新たに農業をはじめようとする方の中には、なるべく機械にたよらない方法でやりたい、と思っている方は多いはずです。
しかしながら、田植え、稲刈り、天日干しと手作業でやり、「足踏み脱穀機」と「とうみ」を使って脱穀と風選別するところまでできても、その先の籾摺り作業まで人力でやれる人は少ないんじゃないかと思います。
かくいうわたくしも、随分と本やネットで人力で籾摺りをやる方法、つまり機械化される前はどうやっていたのかについて調べましたが、なかなかどうして生きた情報は少ないのです。
実際日本の人力籾摺りの技術は、ほとんど失われたと言ってよいと思います。
どうやら昔は土臼や木臼というものを使っていたそうなのですが、絵や写真は紹介されていても実働する現物は見たことがなく、構造やモミがすれる仕組みがどうもよく解らない。解らないからつくれない。
しかもコイン精米所にもっていくと、いきなり白米になってしまう!これじゃせっかく収穫した米が玄米で食えない!(去年までは農家さんに無理を言ってお願いしていた)
そんな状況を鮮烈に打ち破ったのが、ひとつの小さな道具との出会いでした。
農家さんが持ってきた、水分測定器の付属品のポケット籾摺り機。
小さなゴムロールを回すと、壁についたゴムとに籾米が挟まれて籾が外れる、なんともシンプルな仕組みです(一度に全部は籾が外れないので、ひっくり返しながら何回か繰り返します)。
あれ?ようは籾摺りなんてゴムではさんでこすればいい!?
というわけで、早速試してみます。
ゴムに載せて
挟んでこすります。すると…
おおーっ!みごとにもみ殻がとれました
風選別すれば。きれいな玄米です
試しに黒蒸ししたヒエでやってみると、なんと…
信じられないことに籾摺りだけでなく精白作業までできてしまいました!!
つまり、もう調理すれば食べれる状態になってしまったのです!
これはいける!と思い、早速籾摺り機の制作にとりかかります。
と言っても木枠をつくってゴムを張り
ゴムを巻き付けた木でゴリゴリやるだけ…
おおーっ!!見事にモミすられているではないですかー!!
風選別後。
どうしてもすり残しがあるので…
残ったのは個別にすります。
できたー!
さてこれでやっと米が食えるー!一件落着!!
…かと思いきや、少し問題があり、写真じゃわかりずらいですが、ゴムで挟んで籾摺りした玄米は少し黒ずんでしまうんですね。
焚いてしまえば色もゴム臭さも全くないのですが、なんかちょっと気分的に気持ちのいいものでもありません。
というわけで、もう籾摺りのしくみ『摩擦抵抗のあるもので挟んで擦る』というのは解ったので、同じ原理を木で再現してみました。
木に溝を掘って
ゴムを巻いていた木にも溝を掘って籾米をゴリゴリ。すると…
やったー!!できたー!!
めちゃめちゃモミすれてるー!!
風選別して…
ジャン
こんなに綺麗な玄米ができましたーやったー!!
ていうか機械でやったものより綺麗で美味しそうです。
さて、これでようやく安心して玄米を食べれるようになりました。
しかしまだ籾摺り機完成!というわけには参りません。
今回作ったものは非常にコンパクトで、誰にでも作れて、籾摺りの仕組みを学ぶのにはよいのですが、
毎日の食卓の分をこの方法で籾するのはなかなかしんどいものがあります(玄米一合分の籾摺りをするのに
45分くらいかかります…)。
それで、どうやったら効率よくなるかを考えていけば、結局のところ昔ながらの籾摺り木臼になります。
ようは今回作った籾摺り機の溝を放射状にして、前後運動を回転運動にして、作業効率を向上させたものが籾摺り用の木臼なのです。
というわけで、今度は籾摺り木臼づくりに挑戦です!!
はてさて、完成はいつになることやら…
↑木臼の上臼と下臼の参考画像
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