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nishimino

にしみの鉄道情報局付属ブログ

730車 考

2014-05-10 | バス(車両)
沖縄の道路交通は1978年7月30日に、右側通行から左側通行へ道路交通がすべて改められました。沖縄の路線バスは、この時期にほぼすべての車両を新車に入れ替えています。
数年前、NHKのクイズ番組でこの交通変更で、最も経費が掛かったのは何でしょうという問題があり、正解は路線バスの入れ替え費用でした。
沖縄の路線バス会社4社で、約1200両のバスのうち、約900両を新車に入れ替え、約160両のバスが左ハンドルから右ハンドルへ改造されました。この大量に入った新車は、通称730車と呼ばれることになります。ちなみに左ハンドルから右ハンドルへの改造車は729車と呼ばれており、1990年頃にはすべて全廃されたようです。

730ではバス車両の大量導入が必要だったので、会社ごとに車種が決まっていました。沖縄バスが三菱ふそうのMP117Kに呉羽G4ボディ、那覇交通(現那覇バス)がいすゞBU04に川崎製車体、東陽バスが日野RE101、琉球バスが日野RE101と日産ディーゼルU20Lに富士3Eボディが導入されました。

1990年代に入った頃からこれらの730車の入れ替えを、沖縄の4社のバス会社は頭を悩ませる事になります。1990年代後半になるとネット環境が整い、バスマニアが大挙して沖縄を訪れ、ネットでこれらの730車が紹介され一大ブームになりました。
この頃には、首都圏バス事業者からの中古車や観光バスからの格下げ車などで、半数以上が置き換わっていましたが、まだまとまった台数が在籍していたようです。

沖縄の4つのバス会社のうち、730車は那覇バス(元那覇交通)では2005年に、琉球バスでは2007年、沖縄バスでは2003年、最後まで残った東陽バスでは2008年までに置き換えられています。
ただ沖縄バスと、東陽バスでは1両が残され、再整備され週1回定期運行しています。沖縄バスの車両は日曜日の早朝に運行するので、那覇バスターミナルに夜間留置されるようです。


那覇バスターミナル 撮影 2014年3月1日


ところで、沖縄に意外に少なかったのが、1980年代前半のバス。ブルドックこと三菱ふそうB35ボディは、1983年製が沖縄バスに若干在籍していたようですが、本土から流れてきた車両はほとんどなかったようです。
いすゞC系のバスも同様に少なく、わずかに在籍た那覇交通の車両はすべて、セミモノコック(と言うよりバケルトン)に改造されていました。

日野の垂直エンジンを搭載した初期のスケルトンボディのK-RT・RU/P-RT・RU系と、富士5Eの前期型のリベットボディ車、シャーシだと日産ディーゼルK-U31系は、沖縄には新車中古車ともほとんどいなかったようです(5Eの後期型のパネルボディ車は沖縄に結構な数がいます)。


沖縄のバスですが、各社とも新車中古車の導入が進んでいて、現在で車両の置き換えがそれほど遅れているわけではないようです。

東海地方のバス

2014-04-06 | バス(車両)
名古屋を中心とした東海地方のバスは、関東地方とも関西地方とも異なる仕様のバスが多く見られます。最近では標準化の影響で、影が薄くなりましたが、特徴的なところも何箇所かあります。

関西地方では一般的な前後扉車。東海地方でも少なからず見られますが、ほとんどが郊外線長距離路線用で、市内用としてはあまり見られません。市内路線に前後扉車が多い関西地方とは対照的です。
逆に長距離路線でもトップドア車は少なく、この点関東地方とも対照的です。


豊橋鉄道バス 撮影 伊良湖岬 2004年4月17日



岐阜バス 撮影 岐阜バス柿ヶ瀬営業所 2005年7月10日




京阪バス 撮影 枚方市 2004年6月7日

前後扉車にはもう一つ特徴的な点があり、東海地方のバスの前後扉車の後ドアはほぼ例外なく、折戸となっています。この点は名鉄系の事業者だけではなく、名阪近鉄バスや少し離れた静岡鉄道(しずてつジャストライン)などでも見られる仕様です。
滋賀県の近江鉄道バスや帝産湖南交通なども、後ドアは折戸なので、名古屋の影響もあるのかもしれません。


名古屋市交通局 撮影 引山バスターミナル 2006年10月6日



奈良交通 撮影 学研奈良登美ヶ丘駅 2006年4月15日



関東バス 撮影 新宿駅西口 2006年9月16日


後ドアが折戸の象徴的なのが、名古屋市バスで、一時期入れていた3ドア車の後ろドアは折戸となっていました。全国的に見て、3ドア車は関東地方関西地方とも、中ドア後ドアとも引き戸で、折引き折の3ドア車は名古屋市以外では殆ど見られません。
ただ、名古屋市交通局は1970年代に前後扉車を入れていた時期があり、この時は後ろドアに引き戸のバスが導入されていたようです。


窓は逆T字窓と横引き窓(メトロ窓)、2段サッシ窓が混在していて、この辺りは地域性はありません。ただ、関西関東に比べて、横引き窓が若干多いようです。
特徴的なのは2段サッシ窓を除いて、横引きカーテンのバスが多く、関西に多い逆T字窓にロールカーテンという組み合わせは、知る限り存在しません。

東海地方のバスは、名鉄や名古屋市交通局の仕様が、名鉄グループ以外の事業者にもかなりの影響を及ぼしているようです。

ハイデッカー導入に戻った福岡-北九州線の車両

2013-06-13 | バス(車両)
福岡天神~小倉・砂津間の高速バス、なかたに号、ひきの号、いとうづ号は、3系統合わせて1日127本(平日)が運転されており(中間高速を除く)、日本一の運転本数があります(注)。

従来、なかたに号、ひきの号、いとうづ号は、西日本車体工業製廉価版ハイデッカーのS形のエアロバスが用いられていました。


撮影 2012年11月9日 小倉駅前


2000年からは、通称B高速と呼ばれる西日本車体工業製B形のトップドア車が導入されています。架装されるのは路線バスのシャーシですが、高出力車でサブエンジン式のため、夏季に冷房で出力が低下しないため、高速道路を走る性能は十分に有ります。改造扱いでホイールベースを伸ばしており、車体は観光バスと同じ12mの長さがあります。


撮影 2011年5月13日 小倉駅前


B高速は、当初三菱ふそうエアロスターのターボ車でしたが、2005年以降はシャーシの供給の関係で、日産ディーゼル車に移行しています。
なお、近年は通常の路線バスのエンジンでも高速道路走行に必要な出力が十分に有るため、B高速も2006年からクーラーがサブエンジン式から、直結式に変更されています。


撮影 2013年5月10日 西鉄天神バスセンター


西日本車体工業が2010年に生産終了になると、今度はエルガやブルーリボンIIのトップドア車が高速用として導入されます。車内は高速バス仕様になっていますが、さすがにホイールベースの延長は出来ず、座席定員が1列分少ないそうです。


撮影 2013年5月10日 西鉄天神バスセンター


2012年にはエアロエースが大量に導入されました。いとうづ号やなかたに号は一般道区間の停留所が多いため、ドア開閉を考えるとスイングドアで大丈夫なのかという気になりますが、今の観光バスボディには折戸の設定が無いので致し方ないところかもしれません。

撮影 2013年5月10日 西鉄天神バスセンター

このエアロエースですが、廉価版のジャストというモデルになります。セレガで言うところのリミテッド、ガーラのVPに相当するモデルです。
聞くところによると、一切のオプション無し、注文書を貰うと打合せ無し、完成検収無し、二次架装はディラーが直接依頼する(西鉄だと共栄車体)ということだそうです。
エアロスターの高速バス仕様車も名鉄グループなどで見られますが、トルコンATなので、MTの設定があるエアロエースが導入されたのかもしれません。エルガやブルーリボンIIの座席定員の少なさもあり、福岡-北九州線は路線バスベースの車両からハイデッカー車主体に戻るのではと考えています。

ところで、福岡-北九州線などの各高速線から外れたB高速はというと・・・

撮影 2013年5月10日 西鉄天神バスセンター

赤間急行に転用されていいるようです。赤間急行は都市高速経由で、一般道走行区間が長いため、適材適所のような気がします。


注釈:高速バスの運転本数ですが、単一路線だと運転本数はなかたに号よりも高速おたる号(高速札樽線)の円山経由の方が多くなります(高速ニセコ号、高速よいち号、高速しゃこたん号、高速いわない号を除く円山経由の高速おたる号が71本、なかたに号が59本)。

ガイドウェイバスの新車

2013-05-29 | バス(車両)
ゆとりーとラインに開業以来11年ぶりに新車が入り、4月末から営業運転を開始しました。


撮影 中志段味

いろいろなサイトの情報から判断すると、最新型の日野ブルーリボンシティハイブリットが6両導入され、車番はG-01~G-06となるようです。
本年度中に25両導入され、さらに来年度に5両導入で全30両体制になるそうです。今までが25両体制でしたので、5両の増車になります。今までと同じく、全車が名古屋市交通局大森営業所に委託管理の形になっています。

型式ですが、おそらくLNG-HU8JLGP改になるのではないかと思います。鉄道車両としての形式はGB-2110となっています。ガイドウェイバスの従来車はすべてトルコンATでしたが、ブルーリボンシティハイブリットはMTの設定のみのため、ガイドウェイバス営業車初のMT車となります。


ガイドウェイバスは案内輪が床下にあるため低床化が困難で、かなりレアなツーステップバスとして導入されています。
いまでも路線バス向けモデルのツーステップバスは、自家用や特定輸送、近距離高速などで製造されていますので、製造自体は可能ですが、トップドア車ならともかく路線バス仕様の前中扉のため、特注での製造になると思われます。

路線バスとしては珍しいアルミホイールを履いているのが気になりますが、一説ではハイブリット車のため、ガイドウェイバスの高架区間の制限重量が厳しく、少しでも軽量化するためだとか。従来は全長10.5mの標準尺でしたが、今回の新車は全長10mの短尺で、これも軽量化の一つでは無いかと思います。


撮影 大曽根


ガイドウェイバスは低床車の普及が始まっていた2001年当時としても珍しいツーステップバスが導入されました。いろいろ意見がありましたが、リフト付きバスを導入することで、車椅子については対応を行いました。
なおガイドウェイバスは旧交通バリアフリー法の条文で低床車の適用除外とされていました(行先表示器などの他のバリアフリー要件は適用される)。バリアフリー新法ではガイドウェイバスの適用除外は条文にないものの、施行規則にてガイドウェイバスを想定したと思われる条文が入っています。

更新前の車両も長期規制適合車で、排ガス規制の影響を受けないため、12年での置き換えの必用は無いのですが、来年までに車両はすべて入れ替えるようです。
想像ですけど、ガイドウェイバスは高架上での車両故障が発生した際に、処置が大変なため、早めに車両を代替して行く方針ではないかと考えています。

撮影 2013年5月25日

広電バスの西工

2013-04-21 | バス(車両)
広電バスというと、現在はほとんど純正車体のバスを入れていますが、かっては西工製のバスも入れていました。



P-LV218M 撮影 広島バスセンター 2006年3月17日


このバスは1985年式のいすゞ車。広電バスの郊外線の場合、郊外の団地への坂を登り降りする系統が多く高出力車で揃えられているのが特徴で、このバスもいすゞの高出力車です。郊外線用で標準床らしく、側面窓がやたら高い位置にあります。広電バスのいすゞ車は、これ以前は川崎車体でしたが、しばらくの間西工のみで導入されることになります。中ドア引き戸の郊外線仕様車だけではなく、市内線用(とは言っても標準床)のワイドドア車も在籍していたそうです。
なお広電バスの西工ボディのバスはいすゞ車が大半でしたが、日野車や三菱車でもこの時期導入されています。


U-LV218M 撮影 広島駅前 2009年3月28日

こちらは1991年式のいすゞ車。クーラーが集中式に変わっている以外は、ほとんど同じ仕様になっています。これ以降、広電バスのいすゞ車の導入は2004年まで途絶えることになります。
なお、広電バスの西工は呉市バスからの移籍車の中に、2004年式の日産ディーゼル車が混じっていたため、中古車ではありますが、この後復活することになります。