3,新型コロナ禍における県の職員体制について
【中川】次に、新型コロナ対策における、県の職員体制について、お伺いします。
新型コロナ感染症への対応が始まってから2年余がたちます。この間の県市の保健所の職員の皆様の激務に心より感謝と敬意を申し上げます。また、保健所以外の職場からも700人にも及ぶ兼務発令により保健師が聞き取った内容を整理して入力する「ロジ入力」や、検体搬送などが行われてきました。
総務省が昨年の4月から6月にかけての全国の自治体を対象とした勤務条件等調査において、過労死ラインと言われている100時間を超えている職員が4万人いたと発表されています。
長野県は、この調査において、どのような回答をされていますか。超勤が月100時間を超えた職員は何人いましたか。また、超勤が多い職場はどこでしょうか。
【総務部長】まず、平成2年度における勤務条件等調査の総務省への回答については、
・月別の時間外勤務時間数については、職員1人当たり月平均10.1時間
・月45時間超100時間未満の職員数については、年間延べ1,993人・月平均166人、
・月100時間超の職員数については、年間延べ267人・月平均22人 であり、
いずれの数値も前年度(令和元年度)を上回っている状況。
次に、超過勤務の多い職場について、令和3年度における職員1人当たりの年間の時間外勤務合計時間が多い職場は、感染症対策課、諏訪保健福祉事務所、食品・生活衛生課、上田保健福祉事務所のいずれも健康福祉部の所属と、危機管理防災課が特に多く、その要因は、いずれも新型コロナウイルス感染症対応によるものとなっている。
【中川】この2年間の新型コロナへの対応は、様々なところに影響が出ていると思われますが、たとえば特定検診受診率、公務災害、離職者、メンタルによる休職者などの数に変化はあるでしょうか。
【総務部長】お尋ねの「特定健診受診率」、「公務災害」、「離職者」、「メンタルによる休職者など」について、コロナ拡大前の令和元年度から、令和3年度までの知事部局における状況を見ると、
・主にメタボ検診を行うための特定健診受診率は、令和元年度96.5%、令和2年度95.8%、令和3年度96.1%、
・公務災害の認定件数は、3年とも20件前後で推移している。
・定年前の退職者数は、令和元年度73人、令和2年度56人、令和3年度62人となっている。
・精神疾患に係る30日以上の療養休暇取得者及び休職者数は、令和元年度60人、令和2年度53人、令和3年度59人となっている。
いずれの項目においても、コロナ拡大前と大きな差はない状況であると考えている。
しかし、この数値には大きな変化は認められないが、コロナ対応で職員には大変大きな負担をかけているので、先ほど知事から申し上げたとおり職員の心身の健康管理には、引き続き、適切な対応に努めてまいりたいと考えている。
【中川】仕事のために帰れず、やむなくホテルなどに宿泊している職員もいると聞きますが、宿泊代は自腹・自己負担だということです。県が支出すべきではないですか。
【総務部長】議員ご指摘の事例で宿泊料を支払うためには、前提として所属長の旅行命令が必要となるが、県では、災害時等において宿泊料を支払うことができるとした国の旅費法の規定等を参考に運用しており、国では、震災時の深夜において、救助物資の受入れ又は輸送等の急を要する業務に従事した場合など極めて限定的に扱っており、県としても現時点で県負担とすることは難しい状況。
他方で、自然災害や新型コロナウイルス感染症の対応など、一刻を争う対応が求められる状況では、深夜まで職務に専念いただいている職員が少なからずいることも認識している。
こうした状況を受けて、職員団体との間で、緊急・災害時における職員の費用負担の軽減策について研究することで合意しており、現在、各部局とともに実態調査を行っているところ。
今後、この調査をふまえ、緊急・災害時においても職員が安心して職務に専念できるよう、必要に応じて条例・規則等の見直しを含め、適切に対応してまいりたい。
【中川】県職員名簿を拝見すると、保健師の肩書で主任保健師の数が少ないように見受けられますが、子育て世代の保健師の皆さんにとっては、家にも帰れない状態が続き、離職された方もいるとお聞きしています。保健師の皆さんの離職の状況はどうなっていますか。
【健康福祉部長】新型コロナ対策における県の職員体制についてご質問を頂戴しております。まず、保健師の離職状況でございます。
新型コロナ対応が本格化した令和2年度以降、早期退職した保健師は、令和2年度が2名、3年度が3名でございます。
コロナ以前の5年間においても毎年1名から3名の退職者がおりましたが、退職の理由は家族の介護や、転職、結婚による県外転居など様々でございます。
【中川】新型コロナウイルス感染症という危機管理的な特別な状況が2年以上続くと、これは危機管理といった緊急的な対応では済まされない事態です。教育長の労働時間を決める条例が提出されていますが、保健所長もこの2年は全く休むことができない状況が続いているとお聞きしています。コロナ対策で疲弊する管理職を含めた職員の健康が心配されます。
保健所長が休める体制をつくるべきと考ええますが、健康福祉部長にお伺いします。
【健康福祉部長】保健所長は、公衆衛生医師としての知見を活かしながら、所属長として保健所組織のマネジメントを行うのに加えまして、市町村や各医療機関、医師会など地域の保健・医療関係者との調整や連携体制構築の役割を担っているところでございます。
原則として医師資格を必要とする保健所長は、容易に代替することができない職ではございますが、まず全体のマネジメントを副所長や各課長が補佐するのは当然でございます。更にそれに加えまして、医師としての知見が必要な業務についても、一定のフォローが必要と考えております。
現在も、必要に応じて、各所長間や、あるいは本庁に配属されている医師との間で応援をし合うなどの対応がなされており、こうした取組を拡充して、より休暇が取りやすい環境を作っていくことも重要であると考えております。
さらには、保健所長になれる人材を増やしていくことも重要であると認識しておりまして、引き続き公衆衛生医師の確保に努めながら、所長の負担軽減に取り組んでまいります。
【中川】続いて、知事にお伺いしますが、管理職を含めて職員の健康管理について特段の配慮をすべきと思うがいかがでしょうか。
【知事】コロナ対応、災害対応等、職員の負担がここしばらく大きくなっているというのは事実だと受け止めており、職員の健康管理への取組は極めて重要であると考えている。
そこで、定期的な健康管理の取組に加えて、まずは職員の業務分担のあり方ということで、兼務職員の配置、事務分担の機動的な見直しを行ってきている。また、長時間にわたる時間外勤務を行った職員に対する医師との面談、全職員を対象とするストレスチェックの実施、メンタルヘルス研修会の開催と、職員の状況に応じたきめ細かな対応に努めてきたところである。
また今般、管理監督者に対しては、どうしても一般の職員に対して、対策が弱かったのではないかという思いの下で、健診の結果をその上位者が把握する等の健康管理体制の強化であったり、外部カウンセラーによる管理監督者専用の相談窓口の設置を行うことにより健康管理の取組の充実を図ることとしたところである。
引き続き、職員の健康管理の改善と、働きやすい職場づくりに努めていきたいと考えている。
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