
大旋風である。ハリウッドの大手スタジオ、ワーナーブラザーズの製作ながらオールアジアンキャストで固められた本作が全米興行収入で3週連続のナンバーワンヒットを記録したのだ。これまでハリウッドでは“アジア人の主演する映画なんてどうせヒットしない”と見向きもされず、最近でも日本発の世界的人気コミックを原作とした『ゴースト・イン・ザ・シェル』の主演にスカーレット・ヨハンソンが起用されるという“ホワイトウォッシュ”が問題となっていただけに本作の成功の意義は大きい。従来、男性主導のジャンルだったケイパーものをオール女性キャストに一新した事で大ヒットした『オーシャンズ8』同様、これまでハリウッドが何度もやってきた直球王道ラブストーリーも多様性を取り入れた事で全く新しい物語となった。それは今春、やはりオール黒人キャストでスーパーヒーロー映画に新たな地平をもたらした『ブラックパンサー』とも同様だ。
オープニングから楽しい。軽快なスコアとテンポの良い演出、美男美女揃いのキャストに舞台となるシンガポールのゴージャスなランドスケープが加わってハリウッド映画ならではの華やかさだ。ヒロイン、レイチェルは恋人ニックに誘われて彼の帰省に同行する。普段、家族のことを話さないニックだったが、なんとシンガポールでも屈指の大財閥御曹司だった事がわかる。彼の家族は高学歴、高収入のスーパーセレブ揃い。そして母エレノア役には…何とミシェル・ヨー!ヒェ~。気品と威厳に満ちたヨーの前では見ている僕らまでたじろぐばかり。おまけに『トゥモロー・ネバー・ダイ』『グリーン・デスティニー』で見せた戦闘力まで頭をよぎり、こんな姑と遭遇したら逃げ出したくなってしまうこと必至だ。NY大学教授という立派なステータスの持ち主であるレイチェルもさすがにたじろいじでしまう。
そんな彼女を支えるのがラヴコメお馴染みの愉快なコミックリリーフ達だ。『オーシャンズ8』でも好投したオークワフィナの瞬発力抜群のアシストや、『ハングオーヴァー』シリーズでお馴染みケン・チョンの殺傷力が笑いを呼ぶ。そしてレイチェルはエレノアと唯一、互角に渡り合えるアレで決戦に挑むのだ!
単にハリウッドの方程式をアジアに当てはめただけの映画ではない。レイチェルとエレノアの確執の背景にはチャイニーズアメリカンとネイティヴチャイニーズという似て非なるアイデンティティの差異がある。“民族はこうあるべき”とステレオ化されたネイティヴの価値観からすれば、個人主義のアメリカナイズは到底受け入れられず、一方で移民をルーツに持つ多くのアメリカ人は未だアメリカでよそ者扱いされる居心地の悪さと、なおかつネイティヴではない事の疎外感もつきまとってきたのではないだろうか。他者との違いばかりが取りざたされる現代において苦境を乗り越え、自分を貫き通すカップルの結末はわかっていてもキュンとしてしまった。2018年の今、生まれるべくして生まれた映画である。
オープニングから楽しい。軽快なスコアとテンポの良い演出、美男美女揃いのキャストに舞台となるシンガポールのゴージャスなランドスケープが加わってハリウッド映画ならではの華やかさだ。ヒロイン、レイチェルは恋人ニックに誘われて彼の帰省に同行する。普段、家族のことを話さないニックだったが、なんとシンガポールでも屈指の大財閥御曹司だった事がわかる。彼の家族は高学歴、高収入のスーパーセレブ揃い。そして母エレノア役には…何とミシェル・ヨー!ヒェ~。気品と威厳に満ちたヨーの前では見ている僕らまでたじろぐばかり。おまけに『トゥモロー・ネバー・ダイ』『グリーン・デスティニー』で見せた戦闘力まで頭をよぎり、こんな姑と遭遇したら逃げ出したくなってしまうこと必至だ。NY大学教授という立派なステータスの持ち主であるレイチェルもさすがにたじろいじでしまう。
そんな彼女を支えるのがラヴコメお馴染みの愉快なコミックリリーフ達だ。『オーシャンズ8』でも好投したオークワフィナの瞬発力抜群のアシストや、『ハングオーヴァー』シリーズでお馴染みケン・チョンの殺傷力が笑いを呼ぶ。そしてレイチェルはエレノアと唯一、互角に渡り合えるアレで決戦に挑むのだ!
単にハリウッドの方程式をアジアに当てはめただけの映画ではない。レイチェルとエレノアの確執の背景にはチャイニーズアメリカンとネイティヴチャイニーズという似て非なるアイデンティティの差異がある。“民族はこうあるべき”とステレオ化されたネイティヴの価値観からすれば、個人主義のアメリカナイズは到底受け入れられず、一方で移民をルーツに持つ多くのアメリカ人は未だアメリカでよそ者扱いされる居心地の悪さと、なおかつネイティヴではない事の疎外感もつきまとってきたのではないだろうか。他者との違いばかりが取りざたされる現代において苦境を乗り越え、自分を貫き通すカップルの結末はわかっていてもキュンとしてしまった。2018年の今、生まれるべくして生まれた映画である。
『クレイジー・リッチ!』18・米
監督 ジョン・M・チュウ
出演 コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、オークワフィナ、ケン・チョン、ソノヤ・ミズノ
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