goo blog サービス終了のお知らせ 

nishimino

にしみの鉄道情報局付属ブログ

昨夜のカレー、明日のパン

2020-06-22 | 書評


木皿泉著の昨夜のカレー、明日のパンを紹介します。筆者の木皿泉はもともと夫婦でコンビを組んでいる脚本家で、野ブタをプロデュースなどの脚本を手かげています。この本は初の小説の作品で、2013年に単行本で発行されています。
その後、2014年に仲里依紗主演で、NHKでドラマ化されています。この時のドラマの脚本も木皿泉が手掛けていて、ドラマの原作と脚本の筆者が同じです。
ドラマが先で、小説が後のケースではたまにありますが、小説が先でドラマが後だと、脚本小説が同じなのはあまり記憶にありません。

配偶者と死別した嫁が、実家に帰らず義父と同居しています。7年も前に亡くなった人を思い続けて、義父と同居する物語ですが、原作は泣けてきます。ただ、ネタバレになりますが、新たな道に進んで、義父と同居のまま新しい人と再婚することなりました。

ドラマを見て文庫を買って、6年後に再び読み直してみましたが、途中悲しい話もあるものの、パッピーエンド的な終わり方でいいなあと感じたところです。

余談ですけど、この時初めて仲里依紗と星野源(7年前に死別した設定で回想シーンのみ)をテレビで見ました。自分は星野源がその後、あそこまでブレイクするとは思っていませんでした。

アリバイ崩し承りますの小説とドラマ

2020-03-26 | 書評


少し前、浜辺美波安田顕主演でドラマ化されたアリバイ崩し承ります。原作の本を読んてみました。原作とドラマで事件内容や関係者、トリックほぼ同じですが、警察側の設定はかなり違っていて、原作では新米刑事ですが、ドラマではキャリアの捜査一課管理官(本来捜査一課にキャリア警察官はほとんど配置されない)で安田顕が演じています。さらに、時計店の空き部屋に下宿という形になっています。
またそれ以外の登場人物も、ドラマオリジナルで、警察側のストーリーがなかなか良くできていました。
なお、浜辺美波演じる時計店の店主の時乃も少しキャラが変わっていて、原作では時計店の中で、話を聞いてアリバイ崩しを行う安楽椅子探偵ですが、テレビドラマでは、積極的に事件に首を突っ込んである程度現場に出向いて事件の証拠集めをしています。

小説はミステリーとしてもかなり読み応えがあり、ドラマとは対照的に事件関係者以外のストーリーを極力排除しています。そのため、かなり謎解きに集中できる作品となっています。

図鑑NEOメーカー

2020-01-08 | 書評
小学館の図鑑NEOがユーザーの「好きな図鑑」を募り、新しい図鑑のテーマを決める参考にしようという試みで、1月31日までの期間限定です。

というわけで、早速作ってみました。





どちらかというと読みたいというより作ってみたい養老鉄道の図鑑です。

とりあえず、思いつくままにいろいろな図鑑を作ってみました。


1960年代から1980年代までの気動車急行の全盛期は、九州や東北では多層建て列車が多数運行されていて、本が1冊出来るぐらいの複雑な運行系統で運用されていました。

トロリーバスの書籍は、ほとんど存在しない(近年では電気車研究会の「日本のトロリーバス」が唯一と思われる)ので、欲しい図鑑です。

いま鉄道の分野で細分化した図鑑を作るとしたら、クルーズトレインでしょうか。

これは、どちらかと書籍というより、大井川鉄道の売店のお土産のような。

まあこれは、どう考えても需要はないでしょう。専用貨物列車による石灰石輸送も美濃赤坂から名古屋南港間の輸送が唯一になりました。

更にマニアックなダイヤモンドクロッシングの図鑑。路面電車全盛期はどれぐらいダイヤモンドクロッシングがあったんでしょうか。

こちらもかなりマニアックな、クモハ123や105系、119系、事業用のクモヤ143や、クモル145の図鑑になります。


蒸気機関車とブルートレインの図鑑は1980年は多数出版されていて、ある意味鉄道系の図鑑の王道かもしれません。

https://neogenerator2020.com/

城が無くなる

2019-07-27 | 書評


「日本から城が消える」加藤理文著洋文社刊を紹介します。日本から城がなくなるというのはセンセーショナルですが、戦後鉄筋コンクリート(RC)で再建された天守閣が耐用年数を迎えて、再建が難しくなっているということです。文化庁の方針で、史跡内の再建は原則木造になっています。
名古屋城の木造再建が話題になっていますが、それ以外でも木造再建の動きが出ています。

ただ、鉄筋コンクリート造の復興天守もすでに50年近く立っていて、文化財的価値が出てきているのではないかと思えます。戦前の近代建築には重要文化財指定を受けたものが多数あり、戦前に建てられた鉄筋コンクリート造の大阪城天守閣も登録有形文化財指定をうけています。天守は何度も落雷等の火災で焼失したので、再建するときに鉄筋コンクリート造になったのは、燃えない天守をという人の思いもあったようです。
戦後復興の象徴として、各地で天守が再建され、それが文化財的もあるのではないかと思います。

城跡も明治維新後、市役所や県庁などが建設され、福井城は本丸に県庁と県警本部があります。史跡の保護としては問題ですが、政治の中心としての城の使い方としては、限りなく正しいとも言えます。

ヒラノ教授

2019-04-17 | 書評


工学部ヒラノ教授の著者の今野浩は、統計学金融工学の専門家として、理系大学の教授をしていました。いくつかの大学を渡り歩き、同氏が数学系ということもあり、教養学部から工学部に移動した関係で、文系の研究者と理系の研究者の両方を見ていて、本書はその実態を書いた本となっています。

自分も、工学部出身なので、ある程度は知った世界ですが、工学部の暴露本的な本となっています。

研究費確保方法として、すでにやってしまった研究を、あたかもこれからやるように研究費の申請書に書くというものもありました。国立大学と私立大学では、実態が違って、国立大学は研究費や出張旅費などに申請はまさに役所で、同じ工学部でもここまで異なるのかと驚きました。
この本では研究費の使い方、使われ方など、工学部の実態がよく書かれています。