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長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『グランド・フィナーレ』

2016-12-08 | 映画レビュー(く)

 まだ40代というのにイタリアの気鋭パオロ・ソレンティーノはやけに老成した作品ばかり撮っている監督だ。ショーン・ペンが老いぼれグラムロッカーに扮した『きっとここが帰る場所』や、アカデミー外国語映画賞を獲った『グレート・ビューティー』といずれも老人がこれまでの人生を振り返る物語である。とろけるように美しいライティング、耳心地のいい選曲のポップス、時に奇異で突拍子もないサブプロット…“ソレンティーノ印”とも言うべき記号がズラリと揃った『グランド・フィナーレ』もこれまでと何ら変わらないメロドラマであり、“ソレンティーノ印”の気取った映像と選曲が退屈さを誘う。

それでもしかし老優は宝である。
年齢的な事を考えるとこれが最期の主演作になるかもしれないマイケル・ケインの軽妙さ、久々ハーヴェイ・カイテルの渋味は映画ファンにとって至福である。

 作家がいくら老成を気取ろうと老優の年輪が醸し出す味わいにはかなわない。そろそろソレンティーノにはフェリーニのリツイート以外のものを見せてもらいたい。


『グランド・フィナーレ』15・伊
監督 パオロ・ソレンティーノ
出演 マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポール・ダノ、ジェーン・フォンダ
 

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