横田軍民共用化推進協議会

昨日、立川のホテルで、地域の商工会・商工会議所の皆さんが中心となって、横田基地の軍民共用化を進めて行くための協議会が発足した。
私も地元の国会議員として招かれ、祝辞を述べた。
そして、今朝の読売新聞「多摩版」に、私のコメントが引用されていた。

「この大きなプロジェクトが、多摩の将来を切り開くと確信している。」

ははーん。予想されていたことではあるが、これだけ読めば読者には長島は「手放しの推進派」と映るだろう。このような巨大な計画に「手放しの推進」があろうはずがない。必ず光と影の部分があるものだ。引用には、冒頭の肝心な一言がスッポリ抜け落ちている!

それは、「成功すれば、・・・」の一言。

そして、成功の鍵を握っているのは、米政府や米軍ではない。米軍は、軍民共用は運用上の重大な障害にはならないと考えている。むしろ、成功の鍵は、日本政府および基地周辺の住民の皆様の理解と協力、これに尽きる。そこが得られれば、このビッグ・プロジェクトの前途は明るいし、多摩地域を中心とする400万市民にとっての経済的な波及効果も大きい。

とくに、この問題は、私がワシントン在住時から数年来取り組んできただけに思い入れが強い。だから、軽々に私の発言を切り取ってほしくなかった。

私はもともと、米政府や軍関係者との議論の結果、横田の軍民共用化は可能との立場だった。しかし、帰国して、横田に隣接する自治体(とくに昭島市西部)を歩く中で、騒音被害や航空機事故への不安や恐怖を訴える生の声を多数聞くにつけ、軍民共用化を阻むの真の問題は、米軍ではなく基地周辺住民の皆さんの生活権に他ならないと痛感。そこの点を解決できないプランはどんなにバラ色の夢を語ったとしても、それは絵に描いた餅に過ぎないことを痛感した。

その後、推進派の学者や商工会議所の方々、東京都の担当者らとの議論を重ねてきた。その結果、民間機といっても大小さまざまなヴァリエーションがあり得ること、軍用機の騒音と比べて民間機のそれは格段に静かになってきたこと、横田のような市街地に囲まれた内陸型空港でも、福岡や伊丹のように周辺住民の方々と調和できる可能性があること、米軍再編の中で、平時の軍用飛行場としての横田の必要性が低減していること、航路帯の直下に住む昭島市や瑞穂町の皆さんの中にもさまざまな意見があること、などなど新たな論点について検討の余地を見出した。

要は、単なる利便性の向上というだけでなく、経済や文化など多岐にわたり多摩地域の将来にどれだけトータルなプラス効果があるのかということと、周辺住民の方々の騒音や事故に対する不安や懸念をいかに払拭しうるか、この両者のバランスをしっかり見極めて行くことこそが、政治家として私たちに課せられた使命であると悟るにいたった。その意味で、政治家の言葉遣いは難しいし、それを報道する側もぜひその重大性を理解していただきたいものだ。

現在、多摩には、80の大学や先端技術を持った世界有数の企業が集積されつつある。横田の民間利用がこの潜在力を大きく開花させる国際的なゲートウェイとなる大きな可能性を秘めていることは、誰の目にも明らかだろう。ただし、それだけの経済的・文化的効果を挙げるには、現在年間3万回以下の横田の(軍用機による)飛行回数をせめて10万回のレヴェルにまで引き上げなければならないだろう。そうでなければ、期待したようなインフラ整備も進まない。周辺住民の方々の受忍限度と経済社会効果とをバランスさせるには、ただ抽象的に「軍民共用」を叫ぶだけでは不十分。

国と近隣自治体と、経済界、市民が協働で納得のいく具体的なプランとそれを実現するためのロードマップを描ききらねばならない。政治家も、賛否が拮抗するこのような機微に触れる問題から逃げることはできない。この多摩の地域を地盤とする政治家の「宿命」として、何としても繁栄のための最大公約数を見出さねばならない、そう心に期している。
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