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nishimino

にしみの鉄道情報局付属ブログ

もし京都が東京だったら

2018-12-16 | 書評
初めて東京に行ったとき、東京はなんて道が滅茶苦茶なんだろうと驚いたことがあります。京都市内の道が碁盤の目で整然としているのと対象的なので。城下町でも大阪や名古屋は町外れに城があるので都心は碁盤の目ですが、お城が街の中心にある東京は道路が碁盤の目になっているエリアは銀座などを除いて少ないです。

東京と京都の似ている街を比較したこの本「もし京都が東京だったマップ」で、一番納得できたのが赤羽=四条大宮です。庶民的な居酒屋が多いとか、飲食店が多いとか納得できる部分でした。



次に納得できたのが、岡崎(平安神宮周辺)と、上野は美術館や文化施設が多く、共通点が多くあります。この本の東京と京都の似ている街の結びつけは、まあ無理矢理感がありますが。

ところで、京都にはサブカルチャー系の街は少ない(むしろ大阪や名古屋のほうが多い)ので、秋葉原のような町は無いような。もっとも京都なら大阪の日本橋は1時間以内なので、新京極のアニメショップ数店以外は需要が少ないのかもしれません。
大型書店も京都はあまり充実しているイメージが無く、名古屋大阪のほうが大型書店が充実しているイメージがあります。専門書を多く扱った大型書店は、中心部には河原町の淳久堂と丸善ぐらいしかありません。このあたり、中小書店が京都は多いのかもしれません。
あとこの本では扱われていませんが、自分は錦市場は築地場外市場と上野アメ横の中間的なイメージがあります。

ビブリア古書堂の事件手帖5

2018-10-04 | 書評


ビブリア古書堂の事件手帖の5作目、この刊ではビブリア古書堂に出入りする志田の過去が明らかになります。半分ネタバレになりますが、疾走した夫を探す妻が出てきます。その夫を探す方法がすこし変わっていて、それが古書と関わってきます。
2話目は手塚治虫の名作ブラックジャックが題材になっています。この2話目では、今では殆ど見なくなった貸本屋がキーポイントとなっています。昔は貸本屋が多数あったそうですが、現在では殆ど見なくなり、たまにレンタルビデオ店で売れ筋のコミックを貸し出しているぐらいです。

もう一つキーポイントとして、この2話の依頼者の両親は文通で知り合い、結婚しています。文通もあまり聞かなくなりましたが、その文通相手を探すのに、いろいろ方法がありました。その一つが、この本の中でも取り上げられていますが、昔の雑誌やファンクラブの会報には文通相手募集なんて欄もありました。個人情報が厳しい現在では考えられませんが、更に驚くべきことにファンレターの送り先として、漫画雑誌には漫画家の住所がそのまま記載されていたりしました。

大相撲殺人事件

2018-07-08 | 書評


少し前にタモリ倶楽部の文庫本の裏筋の回で紹介された「大相撲殺人事件」。すこし気になったので手に入れてみました。

「ひょんなことから相撲部屋に入門したアメリカの青年マークは、将来有望な力士としてデビュー。しかし、彼を待っていたのは各回に吹き荒れる殺戮の嵐だった! 立会の瞬間、爆死する力士、頭のない前頭、密室状態の土俵で殺された行司……本格ミステリーと相撲、その伝統と格式が奇跡的に融合した伝説の奇書。解説・奥泉光」

この本、かなり無理があり、どう考えてもふざけて書いたとしか思えないところがあります。相撲部屋と大学を間違えるとか、1年間で幕内力士の40パーセントが死亡とか。
ただ、誤解を招かないために書いておきますが、この本は短編集です。つまり、立会の瞬間、爆死する力士と、頭のない前頭、密室状態の土俵で殺された行司は、違うエピソードで、6編の短編が収録されています。

この本、2004年に刊行されましたが、当時はそれほど売れませんでしたが、この裏筋が有名になって、4版まで重版するなど売れ行きが伸びているようです。

本能寺の変431年目の真実

2018-02-04 | 書評



昨年の大河ドラマの直虎の終盤の本能寺の変は近年注目を集めている、家康関与説をベースに話が進みました。
この家康関与説を本格的に主張したのが、明智憲三郎氏の「本能寺の変431年目の真実」です。筆者の明智憲三郎氏は、明智光秀の子孫と言われており、江戸時代は明智と名乗れず、明治期に明智姓に戻っています。

家康関与説の概要は、信長が天下統一目前で、同盟者である家康が邪魔になり、排除しようと考え、同時にその領土の三河遠江駿河の三ヶ国を乗っ取りを行う考えを、明智光秀とともに計画していました。その家康打ち取りの現場として考えていたのが、本能寺で家康は堺を見物後、本能寺にて開かれる信長主催の茶会に出席する予定でした。その本能寺で、家康は信長に対して謀反を起こして、光秀の軍勢で家康を打ち取り、返り討ちにするというのが信長が描いた筋書きだと筆者は主張しています。
この茶会の予定は、実際の本能寺の変の当日の昼間だったようで、光秀は数時間早く本能寺の変に進軍して、家康ではなく信長を襲ったことになります。
信長は自分で立てた策によって、足元をすくわれた、光秀は家康と共謀して、家康を打ち取る計画を、自分の主君を打ち取る計画にすり替えたことになります。

ところで、なぜ本能寺なのかというと、反逆していない家康を安土城で打ち取ると、誰にも信用されず、同盟者や家臣が離れていしまうのを避けるため、家康が反逆してきて返り討ちにしたということにしなければなりません。さすがに安土城で信長を家康が襲うのは無理があり、返り討ちにしたという主張はだれも信じないので、信長の家来の少ない本能寺で家康が信長を襲ったということにしたようです。

家康が光秀と共謀していた証拠はないのですが、家康はどさくさに紛れて旧武田領の甲斐信濃を手に入れています。この行動がかなり手早く、事前に情報を得ていたと考える方が自然です。神君伊賀越えと言われる、堺から三河への逃避行も、事前にルートの調査していたのではのかと思われます。


閑話休題、江戸時代に書かれた軍記物の記述は全くもって信用できないのですが、信長に近習していた太田牛一が書いた信長公記もかなり正確な記述ながら、本能寺の変になると、途端に内容が怪しくなり、記録から物語に転化してしまいます。
秀吉が本能寺の変に発表した、惟任退治記は秀吉に都合の良いだけが書かれており、これによって怨恨説が広まりました。

当時の寺社や公家の記録はある程度信用できるので、それをベースに色々推理すると色々謎が出てきます。

1つ目の謎は信長は筒井順慶を本能寺に呼び出しています。順慶は軍勢を引きいて大和から京都へ向かっていました。
2つ目の謎は本能寺の変にて、信長の嫡男の信忠も同時に死んでいます。信忠は二条御所(現在の二条城とは異なる)に立てこもっています。その襲撃時間が本能寺よりも数時間後という時間差があります。
3つ目の謎は光秀で本能寺の変のあと、迷わず安土城に進軍し無血入城しています。信長は中国攻めを予定しており、その軍勢が安土城に集結している可能性がありました。
4つ目の謎は信長はなぜ無警戒で本能寺にいたのか。

これら4つの謎のうち、2つ目以外はある程度説明はつきます。
信長は中国攻めを行うため、安土から京都に来ていました。この信長を護衛して中国地方まで行く、軍勢が誰なのかという疑問があります。光秀は当初の予定では丹波亀山城から中国地方へ向かう予定を変更して、京都へ攻め入ったと思われていますが、もともと信長に京都に呼ばれていたのではないかと。
つまり光秀が信長を護衛して、中国地方の毛利攻めを行うということで、光秀の配下の筒井順慶も光秀と合流するため京都に向かっていたのではないかと考えられます。
そのため、安土城には留守居役の蒲生親子などの僅かな軍勢しかおらず、無血入城できたのでははないかと考えられます。
となると、もともと光秀が来る予定だったので、信長は本能寺で無警戒だったということになります。
自分は色々考えたのですが、以前読んだ本でこのような主張がされていて、これが一番辻褄が合います。

ところで、本能寺の変光秀無罪説というのもあります。本能寺の変に光秀が関わってないという説です。用意周到な光秀が本能寺の変の後、なにもしないまま、秀吉にあっけなく負けたという点など、その状況に突如として放り込まれたとしか思えない行動を取っています。
光秀は本能寺の変当日昼頃まで京都に姿を表さず、実際に軍勢を指揮し本能寺と二条御所を攻めた実行犯は重臣の斎藤利三になります。そのため、利三が独断で本能寺の変を起こして、光秀はその後始末を不本意ながら引き受けることになったのではないかという説があります。

ところで、この本では光秀の前半生について推理しており、もともと室町幕府重臣の細川藤孝の家臣で、足利義輝暗殺で足利義昭が京都から落ち延びたとき、義昭側の幕府の家臣が不足したため、藤孝が自分の家臣の光秀を室町幕府の官僚に推薦したと推理しています。藤孝と光秀はその後、盟友関係が本能寺の変の直前まで続くわけです。


ビブリア古書堂の事件手帖4

2017-03-18 | 書評


ビブリア古書堂の事件手帖の4作目、栞子の母親が出てきます。今回は江戸川乱歩の作品を取り上げた長編です。江戸川乱歩というと日本のミステリーの草分け的存在です。自分は江戸川乱歩というと、土曜ワイド劇場の江戸川乱歩シリーズ、とくに天知茂の明智小五郎のイメージが強いのですが、この本では初期の作品の二銭銅貨や少年探偵団が取り上げられています。二銭銅貨の暗号と同じく、点字がこの作品のキーポイントになっています。
設定としては、東日本大震災の直後の時間となっていて、災害の直後は蔵書が放出されるケースが有るという記述がありますが、妙に納得出来る話だったります。

それで、半ば黒歴史化しているドラマではこの4巻が最終話でした。剛力彩芽の母親が安田成美でしたが、それほど違和感はありませんでした。