リッスン・トゥ・ハー

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コーヒーは冷めてしまったよ

2007-09-15 | 東京半熟日記
(ほんのちょっち山口編10)

船に乗るとルンルンと揺れている波のうえに立っている気になる。
そして、ありったけのバランス感覚でわたし、サーカス団のピエロでありくるくるまわるどんぐり独楽であり、飛び魚のアーチをくぐる前の女であった。

さよならは言いません。二度と来ることはないでしょう。
わたしの一部として永遠にあり続ける。わたしがクリーム色の骨となり、ゆっくりと分解されてミミズの餌となり、次第に地球の一部として認識をもつようになるまで。

旅は終わるからこそ、価値があるのですね。だって終わらないとどうかなってしまいそう。すぐに日常が待ち受けている。ジョグして、体温めて万全の体勢である。
その万全さにわたしは敬意を表し、ぶどうをもぎ取って海へ投げ入れてやる。

とつぶやいておじさんは海バイクで走り去った。
浜風みたいに走り去った。


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