長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『アウトサイダーズ』

2019-08-15 | 映画レビュー(あ)

強盗を生業とする家族の因習から逃れようとする男…というハードボイルドな触れ込みだが、これは一風変わった父子の物語だ。彼らはまるでロマのようにトレーラーハウスで自由気ままな集団生活を送っており、子供を学校へ通わせ、暴力とも無縁である。強盗はあくまで彼らの生活を支える手段であり、その背景に貧困があることは容易に想像がつく(トレーラーハウス集落が町のあちこちに点在している事が伺える)。

そんな一家の稼ぎ頭チャドをマイケル・ファスベンダーが好演している。満足な教育を受けておらず、読み書きもできないが、犯罪テクニックは超一流。カーチェイス中はタバコの一服が欠かせない。ヤマを持ちかける親父には頭が上がらないが、子供達のために足を洗おうとする子煩悩な父親だ。近年はすっかりハリウッドスターのイメージが定着したが、地元アイルランド訛りで一味クセのある小品にも継続して出演してくれるのが頼もしい。

ピリリと締まった前半のカーチェイスシーンとは裏腹に、爽やかな着地を見せる好編である。


『アウトサイダーズ』16・米、英
監督 アダム・スミス
出演 マイケル・ファスベンダー、ブレンダン・グリーソン、ショーン・ハリス
 

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