こんにちは「中川ひろじ」です。

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日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか(抜粋)

2015-08-18 23:33:40 | 政策・訴え・声
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
矢部宏治著2014年10月29日集英社インターナショナル

【抜き書き】
p31「日本国の当局は、(略)所在地のいかんを問わず米軍の財産について、捜査、差し押さえ、または検証を行う権利を行使しない」(「日米行政協定第17条を改正する議定書に関する合意された公式議事録」1953年9月29日/東京)
p32・・・米軍の財産がある場所は、どこでも一瞬にして治外法権エリアになる。

p42「日米地位協定と国連軍地位協定の実施にともなう航空法の特例に関する法律 第三項(1952年7月15日施行)
前項の航空機〔米軍機と国連軍機〕およびその航空機に乗りくんでその運航に従事する者については、航空法第6章の規定は、政令で定めるものをのぞき、適用しない」
p43・・・「最低高度」や「制限速度」「飛行禁止区域」などについて定めたその四三もの条文が、まるまる全部「適用除外」となっているのです!つまり米軍機はもともと、高度も安全も、なにも守らずに日本全国の空を飛んでよいことが、法的に決まっているということなのです。

p45*砂川判決―正確には「日米安保条約のごとき、主権国としてのわが国の存立の基礎に重大な関係をもつ高度な政治性を有するものが、違憲であるか否かの法的判断は(略)裁判所の司法審査権の範囲外にある解するを相当とする」(「判決要旨六」)という判決でした。
p44・・・つまり安保条約とそれに関する取り決めが、憲法をふくむ日本の国内法全体に優越する構造が、このとき法的に確定したわけです。
p45・・・この砂川裁判の全プロセスが、検察や日本政府の方針、最高裁の判決までふくめて、最初から最後まで、基地をどうしても日本に置きつづけたいアメリカ政府のシナリオのもとに、その指示と誘導によって進行したということです。この驚愕の事実は、いまから六年前(二〇〇八年)、アメリカの公文書によって初めてあきらかになりました。

p45統治行為論
この判決の根拠を、日本の保守派は「統治行為論」とよんで、法学上の「公理」のようにあつかっています。政治的にきわめて重要な、国家の統治にかかわるような問題については、司法は判断を保留する・・そうした重要な問題は、最終的には国民が選挙によって選択するしかないのだと。



(引用 中川)
*参考2015年7月30日第4次厚木基地爆音訴訟東京高裁判決に対する弁護団声明
「厚木飛行場の使用に関し、『(国が)一方的に米国との間に合意の内容を変更したり米国の権利の得喪を生じさせたりし得ることの根拠となる規定は存在しない』として米軍機の飛行差止請求を斥けた判断は、厚木基地が、昭和46年以降、日米地位協定2条4(b)が適用され、日本が管理し、米軍に対して米軍専用施設への「出入りのつど使用を認める」とされる施設に使用転換された事実を無視している。
 判決は、米軍の使用を限定した閣議決定について、「重要な意味を持つものとは解され」ないとして、「実質的には」日米合同委員会合意と異ならない、とするが、その根拠を欠くと言わざるを得ない。
 米軍機により騒音を、違法であるとしながら、「第三者行為論」により飛行差止請求を斥けたことは、人権救済機関としての司法の責務の放棄であるといわざるを得ない。」

p46・・最高裁はその理由を「米軍は日本政府が直接指揮することのできない『第三者』だから、日本政府に対してその飛行の差し止めを求めることはできない」という、まったく理解不能なロジックによって説明しています。

(引用 中川)
*『白熱講義!集団的自衛権』小林節著 2014年9月20日 KKベストセラーズ
p116「戦争と平和という国家の存続に関する歴史的決断は、選挙で選ばれていない非民主的な存在である司法の判断になじまず、内閣や国会、ひいては総選挙で主権者国民自身が決定を下すべき事柄である。」

◎中川
論点は、第1に爆音訴訟にみられるように基本的人権が侵されているのに、最高裁が判決を逃げることができるのかという点。第2は、小林節氏は「総選挙で国民自身が決定を下すべき」とするが、日米安保条約や日米地位協定を変更することを争点とした選挙が仮に行われ、変更することを主張した政党が勝利したとして、本当に変更できるのか。のちにでてくるが日米原子力協定などは、アメリカの合意がなければ改定も、効力も失わない。

p67 1957年2月14日在日米大使館からアメリカの国務省に送られた「在日米軍基地に関する秘密報告書」
「日本国内におけるアメリカの軍事行動のきわだった特徴は、その規模の大きさと、アメリカにあたえられた基地に関する権利の大きさにある。行政協定は、アメリカが占領中に保持していた軍事活動のための権限と権利を、アメリカのために保護している。安保条約のもとでは、日本政府とのいかなる相談もなしに米軍を使うことができる。
 行政協定のもとでは、新しい基地についての条件を定める権利も、現存する基地を保持し続ける権利も、米軍の判断にゆだねられている。それぞれの米軍施設についての基本合意に加え、地域の主権と利益を侵害する数多くの補足的な補足的な取り決めが存在する。数多くのアメリカの諜報活動機関の要員が、なんの妨げも受けず日本中で活動している。
 米軍の部隊や装備なども、地元とのいかなる取り決めもなしに、また地元当局への事前連絡さえなしに、日本への出入りを自由におこなう権限があたえられている。すべてが米軍の決定によって、日本国内で演習がおこなわれ、射撃訓練が実施され、軍用機が飛び、その他の非常に重要な軍事活動が日常的におこなわれている」

p69 1960年の新安保条約を調印する直前に、岸政権の藤山外務大臣とマッカーサー駐日アメリカ大使がサインした「基地の権利に関する密約」
「日本国における合衆国軍隊の使用のため日本国政府によって許与された施設および区域内での合衆国の権利は、1960年1月19日にワシントンで調印された協定第3条1項の改定された文言のもとで、1952年2月28日に東京で調印された協定のもとでと変わることなく続く」(1960年1月6日)

p81 三つの裏マニュアル
①最高裁の「部外秘資料」(1952年9月:正式名称は「日米行政協定に伴う民事及び刑事特別法関係資料」最高裁判所事務総局/編集・発行)
②検察の「実務資料」(正式名称は「外国軍隊に対する刑事裁判権の解説及び資料」1954年10月→「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権実務資料」1972年3月 法務省刑事局/作成・発行)
③外務省の「日米地位協定の考え方」(1973年4月:正式名称同じ。外務省条約局/作成)

p85 一昨年(2012年6月27日)改正された「原子力基本法」に、「前項〔=原子力利用〕の安全の確保については、わが国の安全保障に資することを目的として、行うものとする」(第2条2項)・・・この条文によって今後、原発に関する安全性の問題は、すべて法的コントロール枠外へ移行することになります。
 1978年、愛媛県伊方原発訴訟の一審判決で、柏木賢吉裁判長はすでに、「原子炉の設置は国の高度の政策的判断と密接に関連することから、原子炉の設置許可は周辺住民との関係でも国の裁量行為に属する」
 同裁判の1992年の最高裁判決で小野幹雄裁判長は、「〔原発の安全性の審査は〕原子力工学はもとより、多方面にわたるきわめて高度な最新の科学的、専門技術的知見にもとづく総合的判断が必要とされる」から「原子力委員会の科学的、専門技術的知見にもとづく意見を尊重しておこなう内閣総理大臣の合理的判断にゆだねる」のが相当であるとのべていました。

p96 (日米原子力協定)「第14条4項 どちらか一方の国がこの協定のもとでの協力を停止したり、協定を終了させたり、〔核物質などの〕変換を要求するための行動をとる前に、日米両政府は、是正措置をとるために協議しなければならない。そして要請された場合には他の適当な取り決めを結ぶことんぼ必要性を考慮しつつ、その行動の経済的影響を慎重に検討しなければならない」
「第16条3項 いかなる理由によるこの協定またはそのもちでの協力の停止または終了の後においても、第1条、第2条4項、第3条から9条まで、第11条、第12条および第14条の規定は、適用可能な限り引きつづき効力を有する」
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戦争をさせない1000人委員会まつもと 呼びかけ人会議

2015-08-18 23:24:09 | 憲法・平和・沖縄

明日から参議院の特別委員会で安保法案の審議が再開されそうだ。

8月14日の安倍首相の談話への評価がわかれている。

戦争をさせない1000人委員会まつもとは、呼びかけ人会議を開催。

世論の動向に危機感が募る。

戦争被害だけではなく、加害者にならないこと。

抑止論の考え方など多面的な理論構築が必要という意見。

当面、8月30日(日)全国の動きに呼応した松本駅前スタンディングを11時から。

9月1日(月)第2回信州大学シンポジウム18時から。

9月13日(日)14時市民アクション花時計公園。

毎週金曜日夕方、スタンディング。

前段に、狭間ゆかさんと福島るみさんの「祈り」をテーマにした演奏に聞き入りました。
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