機械翻訳2

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癌で見られる染色体の破壊を分子レベルで説明する

2015-12-26 06:00:00 | 
Experiments explain the events behind molecular 'bomb' seen in cancer cells

December 17, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151217130350.htm

科学者たちが癌細胞のゲノムのシーケンシングを始めて以来、彼らは興味深いパターンに気付いてきた
様々な種類の癌細胞の中には染色体の一部が粉砕されpulverized、それが正しく元通りにならず変異が多く生じているように見える細胞が存在した
この現象は長く科学者たちを悩ませてきたが、ロックフェラー大学の新たな研究はこの癌の前駆体として働く奇妙な分子の『爆発explosion』についての説明を示唆する

「悪い変異が一つ、二つ、三つと続けて生じていくことで増殖が制御できなくなり、そこから癌が始まるという『古い』考えがある」
Titia de Lange教授は言う

「爆弾bombが染色体の一部を爆破して多くの変異が同時に生じるというのは、癌がどのようにして始まるのかに関するまったく新しい観点である
我々の最新の研究結果はこの爆弾の背後にある分子レベルの詳細を明らかにする」

12月17日にCell誌で発表される彼らの研究は、クロモスリプシス/chromothripsisという現象にまで至る細胞内でのイベントを説明する
しかしながら、これらのクロモスリプシスの起源についての洞察は、癌につながりうる別の分子イベントであるテロメア・クライシス/telomere crisisへの研究が元になっている

テロメアクライシスは、テロメアという染色体の末端にある保護キャップが細胞分裂の結果として短くなる時に起きる
テロメアのDNAが少ないと離れた染色体をお互いに接触しないよう防ぐことが難しくなる
もしそのような異常を持つ細胞が生き延びて分裂を続けると、それらは癌を生じる可能性がある

研究者はテロメアが融合しないように防ぐタンパク質を阻害し、
さらに細胞が癌化しないよう保護する分子経路のいくつかを使用不可にすることによりヒトの細胞でテロメアクライシスを再現し、
筆頭著者のJohn Maciejowskiがその後に続くイベントを撮影して記録した


これまで研究者たちは、いったん二つの染色体がテロメアの部分で融合して一つになっても細胞が分裂する間に結局は二つに分かれるだろうと考えてきた
しかし今回の研究で、そのようなことはまったく起きておらず、染色体が融合した細胞はそのまま分裂を続けるのが明らかになった
いったん分裂が完了して二つの娘細胞がお互いに離れようとすると、
両者が共有する染色体の一部が引き伸ばされて『染色体橋/クロマチンブリッジ/chromatin bridge』が形成される

「これを例えるなら真ん中で締め付けて絞ったpinched in the middle風船で、
そうしてできた二つの球がお互いに離れていこうとしているようなものだ」
Langeは言う
「または綱引きのようなもので、この場合は綱の両側のチームが娘細胞を表す
ロープはどんどん引き伸ばされる」

そうして形成された染色体橋の長さは、0.2ミリにもなるという
これは細胞レベルとしては聞いたことがないサイズである

結局、この『橋』はウイルスDNAのような異常DNAを標的とする酵素の一つによって分解される
ここで研究者が驚いたのは、この橋を壊す酵素TREX1が通常存在する場所は染色体を含む核ではなく、核外の細胞質だということである
二つの接触した細胞がお互いに離れようと進むにつれて橋のDNAは引き伸ばされ、その張力によって核を覆う核膜に小さな裂け目tearsが生じる
そこからTREX1が核内に入り、染色体橋を破壊するのである

いったんTREX1が染色体橋を分解すると、二つの娘細胞はお互いにはじかれたように離れる/spring away from each other
それぞれの細胞はブリッジのDNA断片のいくらかを持ち、細胞はそれを元に戻そうとする
細胞の何割かはこのイベントの傷により死ぬが、他は生き残って分裂し、損傷を受けたDNAを広める
このDNAはごちゃまぜに組み替えられているか、または癌を抑制する遺伝子のいくつかが失われている
言い換えれば、この一連のイベントがクロモスリプシスを引き起こす

「この研究結果ができれば癌を引き起こしうる早期の分子イベントの理解につながればいいと思う
それがいつの日か癌を早くに診断する新たな方法の開発に至るかもしれない」
de Langeは言う


de LangeとMaciejowskiは今回のプロジェクトでケンブリッジ(イギリス)のウェルカム・トラスト・サンガー研究所と(無論ロックフェラー研究所とも)協力して研究を実施した


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2015.11.054
Chromothripsis and Kataegis Induced by Telomere Crisis.
テロメアクライシスによって誘発されるクロモスリプシスとカティージス


Highlights
・テロメアクライシスの間に形成される『二動原体性の/2つの動原体を持つdicentric染色体』は、有糸分裂mitosisでは壊れない
・二動原体性の細胞は染色体橋を形成し、これが核膜を断裂ruptureさせる
・TREX1という 3′ヌクレアーゼは染色体橋に一本鎖DNA/ssDNAを生成し、その分解を促進する
・テロメアクライシス後の細胞はしばしばクロモスリプシスとカティージスを示す


Summary
テロメアクライシスは腫瘍形成の間に発生し、それはテロメアの予備の枯渇が頻繁にテロメア融合につながる時に起きる
その結果としての二動原体性の染色体/dicentric chromosomesがゲノム不安定性を促進することが提案されてきた

※centromere: セントロメア,動原体

今回我々はテロメアクライシスにおける二動原体性のヒト染色体の運命について検証した
二動原体性の染色体は有糸分裂の間一定不変invariablyに存続し、
娘細胞をつなぐ50から200マイクロメートル/μmの染色体橋が形成された

有糸分裂後期anaphaseの後の3時間から20時間時点でそれは分解するが、
その前の間期interphaseに染色体橋は核膜の断裂ruptureを誘発し、
細胞質の3プライムヌクレアーゼ/3′nucleaseであるTREX1を蓄積させて、
複製タンパク質A/replication protein A (RPA)でコートされた一本鎖DNAを形成する

CRISPRによるノックアウトでTREX1は一本鎖DNAの生成ならびに染色体橋の分解に寄与することが示された

テロメアクライシス後のクローンはクロモスリプシスとカティージスを示し、これはおそらくpresumably、断片化された染色体橋DNAの修復とAPOBEC編集の結果として起きると思われる

我々はヒトの癌におけるクロモスリプシスがテロメアクライシスにおいて形成される二動原体性の染色体のTREX1を介する断片化から生じる可能性を提案する


<コメント>
以前の訳でKataegisを適当にカティージスと読みましたが、いまだに正確な読み方がよくわかりません



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