俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

宗教の弊害

2010-11-02 16:27:32 | Weblog
 宗教団体は平和主義者ではない。日本の仏教が概して平和主義なのは織田信長によって徹底的に骨抜きにされたからに過ぎない。それまでの仏教は武蔵坊弁慶に代表されるような僧兵を擁して戦っていた。
 戦争の大半は宗教戦争だ。イスラム教国はユダヤ教国・キリスト教国・ヒンズー教国と争うだけではなく、イスラム教内でもシーア派とスンニ派に分かれて内紛を続けている。北アイルランド紛争は新旧キリスト教徒による宗教戦争だ。
 なぜ宗教は紛争を招くのか。自分達だけが正しく他は邪教だと説くからだ。独自の発展を遂げた日本仏教においても日蓮宗の各派は排他性が強く、他の仏教とだけではなく宗派内でも争って闘争と分裂を繰り返している。
 オウム真理教によるテロは狂人による特異な事件とは言い切れない。宗教的必然性がある。各宗教は自分達だけが正しく他は邪教だと考える。もし邪教を信じれば地獄に墜ちるなら、一刻も早く邪教による支配を転覆させることが人類の救済に繋がる。
 宗教は文明をさえ衰退させる。中世ヨーロッパはキリスト教の弊害により暗黒時代を迎えた。もしイスラム圏がギリシア・ローマ文明を継承していなかったら西洋文明は断絶していたところだった。イスラム圏から伝わったギリシア・ローマ文明がルネッサンスを起こしてヨーロッパを近代文明へと向かわせた。
 このように宗教は人類を排他的・好戦的にし、文明を衰退させる恐ろしい毒物だ。宗教に毒されていない無神論者が多数を占める日本は世界一の文明国と言っても差し支え無かろう。

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