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タウはどのようにしてシナプス間を伝わるのか

2016-11-15 06:06:56 | 
Researchers reveal how neurodegenerative diseases spread through the brain

November 9, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/11/161109085807.htm

シナプスは脳細胞がお互いに接触する場だが、有害なタンパク質の伝達transmissionにも重要な役割を演じる
それによりアルツハイマー病のような神経変性疾患は脳内に拡がることが可能になる
これはVIB-KU LeuvenのPatrik Verstreken教授を中心とする新たな研究の主な結論である
研究にはJanssen Research & Development (Johnson & Johnson) が協力した

※VIB-KU Leuven: ベルギーのルーヴェン・カトリック大学/Katholieke Universiteit Leuven(KU Leuven)内にあるフランダース・バイオテクノロジー研究機関/Flanders Institute for Biotechnology(VIB)

もし有害なタンパク質の拡散を阻止することができれば、神経変性疾患の進行はかなり抑制される可能性がある
この研究の論文はCell Reports誌で発表される


アルツハイマー病を含む神経変性疾患では、有害なタンパク質が脳全体に拡がることが知られている
疾患が進行するにつれて、さらに多くの脳の領域が徐々に冒されていく

VIB-KU LeuvenのPatrik Verstreken教授は次のように言う
「コップの水にインクを一滴垂らすのと同じように、有害なタンパク質は脳全体に拡散していく
アルツハイマー病は脳の既存の経路をたどって拡がることが既に知られているが、具体的にどのプロセスが拡散それ自体を可能にするのかはこれまで不明だった」


遺伝的なリスク要因
Genetic risk factors


VIB-KU Leuvenの研究者たちは今回の研究で、有害なタンパク質の伝達を仲介するために決定的に重要なのはシナプスであるという証拠を提供し、このプロセスの背後にあるメカニズムを明らかにする

有害なタンパク質は『小胞vesicles』に取り込まれるengulfedことによって脳細胞から脳細胞へ伝わることが研究で示された
この小胞とは、受け取る側の脳細胞が使う『小さな泡small bubbles』のような構造である
受け取られた小胞はそこで破裂し、有害なタンパク質を放出する

Patrik Verstreken教授は次のように説明する
「我々は『家族歴familial history』がどのようにしてこのプロセスに影響するのかについても示す
ヒトの集団にはアルツハイマー病の発症リスクを上昇させる既知の遺伝的要因が存在するが、
BIN1という一般的な遺伝子バリアントgenetic variantsの一つがシナプスでの有害なタンパク質の伝達に直接影響することを我々は示す
BIN1はシナプスでの伝達を『改善』するが、その際に有害なタンパク質の拡散を可能にする」


次のステップ
Next steps


これらの発見は、神経変性疾患の治療法に関する新たな見方perspectivesをもたらす
有害なタンパク質がどのようにして脳細胞の間を伝播passed onするのかを理解することにより、
そのプロセスを阻害したり、または有害なタンパク質を細胞の『ゴミ入れ/waste bins』へ送るといった治療アプローチを突き止めることが可能になるかもしれない

Janssen Research & Developmentの科学顧問scientific directorであるDieder Moechars博士は次のように言う
「我々の研究はin vitroの実験を基にしたものであり、したがって、in vivoのアルツハイマー病モデルで我々のモデルをテストすることが重要だろう
拡散のメカニズムを知った今、それに干渉するための賢い方法を開発することが我々には必要だ」


http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2016.09.063
Bin1 Promotes the Propagation of Tau Pathology.
Bin1はタウ病理の伝播を促進する



Highlights
・培養細胞において、エンドサイトーシスはタウ病理の伝播に干渉する
・BIN1は、エンドサイトーシスの流れの負の調整因子negative modulatorである
・BIN1のレベルとタウ病理の伝播は逆の相関を示す
・内部に取り込まれたinternalized タウの凝集物は、エンドソームの膜を透過性にするpermeabilize


Summary
タウ病理Tau pathologyはシナプスで接続された神経回路の内部で伝播propagateするが、根底にあるメカニズムは不明である

BIN1-amphiphysin2は、遅発型アルツハイマー病で二番目に多い遺伝的リスク要因である
疾患の脳ではBIN1-amphiphysin2 のニューロンでのアイソフォームが下方調節されている

今回我々はニューロンでのBIN1-amphiphysin2レベルの低下がタウ病理の伝播を促進することを示す
一方、ニューロンでのBIN1-amphiphysin2の過剰発現は、2つのin vitroモデルでこのプロセスを阻害した
BIN1-amphiphysin2がエンドサイトーシスの流れを負に調節するという我々の発見を考慮すると、タウ伝播の増加はエンドサイトーシスの増加によって引き起こされたと言える

さらに、ダイナミンdynaminを阻害することでエンドサイトーシスを阻止しても、タウ病理の伝播は減少する

我々はガレクチン3結合アッセイ/galectin-3-binding assayを使い、
内部に取り込まれたinternalizedタウ凝集物がエンドソーム膜を損傷させ、取り込まれた凝集物が細胞質に漏れ出して病理の伝播を可能にすることを示す

我々の研究はBIN1レベルの低さがタウ病理の伝播を促進することを示し、それはエンドサイトーシスendocytosisならびにエンドソーム輸送endosomal traffickingによる凝集物内在化を効率的に増加させることによる



関連サイト
http://www.jscb.gr.jp/glossary/glossary.html?category=jh
BAR (Bin/Amphiphysin/Rvs) ドメインスーパーファミリーは『BAR』と総称されるドメインを持ち、BARドメイン、F-BARドメイン、I-BARドメインのサブファミリーに分類される。BARドメインおよびF-BARドメインは、三日月形の二量体を形成し、負に帯電している細胞膜と静電的な相互作用で結合する【画像1】。BARドメインとF-BARドメインは、 三日月型二量体の立体構造における凹面が正に帯電している。この結合様式は、細胞膜の陥入構造に対応すると考えられ、実際に、多くのBARドメイン含有タンパク質 (Amphiphysin やEndophilinなど) や、F-BARドメイン含有タンパク質 (FBP17やFCHo1など) は、エンドサイトーシスなどの細胞膜の陥入構造の形成に関与する。
一方、IRSp53等に含まれるI-BARドメインは、凸面が正に帯電している。よって、陥入構造とは逆の形態である、フィロポディアなどの細胞膜の突起構造の形成に関与する。また、BARドメイン、F-BARドメイン、I-BARドメインの中には、両親媒性ヘリックスなどの脂質膜に挿入されると考えられる部位を持つものがあり、この部位の挿入は、細胞膜の曲率形成を促進する。
全体として、BARドメインスーパーファミリーは、細胞膜の曲率を認識、あるいは生成する機能を有すると考えられている。多くのBARドメイン含有タンパク質は、SH3ドメイン等の他のドメインを伴う。このため、BARドメイン含有タンパク質は、膜の曲率に準拠して、タンパク質を集積させる可能性がある。代表的なSH3ドメイン結合タンパク質は、Arp2/3複合体を活性化するWASPファミリータンパク質や、細胞膜を切断するダイナミン (dynamin) である。



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