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寒さは腸内微生物を変化させて脂肪燃焼を引き起こす

2015-12-13 06:08:55 | 腸内細菌
Gut microbes trigger fat loss in response to cold temperatures

December 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151203135832.htm

寒さと運動には同様の効果があり、代謝的な健康を改善して肥満から守ることが知られている
12月3日にCellで発表された研究によると、寒さによる健康への良い影響の一因は腸内の微生物によることが明らかにされた
寒さにさらされたマウスの腸内では細菌の構成が劇的に変化し、そしてこの細菌の変化は脂肪を燃やすのに十分な変化である
グルコースの代謝も改善され、体重は減少した

「我々が環境に適応するための能力に腸の微生物が強く関与するという、説得力のあるcompellingエビデンスを我々は提供する
それは直接我々のエネルギーバランスを調節することによる」
ジュネーブ大学/University of Genevaの教授であり首席著者のMirko Trajkovskiは言う

「我々はこれらの発見が治療につながる可能性に非常に興奮している
これらの微生物のいくつかを標的にすることが有望なアプローチになりうるかどうかをテストし、
肥満とそれに関連する代謝的な病態を防げるかを調べたいと考えている」


肥満を治療するための方法の一つは、『良い脂肪』つまり褐色脂肪やベージュ脂肪の形成を促進することである
ヒトの幼児は熱を産生するための褐色脂肪を大量に持ち、寒さから守られている
成人でも褐色細胞のサブタイプであるベージュ脂肪から主に構成される褐色脂肪を維持していることが最近明らかにされた
寒さや運動はベージュ脂肪の形成を促進し、それにより蓄えられたカロリーを燃焼して低体温から守り、肥満や代謝的な問題からも保護している

腸内の微生物が肥満や代謝的な病態に関与することが知られているため、
Trajkovskiの研究チームは、腸の微生物が『寒さの健康的な影響』にも関与するかもしれないと考えた

 寒さ→ベージュ細胞─┤肥満

 腸内細菌─┤肥満

 寒さ─(腸内細菌?)→ベージュ細胞─(腸内細菌?)─┤肥満


この考えを支持するように、10日間の寒さ(6℃)への曝露はマウスの腸内微生物の構成に大きな変化を引き起こし、体重増加を防ぐことが実験から明らかになった

研究者は次に微生物が代謝に与える直接の影響を調べようとした
『寒さによって変化した腸内細菌』を無菌環境で育てられたために腸内に微生物を持たない別のマウスに移植したところ、
移植によりグルコース代謝は改善し、さらに寒さへの耐性toleranceが上昇して体重も減少した
さらに詳しく調べたところ、この改善はベージュ脂肪の形成が促進されたことによるものだった

「これらの発見は、環境の変化に応じて腸の微生物が直接エネルギーバランスを調節することを実証する」
Trajkovskiは言う


しかしながら、寒さの実験から3週間もすると、体重は安定し始めた
「エネルギー消費が高まったことによる体重減少に対抗counteractするため、より多くの栄養を腸が吸収しているのだろう」と研究者は推測した

この考えを支持するように、
『寒さに長くさらされたことと関連する腸内微生物』を移植したところ、
レシピエントマウスの腸のサイズは変化し、栄養を吸収する腸の表面積が増加することが実験で示された

「これらの発見は
長期の寒さと関連するエネルギー需要の増大に適応する方法として
哺乳類の腸内微生物がより多くのエネルギーを食物から取り入れられるようにすることを実証する
それにより微生物は低体温から守るのを助けるのである」
Trajkovskiは言う

「我々は腸の微生物が腸の構造と機能に対して劇的な影響を持つことにとても驚いている」


研究者は現在、腸の微生物が環境の変化を感知してホストのエネルギーバランスを変更させる分子メカニズムの研究を計画しているところである

研究のもう一つのアプローチavenueは、特定の細菌が腸の構造を再構成して腸からの栄養の吸収を『減少』させることにより肥満を防ぐかもしれないという考えに焦点を当てている


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2015.11.004
Gut Microbiota Orchestrates Energy Homeostasis during Cold.


Highlights
・寒さへの曝露は腸内微生物の構成に著しい変化を引き起こす
・寒冷微生物叢cold microbiotaの移植は、インスリン感受性を増大させ、白色脂肪組織の褐色化を誘導する
・寒さへの曝露または寒冷微生物叢移植は、腸の大きさを増加させて吸収能を上昇させる
・寒さにより抑制されるcold-suppressedアッカーマンシア・ムシニフィラ/Akkermansia muciniphilaの復元reconstitutionは、カロリー取り込みの上昇を逆戻りさせるreverts the increased caloric uptake


Summary
宿主の生理機能における微生物の機能は、宿主と微生物の共進化の結果である

我々は寒さへの曝露が微生物構成の著しい変化につながることを示す
そのように変化した微生物叢の無菌マウスへの移植は、
ホストのインスリン感受性を増大させるとともに、寒さへの忍耐を可能にするenable toleranceのに十分だったが、
その理由の一部は白色脂肪の褐色化の促進によるものであり、それがエネルギー消費ならびに脂肪減少の増加につながった


しかしながら、寒冷が長期化すると体重喪失は抑制されattenuated、
これは「絨毛villiならびに微絨毛microvilliの長さを増大させることによりカロリー取り込みを最大化する」という適応メカニズムにより引き起こされた

この吸収表面積の増大は『寒冷により変化した微生物叢cold microbiota』と共に移植可能transferableであり、寒冷微生物叢は腸の組織再構築を促進し、アポトーシスを抑制する遺伝子発現の変化につながる
しかし、『寒冷微生物』の移植中、寒さにより最も下方調節される株のアッカーマンシア・ムシニフィラを共に移植することによってその効果は減少する

我々の研究結果は微生物叢がエネルギー需要が増大する間のエネルギー恒常性全体を統合するための重要な要因であることを実証する


Figure 1
(H) Comparison of phylum-level proportional abundance of cecum and feces of up to 31 days cold-exposed or RT control mice.
門レベルの比較。室温/room temperature (RT)と比較して、寒冷曝露群では、盲腸cucumでも糞便fecesでも、ヴェルコミクロビア門/Verrucomicrobiaが減少している


(G)
下の方にヴェルコミクロビア科/Verrucomicrobiaceaeがあり、寒冷群で減少している


<コメント>
アッカーマンシア・ムシニフィラといえば糖尿病の改善と関連するとされてきた菌なだけに、
それが肥満を改善する寒冷によってむしろ『減少』するというのが意外だった

(寒冷が続くと、マウスの腸ではアッカーマンシア・ムシニフィラが減少して、腸からの栄養の取り込みが上昇した
逆に言うと、アッカーマンシア・ムシニフィラの増加は、腸からの栄養の取り込みが元に戻る/取り込みが減るという方向に作用するようだ)



※生物分類表
└ 細菌ドメイン Bacteria
 └ ヴェルコミクロビア門 Verrucomicrobia
  └ ヴェルコミクロビア綱 Verrucomicrobiae
   └ ヴェルコミクロビア目 Verrucomicrobiales
    └ ヴェルコミクロビア科 Verrucomicrobiaceae
     └ アッカーマンシア属 Akkermansia



関連サイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%93%E3%82%A6%E3%83%A0%E9
ヴェルコミクロビウム門はグラム陰性の真正細菌の門である



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/b77a14410432564eed1bbe615cbf9fcc
緯度が北の方ほどファーミキューテス門が多くバクテロイデス門が少なく、その比率が肥満と関連する



関連サイト
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?kibanID=5087
ラードを食べたマウスでは炎症を起こすビロフィラ属の細菌が増殖し、魚油を食べたマウスでは体重増加を抑えグルコース代謝を改善するアッカーマンシア・ムシニフィラが増殖した
 ラード→[腸内細菌]LPS→TLR4→TRIF/MyD88→CCL2



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/5410eb0f0900f4f19d875c843cfb6ab9
太るほど体内のsLR11というタンパク質が多くなり、sLR11は褐色脂肪による燃焼を抑制する



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151202142210.htm
メトホルミンが効く理由の一因は、腸内細菌の変化とそれによる酪酸など短鎖脂肪酸による

※メトホルミンの記事中のI. bartlettiは、Intestinibacter bartlettiiのこと(Intestinibacterは2014年に新しく作られた属)
クロストリジウム属のClostridium bartlettiが新たに分類し直され、Intestinibacter bartlettiiに変更された
 

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