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細胞の代謝はin vitroとin vivoで異なる

2016-03-15 06:06:36 | 
Amino Acids Rather than Glucose Account for the Majority of Cell Mass in Proliferating Mammalian Cells

http://www.cell.com/developmental-cell/references/S1534-5807(16)30036-3

癌細胞が増殖するためのエネルギー」の論文のReferencesから



http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18177721
The biology of cancer: metabolic reprogramming fuels cell growth and proliferation.
癌の生物学: 代謝的な再プログラムが癌細胞の成長と増殖に燃料を供給する

http://www.cell.com/action/showImagesData?pii=S1550-4131%2807%2900295-1
Figure 2
炭素の流れは静止状態と増殖する細胞では異なる
Carbon Flux Differs in Quiescent versus Proliferating Cells


静止状態の細胞(左)ではグルコース/glucose(glc)からピルビン酸/pyruvate(pry)へと変換する解糖系の速度が基底状態であり、ピルビン酸はTCA回路で酸化される
細胞は環境や細胞の高分子macromoleculeからアミノ酸や脂肪酸のような他の基質も獲得して酸化する
結果として、ATP(黄色の☆)の大部分は酸化的リン酸化oxidative phosphorylationから生成される

増殖する細胞(右)では、大きく増大した解糖系の流れがATPを細胞質に生成し、細胞質でのNAD+/NADHの比率を低下させる
結果として生じるピルビン酸のほとんどは乳酸デヒドロゲナーゼA/lactate dehydrogenase A(LDH-A)によって乳酸/lactate(lac)に変換され、NADHからNAD+を再生する
このNAD+の再生が解糖系を持続させ、乳酸は細胞外へ放出される
ピルビン酸のいくらかはピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)によってアセチル-CoA(Ac-CoA)に変換されてTCA回路に入り、そこで中間生成物intermediate、例えばクエン酸/citrate(cit)に変換されて高分子の生合成に使われうる
クエン酸は脂肪酸とコレステロールの合成に必要であり、これが分裂後の娘細胞の脂質膜を作る
細胞質に輸送された後のクエン酸はATPシトレートリアーゼ/citrate lyase(ACL)によってオキサロ酢酸と酢酸へと分解され、
結果として生じるアセチル-CoAは脂肪酸合成酵素/fatty acid synthase(FAS)によって使われ、
オキサロ酢酸(OAA)は細胞質の低いNAD+/NADH比を利用して(過剰なNADHを使って)リンゴ酸デヒドロゲナーゼ/malate dehydrogenase(MDH)によってリンゴ酸/malate(mal)に変換される
リンゴ酸は クエン酸-リンゴ酸対向輸送counter transport(逆輸送antiport)によってミトコンドリアに戻されるか、
リンゴ酸酵素/malic enzyme(ME)によってピルビン酸に変換され、NADPHを生成して脂肪酸合成に使われる



http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26853747
Environment Impacts the Metabolic Dependencies of Ras-Driven Non-Small Cell Lung Cancer.
環境はRasをドライバとする非小細胞肺癌の代謝的依存に強い影響を与える

http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2016.01.007


Highlights

・腫瘍の代謝的表現型の決定metabolic phenotypingにより必須の代謝経路を明らかにする
・Krasをドライバとする肺腫瘍は、ピルビン酸カルボキシラーゼpyruvate carboxylaseとピルビン酸デヒドロゲナーゼpyruvate dehydrogenaseを必要とする
・Krasをドライバとする肺腫瘍は、培養細胞よりもグルタミナーゼglutaminaseに依存しない
・腫瘍組織の環境は腫瘍代謝表現型の重要な決定要素である

※ピルビン酸カルボキシラーゼ: ピルビン酸とオキサロ酢酸の相互変換を触媒する。糖新生経路の一つ
※ピルビン酸デヒドロゲナーゼ: 複合体の一つ。複合体はピルビン酸・NAD+・CoASHからアセチルCoA・CO2・NADH2を生成する
※グルタミナーゼ: グルタミンのアミド基を分解してグルタミン酸とアンモニアを生成する


Summary
培養細胞はグルコースを乳酸へと変換し、グルタミンはTCA回路/クエン酸回路の主な炭素源だが、それと同じ代謝表現型が腫瘍内でも見られるかは研究されていない
我々は肺癌のマウスに同位体isotopeで標識したグルコースまたはグルタミンを注入し、腫瘍と正常組織におけるこれらの栄養素の運命を比較した

予想された通り、肺腫瘍はグルコースから乳酸の産生を増大させた
しかしながら、肺腫瘍と正常な肺の両方でグルタミンの利用は最小限minimalであり、正常な肺組織と比較して肺腫瘍ではTCA回路へのグルコースの寄与の増大を示した
グルコース酸化に関与する酵素を消去する実験により、グルコース炭素のTCA回路への寄与は腫瘍形成に必須であることが実証された

これらのデータは、腫瘍による栄養素の利用の理解が癌のin vivoにおける代謝的な依存性を予測できることを示唆する
さらにこれらのデータはin vivoの環境が癌細胞の代謝表現型の重要な決定要素であることを証明するargue



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/8c4f2053e55ed484c872909b1e781086
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