共同通信社 2014年7月29日(火) 配信
長崎県佐世保市で同級生を殺害した容疑で逮捕された女子生徒(16)は「人を殺してみたかった」と供述しており、遺体の首が切断されている点など事件の特異性が際立っている。識者に受け止め方を聴いた。
「純粋に人を殺してみたいという欲求と、人生や自分自身に対する絶望感があったのかもしれない」。新潟青陵大大学院の碓井真史(うすい・まふみ)教授(社会心理学)は分析する。
さらに「恨みや金銭という動機がない『純粋殺人』は大人に多い。今回は容疑者が少女だったという点に衝撃を受けた」と話した。
一方、立正大の小宮信夫(こみや・のぶお)教授(犯罪学)は「母の死をきっかけに、母親がいる被害者に憎悪を募らせた結果の抹消願望と、快楽殺人の混合型に至ったように見える」と指摘する。
1997年に起きた神戸市の連続児童殺傷事件の加害少年が、祖母の死をきっかけに精神的に不安定になったことを挙げ「思春期の子供にとって、身近な人の死は大きな影響がある。周囲の大人が子供の視点で気を使うべきだった」とした。
元家裁調査官の佐々木光郎(ささき・みつろう)・静岡英和学院大非常勤講師(少年非行論)は「勉強面などで親の期待に応えたいという思いが強かったのではないか。ありのままの自分を表に出せず、母親の死などで抑え込んだものが爆発した」と、教育や家庭の環境の影響を指摘した。
生徒の供述にも着目し「他人への共感性が乏しい。他人とうまく交われず、第三者から見ればささいな原因がきっかけだったのではないか」と動機を推測した。