歌舞伎座・昼の部へ。
これぞ大歌舞伎!
腹に響き心を打つ、わくわくするような、ずっしりとした、大きな芝居を、古典歌舞伎の傑作を、私は見たかったのだ。本日は大満足だ。やっぱり吉右衛門。5月の演舞場といい、今月の「秀山祭」(初代中村吉右衛門生誕120年記念)といい、最近の気の入れ方、充実ぶりは歌舞伎ファンにとってたいへん喜ばしきこと。
四本立ての演目どれも高水準で楽しめた。当然、吉右衛門は二役とも理想的な出来栄えで。
一、『菅原伝授手習鑑・車引』染五郎 松緑 亀治郎 段四郎 種太郎
二、『双蝶々曲輪日記・引窓』吉右衛門 富十郎 吉之丞 芝雀
三、『六歌仙容彩』「業平」梅玉 雀右衛門 /「文屋」染五郎
四、『菅原伝授手習鑑・寺子屋』幸四郎 吉右衛門 芝翫 魁春 段四郎 福助 松江
目玉は、本当に久方ぶりの兄弟共演(幸四郎&吉右衛門、ともに初代吉右衛門の孫)となる「寺子屋」か。私の記憶する範囲では、この二人が大きな役同士で同じ舞台に立った芝居は、「寺子屋」「勧進帳」「引窓」「三人吉三」等、何度かはあったが、どれももう十数年前のことになる。幕内の事情としていろいろあったのだろうが、このたびまさかの共演が実現したことは何はともあれ喜ばしい。
その「寺子屋」は、さすがに松王(幸四郎)と源蔵(吉右衛門)の対決は気迫に充ちていて、しびれた。幸四郎がふだんの変な合理主義的解釈をあまり出さず、人物造型の大きさで勝負したような感があり、好感。ただし最後の桜丸切腹を思っての大落しで「桜丸・・・倅・・・」とやった点はかなり疑問。魁春(戸波)や段四郎(玄蕃)等、周りも良かった。
「引窓」が今日一番の上出来か。与兵衛=吉右衛門、長五郎=富十郎、お幸=吉之丞の配役は1994年の二代目吉之丞襲名披露と同じだが、その時もこれが当代一の「引窓」ではなかろうかと思ったが、今回も期待どおりだった。富十郎健在なり!それがファンとしてはただただ嬉しい。芝雀も良かった。
夜の部の「籠釣瓶」も楽しみだなあ。
お、
きりん舎のブログに良い感想文が出ているぞ。
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