育ての親って、いい響きがありますね。
継父母じゃなくて家族以外の育ての親のことです。
施設のスタッフだったり、学校の先生だったり監督やコーチだったり・・。
自分の場合は会社の上司だったなと、今になって思います。
人間、誰でも物語を背負っている。
トシをとればそれだけ長くなる、唯一無二の物語。
過去の人たちをも含めれば、いったいどれだけの物語があるのだろう。
そのひとつひとつに、どんな小説にも劣らない感動と学びがあるはずだ。
物語を背負っているのは人間だけじゃない。
地球上のすべての動植物が背負っている。
例えば昨日道端で出会ったノラ。
出会いは単なる偶然でも、その偶然に至るまでの物語を背負っている。
猫は何も言わないけど、その物語はきっと驚きと感動に満ちたものに違いない。
今回の主人公はちび太です
さて、今日は休みだったのでネコたちのアルバムを整理しました。
もう5000枚以上にもなるデジタル写真です。
何かのはずみで消失したテンちゃんの写真を、時系列のバックアップから拾い出した。
ところが、途中からテンちゃんの殆どの写真にちび太がいる。
どちらのアルバムに納めた写真かわからなくなり、いちいちチェックしながら集めるはめに。
思わぬ時間を要しました。
そうなんです、テンちゃんはちび太の育ての親。
写真を見ながら、あの頃を懐かしく思い出しました。
当時はお店の風物詩となったテンちゃんとちび太の和やかな風景
ところで、テンちゃんとちび太は初めからすんなりいったわけじゃない。
生後2ヶ月足らずの幼いちび太が店に現れたのは3年前の10月。
親にはぐれたのか捨てられたのか。
当初は警戒心が強くちょこちょこ逃げ回って手を焼いた。
ところがちび太は、テンちゃんを慕って店に居ついた。
それはそれで心配でした。
と言うのも、テンちゃんは人には甘えん坊だが猫同士では滅法好戦的な番長気質。
唸り合いも抜きで相手にするすると近づいていきなり襲い掛かる。
猫としては卑怯な戦法だけど、おそらく家猫だったテンちゃんが何らかの理由で野に放たれ、ノラとして生き抜いていくための術として身に着けたに違いない。
そんなテンちゃんの脅威はリードで繋がれてさえ、相手を威圧するほどだった。
そして案の定、ちび太もテンちゃんに一蹴された。
テンちゃんに威嚇されて怯えるちび太
ところがちび太は諦めない。
どんなに威嚇されて怯んでも、しばらくするとまた後追いを始める。
そんな状態が2日ほど続いただろうか、テンちゃんがちび太を舐め始めた。
しかしすんなり受け入れたわけじゃない。
やさしく舐めたかと思うと威嚇する、テンちゃんの複雑な心境が滲み出ていた。
夜になると事務所にお泊りしていたテンちゃん。
一方ちび太は閉じ込めると暴れるので、事務所前のBYに身を隠して過ごしていた。
それでテンちゃんが愛用していた寝床を、ちび太用にと事務所前に置いた。
入口を狭く改造して他猫から身を守れるようにした・・つもりだった。
ちび太が寝床に入ったとき、テンちゃんは盗られたと思ったのか覗き込んで「グワァァァーッ!」
慌てて中を確認すると、半ば失神状態で固まったままのちび太がいた。
ちび太用に改造された自分の寝床をチェックするテンちゃん
いろいろ洗礼を受けながらも、ちび太はテンちゃんの懐に潜り込んでいった。
そしてやがて、お客さんから「親子みたい」と言われるまでになりました。
その頃にはちび太も、テンちゃんと一緒に事務所にお泊りしていた。
とは言っても、テンちゃんに絡みついて安眠を妨げないよう特設ケージの中。
一方のテンちゃんは、無邪気なちび太に何をされても怒らなくなったのです。
「こっちだぞ」後を追い続けるちび太に声をかける(?)テンちゃん
※思わず長くなってしまいました。
後編へと続きます。