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詩歌を吟じてきた日本人ならではの感受性

2014-09-30 13:05:45 | 受けとめる力
「秋の月はかぎりなくめでたきものなり」
「光はいつも変わらぬものを、殊更秋の月の影は などか人にも思わす」
人生経験を重ねることで、同じ月の光が違って見える。
「万(よろず)のことは、月見るにこそ慰むものなれ」
「折にふれば、何かはあはれならざむ」
折にかなっていれば、何でもしみじみとした趣のないものはない、というのが兼好の主張だ。
月や花は無論のこと、風の音や水の様子に思いを寄せ、心を遊ばせ、詩歌を吟じてきた日本人ならではの感受性。
吉田兼好は、夜ごとに変わる月の姿に、この世の無常を実感し、人生哲学を確立していったのだ。
「月満ちては欠け、物盛りして衰ふ」
これは「史記」の言葉を引いたものだが、兼好の心に最も沁みたに違いない。
 西村和子さん










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