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俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

外宮

2013-05-06 09:52:52 | Weblog
 今年、式年遷宮が行われる伊勢神宮は内宮と外宮に分かれており、内宮には天照大御神(アマテラスオオミカミ)、外宮には豊受大御神(トヨウケノオオミカミ)が祀られている。日本神話の主役の一人である天照大御神と比べて豊受大御神の歴史的(神話的)存在感は極端に乏しい。日本書紀には登場せず、古事記に豊宇気毘売(トヨウケビメ)として名前だけが登場する農業の女神だ。この激しいギャップの原因は何だろうか。
 古来、日本人は滅ぼした者を篤く祀った。大国主や菅原道真、あるいは聖徳太子もその一人かも知れない。これは祟りを恐れるからだ。伊勢神宮も祟り信仰に基づくものではないだろうか。もしそうなら出雲と同格あるいはそれ以上の2人が祀られているということになる。
 ヤマト王朝が残した歴史には記されず、中国の正史にのみその名が残されている女王が2人いる。卑弥呼と台与(トヨ)だ。私は邪馬台国は東征した神武天皇あるいはその子孫によって滅ぼされたと考えている。ヤマトの歴史には邪馬台国の痕跡が全く残っていないからだ。魏から授かった「親魏倭王」の金印紫綬が残っていないのは勿論のこと、魏との関係の伝承さえ失われている。これは邪馬台国が武力で滅ぼされたからだろう。
 日本書紀には魏志倭人伝からの引用があり、神功皇后の時代のこととされているが、これは明らかに100年ほどズレている。こんな変な設定にしたのは滅ぼした邪馬台国の歴史を抹消するためだろう。
 卑弥呼は「日巫女」と解釈されることが多いが、「日御子」の意味ならこれは正に天照大御神であり、その国を譲り受けた台与が豊受大御神ではないだろうか。彼女らは王であると同時にシャーマンでもあり、最も祟りそうな存在だけに大切な神として祀られたと私は考える。
 伊勢神宮の起源は素人の妄想かも知れないが、邪馬台国の歴史とヤマトの歴史に断絶があることはほぼ確実だろう。

藪医者

2013-05-04 11:16:00 | Weblog
 突然、歯を1本失くした。勿論、事故に会った訳ではない。歯科に行っただけだ。
 3週間ほど前に左下の奥歯の詰め物が取れた。私は医療を余り信用していないが、歯には自然治癒力が働かないのでかなり小まめに歯科に通っている。大阪にいた頃とは違ってこちらには行き付けの歯科が無く、たかが詰め替えだと思ったからロクに調べもせずに近所の歯科へ行った。これが大失敗だった。歯科医師は肝心の歯を無視して左上の歯を散々いじり、何の支障も無かった詰め物を詰め替えた。その後、歯垢や歯石を取り、更にレントゲン写真を撮った。
 左上の新しい詰め物は翌日には外れて、左奥の上下の歯に穴が空いた不愉快な状態で1週間を過ごした。
 二回目の診察はレントゲン写真の説明から始まった。「歯茎が弱っている」とのことだった。それから歯科技工士による歯石取りが30分ほど続いた。終わってホッとしているといきなり「歯を抜く」と言われた。左の上下のどちらかがそれほど悪いのかと思っていたら、治療をしたことさえ無かった右上の奥歯を抜き始めた。口を開けた状態だから文句も言えない。
 結局、歯科に2回行って、穴が空いたままの歯が1本、穴を空けられた歯が1本、勝手に抜かれた歯が1本という結果だ。その後、穴を空けたまま放置されていた歯はボロボロに欠けてしまった。中央に空洞があるままの状態で噛んでいたからだ。これで穴を埋めるだけではなく被せることが必要になっただろう。
 田舎の老人は医師を過信しているから言いなりになる。だからこんな無茶苦茶な医療が罷り通っているのだろう。ここにも都会と地方の格差を感じる。
 医療にはインフォームド・コンセントという言葉がある。当然、抜歯にも適用される筈だが、私は一度も同意した覚えが無いのに歯を抜かれてしまった。小学生の時に虫歯が悪化して乳歯を抜かれて以来初めてのことだ。治療の必要な場所は放置して悪化させられ、必要とは思えない抜歯だけをされた。日本の医療の問題点の縮図のような経験だ。

相互作用

2013-05-04 10:44:39 | Weblog
 3種類以上の薬を処方する医師は藪医者と考えて間違い無かろう。安全性が確認されていないことをするからだ。なぜ安全性が確認されていないのか。3種類以上の薬の相互作用については動物実験さえされていないからだ。
 100種類の薬があるとする。これから2種類の薬を選ぶ組み合わせは100×99=9,900通りだ。これが3種類になれば100×99×98=970,200通りになる。これほどバリエーションが多ければ有意なレベルでの実験など不可能だ。従ってやってみなければ分からない未知の領域であり、患者は実験動物だ。
 これと比べれば、遺伝子組替え食品の安全性は驚異的に高いレベルで実験されている。世界中の何億頭もの家畜が実験台になり、天文学的な量のデータが蓄積されている。
 マスコミは遺伝子組替え食品の危険性を指摘したがるがそれよりも遥かに危険な薬の相互作用については沈黙している。これは製薬会社が大切な「スポンサー様」でありその機嫌を損なわないことのほうが国民の健康よりも大切だと考えているからだろう。
 もし遺伝子組替え食品のメーカーがスポンサーになればマスコミは手の平を返して、遺伝子組替え食品の素晴らしさを絶賛するようになるだろう。

外交

2013-05-02 10:43:12 | Weblog
 日本のマスコミは日本人に受けることしか考えていないようだ。先月29日に行われた日露共同記者会見でTBSの記者がプーチン大統領に対してロシア批判を交えた質問をした。私は、これはヤバイと思った。案の定プーチン大統領は不快感を隠そうとはしなかった。
 日本人が最も知りたい北方領土について尋ねることは日本のマスコミとしては当然の義務だが、その質問にロシア批判を混ぜるべきではない。これは相手を怒らせるための質問だ。国内での馴れ合いでの記者会見しか知らないから外交の微妙さを知らないのだろう。
 国内でなら際どい質問も許されている。それが国益=国民益に適っているからだ。しかし外交の場での際どい質問は相手国の国益を損ないひいては自国の国益をも損なう。
 自国にとって有利な主張はたとえ偏っていても国内では支持される。私のように「平和条約を締結して国境が確定するまでは軍事支配が有効」と考えるのは少数派であり、決して強硬には主張しない。だから彼は自分を正義の味方だと信じ切っていた。
 ロシアにはロシアの正義がある。既に支配している領土を手放そうとすれば国民による批判は免れ得ない。プーチン大統領は敢えて火中の栗を拾おうとしている。それは領土よりも日露関係の改善のほうが長期的には国益に適うと考えているからだろう。
 国民の声があれば怖くないと思うのは偏狭な考えだ。相手国も自国民の利害を背負っている。外交が国益と国益がぶつかり合う場所だと理解していればあんな質問をすることは無かっただろう。
 一世一代の晴れ舞台だと思って張り切ったのだろうが、独善性を世界に晒すことになってしまった。多分エリート社員だろうとは思うがこんな赤っ恥を晒してしまったのだから今後どう処遇されることやら。

アンケート(2)

2013-05-02 10:41:03 | Weblog
 今日(2日)の朝日新聞のトップ記事は「96条改定『反対』54%」だった。
 4月21日付けの「アンケート」でも書いたとおり私は朝日新聞社のアンケートに作為を感じているが、今回のものはそのレベルを通り越した「嘘っぱち」であり偽った情報に基づいて国民を誤った方向へと導こうとする悪意さえ感じられる。戦前・戦中に国民を戦争へと煽った愚行を全く反省していないとしか思えない。私は「戦犯」という概念を戦勝国によるでっち上げだと考えているが、もし「戦争に導いた者」を罰するなら朝日新聞社だとさえ思っている。
 96条改定「反対」54%、の根拠になっているのはこんなアンケートだ。「衆議院や参議院の一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員が改憲の提案をするのは、問題だと思いますか。問題ではないと思いますか。」
        問題だ54(%)    問題でない38(%)
 こんなアンケートを根拠にして「96条改定『反対』54%」という1面トップの見出しにする朝日新聞社の非常識さに呆れ果てる。報道人としての良心を捨てたとしか思えない。
 「一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員」だから何を決めようとも問題だ。生活保護だろうと原発再稼動だろうとAKB総選挙だろうと全部問題だ。但し問題なのは「一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員」であってAKB総選挙が問題な訳ではない。そんなことさえ理解できないとはとても考えられない。だから作為だ。
 ここまで堕落したのだから、こんな姑息な手法など使わずに、いっそのことアンケートの集計結果を操作することを朝日新聞社にはお勧めしたい。そうすれば好きな結果を導けるだろうし、作為的な質問項目にケチを付けられることも無かろう。
 追記:憲法96条について問う別の質問があった。たまたま同じ54%だったので思い違いをしてしまった。すみません。