こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

憲法ゼミニュースNO2

2016-12-08 12:36:36 | 憲法ノート

(11月14日の憲法ゼミの報告です。何かと忙しく来週は3回目のゼミとなります。)

■第1章 天皇

・レポート要旨

自民党改憲草案について「天皇を元首とすることの意味は何か」「国旗国歌を尊重すると書かれている意味は何か」「元号が憲法で明記されることの意味は」「天皇の権能で憲法の定める国事に関する行為のみを行いの“のみ”が削除された意味は」「内閣の助言と承認から“進言”に変わった意味は」。

・参加者からの質問・意見

「なぜ天皇が必要なのか」「102条で憲法の遵守義務者から天皇をはずしている」「大日本国憲法に戻るのではないか」

・成澤孝人先生のコメント要旨

「イギリスの立憲君主制を日本でやろうということ。元首とは国家を代表する人、イギリスはエリザベス国王。建前は王様が統治する、その権限を内閣が代行しているという国家の仕組み。イギリスでは施政方針演説は女王が行う。イギリスでは解散権をなくすなど王様の権限を縮小している。日本国憲法は最初から天皇の国事行為は政治的なものを除外している。自民党改憲草案は、天皇が権限を持っていて内閣の進言によって国事行為を行うというロジックになっている。

憲法には法律では侵せないものを確保するという意味がある。憲法を改正しない限り国旗国歌尊重義務はなくならないし、元号を廃止することはできない。

GHQと天皇擁護派の利害が一致して、日本の憲法が天皇を救った。今の天皇は公的行為を一生懸命やって国民に認めてもらわなければならない。今回のメッセージは、これから動けなくなれば象徴としての機能を果たせなくなるので変わってもらい象徴機能を果たしてもらいたいということ。」

 

■第2章 安全保障

・レポート要旨

改憲草案で章題が「戦争の放棄」から「安全保障」に変わっている。現行では明確に戦争を放棄し、過去の戦争への反省から第9条の精神を表現しているが、自民党改憲草案では戦争を放棄しながらも国防の重要性を強調するため「安全保障」としている。国際法上は独立国の国防を保障している。しかし、この定義は裏を返せば武装しない権利も保障していることになる。・・・日本は武装しない権利を憲法上選択している。現行憲法9条では戦力の不保持、交戦権の否定を明確にしているが、国家の自衛する権利まで否定していないとの「国際的な普遍性」の解釈の基で自衛隊の存在を「自衛隊法」という法律上で容認している。したがって憲法上の解釈から現在の自衛隊の「軍事戦略」は専守防衛であり、自衛隊の発動は内閣総理大臣が「国会」の承認を経て行うものとしている。また自衛隊の様態を統制する「文民統制」が敷かれ国会と国民の監視下にある。その「武装力」は必要最低限とされている。しかし、これらはなし崩し的に反故にされている現状がある。改憲草案9条5項は明らかに「軍法会議」の設置であり、隊員・公務員を裁きの対象にしているものの一般国民への危険性も考えられる。

・参加者からの質問・意見。

「改憲草案では、戦争に巻き込まれることになる」「現行憲法9条2項『前項の目的を達成するため』が自衛隊を認める理由になっているので、いらないのではいか」「改憲草案9条3項領土の保全は資源確保を目的にしているのではないか」「背景に軍事産業が台頭してきていることがあるのではいか」「9条3項で徴兵制を認めることになるのでは」「今の若い人は『自分たちで国を守らなければならない』という意識がある」「天皇制とセットでの9条ではないか」

・成澤先生のコメント要旨。

安全保障にしたのは国際政治学でいう均衡論。パワーバランスで考えても、社会主義陣営がなくなってソ連があった時より今の方が不安だというのはどうかしている、中国もアメリカと貿易でつながっている。仮に中国が冒険主義的に戦争をしかけてくれば、勝てるわけがないので戦わないで命を守るしかない。現政権の解釈でも「自衛のための戦力ももたない」という解釈である。

自衛隊合憲論の人たちとも共闘しなければならない。自衛隊が違憲であることを前提にして、合憲であるとしても集団的自衛権は認められないという考え方である。72年の集団的自衛権は違憲だという解釈は間違いで、砂川判決で自衛権を認めているところまで戻り、自国を守るための限定的な集団的自衛権はあると言った。

9条が自分たちを守っていると若い人たちが思えるかどうか。

軍法会議の対象は軍人と公務員です。

市民の活動を軍隊が抑圧する。南スーダンの自衛隊派遣は反対しておかないとまずい。初めての戦死者が出るかもしれない。

(文責:中川博司)

 

次回は、12月12日(月)18時から、松本市勤労会館2F第4会議室です。

範囲は、第3章 国民の権利と義務 10条~14条と15条~17条

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 松本地区永久に不戦を誓う集い | トップ | なんという日だ! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

憲法ノート」カテゴリの最新記事