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憲法ゼミニュースNO4

2017-02-07 23:03:42 | 憲法ノート

1月16日、松本市勤労会館2F第4会議室で第4回憲法ゼミが行われ、17人が出席しました。

 

■第3章 国民の権利と義務 第18条~23条 

・レポーター、参加者の問題提起

「第18条いかなる奴隷的拘束も受けない→その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない、に変更された意味は?対象がせばまる危険性がある(例外が出てくる)」「第19条これを侵してはならない→保障する、に変更された意味は?絶対的保障からの変更」「19条の二プライバシー権は国家にとって不利な事柄に対して報道の自由や表現の自由が侵される恐れが強い」「第20条政治上の権力を行使してはならない、削除された理由は?公明党に配慮しているからか」「第20条3項の新設は、靖国神社の公式参拝を認めていくという危険性をもっている」「21条2の新設は、国の政策に反する活動や団体・政党の結社をできなくする危険性をもっている」「21条の二新設は、必要ない」「22条公共の福祉に反しない限り、が削除された意味は?」「23条これを、を削除して絶対的保障を変更した」

・成澤孝人先生のコメント

奥平康弘先生は「精神的自由がなぜ大事か考えなければならない」と言ってきた。精神的自由は民主制のために大事。最近は政治改革の結果選挙で選ぶことが民主制のようになっている。橋下徹が「勝てば何でもできる」と言ったが、民主制はそういうものではない。「権力に対して批判的に対峙することこそが民主主義だ」と奥平先生は言っている。だからこそ表現の自由は大事。表現の自由のない民主主義は考えられない。逆に言うと自民党はそれが怖い。だから21条の2項は恐るべき規定。まず13条で、人権は公益及び公の秩序を媒介してはいけないと書いている。自民党改憲草案では、すべての人権は「公益及び公の秩序」を害してはならなくなる。さらに表現の自由に関してはダメ押しで、具体的に害さなくてもそれを目的とすれば制約していいことになる。共産党の破防法問題や松本市の自由通路のパネルの問題、池田町の公民館使用の問題について、言っていかなければならない。人の表現の自由が害されていることを見過ごしたら自分にかかってくる。表現の自由は事実上の力関係。達成されていることは奪われないようにすることも必要。要するに表現の自由は権力に対しておかしいと言う自由。民主的決定が良くなるということ。批判をする人がいて、よりよい決定ができる。権力の暴走をストップさせるために批判することは、世の中のためになっているということを意識したい。前文にもありますが自民党の新たな国家像は経済です。22条で「公共の福祉」が外れた意味は、大企業や富裕層の自由な経済活動を保障するため。現行憲法はわざと22条に「公共の福祉」という言葉を入れている。経済活動の自由が人権であれば、労働基準法だって労働組合法だって契約の自由に反して値段を不当につりあげるということになる。22条と29条に「公共の福祉」という言葉があるのは、「経済活動の自由は制約しなければならない」「お金持ちの権利を制約して社会全体のために分配する」ことが憲法違反にならないためには「公共の福祉」という文言が必要である。自民党改憲草案は、表現の自由には「公益及び公の秩序」をいれて、22条はとっぱらうのだから反対です。強い人やお金持ちの権利に文句を言う人は公の秩序に反する、ということになる。19条は絶対的保障を変えることになるのはわざとです。個人情報の権利は表現の自由とぶつかる。今は、個人情報保護法は法律段階だから21条の縛りの下にある。しかし憲法に書かれると個人といえば政治家も入る。政教分離も緩和をして、儀礼的なものである限りにおいては、宗教的な活動をしてもいい、宗教教育もしてもいい。政教分離が何のためにあるのかといえば、政治家が宗教を利用して政治をしないため。宗教を利用して政治をすると、その宗教に帰依していない人を弾圧する、不利益を被ることになる。その宗教に帰依しない人は2級市民ということになる。靖国神社の参拝に反対する人は2級市民であると委縮させられる。表現の自由には知る権利が伴う、国民が権力を監視するため国政の情報を明かすことは当たり前のこと。

 

■第3章 国民の権利と義務 第24条~30条

・レポーターの問題提起

★24条「互いに助け合わなければならないと憲法にわざわざ書くことではない。書くことで高齢の親を特に女性が扶養する義務を制度化するなどの個別の法律をつくることが出来る」「両性の合意のみに基づいての、『のみ』がとれているのは、強さが違う」「両性の平等と相いれない家族や共同体の価値とは何か」「憲法に家族について明記されるということは、将来的に家族に関する法律もできるということではないか。家族基本法とか。戦前のお家制度とか家長制度の復活。」

★25条「生活保護を受けざるを得ない人を家族、親族が扶養しなければならなくなる」「25条の2で環境権が新しい権利として盛り込むと宣伝しているが、改憲草案は基本的人権ではなく国の努力義務に定めているに過ぎない」「国民と協力して、と国民にも義務を課している。幸福追求権を根拠に主張されている環境権が否定される恐れがある。」「新条項はなぜ付け加えられたのか。特に憲法に必要とは思えない」「緊急事態には戦争も含まれる」

★26条「第一次安倍内閣の折にすでに自民党改憲草案に合うように教育基本法が変えられている」「第3項の新設、国の未来という言葉、国の利益となるような教育がされることが懸念、有事になった時武器を持つこと、戦場に行くことなどを国の未来を切り拓くために必要と肯定的にとらえる教育が可能になる。逆に排除されるべきものと規定されたりする可能性も。」「男尊女卑の復活」

★28条「これを、がなくなっている」「28条2項の新設、なぜこれを新設するのか。公務員法に詳しく定められているにもかかわらず、あえて憲法に載せるのはなぜか」

★29条「保証する、と侵してはならない、の違いは?」「財産権は公益及び公の秩序に適合するように法律で定める、は公益及び公の秩序に適合しない財産は保護されないと読み取れる」「知的財産権の規定は、クリエイティブな活動よりも経済活動を優先させる意図があり個人よりも全体を優先させている」「私有財産は正当な保証の下に公共のために用いることが出来る(条文は変わっていないが)、公益及び公の秩序とセットで土地とか強制的に取り上げられるのではいか」「どんなことが『公益及び公の秩序』なのかは時の政権の意向次第」

・成澤孝人先生のコメント

日本会議は9条とともに24条にもこだわっている。憲法ができる以前は、親子関係と国との関係がパラレル(平行状態)になっている。親子関係を王様と臣民の関係にして支配をしてきた。改憲草案で、互いに助け合えと憲法に命令される。教育基本法と憲法は車の両輪と言われてきて、教育基本法が先に変えられた。旧教育基本法はいい法律だった。民主的で文化的な国家は教育に待つものだと書かれていた。目的は個人の人格の完成だった。それが愛国心を目的とし評価もするに変わった。戦争をしたい国家、国民がものをいえない国家に向かっている。

「互いに助け合わなければならない」は、福祉の金を減らすため。生活保護を求めてきた人たちを水際で追い返すことになる。

25条の2は環境権というふれこみであったのに環境権ではない。国民の義務が書かれている。25条の3、在外国民の保護は戦争をしかける理由になる。25条の4は、現行では被疑者被告人の人権が守られているが、犯罪被害者の権利を書くことによって相対的被疑者被告人の基本的人権が後退する。

26条3項は国は金も出すけど口も出すよと言っている。

28条は、公務員の権利の制限は今でも憲法違反の恐れがある。最高裁は1966年の全逓中郵事件と東京都事件でストライキをあおった人を無罪にしている。ところが1973年全農林警職法事件でガラッと変えちゃう。これは社会党つぶし、労働組合つぶしのスタートがここにある。最高裁も法律家だから普通に考えたら違憲だろうと考えた。無罪にしたがそれに対する自民党の反発は当時かなり強かった。司法反動と言われている。これが最高裁のトラウマ、たった4年で判決を変えてしまった。今でも違憲の可能性はあるので、ILOの勧告も出ている。憲法に書くことによって憲法違反と言わせない。

19条も、29条も「侵してはならない」とあるが、現行憲法でどこまで意識して書いているかはよくわからない。19条は「侵してはならない」が絶対的保障と言われているので、「保障する」に変えることによって、絶対的保障はなくなる。29条はお金持ちの財産権も丸ごと保障することになってしまう。だから29条2項で「公共の福祉」がある。しかし、それにもかかわらず侵してはならない財産権がある。普通の労働者汗水たらして働いて、生活するための財産権は侵してはならいと考えられていることが弱まる。

財産権については議論がある、福祉国家のためには財産権は制約しなければならない。でも知的財産については別だというわけだから、お金持ち・エリートのために憲法改正しようと考えている。

国民は文句を言わずについてこいと、戦争になってもしょうがないよねと、愛国心教育がされる。

 (文責:中川博司)

 

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