ニガイメ記

文章が苦手なので、イメージ写真でお茶をにごす日記
・・・の略。

世紀のデュオ

2007年11月23日 | NIKON mini

所沢ミューズへ。
ギドン・クレーメル&クリスチャン・ツィメルマンのデュオリサイタル。

「世紀のデュオ実現。」とは招聘元の宣伝文句。実際、この顔合わせは掛け値なしで世界の超一流。
曲目は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全3曲。ああ、期待が高まる。
2番→1番→3番、の順で演奏。

期待以上の、至高の演奏だった・・・。
こういうときはいくら言葉を費やしても、伝えきれない。

大物同士がぶつかりあう、丁々発止の大熱演、・・・とはならず。じつに良く融和した、大人の演奏。当代随一の名手らによる「技巧」も不必要に誇示されず、決してはみ出さず、吟味された一音一音によって、ブラームスの美を余すことなく表現。
クレーメルのブラームスといえば、アファナシエフと組んだ異形の演奏がかつて話題となったが、まるで違う。肩肘張らない自然体。表立った先鋭さは影を潜め、しかしながら、例えば1番の第1楽章の主題や第3楽章の「雨の歌」の旋律などはまごうかたなき「クレーメル節」であり、嬉しくなってしまう。持ち前の細身の音で、きわめて繊細に、考え抜かれた節回しは、完璧。
ツィメルマン、美しい音だ。包み込むような、土台から支えるような、二重奏としての最高の、理想的な合わせ方をする。すべての音型があるべき位置にぴたっと置かれる。
3曲通して聴くと、曲ごとの個性の違いも巧みにさりげなく表されたことに気づく。最後の3番にて、速めのテンポにて、迫力ある表現やスリリングな掛け合いも十分に見せ、高揚させた。

アンコールが、存外の大サービスとなった。フランクのヴァイオリン・ソナタから、第3楽章&第4楽章。
今回のツアーではフランクのソナタをメインプロに組んだ公演もあり、できうるならばそちらも聴いてみたかったとの思いのあったところへ、この僥倖だ。無論、素晴らしい演奏。クレーメルの音が、ブラームスの時よりやや厚みを増していたようだが、それは様式が考慮されてることの証しであろうか。流石だな。

毎度のことながら、所沢の中のひとには感謝です。良きホール、ありがたき低価格。来年度も好企画をぜひ。


camera: Nikon AF600QD (Nikon mini)  film: Agfa VISTA400