モッチリ遅いコメの距離感

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天井の音響調整について考え直してみる

2023-02-15 16:50:31 | オーディオ
以前に仮想リスニングルームにおいて天井の音響を安全に調節しやすくするための解決策として、天井をルーバーにしてルーバーと天井の隙間に音響調整材を置けば良いという考えに至った。
ルーバー自体に拡散性がありつつ、間に置くというのは取り外しがしやすい、ルーバーが下にあるので落下リスクが小さいというメリットがあるというのがその理由だが、本当にそれで機能するのか疑問に思う部分が残っていた。

設置例としてpinterestより引用




・1つは天井用のルーバーは既製品は中空のアルミ製が多い。コストだけでなく重さの問題もあるのだろうが、中空式のものが音が良いとは思えない。それにルーバーの上に重量物を設置することは設計上想定されていないので音響調整材を設置するということは重量的に危険だろう。
・では既製品に頼らず本物の木の板でルーバーを作ればいいということになるが、あまりに大規模に重いルーバーを天井に設置すると駆体の重量バランス的にどうなのかという疑問がある。
・高所作業用通路からルーバーの上に音響調整材を乗せるということを想定しているのだが、通路は必然的に壁際になってしまっている。だが高所の反射面として一番重要な一次反射面は部屋の中央付近に存在しているため壁際の通路から届くのかという疑問が生じている。
・ダウンライトは光が局所的に強いためコントラストが大きく視覚的な刺激が強い傾向にあり、リスニングの支障となりうる。そのためメインの照明は柔らかな間接照明を直接目に入りづらい高所から入れる設計が望ましいと考えているのだが、間接照明はなるべく何もない平坦な壁に照らすからこそスムーズに移行するきれいな光を得られるので、いろいろ設置する壁には望ましくない。ルーバー天井でしかもルーバーの上に音響調整材を設置するというコンセプトと相性が悪い。

この辺りが未解決であり、考え直す必要があるのではないか。

そこで重要性が高い中心部分付近にのみルーバーを付ける案に練り直した。


これで間接照明を照らす部分の平坦性を確保できる。ただこの高所のルーバー上にどうやって音響調整材を設置するのかという疑問が解決していない。見た目的にもあまり気に入らない。

そもそも天井の音響調整の調節性を極限まで高めることに意味があるのかという疑問を考え直してみる。
現実的に天井のルーバーの上にポン置きという手法を用いて音響調節するとして、
溝が10cmを超える木製の本格的なQRDを設置したり、重量のある強固な反射壁を設置するだろうか?という疑問を考えてみると、現実的にはそれを行うことはしないだろう。通常時は落ちてこないにしても地震の時に落下リスクがあり、その場合には死亡事故につながりかねないからだ。
ルーバーの上にポン置きで音響調整材を設置するとしても、それは吸音材以外は現実的ではないと思われる。
天井は吸音材のみを調節性を持たせて設置するということであれば別にルーバーにポン置きスタイルである必要はない。
ダクトレールは耐荷重20kgまであり、ライトを照らすだけでなく、物を吊すことができる。吸音材であれば耐荷重20kgあれば十分である。

引用:TOO GARDEN

また吊すスタイルであれば天井にピッタリくっつける必要もないので、背面空気層を確保できる分吸音効果は大きい。定在波の腹も狙いやすいので定在波の調節効果も高い。


グラスウールなどの多孔質吸音材も音響透過性の高い篭などにくるんで球状にして吊り下げる分にはきれいに作れば高天井の照明のようにそれ自体もインテリアにもなりうる気はする。

引用:amabro
とはいえ見た目上まともになる根拠はないのだが。

とはいえ天井の音響調整は軽量な吸音材をダクトレールで吊り下げるという手法であれば落下リスクも小さく、万が一落下しても大きな事故に繋がらないという意味で現実的なのかもしれない。以前よりも音響調整の幅が狭くなってしまったが、やはり天井を後付けでなんでもやれるようにしつつ、安全性も高いというのは無理があるような気はする。
ただ今回の音響調整の場合、積極的な反射や拡散を追加することはできない。なので最初から固定する内装で決め打ちである程度の音響調整を完成させなければならない。追加で出来ることが多少の吸音しかできないから当然ではある。
となると内装として最初から拡散体を設置することになるのだろうか。天井をあまり拡散させてはいけない理由もない、吸音は後からでもできるシステムとなるとこういう考えにはなる。天井なので拡散体も大規模だと重量による問題が出てくるので、比較的効率の良い一次元QRDが無難になるのだろうか。
天井全面に貼ると間接照明が使いづらい+コストが多大になる+壁際は作業用通路があるので後から調整できるという理由からスピーカーの内側(2.5m幅)部分のみに設置する案とした。


球形の吸音体自体が遠近感や天井高さを強調するので視覚効果自体は良さそうな気がするが、邪魔にならない程度の大きさで十分吸音できるのかは疑問は残る。本格的に吸音をしたい場合は壁際の作業用通路部分での吸音に頼らざるを得ないとは予想される。

当初よりも調整性という理想は後退したが、当初の案がやや非現実的なので仕方ないだろう。天井の広い範囲を格子天井にして格子の裏をロフトにすれば安全に天井の音響を調節することもできるが、格子からの反射が若干の天井を低くする効果があったり、デザインに制限があったりなど調節性と引き換えに犠牲になるものも多くあまりその方向が望ましい感じにはならなかった。
コメント
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