トライアングルの部屋

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お文の影 宮部みゆき

2024-03-03 15:11:17 | 本 2024年
江戸時代のあやしの世界の物語が六話

坊主の壺

掛け軸に描かれた壺
その中に坊主の姿が見える者だけに与えられた
不思議な力
それは疫病から守る力

お文の影

子供たちが影踏みをしていたら
ひとつ影が多い

この話で政五郎親分と
たくさんの捕物を記憶するおでこも登場

子ができない夫婦はもらい子をすると
すぐに授かるという言い伝え

それでもらわれた子がお文

しかしそれでも子はできず
夫には外に子供ができてしまった
そのことで正妻とお文は追い出される
そのために正妻に虐待されたお文
折檻がもとで亡くなってしまう

影だけがこの世に残り
子供たちと遊んでいる所に
現れる

政五郎は
最初に影に気づいた男の子の力も借りて
影をあの世に送ってあげる

博打眼

黒い蒲団に五十の目玉

ご先祖様が博打眼と約定を結んだ

それの主となると
どんな大金を賭けた博打にでも
勝てるようになる
たとえ相手がいかさまを仕掛けても
見抜いて勝ってしまう
しかしそうやって儲けた金は
どんどん使わないといけない
そうしないと博打眼の放つ悪気にやられて
死んでしまう

博打うちに酒や女はつきもの
そうやって暮らしているうちに
身体はボロボロ命を落とす

そして次の代へ

この代で終わらせるため
倒すのに力を貸したのは
八幡宮の狛犬

必要なのは五十の犬張り子

それも金で買い集めてはいけない
あちこちの家に飾られてあるのを
もらい受けなければならない
という面倒さ

討債鬼

人が生きていたころ
誰かに何かを貸して
多くは銭金だが
それを返してもらえず
恨みを抱いたまま死んでしまうと
その妄執のために亡者になる
そういう亡者は借り主の子供に
生まれ変わって
病がちになり高い薬礼を使わせたり
放蕩三昧して身上を蕩尽したりして
貸していたと同じだけの金を
費やさせて
恨みを晴らす
それが討債鬼(とうさいき)

旅の坊主にそれが憑りついているから
子供を始末しなさいなんて言われてしまった男

実はよそに女がいて
坊主はその兄だったというわけ

ばんば憑き

子供ができない夫婦が湯治に行った帰りの宿で
老女と相部屋となり
彼女が話す昔ばなしを聴くのは夫だけ

わがまま放題の妻は酒に酔い
眠りこけている

その昔ばなし
ある女が
両想いの結婚まじかの男に片恋し
妻になる女の方を殺してしまった

代官所に届けを出せば
不行届きでお咎めを受ける

それで亡骸から魂を呼び出し
殺めた者の身体に下して宿らせる
それがばんば憑き

ばんば憑きの不思議な所は
だんだん外見も仕草も似てくるのだと

野槌の墓

主人公の名前が
柳井源五郎右衛門
長い名前だなあ

この話には化け猫登場
美しい女に化けて
源五郎右衛門の所に
人を襲う物の怪を退治してほしいと
頼みに来る

その物の怪は槌

この話でも
子供の虐待が出てくる

昔も多くあったということか

子供を殺すのに使われた木槌

忘れていたのに

折檻されて死んだ子供の亡骸が
藪の中に捨てられた

それを木槌が見てしまったために
自分が子殺しだったことを思い出して
おかしくなり
人を襲うようになったという

槌の類のものが化けると
野槌という物の怪になる



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