で、本日は歌舞伎座團菊祭、夜の部へ。
まず十七世市村羽左衛門七回忌追善の「女暫」。
市村姓を継承している故人の次男・萬次郎が巴御前を。長男・坂東彦三郎、三男・河原崎権十郎、そして孫たちももちろん出演。
萬次郎がこれほどの大役を勤めることは通常ありえないので、これは見逃せまい(笑)。
いやはや思ってた以上に堂々たる主役っぷりで、立派立派。声量あるし。あの独特の声質も愛嬌ある顔立ちも、女暫のような古風で非現実的な芝居にはよく活きる。海老蔵の成田五郎、松緑&菊之助の鯰、三津五郎の舞台番、等々まわりもきびきびした演技で気持ちよく、楽しい「女暫」となった。
萬次郎のユニークさを、普段の大歌舞伎の興行の中でもっと活かせないものだろうか。期待したい。
中幕の舞踊二本「雨の五郎」(松緑)、「三ツ面子守」(三津五郎)も心地よく見物し、最後が「め組の喧嘩」。
「め組」は、團菊ともに初役の昭和62年1月浅草公会堂で見て以来、あまり好きになれない芝居だった。“演劇作品”として見たらこんなくだらないものはない、と。が、こっちもだんだん歌舞伎の楽しみ方が変わってきたせいか、たまに気楽に見るぶんにはこういうのも楽しくて良いかな、と今回は感じた。愚かきわまりない程ピュアな江戸っ子気質ってやつに、つい惹かれることもあるさ。
菊五郎の円熟。全員で盛り上げようとする劇団としての気迫とアンサンブルの良さ。
どういうわけか今日は團十郎に元気がなかったことと、留め男として出てくる左團次や梅玉の押出しが今ひとつだったことが惜しまれるけど。
またも手抜き感想文で申し訳ないが、以上にて。
camera: Minolta TC-1 film: Agfa ULTRA100