Team finds new approach to curbing cancer cell growth
March 7, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/03/160307114023.htm
スクリップス研究所/The Scripps Research Institute (TSRI)の科学者たちは、
新しいアプローチを用いてある種の乳癌、肺癌、メラノーマの治療に使える可能性がある薬剤の新たな候補を明らかにした
今回の研究で焦点を当てたのは20あるアミノ酸の一つ、セリンである
癌の多くは急速で持続的かつ制御不能な増殖を維持するためにセリンを合成する必要がある
この経路に干渉する薬剤候補を見つけるために研究チームは様々なソースから得られた化合物の大規模なライブラリーをスクリーニングし、
ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ/3-phosphoglycerate dehydrogenase(PHGDH)を阻害する分子を探索した
PHGDHはセリン生合成において最初の関与段階committed step(方向が決定される段階)を担当する
「癌の代謝を標的とする阻害剤を発見することに加えて、
我々は今やセリン代謝についての興味深い質問に答えるのを助けるツールも持っている」
Luke L. Lairsonは言う
彼はTSRIの化学助教授であり、カリフォルニア生物医学研究所(CALIBR)では細胞生物学の主任研究員principal investigatorでもある
Lairsonは最近PNASで発表された論文の首席著者senior authorである
セリンへの依存
Addicted to Serine
セリンは、ヌクレオチド、タンパク質、脂質を生合成するためにあらゆる細胞において必要とされる
細胞は主に二つの経路からセリンを獲得し、一つは細胞外環境からの取り込み、もう一つは解糖系の中間生成物の3-ホスホグリセリン酸/3-phosphoglycerateをPHGDHによって変換して得る
※セリン生合成
3-ホスホグリセリン酸/3-phosphoglycerate
↓
ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ/3-phosphoglycerate dehydrogenase(PHGDH)
↓
3-ホスホノオキシピルビン酸/3-Phosphonooxypyruvate(3-ホスホヒドロキシピルビン酸/3-phosphohydroxypyruvate)
↓
ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ
↓
O-ホスホセリン/O-phosphoserin
↓
ホスホセリンホスファターゼ
↓
セリン
「癌細胞は好気的解糖というプロセスを使って増殖に必要な代謝産物を生成することが1950年台遅くから知られている」
Lairsonは言う
このプロセスはセリンの過剰産生へとつながりうる
最近、癌の中にはPHGDHの発現を増加させる突然変異を獲得するものがいることが実証され、そのような『セリンに依存serine-addicted』する癌細胞でPHGDHの発現を低下させると増殖は阻害された
ワイルコーネル大学医学部(Nature Geneticsで発表)とホワイトヘッド研究所(Natureで発表)の研究から、PHGDHを過剰発現するタイプの癌にとってPHGDHが潜在的な薬剤標的であることが示唆された
LairsonたちはPHGDHを阻害する小分子が癌の代謝に干渉する薬剤候補であり、効果的な癌の治療法の開発への道を指し示すという仮説を立てた
重要な事にこの薬剤は通常の細胞には無害であり、その理由はそれらは通常の増殖をサポートするために十分なセリンを取り込むことができるからである
123と数えるくらい簡単、ではない
As Easy as 1-2-800,000
Lairsonはワイルコーネル、ミシガン大学、ハーバードメディカルスクール、CALIBRと協力して、PHGDHの阻害剤を検出するために80万もの小分子ライブラリーからハイスループットのin vitro酵素分析スクリーニングを実施した
研究グループは408の候補を見つけ出し、このリストからさらに細胞タイプ特異的な増殖阻害活性を元にリストを絞り、他のデヒドロゲナーゼも広く標的にするような阻害剤は消去していった
7つの候補を同定することに成功し、チームはこれらの分子が複雑な細胞環境でPHGDHを阻害できるかを決定すべく質量分析を利用して薬剤候補の存在下で細胞内に新しく合成されたセリンを計測した
分析結果7つの中の一つのCBR-5884が特にセリン合成を30%阻害し、この分子が特にPHGDHを標的とすることが示唆された
研究グループは確認のためにPHGDHを過剰発現する乳癌とメラノーマの細胞系統に対してCBR-5884を投与し、実際に増殖を阻害できることを示した
予想された通り、CBR-5884はPHGDHを過剰発現しない癌細胞を阻害しなかったが、それはこの癌細胞がセリンを取り込むことができるからである
セリンを欠乏させた培地で培養すると、CBR-5884はそれらの癌細胞の増殖も抑制した
研究グループはこの薬剤候補が効果的な治療法となる前に多くの最適化のための研究が必要になるだろうと予想している
この目標のため研究者たちは薬剤候補の効能と代謝的安定性を改善するために医薬化学的なアプローチで取り組むtake a medicinal chemistry approach予定である
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1521548113
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1602228113
Identification of a small molecule inhibitor of 3-phosphoglycerate dehydrogenase to target serine biosynthesis in cancers.
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/d16ba27c8f39c536b11eafaa6804ec93
膠芽腫の一部はアミノ酸のグリシンを分解する酵素に依存する
March 7, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/03/160307114023.htm
スクリップス研究所/The Scripps Research Institute (TSRI)の科学者たちは、
新しいアプローチを用いてある種の乳癌、肺癌、メラノーマの治療に使える可能性がある薬剤の新たな候補を明らかにした
今回の研究で焦点を当てたのは20あるアミノ酸の一つ、セリンである
癌の多くは急速で持続的かつ制御不能な増殖を維持するためにセリンを合成する必要がある
この経路に干渉する薬剤候補を見つけるために研究チームは様々なソースから得られた化合物の大規模なライブラリーをスクリーニングし、
ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ/3-phosphoglycerate dehydrogenase(PHGDH)を阻害する分子を探索した
PHGDHはセリン生合成において最初の関与段階committed step(方向が決定される段階)を担当する
「癌の代謝を標的とする阻害剤を発見することに加えて、
我々は今やセリン代謝についての興味深い質問に答えるのを助けるツールも持っている」
Luke L. Lairsonは言う
彼はTSRIの化学助教授であり、カリフォルニア生物医学研究所(CALIBR)では細胞生物学の主任研究員principal investigatorでもある
Lairsonは最近PNASで発表された論文の首席著者senior authorである
セリンへの依存
Addicted to Serine
セリンは、ヌクレオチド、タンパク質、脂質を生合成するためにあらゆる細胞において必要とされる
細胞は主に二つの経路からセリンを獲得し、一つは細胞外環境からの取り込み、もう一つは解糖系の中間生成物の3-ホスホグリセリン酸/3-phosphoglycerateをPHGDHによって変換して得る
※セリン生合成
3-ホスホグリセリン酸/3-phosphoglycerate
↓
ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ/3-phosphoglycerate dehydrogenase(PHGDH)
↓
3-ホスホノオキシピルビン酸/3-Phosphonooxypyruvate(3-ホスホヒドロキシピルビン酸/3-phosphohydroxypyruvate)
↓
ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ
↓
O-ホスホセリン/O-phosphoserin
↓
ホスホセリンホスファターゼ
↓
セリン
「癌細胞は好気的解糖というプロセスを使って増殖に必要な代謝産物を生成することが1950年台遅くから知られている」
Lairsonは言う
このプロセスはセリンの過剰産生へとつながりうる
最近、癌の中にはPHGDHの発現を増加させる突然変異を獲得するものがいることが実証され、そのような『セリンに依存serine-addicted』する癌細胞でPHGDHの発現を低下させると増殖は阻害された
ワイルコーネル大学医学部(Nature Geneticsで発表)とホワイトヘッド研究所(Natureで発表)の研究から、PHGDHを過剰発現するタイプの癌にとってPHGDHが潜在的な薬剤標的であることが示唆された
LairsonたちはPHGDHを阻害する小分子が癌の代謝に干渉する薬剤候補であり、効果的な癌の治療法の開発への道を指し示すという仮説を立てた
重要な事にこの薬剤は通常の細胞には無害であり、その理由はそれらは通常の増殖をサポートするために十分なセリンを取り込むことができるからである
123と数えるくらい簡単、ではない
As Easy as 1-2-800,000
Lairsonはワイルコーネル、ミシガン大学、ハーバードメディカルスクール、CALIBRと協力して、PHGDHの阻害剤を検出するために80万もの小分子ライブラリーからハイスループットのin vitro酵素分析スクリーニングを実施した
研究グループは408の候補を見つけ出し、このリストからさらに細胞タイプ特異的な増殖阻害活性を元にリストを絞り、他のデヒドロゲナーゼも広く標的にするような阻害剤は消去していった
7つの候補を同定することに成功し、チームはこれらの分子が複雑な細胞環境でPHGDHを阻害できるかを決定すべく質量分析を利用して薬剤候補の存在下で細胞内に新しく合成されたセリンを計測した
分析結果7つの中の一つのCBR-5884が特にセリン合成を30%阻害し、この分子が特にPHGDHを標的とすることが示唆された
研究グループは確認のためにPHGDHを過剰発現する乳癌とメラノーマの細胞系統に対してCBR-5884を投与し、実際に増殖を阻害できることを示した
予想された通り、CBR-5884はPHGDHを過剰発現しない癌細胞を阻害しなかったが、それはこの癌細胞がセリンを取り込むことができるからである
セリンを欠乏させた培地で培養すると、CBR-5884はそれらの癌細胞の増殖も抑制した
研究グループはこの薬剤候補が効果的な治療法となる前に多くの最適化のための研究が必要になるだろうと予想している
この目標のため研究者たちは薬剤候補の効能と代謝的安定性を改善するために医薬化学的なアプローチで取り組むtake a medicinal chemistry approach予定である
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1521548113
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1602228113
Identification of a small molecule inhibitor of 3-phosphoglycerate dehydrogenase to target serine biosynthesis in cancers.
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/d16ba27c8f39c536b11eafaa6804ec93
膠芽腫の一部はアミノ酸のグリシンを分解する酵素に依存する