12:30 記事保存  診療行為に関連して患者が予期せず死亡した医療事故の原因究明と再発防止のため、第三者機関への届け出と院内調査をすべての医療機関に義務付けることなどを盛り込んだ医療介護総合推進法が18日、参院本会議で可決、成立した。医療事故調査制度の枠組みを初めて法制化し...
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舞鶴殺害 無罪が確定


「被告の供述は当初は曖昧だったが、多数回にわたる長時間の取り調べの過程で、次第に具体的な供述に変わった」今回の最高裁の決定は京都府警の取り調べについて、そう指摘した。最高裁が、捜査の問題点をここまで書き込むのは異例だ。舞鶴高1殺害事件、無罪が確定 遺族「真犯人を捜して」朝日新聞 泉田洋平2014年7月12日0...
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また、ライフログとして1年後の自分に向けて素敵な思い出をブログにまとめましょう♪






良質な大人(先輩など)との交流に深い意義

2015-07-17 07:51:14 | 社会問題・生活
昨日は朝食までは何でもなかったが、午後5時過ぎにまた、お腹が痛み出す。
「病院へ行かないのだから。どんどん悪くなる。末期がんかもしれないよ。皮膚がんが転移したのじゃないの?」
家人は突き放しように言うのだ。
首と胸の周りの大きな黒いホクロを見て息子も家人も「皮膚がん」という。
実はそのホクロは10年ほど前から出てきている。
金とプラチナ、パラジウムの合金でできているネックレスを一度も外すことなく15年間も付けていたら、黒いホクロが増えてきたのでネックレスは棄てた。
本人は食当たりだと昨日からの食を思い出している。
「家族が誰も食当たりではないのに、あんただけが食当たりになるの!」と家人は懐疑的だ。
だが、漬物に違和感をあったことも事実。
食アレルギーを思ってみた。
カップ麺を食べるとお腹が痛むこともあった。
痛みをこらえて、午後7時30分からの地元の会合へ行く。
不思議なもので、会合が始り10分ほどで嘘のようにお腹の痛みは収まっていた。
青年の信濃さん(仮名)の体験談を聞いて思った。
多感な少年時代に、良質な大人(先輩など)との交流に深い意義があると。
「あのようは人たちの仲間になりたい」と切望する。
少年の心に火が着いたのだ。
そして明確な進路を決め、高い志を抱き続ける。
1日10時間も勉学に励む。
その努力の過程は生半可ではない。
やり切れれば実を結ぶだろう。
大いに刺激を受けた。
しかし、である。
14歳の少年がNHKテレビのヒトラーの特集番組に刺激され、母親にヒトラーの「我が闘争」を買ってもらう。
少年が崇拝の対象には値しないはずのヒトラーに興味を抱く。
良質な本を多感な少年に与えなかった母親の無神経さは、果たして攻められるべきか?
ガンジーの本であったら良かったのにと思ってみたが・・・















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「平和と文化と教育」に貢献していく。
そして価値を創造していく。
人間が変われば社会も世界も変わるはずだ。
この理念は明確である。











素朴な質問

2015-07-17 07:20:50 | 社会問題・生活
ロンドンオリンピック840億円
北京オリンピック560億円
東京オリンピック2520億円
新国立:素朴な質問であるが、イギリスの建築業者に1000億円くらいで作ってもらうことはできないのか?


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例えば、金儲けは「何のため?」
得た金で何をしたいのか?
目的の明確化、そして基本的な理念は不可欠だ。
沼田利根は、出会った歯科医師に聞いてみた。
「3軒目の診療所を開設する目的は?」
目黒の歯科医院、渋谷の歯科医院に次いで赤坂にも進出したのだ。
歯科界では歯科病院や大型歯科医院は少なく小規模の個人歯科診療所が大半である。
1人の歯科医師に3軒の歯科診療所を管理・運営できるのだろうか?という懸念もあった。
昭和50年代のことで、まだチェーン展開する歯科診療所は希であった。
「スケールメリットもあります」とその歯科医師は答えた。
個人商店のような1歯科診療所のスタッフは福利厚生の面でも恵まれない立場であろう。
事業規模の拡大はあながち邪道ではないのである。















さまよう聖地 新国立のゆくえ:下

2015-07-16 16:02:01 | 社会問題・生活
もうNHKの受信料は支払いません!

下記のニュースを見て下さい。
現会長が就任以来、変なNHKになってしまいました。
よく見ていると、ニュースは他局に比べてものすごく
政府寄りになっているのがわかります。

今朝も他局のニュースではトップがほとんど安保法案の
ことでしたが、NHKは違っていました。


<NHK>安保締めくくり質疑を中継せず
毎日新聞  7月15日(水)12時35分 配信

 15日の安全保障関連法案の締めくくり質疑を行った衆院平和安全法制特別委員会は、NHKで中継されなかった一方、衆院のインターネット審議中継サイトはアクセスが集中してつながりにくい状況となった。

 NHK広報局は国会中継の基準について、「全会派が出そろう国会審議を対象に、国民的な関心が高い重要案件を扱う委員会質疑であることや、各会派が一致して委員会開催に合意することなどを適宜、総合的に判断している」と説明。この日の審議は、直前まで全会派が出そろうかどうか不明だった。採決の模様は、正午のニュースを延長して中継した。

 NHKは5月26日に同法案審議入りの衆院本会議を中継しなかったが、翌日以降の特別委を6日間、42時間にわたって中継していた。【丸山進】


さまよう聖地 新国立のゆくえ:下
止められぬ巨大アーチ

2015年7月11日


新国立競技場建設、キールアーチとは 

東京都港区にある日本スポーツ振興センター(JSC)3階の新国立競技場設置本部は、深夜まであかりが消えない日がつづく。
 7日の有識者会議で2520億円に膨らんだ計画にゴーサインが出てからも、職員は連日、国会答弁の準備に追われる。8日午後は抗議電話が殺到し、7本の電話回線がふさがった。「終電で帰り、風呂でも入って出直して来いとは言うんですが。徹夜する職員もいます」。高崎義孝・総務部運営調整役はいう。
 大成建設との最初の契約(約33億円)がまとまった9日も、鬼沢佳弘理事らが参院の文教科学委員会に呼ばれ、野党議員から計画のずさんさを糾弾されつづけた。「財源確保の見通しはあるのか?」「今、契約してはダメだ」。紆余曲折(うよきょくせつ)の末に出港したはずの船が、猛烈な逆風を受けて座礁しているように映る。
 2012年ロンドン五輪の主会場の4倍近いともされる建設費を押し上げるのが、コンペで採用されたザハ・ハディド氏のデザイン。なかでも、「キールアーチ」と呼ばれる巨大なアーチ2本で屋根を支える構造が批判を浴びる。ハディド氏には「前例」がある。同じく、曲面を生かした独特のデザインをしたロンドン五輪の水泳会場は、当初見込みの7500万ポンド(約140億円)から、3倍以上に膨らんだ。
 新国立の内情を知る大手ゼネコン幹部は予見する。「工期に余裕は一切ない。一度でも天変地異が起きれば、間に合わなくなる可能性がある」。大雪や台風などが工事の行く手を阻むリスクがあるという。なかでも、キールアーチは「建築というより土木の分野に近い。前例がない工事で見通しが立てづらい」。橋を支える構造として用いられるこの工法が、これほど巨大なスタジアムの屋根を支えるために使われた例は、世界的にもまれだという。
 建設費が大幅に膨らむことが表面化した5月以降、政府関係者から「アーチをやめればいいのに」との意見が漏れ出した。
 身内からのそんな指摘は生かされなかった。責任者である下村博文文部科学相は、五輪招致の際の「国際公約」、そして、時間切れを理由に挙げる。「設計をやり直したら61カ月かかる。完成は20年6月。ラグビーW杯はおろか、五輪にも間に合うかわからなくなる」
 たしかに、19年9月開幕のラグビーW杯に間に合わせるのは難しい。しかし、「ラグビーW杯を横浜などの別会場に移し、一般的な工法でのスタジアムを建てれば五輪には十分間に合う」と、幕張メッセや東京体育館のデザインを手がけた槇文彦氏らは主張する。
 自民党の後藤田正純衆院議員は5月の時点で、「今のままで計画が走ったら、玉砕する。なぜ、ラグビーにこだわるのか」と警鐘を鳴らしていた。9日の参院文教科学委では、次世代の党の松沢成文議員が下村文科相に「W杯は新国立を使わなくても十分対応出来る。遠藤(利明)五輪担当相や安倍首相と一緒に森さんに進言して、大きな決断を」と迫った。下村氏は「(会場変更は)政府が決められる話じゃない」と答えるしかなかった。
 「森さん」とは東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長。ラグビーW杯日本招致の立役者で、長年、スポーツ界に絶大な影響力を持つ元首相だ。
 森氏に正面切って、「W杯を別会場でやれないか検討すべきだ」と進言できる人物は政府、文科省、スポーツ界に見あたらない。
 「国立競技場は、スポーツを大事にする日本を象徴する建物である必要がある。3、4千億円かかっても立派なものを造る。それだけのプライドが日本にあっていい」。そう話す森氏にとっては、新装された「聖地」でラグビーW杯を迎えるのが長年の悲願だ。(野村周平、稲垣康介)
 ■バブル感覚・国民投票で賛否を・大きくなくていい 読者・スポーツ界は
 新国立競技場の建設について、9、10日付の朝刊で意見を募ったところ、10日午後8時現在、メールとFAXで計124件の投稿があり、うち113件(91・1%)は現行計画に明確に反対する声だった。
 反対意見の7割超は、総工費2520億円への批判で、「次世代に負担を負わせるべきでない」「少子超高齢社会となる日本でありえないバブル感覚だ」などの指摘が多かった。計画の責任者が分からないという意見も多い。「関係者が自分のメンツを保つことしか考えていない」。計画を白紙に戻すべきだとの意見も根強く、「安倍首相が『見直しましょう』と言えば変わる」「国民投票で賛否を問うべき」との声もあった。
 「外国の方に素晴らしい日本のスタジアムを見てほしい」など賛成意見は4件あった。財源は寄付で賄えばいいとの指摘もあった。
 スポーツ界からも声が上がる。元女子マラソン選手で五輪メダリストの有森裕子さん(48)は、「現行案には反対」との立場だ。取材に対し、「五輪にお金がかかるという批判の矛先がアスリートに向かうのが心配。今のデザインでなければいけない理由を明確にしてほしい」と話した。
 ラグビー元日本代表で神戸親和女子大講師の平尾剛さん(40)は現行計画への反対姿勢をツイッターで投稿し、6千件以上リツイートされた。取材に、「ラグビーW杯や五輪開催にはもちろん前向きだが、スタジアムは大きくなくていい。福島第一原発事故への対応もあり、最優先で税金を使うべきはスポーツイベントじゃない」と述べた。

我々も頑張らなくちゃ!

2015-07-16 15:52:17 | 社会問題・生活
「がっちりマンデー」の番組で紹介された和田京子不動産のことを
話しました。

番組では東京都江戸川区の設立から3年で年商3億円を達成した街の不動産屋「和田京子不動産」の和田京子社長を紹介。社長は現在85歳で、それまで一度も働いたことがなかったが旦那さんが、亡くなったのをきっかけに80歳から勉強し超難関の宅建の資格を取得し、孫の昌俊さんと共に不動産業を始めたのだった。
実は社長は旦那さんの仕事の関係で、転勤族だったそうで何度も家を買い替えたのだが買う家のどれも欠陥住宅だったことが悔しくて、自分のような人間を減らそうと不動産業を始めたとのこと。
不動産は売買専門で、買主の手数料を無料にしているとのこと。売上は半額になるがその分多くのお客さんの数をこなせばいいと話す。また内見もお客さんが来る前に一度チェックし悪い所があれば全て言うとのこと。さらに午後8時にお客さんと待ち合わせし物件から一緒に夜道を歩く環境チェックも欠かさないとのこと。さらに深夜になってもまだ働く京子社長。実は24時間営業がこの会社の売り(枕元の携帯で仕事を受ける)とのこと。

まさに、だれにでもできそうで、だれもやっていないことですね。80歳からでも起業して成功する人は、そんなことができる人なのです。

我々も頑張らなくちゃ!

さまよう聖地 新国立のゆくえ:中

2015-07-16 11:56:25 | 社会問題・生活
五輪へ公約、誤算の連鎖

朝日新聞 2015年7月10日


新国立競技場建設を巡る経緯と予定

 2520億円の新国立競技場建設計画を了承した7日の日本スポーツ振興センター(JSC)有識者会議に、デザインを採用した中心人物の姿はなかった。「ご都合がつかないと言われた。ぜひ出てきて発信してもらえれば、と思いましたが」。鬼沢佳弘理事は苦渋の表情で話した。
 2012年11月7日、東京・秩父宮ラグビー場近くの会議室。デザインを決める審査委員会の議論は白熱していた。最後まで残った3作品をめぐり8人の委員の意見は割れた。議論を引き取ったのは、有識者会議メンバーで、世界的建築家の安藤忠雄委員長だった。
 「日本の技術力のチャレンジという精神から、17番(ザハ・ハディド氏の案)がいいと思います」。賛成、との声が上がった。
 当時の予算は1300億円。同年7月、安藤氏を座長とする施設建築ワーキンググループで、文部科学省の山崎雅男参事官(現JSC新国立競技場設置本部長)が「お金がかかりすぎないかについても評価していただく」と求めた。しかしハディド氏の案については2本のアーチで全体を支える構造の実現可能性を巡る議論などが主で、「1300億円で収まるのか」との考察は深まらなかった。
 技術的な困難さと、置き去りにされた費用の問題。20年五輪の開催都市を決める13年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会前に、JSCはすでに問題を認識し、ハディド氏とデザインの見直しや費用削減の話し合いを進めていた。
 「専門家が見れば、1300億円でできないと分かるでしょう。でも国際的に約束しているから、白紙にはできない」。JSC幹部は当時こう明かした。
 だが、東京招致成功の祝賀ムードが危機感を押しやった。有識者会議メンバーの1人は「安倍政権の支持率は高いし、2千数百億円でもいい、となるのでは」と述べた。
 13年10月には、最大3千億円に上るとの試算が出た。JSCは規模を約2割縮小し、総工費を1625億円に抑える基本設計を翌年5月に発表。「これで一歩進んだという印象」。河野一郎理事長は述べたが、ここから迷走が始まる。
 旧国立競技場の解体を進めようとしたJSCは手続きミスなどで解体工事の入札を3度やり直したため、作業が半年ずれ込んだ。工期がさらに厳しくなった。そしてコスト面。既製品の鉄筋を使う前提で試算したが、ハディド氏の奇抜なデザインを実現させるには特注品が必要で、1625億円から跳ね上がった。
 15年が明けた頃、文科省幹部は業界のぼやきを聞くようになった。「JSCの現場がなぜ動いてくれないのか」。工期が厳しく、しかも施工業者の試算では再び3千億円を超えた。なのに、事業主体のJSCが何も対策を講じてくれない、というSOSだった。
 6月の参院文教科学委員会で、下村博文文科相は「4月になって、現状通りだと間に合わないと聞いた」と答弁した。独自に建設業者から聞き取りを始めた官邸周辺もこのころ、「文科省に任せていられない」と調整に乗り出した。
 5月以降、費用負担を巡り、下村文科相と舛添要一都知事の対立がクローズアップされた。文科省幹部や首相周辺からも見直しを求める声が上がった。デザイン決定からすでに2年半が経過していた。
 「JSCも文科省の官僚も最悪だ。都市計画の変更などは難しいと思っていたが、まさか本体を造る能力もないとは」と政府関係者はあきれる。JSCは文科省傘下の独立行政法人で、ほとんどが文科省からの出向。大規模な工事を伴う公共事業の経験がない職員ばかりだ。
 文科省が2520億円で建設する方針を決めたと報じられた6月下旬、JSC幹部は「国が主導でやることで、JSCがやることではなかった」と嘆いた。(阿久津篤史)

さまよう聖地 新国立のゆくえ:上

2015-07-14 13:40:37 | 社会問題・生活
新国立、折れた都知事

朝日新聞2015年7月9日


 8日午後、東京都庁の知事室がある7階会議室。
舛添要一知事は「長年の友人」という遠藤利明五輪担当相をにこやかに出迎えた。
 新国立競技場をめぐり、国は東京都に500億円程度の負担を求める。遠藤五輪相が費用負担を切り出すと、舛添知事はこう応じた。「200(億)になるか、300になるか、800になるか分からない。とりあえず事務方で、都と政府で協議を始めましょう」
 5月18日、同じ会議室で下村博文文部科学相と対面した知事は怒っていた。「楽観的に、すべてうまくいく情報しか上がっていない。大日本帝国の陸軍と変わらない」「(五輪後に)マイナスの遺産を残さない配慮が必要だ」。報道陣に全てを公開した場で、矢継ぎ早に大臣に迫っていた。
 この間、約1カ月半。なぜ態度は一変したのか。
 2020年五輪・パラリンピック組織委員会の事務局で森喜朗会長と会ったのは6月18日だった。「これを食べて、甘くなりなさい」。森会長が故郷・石川のハチミツを渡すと、知事は満面の笑みを浮かべた。
 だがこの直前の非公開の会談の中で、森会長は厳しい口調で舛添知事をたしなめたという。組織委幹部は言う。「森さんに釘を刺され、知事は焦っていた」。会談の2日前まで5週連続で続いていた自身のウェブマガジンでの批判も、これ以降ぴたりとやんだ。
 そして迎えた7月7日、日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議。「五輪やラグビーW杯だけ考えると高くなるが、今後50年先も象徴になるものを造ってほしい」と述べた森会長の次に発言を求められた舛添知事は、事務方が用意した文案を淡々と読んだ。「私は建築の専門家ではない。文部科学省やJSCの責任で、間に合うように造ってほしい」。計画の見直しを迫る最後のチャンスが消えた。
 8日の遠藤五輪相との会談で、舛添知事は都の費用負担についての正式な回答は保留したが、事務レベルで協議を始めることは決定。事態は動き出した。
 500億円の費用負担を都に求める文科省と、「現行法のもとで、都が負担できるのは50億円」と言い続けてきた舛添知事との溝はそれでもなお深い。
 「都民を納得させる理由が必要だ」。そう繰り返す知事に、7日の有識者会議で「知事、合わせ技一本ですよ」と自民党の馳浩衆院議員が話しかけた。レスリングで1984年ロサンゼルス五輪に出た経験があり、20年東京五輪の招致にも携わったベテラン議員は、大好きだという柔道用語になぞらえて言った。
 馳氏が引き合いに出したのは、都がJSCなどと4月に覚書を交わした「神宮外苑地区のスポーツクラスター(集積地)」計画。「新国立競技場単体ではなく、周辺の新宿区、渋谷区、港区の神宮外苑を一体で考えないといけない。スポーツ文化の発信エリアとして再開発すべきだ」。有識者会議でもこう訴えた。
 新国立競技場を中核とした国家戦略特区構想を見据えた周辺一帯の街づくり。防災や緑化計画、産業育成などを複合的に進めることで、都民の利益にも直結させる。これが、「合わせ技一本」の真意だった。
 今後、都との仕切り直しの交渉が待つ文科省も、似た構想を練る。念頭にあるのは、兵庫県南西部の大型放射光実験施設(スプリング8)だ。一帯が国の国際戦略総合特区に指定されているこの施設を所有する理化学研究所(理研)などに、兵庫県は140ヘクタールの土地を無償出資している。
 県内の先端技術産業や、地場産業に寄与することを目指したこのプロジェクトを、新国立競技場周辺の再開発構想にも当てはめ、都の費用負担を求めていく検討が進む。
 ただ、新国立競技場周辺一帯は明治神宮などが地権者で都有地ではなく、この手法にはなお課題も残る。
 (前田大輔、原田亜紀夫)

2500億円」の行方 新国立競技場

2015-07-14 13:38:13 | 社会問題・生活
「もう引き返せぬ」(ルポ迫真)

本経済新聞 電子版 2015年7月14日 配信 ルポ迫真


「2520億円で固まりました」。
新国立競技場の整備主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の理事、鬼沢佳弘(57)は6月下旬、部下から整備費決着の報告を受けても半信半疑だった。
「本当か。またどんでん返しはないのか」

新国立競技場の完成予想図(日本スポーツ振興センター提供)

新競技場は2020年東京五輪・パラリンピック、19年9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)のメーン会場。整備費と工期を巡って次から次へと新たな課題が噴出し、施工予定のゼネコンなどとの協議が連日続いていた。
 最後までネックになったのが、鋼鉄製の「キールアーチ」2本で屋根を支える特徴的なデザイン。だが「あのデザインは世界の場で表明したもの。続行するしか手はなかった」と鬼沢は話す。
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 「今世紀最大の国家プロジェクト」をうたって12年に行われた新競技場デザインの国際コンクールで、収容人数はラグビーW杯と五輪招致成功を想定して8万人と設定された。整備費の見込み額1300億円は、日産スタジアム(横浜市)の600億円を基に規模や設備を考慮して概算した「大まかなものだった」(JSC関係者)。
 採用されたイラク出身の建築家、ザハ・ハディド(64)の作品への評価は「斬新」「大胆」「圧倒的」。審査過程で示された技術的な課題やコストへの懸念は、最終的に「現代日本の建設技術の粋を尽くすべき挑戦となる」と勇ましい言葉に置き換えられた。
 13年9月の国際オリンピック委員会(IOC)の総会では、薄闇に浮かび上がる流線形のスタジアムがスクリーンに大写しにされ、首相の安倍晋三(60)が「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアム」とアピールした。
 当時の東京都知事、猪瀬直樹(68)は「開閉式屋根の未来的なデザインにはインパクトがあった。招致成功でデザインは『国際公約』になった」と指摘。一方で「国立なので建設は国の責任。費用のことは念頭になかった」と振り返る。
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 「相当やばいことになりそうだ」。文部科学省のスポーツ・青少年企画課にJSCの担当者から耳打ちがあったのは14年12月のことだった。
 JSCは同年5月、当初デザインの規模を縮小したうえで、整備費を1625億円とする基本計画案を公表していた。だが、施工予定の大成建設と竹中工務店は「できるわけがない」と反発。このままでは整備費は3千億円を超え、完成は五輪に間に合わないと通告してきたのだ。
 計画を再度見直すしかない。そこで最大の制約となったのがラグビーW杯だった。
 そもそも国立競技場の建て替えは、09年にラグビーW杯招致が成功したのをきっかけに浮上した経緯がある。五輪組織委員会の会長を務める元首相、森喜朗(78)は、今年6月まで日本ラグビー協会の会長を兼務。14年に旧競技場の解体工事の入札不調などが続いた際は、JSC理事長の河野一郎(68)に「ラグビーに間に合わせないつもりか」とねじを巻いた。
 「キールアーチをやめれば五輪には間に合う」とする建築家らの主張に対し、五輪組織委幹部は首を振る。「森会長の思いを知らないから言えること。ラグビーを飛ばして、五輪のための競技場を造るという選択肢はない」
 6月29日、東京五輪・パラリンピックの関係機関のトップが集まった調整会議で、文部科学相の下村博文(61)は「整備費は2520億円」「完成は19年5月」と報告。組織委会長の森は「努力してまとめていただいた」とにこやかにねぎらいの言葉をかけた。
 工期短縮と工費削減のために開閉式屋根の設置は先送りされたが、五輪後の工費は現時点の見込みで168億円。JSCは仮設に切り替えた1万5千席を可動式の常設に戻す可能性も示唆する。固定の維持費に加え、50年後の修繕費は1千億円に上るとされる。
 新たな五輪の記憶と共に日本の首都の象徴となるスタジアムの建設が動き出す。「引き返すことはできないし、もう決めるしかなかった。だが、先にも泥沼が待っている」。文科省幹部は口元をゆがめてつぶやいた。(敬称略)

「いじめは100%いじめる側が悪い」

2015-07-12 05:18:03 | 社会問題・生活
いじめによる自殺はあとを絶たない。
「二度とこういう事件を起こしてはならない」と言われるが繰り返させる。
「なぜ防止できないのか?」
相談できる24時間体制の電話相談窓口が開設されているが、それほど機能していないようだ。
「いじめは100%いじめる側が悪い」この理念が子どもたちに浸透されていない。
教育現場、家庭、社会に緊張感が足りないのではないだろうか。
つまり、いじめられている子どものSOSが届いていない。
子どもに日記を書くことを義務づける。
こころの中を曝け出すのに、日記の効用が一番ではないだろうか。
何とかしなければとの主体性が教育現場にあれば、助けられる命も助けられるはずだ。


















中田英寿氏、人生の決断 日本酒に凝るようになったわけ

2015-07-04 14:06:35 | 社会問題・生活
なぜ文化の伝道師に?
■日経新聞編集委員 小林 明

日経新聞電子版 2015年6月26日 裏読みWAVEより


インタビューに応じるサッカー元日本代表の中田英寿さん(都内ホテルで)

 日本人サッカー選手として国際的に絶大な知名度を誇る中田英寿さん――。
 アトランタ、シドニーの五輪大会やフランス、日韓、ドイツのW杯で日本代表の中心選手として活躍。1998年にイタリア・セリエAに移籍した後も名門チームで数々の実績を残し、「海外組」の成功者としての金字塔を打ち立てた。その中田さんがサッカーを引退し、世界や日本国内で文化を体験する旅を続けながら、日本文化を世界発信する活動に取り組んでいる。
 なぜ2006年のW杯ドイツ大会後、あっさり引退してしまったのか?
 どうしてサッカーとは縁もゆかりもない日本文化の世界発信に取り組んでいるのか?
 人生の分岐点で決断した胸の内や最近の文化活動の現状について、中田さんがこのほど東京都内のホテルで日本経済新聞の単独インタビューに応じてくれた。
■29歳で引退したワケ? 現役はまだ続けられたが……
 06年6月のドイツW杯グループリーグの第3戦。
 サッカー王国、ブラジル相手に1対4で惨敗した後、中田さんはピッチにあおむけに倒れ込んだまましばらく動かなかった。グループリーグは結局、1分2敗。日本は決勝トーナメント進出を果たせずに戦いを終える。そして中田さんは翌月、自らのホームページで現役を引退すると表明した。29歳の決断だった。


もともとプロサッカー選手になる気はなかったという
 そのとき、どんな心境だったのだろうか?
 中田さんは当時をこう回想する。
 「もし僕が商売先行でサッカーを考えていたら、現役は続けていたでしょう。でも一番重要だったのは自分の気持ち。それまでパッション(情熱)先行でサッカーをやっていたからこそ引退したのです。僕は自分の人生で好きなこと、覚悟を決められること以外はしたくない。お金のために生きるということは考えていませんでした」
 現役を続けるだけの情熱が持てなくなったというのが引退を決意した理由だったようだ。
■人生は情熱優先、金稼ぎが目的ではない
 中田さんはさらにこう続ける。
 「サッカーは好きだったが、もともとプロになる気持ちはなかった。だがある日、プロになれることになったのでそのままプロ選手になっていっただけ。もちろんプロ選手としてレベルの高いプレーを観客に見せて喜ばせたいという気持ちはあったが、お金を稼ぐつもりはまったくなかった……」


ヨルダンで子どもと交流(2007年)


コンゴで子どもと交流(2008年)


コンゴに蚊帳を届ける(2009年)


和歌山の酒造り(2010年)


山形の米作り(2013年)




京都の漆塗り(2010年)



石川の彫金(2010年)


岐阜の漆塗り(2010年)


■作り手と市場を仲介したい、食・工芸・宿……
 旅に出る際に自分なりのルールを決めた。(1)日本の伝統文化を知る(2)地元のこだわり農家を見る(3)できる限り旅館に泊まる(4)日本の環境状況を知る――など。さらに文化の作り手たちと出会い、対話し、人間関係を構築することも心がけた。
 体験したのは沖縄の在来種「アグー豚」「やんばる島豚」などの養豚場、鹿児島のかつお節作り、宮崎の有機農業、熊本の製塩業、大分の野菜の有機栽培、佐賀の有田焼・唐津焼、福岡の旧家を改築した旅館など様々。時間をかけながら各地を丁寧に訪ね歩いた。6年かけて現在、ようやく47都道府県の最後にあたる北海道にたどり着いたところだそうだ。
 対象としたのは日本の食文化、ものづくり、宿、神社仏閣など。「生活の集積が文化」という視点から、生活全般を体験するように努めた。そこで感じたのは「作り手はものを作ることに集中しているが、それをどう売っていくかという国内外の市場につなげる人があまりいないという課題」。だから、世界的に知名度があり、様々な人脈を持つ中田さん自身がその仲介役になれるのではないかと考えた。
 こうして日本文化を再発見し、世界に発信することが、中田さんにとって「第二の人生」の新たなパッションになっていった。


ミラノ市内の日本酒バーで



33銘柄の日本酒・焼酎が味わえる


様々な酒器で香りや味を楽しむ


■ロンドン、ブラジル、ミラノ 日本酒・焼酎を世界発信
 日本文化の中で特に関心を持っているのが日本酒・焼酎。
 「もともとワインは飲んでいたが、日本国内の旅を始めるまで日本酒・焼酎にはあまり関心がなかった」。そこで日本国内にある二百数十カ所の酒蔵に足を運び、稲作から酒の製造工程まで酒造りのプロセスを細かく体験した。


 「日本酒には甘口から辛口まで実に様々な種類がある。日本酒がイタリア料理やフランス料理など海外の料理に合わないということは絶対ない。どう合わせるかを知らないだけ」。今後の市場成長に大きな期待を感じている。
 中田さんは目下、大きな国際行事に合わせて日本酒をPRするプロジェクトにも取り組んでいる。
 12年のロンドン五輪ではロンドン市内に日本酒バーを営業。14年のサッカーW杯ブラジル大会でもサンパウロ市内に日本酒、和食、和菓子、工芸を紹介するカフェを開設した。今年は「食」をテーマに開幕したミラノ万博に合わせてミラノ市内に日本酒・焼酎33銘柄を集めて販売する日本酒バーを臨時オープン。さらに現地のレストランと組んで日本酒・焼酎も試験販売するという。知り合いのイタリア人シェフらに協力してもらって、日本酒・焼酎に合うイタリア料理を世界に提唱することも考えている。
 「僕がやろうとしているのは、商品を直接作ることではない。素晴らしい日本の文化を世界に売り込む仕組みを整えようとしているだけ。商業ベースではまだ軌道には乗っていないが、プロジェクトを長続きさせるためにも今後はビジネスとして成立させたい」と言葉に力を込める。
■サッカー界復帰は? 「見るのも教えるのも嫌い」


サッカーはあくまで自分がやるもの
 ところで中田さんが今後、サッカー界に復帰する可能性はないのだろうか?
 国際経験も豊富なだけに指導者などとして復帰を求める待望論があるようだが、「僕にとってサッカーはあくまで自分でやるもの。サッカーは見るスポーツでもなければ、教えるスポーツでもない。見ることも、教えることもあまり好きではない」とクールな口調で言い切る。
 これを言葉通りに受け取れば、新たなパッションが見いだせない限り、サッカー界に復帰する意志は基本的になさそうだという感触になる。日本文化の世界発信がビジネスとして早く結実するように、「第二の人生」に専念したいというのが中田さんの今の心境のようだ。





アートとサイエンス

2015-06-16 09:54:03 | 社会問題・生活
息づいている共通の心

オリジナリティというアートにとって大事な精神が潜んでいる。
アートは複製を嫌う。
誰もが他人の発想や考えに学ぶが、それをただまねることはご法度だ。
何か独自なものを加えて新しくしなければ、自分の作品とは言えない。
それはサイエンスの世界も同じである。
今までに知られていない物やオリジナルな考えであるからこそ発見として認められるのだ。
ただ、サイエンスは何度も繰り返してみて、それを誰にとっても真実であることを追試する必要がある。
新しい常識となるエビデンスを最初に提示することが、発見の必要条件になるのである。
アートとサイエンスには、他者とは違う発想によって自分の世界観や解釈を表現したいという共通の心が息づいている。
どちらも見えている世界をデフォルメしたり、見えないものを形にしたりすることによって表現される。
違うのは、サイエンスがすべての人に同じ解釈を要請するのに対し、アートは多様な解釈を許容するということだ。
それは人間が他者と交わす、二つの異なるコミュニケーションを反映している。
現代のインベーションは、この二つのコミュニケーションを組み合わせることによって創出できると私は思う。
技術を偏重する傾向の強い昨今、アートの心で垣根を越え、新しい常識を生み出すサイエンスが求められている。
現代の大学にアートの発想がもっと必要なのではないだろうか。
京都大学学長・山際寿一さん