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転移する癌はどのようにして免疫を回避するのか

2016-09-29 06:06:09 | 
How cancer’s 'invisibility cloak' works

September 26, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/09/160926111323.htm



ブリティッシュコロンビア大学(カナダ・バンクーバー)の研究者たちは、癌細胞がどのようにして免疫系から見えなくなるのかを明らかにした
これは腫瘍が転移して体中に拡散できるようになるために重要な段階である

「免疫系は最初の腫瘍primary tumorsの出現と広がりを識別identifyして止めるには有能だが、転移する腫瘍が現れると免疫系はもはや癌細胞を認識recognizeして止めることはできないのである」
首席著者senior authorのWilfred Jefferiesは言う
彼はブリティッシュコロンビア大学で遺伝医学Medical Genetics、微生物学Microbiology、免疫学Immunologyの教授professorである

「我々は転移する腫瘍がどのようにして免疫系の裏をかくoutsmartことができるのかを説明する新しいメカニズムを発見した
腫瘍を再び免疫系に認識させるためにこのプロセスを覆すことが可能になりつつある」


癌細胞は遺伝子を変化させ、やがて進化していく
研究者は癌細胞が進化するにつれてインターロイキン33(IL-33)というタンパク質を作る能力を失うかもしれないことを明らかにした
腫瘍内のIL-33が消失すると免疫系は癌細胞を認識する方法がなくなり、癌細胞は転移し始めることが可能になる

研究者はIL-33の喪失が上皮性の癌epithelial carcinoma、つまり臓器の表面をおおう組織で始まる癌で生じることを発見した
そのような癌としては前立腺癌、腎癌、乳癌、肺癌、子宮癌、子宮頸癌、膵臓癌、皮膚癌などがある

彼らはバンクーバー前立腺センターとの協力で数百人の患者を調査し、前立腺癌または腎癌の患者で腫瘍がIL-33を喪失していると、5年間で より急速に癌が再発することを明らかにした
彼らは現在、IL-33に関するテストが特定の癌の進行をモニターするために有効な方法かどうかを調べる研究を始めようとしているところである

「IL-33は前立腺癌の初めての免疫的なバイオマーカーの一つとなりうる
近い将来我々はより大きな患者のサンプルのサイズで調査することを計画している」
微生物学・免疫学の博士課程学生/PhD studentであり筆頭著者first authorのIryna Saranchovaは言う


研究者たちは長い間人体が持つ自らの免疫系を使って癌と戦おうとしてきた
しかし、その治療が実際に能力を示すことを突き止めたのは最近のほんの数年のことである

今回の研究でSaranchovaとJefferiesたちは、転移した癌にIL-33を戻すことが免疫系の腫瘍を認識する能力の再開を助けることを突き止めた
これからの研究でこれがヒトの癌の治療でも有効になりうるかどうかを調査することになるだろう

この研究はカナダ健康研究所/Canadian Institutes for Health Researchの出資によるものである


IL-33はどのようにして作用するのか?
How does IL-33 work?

癌細胞は遺伝子を変化させて進化し、細胞が進化するにつれてIL-33というタンパク質を作る能力を失う
IL-33は主要組織適合遺伝子複合体/major histocompatibility complex (MHC) という別のタンパク質複合体に影響する
MHCは、ある細胞が良い細胞か悪い細胞かを識別するのを助けるための目印beaconとして働く

最初の原発腫瘍の細胞primary tumour cellはこれらのタンパク質が働いているので、細胞の外側に『警告フラグwarning flag』を出して、免疫系が認識して破壊できるようにする
腫瘍からIL-33が消失すると 警告フラグを表示する経路は分解し、免疫系は癌細胞を認識する方法がなくなってしまい、癌細胞は転移し始めることが可能になる


http://dx.doi.org/10.1038/srep30555
Discovery of a Metastatic Immune Escape Mechanism Initiated by the Loss of Expression of the Tumour Biomarker Interleukin-33.

Abstract
免疫による監視と、癌による監視の回避に関する新たなパラダイムを我々は記述する

転移性の癌は 同一遺伝子syngeneicの原発腫瘍primary tumoursと比較して IL-33の発現の減少を示し、
抗原プロセシング機構/antigen processing machinery(AMP)のレベルが低下する

※抗原はプロセシングされてからMHCクラスI分子/クラスII分子によって提示される(抗原提示/antigen presentation)

転移性腫瘍においてIL-33の発現を補うcomplementationと、APMの発現とMHC分子の機能が上方調節され、
その結果として腫瘍の成長速度が抑制され、循環腫瘍細胞(CTC)の頻度が低下する

※complementation: 相補性

ヒトでの並行研究で、IL-33発現の低さは 前立腺癌・腎臓淡明細胞癌kidney renal clear cell carcinomaの再発と関連する免疫性バイオマーカーであることが実証された

したがって、IL-33は原発腫瘍に対する免疫による監視において重大な役割があり、
IL-33は転移性へと推移transitionする間に失われ、癌の免疫回避を発動させるactuate


Introduction
IL-33には二重の機能があり、核内での因子として、また炎症性サイトカインとして働く

核への局在とヘテロクロマチンとの結合はN末端ドメインによって仲介され、それによりNF-κB複合体p65サブユニットの転写を調節する新たな因子としてIL-33が機能できるようにする
C末端ドメインはST2受容体への結合に十分であり、分極化polarizedしたヘルパーT細胞2型(Th2)やタイプ2自然リンパ球(ILC2)からのタイプ2のサイトカイン(IL-5とIL-13)産生を活性化させる

腫瘍発生tumorigenesisへのIL-33の関与について、最近の文献では論議の的となっており、
 免疫保護的な影響がある(26,27
 腫瘍促進的な影響がある(27,28,29,30,31,32,33
という両方を、原発腫瘍の箇所または臨床ステージに依存して表面的には示している



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/721150eedec7d4d56d4052bddc90f2be
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関連サイト
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23528820
マスト細胞はIL-6とTNF-αによりHSV-2ウイルス感染から防御し、それは角化細胞のIL-33によって仲介される



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/13c36bcb505181ccda2d0ceb39931a18
IL-33は呼吸器ウイルス感染に脆弱にするが、IL-33を標的とすることでウイルス感染による喘息の発症を抑える



関連サイト
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/research/papers/post_64.php
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関連サイト
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150128093549.htm
肥満の脂肪組織にIL-33を投与すると脂肪組織に独特な制御性T細胞が回復して炎症は減少し、血糖が低下する
 

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