ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。2

2009-04-12 22:43:54 | アスペルガー症候群
『子供たちの特性を活かす  アスペルガー症候群』宮尾益知 日東書院

の中には、
「死ね」「殺す」などの言葉の使い方と使える場所を教えてあげて、
練習することも有効です。

という一文があります。
「死ね」や「殺す」を練習するっていったいどういうことなんでしょう?

テレビをつけると、戦闘シーン、映画のシーン、
お笑い芸人が冗談で言う「死ね」「殺す」の言葉、
ニュースの殺人事件の報道、子供向けのアニメで冗談半分に使われる「死ね~」「殺す」の言葉…

子供たちは、毎日こ
うしたショッキングな言葉に触れながら
生活しています。
アスペルガー症候群の子は、場面や状況によって
「良い・悪い」が変わることが理解できません。

ですから、幼稚園で「死ねと言ってはいけません」と言われれば、
お家で使うでしょうし、お家で禁止されれば、病院やスーパーで使うかもしれません。
本人はテレビのヒーローが使った言葉として認識して、
ダメと禁止されている場面以外では使っていいと思っている可能性があるのです。

ですから、戦争のような場所で使うもの
と使うシーンそのものを教えることで、それ以外は使ってはダメなんだ~
と学ばせることになるのです。

アスペルガー症候群の子は、視覚認知優位なので、
ショッキングなシーンといっしょに聞いた言葉は、
何度もふっと思い出して使ってしまう…という状態になりやすいです。

認知処理形態として、部分にこだわってしまうため、
大人が一番学んでほしくない言葉や、使ってほしくない言葉に
こだわりを感じてしまう場合もよくあると思います。

そうした理由とは別に
アスペルガー症候群の子やその周辺のグレーゾーンの子どもたちが
「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使う理由は、
「死」ということはもっともわからない言葉だから…
と言えます。

アスペルガー症候群の子は、生きたあとにくる「死」の存在を意識できないのかもしれない…と言われています。
想像することが、非常に苦手なのです。
ですから、その言葉の持つ深刻さがわからずに
残酷な言葉を多用してしまうのかもしれません。

私はこうしたハンディーキャップを持った子が
周囲を驚かすような言葉を使う場合、
社会そのもののあり方や報道の仕方を反省していかなければならないと感じています。
何でもテレビのせいにしたいわけではありません。

しかし、アスペルガー症候群の子にとってテレビの影響は、
想像以上に大きいのです。
親の言葉のニュアンスは真似ないのに、
テレビのニュースの標準語をそのままコピーしたように使ったりする…という
特徴を持っているくらいです。

海外ではアスペルガー症候群の人の起こす残虐な事件は皆無といっていいほどなのに、日本では殺人事件が何度も起こっていることからも
報道のあり方を見直していかなければならないと考えています。


web拍手を送る

「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。

2009-04-12 08:16:20 | アスペルガー症候群
知人の幼稚園に通っている娘さんが
「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」といった言葉を
よく使う点についてご相談を受けました。
この娘さんは、感覚過敏、認知の偏り、こだわり、パニックに似た状態が
赤ちゃん時代からたくさんあります。
アスペルガー症候群の積極奇異タイプの子と
よく似た印象ですが、
サリーとアンの課題には正しい答えを出せます。

私はサリーとアンの課題はクリアーするけれど
社会的認知能力に明らかな問題が感じられる子に
会うことがよくあります。

他の人の感じ方や考え方を察知すること
年齢、権威、序列などの概念を理解する
恥ずかしさや周囲の状況を理解する
相手の意図を読み取る
言葉の意味概念を正しく理解する

ことが、その年齢の他の子たちと質的なちがいを感じる子です。

けれども心の理論がわかっているかどうか…に絞ると
わかっているのです。

そうした4~6歳の子をお持ちの親御さんから、

「大きくなったらお母さんを殺す」「死ね」「死にたい~死にたい~」
(お母さんがお出かけしている間に)「お母さんは?死んだの?」といった
発言があったのですがどうしましょう?

というご相談を受ける場合があります。
それが、こうしたタイプの子とこうした言葉はセットにでもなってるように…
めずらしくないのです。

こうした言葉自体を取り上げると
なんて恐ろしい子…!と感じるかも知れません。
が、
そういう言葉をよく使う子というのは、いっしょに過ごしていると
その年代の一般的な子よりずっと純真無垢で幼く
気持ちの優しい、子どもらしい子どもなのです。疑うことを知らず、人を評価しません。
「殺す」「死ぬ」という言葉に恨みや憎しみや自虐の気持ちはこもっておらず
「あっち行って!」「嫌!」といった言葉と
同じような感覚で使っているのです。

引っ張ってしまって悪いのですが、レッスンの準備があるので続きは
次回に書きますね。


web拍手を送る