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タウ凝集の立体構造の違いが異なる神経変性につながる

2016-11-06 06:06:06 | 
Structure of toxic tau aggregates determines type of dementia, rate of progression

October 28, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/10/161028205358.htm



(Marc Diamond博士たちの新たな研究により、有害なタウの凝集パターンは『どのタイプの認知症が起きるのか』、『脳のどの領域が冒されるのか』、そして『疾患がどれくらいの速さで拡がるのか』を確定するために利用可能であることが実証された

上段: 異なるパターンのタウの株/distinctly patterned tau strainsを再現したもの
画像では培養細胞中のタウが緑色で示されている

下段: これらのタウの株をマウスの脳に接種したところ、特定の認知症と関連しうるような独特な病理パターンがそれぞれ形成された

Credit: Image courtesy of UT Southwestern Medical Center)

Peter O'Donnell Jr.脳研究所の研究によると、神経が変性しつつある脳で形成される有害なタウタンパク質凝集物の様々な構造は、どのタイプの認知症が起きるのか、どの領域が冒されるのか、そして疾患がどれくらいの速さで拡がるのかを確定するのだという
アルツハイマー病やその他の神経変性症候群の患者の脳細胞はタウタンパク質によって破壊されるが、今回の研究はタウタンパク質の凝集と関連するそれら認知症の多様性diversityを説明することを助ける
さらに、この研究はそれぞれの認知症と関連する『タウの独特な形態』を決定することによる様々な認知症のより早くより正確な診断にも密接な関連がある


「なぜ患者は様々なタイプの神経変性を生じるのか?
今回の研究はその理解の枠組みframeworkを提供することに加えて、特定の神経変性疾患を治療するための薬剤の開発や正確な診断にとっても裏付けpromiseを与える
この研究結果は『一つのサイズがすべてに当てはまる/one-size-fits-all』という戦略で治療しようとしてもうまくいかないことを暗示しており、
我々はどのタイプのタウを標的にしているのかを認識した上で臨床試験や薬剤開発にアプローチしなければならないことを示す」
研究著者のMarc Diamond博士は言う
彼はアルツハイマー病・神経変性疾患センターの創立ディレクターfounding Directorであり、テキサス大学(UT)サウスウエスタン・メディカルセンターのO'Donnell脳研究所では神経学・神経治療学の教授でもある


Marc Diamond博士たちは特別な細胞系を使ってタウ凝集の異なる立体構造conformationsを再現し、それらの異なるタイプの病的なタウをマウスの脳に摂取した
それぞれのタイプのタウは異なる病理学的なパターンを形成し、アルツハイマー病や前頭側頭型認知症/frontotemporal dementia(FTD)、外傷性脳損傷/traumatic encephalopathyのような疾患で生じるバリエーションを再現した
異なるタイプのタウによる病変pathologyは脳内に異なる速度で拡がり、それぞれが特定の脳領域に影響を与えた
この実験では、タウタンパク質と関連するヒトの神経変性疾患で見られるバリエーションの、全てではないにしてもほとんどを説明するには、病的なタウ凝集の構造だけで十分であることが実証された

Neuron誌で発表された今回の研究結果は、認知症患者の脳からタウや他の有害なタンパク質を除去するための治療法を開発するための活動effortsに対して著しいインパクトを広範囲に与える可能性がある


「現在の我々の課題は、それぞれの患者の脳内に存在するタウの形態をどのようにして早く効率的に決定するのかを解決し、そして同時に、それぞれへの特定の治療法を開発しなければならないということだ
我々の研究は、タウの凝集した構造についての知識を基にして患者の疾患のパターンと治療への応答を予測することが可能であるはずだということを示している」
Diamond博士は言う
彼はBasic Brain Injury and Repairの特別職/Distinguished Chairを保持している

タウタンパク質と関連する多くの特筆すべき発見の先頭に立つDiamond博士のラボは以前、タウがプリオンのように作用することを特定している(プリオンは自己再生が可能な感染するタンパク質で、脳内をウイルスのように拡がる)
彼のラボはヒトの脳内のタウタンパク質が多くの異なる株distinct strains、つまり自己再生する構造self-replicating structuresを形成することを明らかにしており、それをラボで再現する方法を開発していた
このような調査研究からDiamondの研究チームは今回の研究、つまりそれらの株strainsが異なるタイプの認知症の説明になる可能性があるかどうかをテストするに至った

この関連を証明するため、18の異なるタウ凝集の株がラボで再現された
それらはヒトの神経変性疾患の脳サンプルやマウスモデルから得られたものや、人工的に作成したものだった
研究者たちがタウ凝集の株をマウスの様々な脳の領域に接種したところ、それらの間には著しい違いが見られた
いくつかの株は遠くまで届いて急速に影響を与えたが、別の株は脳内の限られた部分でしか(病理を)再現しなかった

この驚くべき結果は、神経変性疾患の分野にしつこくつきまとう根本的な疑問に答える
『ある脳の領域が疾患によって脆弱だったりそうでなかったりするのはなぜか?』
『同じタウ凝集関連疾患なのに、なぜ急速に進む疾患とそうでない疾患があるのか?』

例えばアルツハイマー病では、問題が脳の記憶センターで生じてから、言語のような機能を制御する他の領域に拡がる
逆に前頭側頭型認知症ではまず前方と側方の脳領域が変性し、記憶センターは比較的保たれるため、患者はしばしば最初に人格や行動の変化を示す
そしてどちらもタウの凝集が問題になる神経変性疾患である

今回の新たな研究はタウ凝集の構造を知ることで患者の、そしてもしかすると健康な人でさえも、変性に最も脆弱な脳の領域や疾患の進行速度を予測することが可能になるはずだということを示す


http://dx.doi.org/10.1016/j.neuron.2016.09.055
Tau Prion Strains Dictate Patterns of Cell Pathology, Progression Rate, and Regional Vulnerability In Vivo.
タウのプリオン株は、細胞病理のパターン・進行速度・領域の脆弱性をin vivoで規定する


Highlights
・タウは異なる生化学的性質を持つ独特のプリオン株prion strainsを複数形成する
・それぞれのタウ株/tau strainsはin vitroとin vivoで病理学的に異なるdiverse表現型を誘発した
・それぞれのタウ株は異なる脳領域を標的とし、独特の速度で病理を伝播propagateする
・我々はヒトタウオパチーの多様性diversityを理解するための枠組みを提供する


Summary
タウオパチーは異なる脳領域を冒し、異なる速度で進行し、特定のパターンでのタウの蓄積を示す神経変性疾患の集合である
この多様性diversityの源は不明である

我々は以前、独特の立体構造conformationsをin vitroとin vivoで安定して維持する2つのタウ株について記述したが、それぞれの株が脳領域間の脆弱性の違いや伝播速度のようなタウオパチー間を区別するパラメーターに対してどのように関連性を持つのかを決定しなかった

今回我々は詳細な生化学的/生物学的診断基準criteriaを基にした細胞において18のタウ株を単離して記述した

PS19トランスジェニック・タウ(P301S)マウスにこれらの株を接種すると、株に特異的な細胞内病理が、異なる細胞タイプ/脳領域に対して引き起こされ、
ネットワーク伝播の異なる速度を誘発した

このシステムでは、ヒトのタウオパチーを定義する症状と同様の それぞれ異なる神経病理学的な症状presentationsを説明するには株だけで十分だった
ゆえに、これらの株をさらに研究することにより、生化学的な影響を支配する構造的な論理を確立しうる可能性がある



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