俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

呼吸と脈拍

2015-02-20 10:10:03 | Weblog
 日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の発表によると「糖尿病の人はそうでない人に比べて1.2倍癌になり易い」とのことだ。高血糖が起こす慢性の炎症とインスリンの増加をその原因として挙げているが一番大きな原因を無視している。それは薬漬けが招く医原病だ。
 糖尿病などの生活習慣病の患者の多くは長期間薬を飲み続ける。それも、治療のためではなく検査数値を安定させることを目的とした薬だ。これの有害性は発癌性があると言われている食品添加物よりも遥かに大きい。食品添加物は有害にならないように必要最小限しか使われていないが、薬は体に異常反応が起こる量を毎日服用させられる。そうしなければ効かないからだ。緊急時ならともかく自覚症状の無い人にまで長期間飲ませるべき物とは思えない。
 血糖値や血圧などを下げても病気を治療できる訳ではない。原因を無視して結果だけを誤魔化しても無意味どころか却って有害だ。体は何らかの必要があって血糖値や血圧を高めているのであり、結果に対する対症療法は早急にやめるべきだろう。
 血糖値や血圧などは測定器を使って初めて計測される数値だから煙に巻かれているに過ぎない。呼吸や脈拍のように誰にでも分かる数値のことを考えればこの対症療法の無意味さは明白だ。スポーツをすれば呼吸も脈拍も早くなる。これは「異常な」状態だが、これを薬で抑えたらどうなるだろうか?有害であることは誰にでも分かる。これと同じようなことが医療の名の元で行われている。
 呼吸や脈拍の乱れは自分で分かる。だからスポーツが原因であり休憩すれば治ると誰でも知っている。ところが血糖値や血圧は検査によって初めて分かる。だから有難いご神託のように誤解されて神官(医師)の指示に無条件で従う。
 医師は知ってか知らずかこのことには触れないが、癌の最大の原因は薬、特に生活習慣病の薬だろう。God's handsを持つ天才外科医は滅多にいないがDeath's hands(死神の手)を持つヤブ内科医は巷に満ち溢れているようだ。

理念

2015-02-20 09:33:06 | Weblog
 商品を安く買って高く売り、従業員を低賃金で長時間酷使すれば最大の利益が得られると机上では計算できる。しかしこれは絵に描いた餅に過ぎない。
 販売で成功するためには良い商品を仕入れねばならずそのために仕入れ値はある程度高くなり、競合企業に勝つためには販売価格を抑えねばならない。これが良い競争社会だ。中国人が日本で爆買いをするのは、中国の小売業が未だこのレベルに達していないからだ。
 従業員を低賃金で酷使すれば辞めてしまって経営が成り立たなくなることをすき家が実証した。適正な賃金でそれなりに厚遇しなければ事業を継続できない。
 奴隷のように扱き使うという言葉があるが、実は奴隷は決して扱き使われていなかった。日本の歴史には奴隷制が無いので分かりにくいが、家畜を考えれば類推できる。家畜を酷使する人はいない。酷使して駄目になれば自分の財産が減るからだ。家畜も奴隷も財産だからこそ大切に扱われる。アメリカで奴隷解放が大問題になり南北戦争に至ったのはそれが私有財産に対する侵害という根本的問題だったからだ。
 最も過酷な労働を強いられたのは資本主義の勃興期だろう。産業革命時のイギリスや殖産興業が国策とされた時代の日本などでは搾取と呼べる状況があった。財産である奴隷とは違って労働者は代替可能だから極限まで酷使された。しかしこんなやり方は長続きしない。然るべき条件に落ち着くものだ。
 労働条件が改善されたのは決して資本家が革命を恐れたからではない。労働者を繋ぎ止めるために徐々に労働条件を改善せざるを得なかったからだ。企業に対する不満はその企業に向かう。資本主義体制打倒に向かうことは無い。資本家が恐れたのはサボタージュやボイコットだ。
 抽象的な理念が革命のエネルギーになることは無い。革命は具体的目的に基づいており理念は後付けだ。明治維新にしても「尊王攘夷」というスローガンは多分後付けで、実際は薩長連合と徳川幕府による権力争いだろう。だからこそ「攘夷」という理念は消し飛んでしまった。明治維新によって権力を握った新政府もやはり歴史を捏造した。徳川時代を悪しざまに言うことによって自分達を正当化した。
 中国の易姓革命も王朝の交代に過ぎず社会の変革を伴うことは殆んど無い。日本の「大東亜共栄圏構想」も後付けであり、アジア人解放戦争とは考え難い。アメリカという猫に追い詰められた窮鼠による反乱だろう。