晴海トリトン名物<クァルテット・ウェンズデイ>シリーズ、第48回。
エルデーディ四重奏団による「メンデルスゾーン全曲演奏会」、その2回目。
3月の1回目は所用で聞けず残念。本日は大いに期待。
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲って、クラシックファンの間でもあまり知られていないのかも。
名曲名盤ガイド本の類にもほとんど出てこないし、かつてはレコードも少なかった。
しかし、1990年代あたりから若手~中堅どころの意欲的な団体が続々と取り組みだし、個性的なCDも揃ってきた(「国内盤」は依然少ないが)。
室内楽の世界ではちょっとしたブームの様相。
皆、こんな良い曲何で今まで知られてなかったのだろう、との驚きをもって受容し、はまっていく人も多数。
番号付の6曲はすべて傑作!・・・と私も断言しちゃう。この作曲家に対する先入観をひっくり返すこと請け合いの、凄みのある、充実した作品群。第何番からでもいいから、ぜひ聴いてみて!
CDでは、まずはヘンシェルSQの全集がおすすめ。演奏抜群で、Arte Nova レーベルだから安い! 3枚組1500円程度で買えると思う。
さて、本日のプログラムは、
第2番イ短調Op.13 / 第3番ニ長調Op.44-1 / 第6番ヘ短調Op.80
良い並びですなぁ。
特に第6番は、生で聴けるというだけで狂喜してしまうほど好きな曲。最晩年(といっても38歳だが)の、最愛の姉を亡くし心身衰弱していく中で書かれた、ある境地を覗かせる、実に深い曲だと思う。希求と抵抗とがせめぎ合う異様な音楽・・・、うまく言えないが。
演奏も良かった。切れ味の鋭さやマッシヴな迫力を売りにするタイプではなく、なによりもまずアンサンブルの妙味を堪能させてくれる。丁寧に歌い、強弱の変化への対応が絶妙。良い意味で、はみ出さない演奏。激しくあるべきところ(6番の終楽章など)の激しさも十分。
アンコールは、4つの小品Op.81からカプリッチョ。
↓チラシのコピーをまるごと引用。
「青春時代、充実期、そして早すぎる晩年。
全生涯を託すが如く、
メンデルスゾーンは弦楽四重奏のすべてに、
天の賜物の証を漉き込んだ。
全世界を席捲する再評価の怒濤の中で、
エルデーディの4つの弓弦の歌声を聞け。」
この謳い文句から期待されるものには十分応えてくれた、素敵な演奏会でした。
それにしてもSQWシリーズは、好企画が多い。今後も楽しみ。
camera: Minolta TC-1 film: Kodak HD400