医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

詩歌を吟じてきた日本人ならではの感受性

2014-09-30 13:05:45 | 受けとめる力
「秋の月はかぎりなくめでたきものなり」
「光はいつも変わらぬものを、殊更秋の月の影は などか人にも思わす」
人生経験を重ねることで、同じ月の光が違って見える。
「万(よろず)のことは、月見るにこそ慰むものなれ」
「折にふれば、何かはあはれならざむ」
折にかなっていれば、何でもしみじみとした趣のないものはない、というのが兼好の主張だ。
月や花は無論のこと、風の音や水の様子に思いを寄せ、心を遊ばせ、詩歌を吟じてきた日本人ならではの感受性。
吉田兼好は、夜ごとに変わる月の姿に、この世の無常を実感し、人生哲学を確立していったのだ。
「月満ちては欠け、物盛りして衰ふ」
これは「史記」の言葉を引いたものだが、兼好の心に最も沁みたに違いない。
 西村和子さん









会議体「歯科医療発展の鍵は・・・? -歯科衛生士の役割を考える(その2)- 」

2014-09-30 11:53:09 | 医療と介護

HPI歯科同好会

開催日時  平成26年9月28日(日)午後1時00分~午後4時30分
開催場所  八重洲倶楽部「第1会議室」

(順不同・略)
協議事項

 ・議案提案者:K <議案の説明>
(K)
 ・患者は病気の経験があれば歯科医の説明も受け入れやすいが経験のない患者には難しい。
 ・現状の歯科衛生士のレベルでは患者への最初のアプローチがうまく行かないので、歯科医が口腔指導を行っている。
 ・それではマンパワー不足になり、歯科衛生士に任せるにはどうしたら良いか?を考える必要性が出て来る。
 ・又長年継続して行うと慢性化で中だるみが出て来る。
 ・上記のことを解決するためにガイドマニュアルを皆さんと考えて行きたい。

(T)
 ・K先生が話されたように患者には最初のアプローチが大切。
 ・患者からのニーズがあれば効果もあるが歯科衛生士が話しても患者に伝わらないことがある。
 ・患者にどうやって伝えたらいいか痛感している。もっと歯科医も前に出るようにして患者に感心を持ってもらえるよう、歯科衛生士に繋げたい。
 ・口腔衛生の確立と維持は大切だが長年診ていると中だるみが出て歯周病にもなってしまう。その事に自分を責めたりもする。
 ・患者にうまく意思を伝える術を知りたい。
 ・これからも口腔衛生の確立と維持に努めていく。
(O)
 ・歯科医は忙しいので歯科衛生士に任せている部分がある。
・患者は一生懸命歯ブラシをするが磨き方の動きが大きい。
・患者も歯科医と同じ意識レベルになるといい。
・スマホで顕微鏡が見られるアプリがある。それも活用できるといいが・・・?
・ハブラシの使い方をアングル4のように残せないか。
・若い患者の衛生状態の悪い人が多く居る。問題はコンビニが近くにあるため食生活の変化にある。

(S)
 ・技工士の立場から見た歯科衛生士を述べる。
 ・専門学校を卒業したばかりでは現場では使えない。職業のプロ意識がない。
 ・歯科衛生士の能力不足をどう対応するか?教育の環境が整っていない。
 ・現場では歯科衛生士より助手を教育した方がいいと考えている歯科医がいる。
 ・実際助手を対象の研修があり「○○コーディネータ」という役職がある。
 ・歯科衛生士の能力をあげる方法、しくみを考える必要がある。
 ・助成金の利用も考えている。

(G)
 ・以前の調査で月\3000位なら歯の健康のために費やすという結果がある。
 ・歯科医が感じる歯の資産価値は2913万円で患者が感じる資産価値は973万円と差がある。
 ・歯の平均寿命は男59.81歳+10、女58.46歳+10
 ・我が国の健康寿命は男70.42歳、女73.62歳で歯の健康寿命との関連があると考えられる。
 ・歯の寿命を延ばすためには6番と7番の歯を残す計画を立て、保守メンテナンスを実行することが必要。
 ・体の中で直接的にメンテナンスできるのは歯だけ。歯科衛生士の価値は高い。

(T)
 ・我々は歯科衛生士の存在や役割は当たり前だが、一般的には歯科衛生士と助手の区別や役割が解っていない人が多い。
 ・IDIの審査で行く診療所は歯科衛生士の雇用が多い。しかし歯科衛生士の仕事でなく、歯科医の手伝いや助手、受付の仕事をしている。歯科衛生士専任は少ない。
 ・もっと社会的に歯科衛生士の役割をマスコミなどを使ってアピールする必要がある。
 ・自分は虫歯になりたくないので定期的に歯科衛生士に罹りたい。

(H)
 ・ガイドライン作りは技術を踏まえたものだろうと思う。
 ・歯科医が歯科衛生士を尊重していないように感じる。
 ・HPIには歯科衛生士のルールはあるが、一般の歯科医院にはない。
 ・歯科医の要求と歯科衛生士の意識に差がある。
 ・4つの治療目的は大切。
 ・歯科医と歯科衛生士の約束事が明文化されたらいいと思う。
(K)
 ・今回の議案は歯科衛生士を取り上げたが、1つのパーツが歯科界全体の問題になった。
 ・我々は患者の口腔を守るという意識が大切で、そのために具体的なガイドライン作りが必要。
 ・ガイドラインの内容は患者一人ずつ個人向けにすることが重要。

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当日欠席・紙上参加(参考意見)
(Y)組織は人である。
だが、その人が集まらない、つまり戦力となる人材が集まらない。
組織としての歯科診療所の零細性にも問題がある。
歯科医療分野における診療報酬の低評価も問題である。
このため、歯科衛生士を雇いたくとも雇えないのが実情。
また、歯科助手を廃止すべきという意見もある。
歯科衛生士の評価が正当になされていなことも事実である。
厳密に言えば医療機関として歯科衛生士が居ないことは組織的な欠陥である。
言わば看護師の居ない医療機関のようなものだ。

日本歯科技工士会 来年、創立60年を迎え記念行事を開催

2014-09-30 11:39:47 | 歯科
日本歯科技工士会は来年、創立60年を迎え記念する行事が福岡市で開かれる。
同会は50周年記念大会を天皇陛下ご臨席のもと行ったが、その席上陛下のお言葉にもあったように、歯科技工の歴史は古く、1538年に亡くなった尼僧仏姫の黄楊材にさかのぼる。
同会の源流は、大正から昭和初期にかけていくつかの団体による運動を経て、昭和9年に東京技工所同業組合の結成、昭和14年にこれが発展的に解消し東京歯科技工協会の結成、そして昭和18年、現在の日本歯科技工士会の前身である日本歯科技工所結成にある。
そして寺元武士初代会長の下、多くの先達たちの奮闘努力により、歯科技工法の制定と日本歯科技工士会の設立を勝ち取った。
今春の診療報酬改定で、医療の高度化等に対応する観点から、先進医療の一つであるCAD/CAM冠が新たに保険収載された。
時代は、歯科用CAD/CAM装置や3Dプリンターのデジタル技術を利用する時代へと変貌しつつある。
木製義歯の入歯師の時代から、産業技術の導入により、歯科技工は大きな変貌を遂げ続けている。
しかし、機器等を扱うのは人である。
このデジタル時代こそ、変化に対応でき、働く者の立場から変化を推進できる人材育成が求められる。
技術の高度化に対応するために、歯科技工士養成の就業年限延長は必須である。

ほんとうに人の一生なんておかしなもの

2014-09-30 07:40:38 | 受けとめる力



「女の一生」は座付き作家の森本薫が、恋人でもあった杉本春子(1906年~1997年)に当てて書いた作品。
主人公の布引けいは天涯孤独で、東京都心の斜陽の商家に雇われ、やがて女主人として家を仕切る。
<誰が選んでくれたでもない。自分で選んで歩きだした道ですもの。間違いと知ったら自分で間違いでないようにしなくちゃ>
第三幕の台詞である。
1945年5月の初演以来、杉村はこの当たり役を1990年まで947回も演じ続けた。
晩年、自著で第三幕の台詞が一番好きといい、「私が女優という道をただひたすら歩いてきた、ということにそのまま使いたい」と述べている。
杉村は声楽家を志して音楽学校を2度受験し失敗している。
だが、故郷の広島で観た芝居の公演に感激し築地小劇場に滑り込んだ。
強い広島訛りのため初舞台は台詞なし。
その後、文学座の中心女優として地歩を築いた。
1990年6月、84歳での最終公演で杉村は終盤の台詞に初舞台の台本の5行を復活させたいと願った。
<ほんとうに人の一生なんておかしなもの。(略)一生の運が変わってしまうなんて>
「禍福をすべてのみこんで演技に生きた名女優は、その言葉にどんな思いを込めただろうか。」奥田祥子さん
初演は東京・渋谷の東横映画劇場。
演出は劇作家・久保田万太郎。
舞台監督は戌井市郎。
主人公けいの嫁ぎ先は東京千代田区平河町を想定。
作者で杉本の恋人であった森本は1946年、初演の翌年亡くなっている。
1947年森本の追悼公演で、杉村は戦後第1回の芸術院賞を受賞。
東京大空襲があった昭和20年4月が初演であることに今更ながら驚く。