慈善プロレスでワクチン1万400本寄付 [福岡県]
2014年09月27日(最終更新 2014年09月27日 15時26分)
相手選手に技をかけ、リングの上で激しい闘いを見せる甲斐さん
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普段は優しい歯医者さん。甲斐さんは東日本大震災の被災地でも治療活動を行った
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「闘う歯科医」がチャリティーのゴングを鳴らす-。九州大歯学部出身で、千葉県野田市で歯科医院を開業する甲斐拓也さん(47)が10月16日、福岡市のアクロス福岡で「ワクチンファイトプロレスリング IN FUKUOKA」を開催する。収益の全額を発展途上国の子どもたちにポリオワクチンとして寄付する同大会は2010、12年に東京で行い、3度目の今回は「第二の故郷」という福岡での初開催だ。今大会には趣旨に賛同する人気プロレスラーの高山善広、藤原喜明両選手らも参加。歯科医と格闘家の「二足のわらじ」で鍛えてきた甲斐さんもリングに上がる。
太い腕に大きく盛り上がった胸筋。甲斐さんの姿は一見すると、歯科医とは思えない。格闘技の道場「BRAVE」に所属し、週5日、診療後にトレーニングで汗を流す。歯医者と格闘家という二重生活だ。
大会開催のきっかけは、米大リーグ・カブスの和田毅投手が行っているチャリティー活動。プロ野球の福岡ソフトバンク時代の2005年から投球数に応じてワクチンを寄付する和田投手に倣い、06年から歯科医院でインプラント治療を1本行うごとに、ポリオワクチン100本の寄付を開始した。これまでに1万2千本を、NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」を通じて発展途上国などに送ったが、一人の歯科医としてできることは限られる。世界ではワクチンがないために1日約4千人の子どもが予防可能な感染症で命を落とすといわれ、「もっと大きな動きにしたい」とプロレス大会を思いついた。
甲斐さんは九州大時代にラグビー部に所属。立ち技の総合格闘技、シュートボクシングの道場にも通った。大学卒業後はトレーニングから遠ざかったが、大会で選手としてリングに上がるため、再び総合格闘技道場の門をたたき、43歳でデビューを飾った。
「魅力ある大会に」という甲斐さんの情熱は生半可ではない。10年の第1回大会前、ミクロネシアの総合格闘技チャンピオンの“ケルビン”ザ・ビッグヒット選手を訪ねてサイパンへ。連絡先も分からなかった本人を探し当て、出場交渉に成功した。大会では第2ラウンドで対決し、ギブアップして敗れたが、チャンピオンは甲斐さんの熱意に感動。第2回大会には、参加できない本人の代わりに弟子を送り込んでくれた。
活動の原点は、幼いころに読んだプロレス漫画「タイガーマスク」だ。主人公の伊達直人は覆面レスラーとして活躍。ファイトマネーを孤児院に寄付する姿に心を打たれ、「大人になったら同じことをしたい」と思い描いた。
最初の大会で寄付できた金額は5万円ほどだったという。会場費用や交通費を差し引くと残るのはわずか。「その額なら財布から出せばいい、と言われることもある」。ただ、個人で寄付の額を増やすことだけが目的ではない。闘う甲斐さんを見て、米国在住の友人は「自分ができることを」と米国のダンスコンテストに出場し、優勝賞金の約100万円を全額寄付してくれた。自らの活動を通じて、支援の輪が広がることが理想だ。
念願だった福岡での開催が実現した今回は、友人たちが準備やチケット販売に駆け回ってくれている。闘う歯医者さんとして、自らもリングに上がる甲斐さんは「100万人の命を救うのが目標」と熱いファイトを見せるつもりだ。
■来月6日、福岡で初開催
「ワクチンファイトプロレスリング IN FUKUOKA」は10月16日、福岡市中央区のアクロス福岡で午後6時30分から。特別リングサイド8000円、リングサイド6000円、指定席4000円。鈴木みのる、ウルティモ・ドラゴン、ザ・グレートサスケの各選手や、地元団体「九州プロレス」の選手らが参加予定。問い合わせはワクチンファイト実行委員会=090(6546)9475。
=2014/09/27付 西日本新聞夕刊=
2014年09月27日(最終更新 2014年09月27日 15時26分)
相手選手に技をかけ、リングの上で激しい闘いを見せる甲斐さん
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普段は優しい歯医者さん。甲斐さんは東日本大震災の被災地でも治療活動を行った
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「闘う歯科医」がチャリティーのゴングを鳴らす-。九州大歯学部出身で、千葉県野田市で歯科医院を開業する甲斐拓也さん(47)が10月16日、福岡市のアクロス福岡で「ワクチンファイトプロレスリング IN FUKUOKA」を開催する。収益の全額を発展途上国の子どもたちにポリオワクチンとして寄付する同大会は2010、12年に東京で行い、3度目の今回は「第二の故郷」という福岡での初開催だ。今大会には趣旨に賛同する人気プロレスラーの高山善広、藤原喜明両選手らも参加。歯科医と格闘家の「二足のわらじ」で鍛えてきた甲斐さんもリングに上がる。
太い腕に大きく盛り上がった胸筋。甲斐さんの姿は一見すると、歯科医とは思えない。格闘技の道場「BRAVE」に所属し、週5日、診療後にトレーニングで汗を流す。歯医者と格闘家という二重生活だ。
大会開催のきっかけは、米大リーグ・カブスの和田毅投手が行っているチャリティー活動。プロ野球の福岡ソフトバンク時代の2005年から投球数に応じてワクチンを寄付する和田投手に倣い、06年から歯科医院でインプラント治療を1本行うごとに、ポリオワクチン100本の寄付を開始した。これまでに1万2千本を、NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」を通じて発展途上国などに送ったが、一人の歯科医としてできることは限られる。世界ではワクチンがないために1日約4千人の子どもが予防可能な感染症で命を落とすといわれ、「もっと大きな動きにしたい」とプロレス大会を思いついた。
甲斐さんは九州大時代にラグビー部に所属。立ち技の総合格闘技、シュートボクシングの道場にも通った。大学卒業後はトレーニングから遠ざかったが、大会で選手としてリングに上がるため、再び総合格闘技道場の門をたたき、43歳でデビューを飾った。
「魅力ある大会に」という甲斐さんの情熱は生半可ではない。10年の第1回大会前、ミクロネシアの総合格闘技チャンピオンの“ケルビン”ザ・ビッグヒット選手を訪ねてサイパンへ。連絡先も分からなかった本人を探し当て、出場交渉に成功した。大会では第2ラウンドで対決し、ギブアップして敗れたが、チャンピオンは甲斐さんの熱意に感動。第2回大会には、参加できない本人の代わりに弟子を送り込んでくれた。
活動の原点は、幼いころに読んだプロレス漫画「タイガーマスク」だ。主人公の伊達直人は覆面レスラーとして活躍。ファイトマネーを孤児院に寄付する姿に心を打たれ、「大人になったら同じことをしたい」と思い描いた。
最初の大会で寄付できた金額は5万円ほどだったという。会場費用や交通費を差し引くと残るのはわずか。「その額なら財布から出せばいい、と言われることもある」。ただ、個人で寄付の額を増やすことだけが目的ではない。闘う甲斐さんを見て、米国在住の友人は「自分ができることを」と米国のダンスコンテストに出場し、優勝賞金の約100万円を全額寄付してくれた。自らの活動を通じて、支援の輪が広がることが理想だ。
念願だった福岡での開催が実現した今回は、友人たちが準備やチケット販売に駆け回ってくれている。闘う歯医者さんとして、自らもリングに上がる甲斐さんは「100万人の命を救うのが目標」と熱いファイトを見せるつもりだ。
■来月6日、福岡で初開催
「ワクチンファイトプロレスリング IN FUKUOKA」は10月16日、福岡市中央区のアクロス福岡で午後6時30分から。特別リングサイド8000円、リングサイド6000円、指定席4000円。鈴木みのる、ウルティモ・ドラゴン、ザ・グレートサスケの各選手や、地元団体「九州プロレス」の選手らが参加予定。問い合わせはワクチンファイト実行委員会=090(6546)9475。
=2014/09/27付 西日本新聞夕刊=
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