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衆議院解散!


■消費増税見送りは当然 アベノミクスは大失敗

 本日、衆議院が解散されました。しかし、「なぜ解散したのかわからない」という声が多く聞かれます。今から投票率がとても心配です。
GDP速報値からもわかるのはアベノミクスの失敗であり、法律に則り「消費増税見送り」の判断をすればよい。敢えて700億円もの国民の税金を費やして民意を問う必要があるのか。景気後退が明らかなのですから、直ちに経済対策が必要で、一ヶ月も政治空白をつくっている場合ではない。

■手つかずの政策課題

 消費税先送りの結果、社会保障制度の抜本改革・議員定数の大幅削減などの国民との約束が、安倍首相の手でリセットされてしまいました。議会制民主主義の根幹を揺るがす自分勝手な手法が通用するのも、衆参両院における極端な議席の偏りによるものです。極端な議席の偏りが、極端に偏った政策を次々に生み出し、国民生活においても極端な富の偏在が顕著になってきました。

■見えなくなったもの

 国民生活における格差の拡大は明らかなのに、安倍首相の目には見えていないようです。実際、我が国の貧困率は深刻です。小学生の6人に一人は、生活保護水準の生活環境です。ひとり親家庭の貧困は先進国中最悪です。生活保護の世代間連鎖も悪化しています。子供の未来が親の経済力に左右され、格差が固定化される。これでは封建時代に逆戻りではないですか!
 親の介護のため離職する人が年間10万人、全国の待機児童2万人余が親の就職を阻んでいます。非正規雇用は全雇用者の40%に迫り、年齢が上がっても賃金は低いままでは結婚も子育てもままなりません。働く意欲のある高齢者の活躍の場も限られる一方で、過労死寸前の長時間労働で若者たちが次々に潰れてしまっています。

■見えてきたもの

 7月までに決算を公表した約1000社の増益分1兆3400億円の約8割を、たった1%の10社(トヨタやソフトバンクなど)で稼ぎ出すという企業業績の極端な偏りの実態が明らかとなりました。じつは、これがアベノミクスの正体なのです。 トヨタやソフトバンクなど日本を代表するグローバル企業は、そもそも政治の力など全く必要としないのです。その「1%企業」が、アベノミクスがもたらした円安・株高効果で史上最高益をたたき出す一方で、地方では燃料はじめ輸入原材料のコスト高のあおりで、円安関連倒産が増加の一途をたどっている。
 物価の高騰に賃金の上昇が追いつかず、15か月連続で実質賃金が下がり、物価高騰が年金暮らしのお年寄りの家計を圧迫する深刻な事態となっています。


■偏りを正す

 政治はいったい誰のためにあるのでしょうか?
 それは、社会の一隅を照らすため。すでに輝いている場所に政治の光は必要ありません。政治は、頑張ろうにも頑張れない人々の活躍を阻む制度の歪みを取り払って行く地道な作業です。華々しく金融緩和や財政出動の花火を打ち上げ、国民や世界を幻惑することではありません。
 その意味で、今回の解散には大義はないが、この選挙には大いに意義があると思っています。

 それは、極端な議席の偏りが生んだアベノミクスによる政策の偏りを正す選挙。政策の偏りを正し、一人ひとりの力や才能が最大限に発揮できる社会を実現する選挙です。
 皆さん、どうか長島昭久に力をお貸しください。

 もちろん、これまでのように外交・安全保障政策にも全力で取り組みます。しかし、今、目の前に広がる国民生活の危機的状況を見過ごすことはできません。
皆さん、政治の歪みや偏りを正す大義の戦いに力をお貸しください。 

長島昭久
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正念場の日本経済、正念場の日本外交

いざ、第187回国会(臨時国会)へ!

 第二次安倍政権の内閣改造に合わせて、私も民主党「次の内閣」の外務大臣に就任しました。それに伴い衆議院では、これまで務めてきた安全保障委員会から外務委員会の筆頭理事へ異動。この臨時国会では、2年近くにおよぶ安倍外交に対する中間総括を行うこととなります。実際、安倍首相は、これまでに49カ国を歴訪し、150回近くの首脳会談を行い、「積極的平和主義」に基づく戦略的な外交を精力的に展開してきました。

「偉大なロシア」復活を目論むプーチン大統領に警戒を緩めるな

 しかし、ここへ来て安倍外交には明らかに変調が見られます。まず、就任以来5回の首脳会談を重ねプーチン大統領との信頼関係を深めてきたロシア外交がウクライナ問題によって困難に直面しています。エネルギー経済外交を推進することによって北方領土問題の解決に道筋をつけるべく新設のNSC(国家安全保障会議)をフル回転させ、森喜朗元首相に親書を託すなど努力を重ねてきたにもかかわらず、7月のマレーシア航空機撃墜事件に端を発して、対ロ制裁を強化する米欧との溝が深まりかねない情勢です。このまま対ロ関係だけに目を奪われて外交を進めて行けば、「偉大なロシア復活」を旗印に深謀遠慮をめぐらすプーチン大統領の術中にはまる可能性もあるのみならず、同盟国である米国との関係をも悪化させかねません。急がば回れ。ロシア経済の脆弱性に鑑み、時間的優位性は我が国にあることを自覚しここは静かに時機を待つことが賢明です。

拉致問題解決を急ぐとともに、核やミサイル問題解決の道筋を世界に示せ

 つぎに、これも政権発足以来、最重要課題として取り組んできた日朝交渉が暗転しています。実務レベルの日朝(秘密)交渉を重ねた結果、一時は悲願の拉致問題解決に向けた大きな前進が見られるのではと首相官邸も色めき立ち、国民も大いに期待を寄せたのですが、ここへ来て日朝の思惑に深刻なすれ違いが存在することが明らかになって来ました。拉致問題と共に(あるいはそれ以上に)核やミサイル問題の解決を重視する米韓をはじめとする国際社会との溝も拡大しつつあります。もともと北朝鮮は厄介な交渉相手であり、拉致調査に1年かかることが当初から合意されていたことから、こちらが焦れば焦るほど北に足許を見られることになるでしょう。進展する日朝関係に楔を打ち込もうと、最近になり中国の対北支援が再開されたとの観測も伝えられます。ご高齢の拉致被害者家族の皆さまを励ましつつ、「行動対行動」の原則に基づき着実に信頼関係を醸成して行く覚悟を決めなければならないと思います。

日中、日韓関係の改善は、基本原則を堅持しつつ柔軟な外交姿勢で臨め

 日露、日朝に加えて、後回しにされてきた感のある日中、日韓の関係にも依然として難しい局面が続きます。安倍政権は、「日韓関係は日中関係の従属変数」との前提で、日中関係の打開を最優先してきました。しかし、皮肉なことに、韓国経済の変調や国内有識者の突き上げで、これまで強硬姿勢を貫いてきた朴槿恵大統領の対日政策に変化が見られるようになって来たのとは対照的に、先行するはずだった日中関係の首脳レベルでの改善にはさらに時間がかかりそうな印象です。先日、仲間の議員と共に北京を訪問し、中国政府や党の幹部、有識者らとの懇談を通じて敢えて挑発的な議論を挑み中国側の本音を探ろうと努めましたが、歴史や領土問題で日本側が譲歩しない限り首脳会談にはそう簡単に踏み切ることはないとの感触を得ました。しかし、国内世論の動向に鑑み安倍政権がこれらの問題で容易に妥協することは考えられず、経済や民間交流、海洋協議など実務レベルで前進はあっても、11月の北京APECでの首脳会談実現の可能性は極めて低いといわざるをえません。

日米防衛協力のガイドライン改定の前に「安全保障基本法」案を審議せよ

 順調と考えられてきた日米関係にも変調の兆しが出てきました。まず、TPP交渉が暗礁に乗り上げてしまいました。やはり4月のオバマ大統領訪日時に思い切った決断をすべきでした。中間選挙の直前の今頃になってカードを切っても手遅れです。さらに、年末を期限としてきた日米防衛協力ガイドラインの改定作業が停滞しています。原因は、与党協議での合意に基づく7月1日の閣議決定をめぐり日米防衛当局者の間で実効性の点で疑念が広がっているようです。日米同盟を支える経済と安全保障の二本柱に亀裂が入ってしまえば、沖縄県知事選挙の結果とも相まって、我が国の外交の土台を揺るがしかねません。ここは、やはり私がかねてから提唱してきたように、安全保障基本法の議論を通じて国民の理解を得て、集団的自衛権の行使範囲(限界や歯止め)を確定し、期日は少し先に延びたとしても堂々とガイドラインの改定に取り組む正攻法で仕切り直しをすべきと考えます。

「政争は水際まで」―外交の鉄則を守りながら、野党外交の先頭に立つ!

 私は、引き続き「外交や安全保障に与党も野党もない、あるのは国益のみ」との信念に基づき、安倍外交について是々非々の立場から、野党の外交責任者として建設的な議論を展開してまいります。

衆議院議員 長島昭久

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広島土砂災害、もはや想定外では済まされぬ

「次の内閣」防災担当相として、政府の危機管理体制を質す

 去る8月22日、私は、モンゴルから帰国した翌日、急きょ広島入りし、発災直後の災害現場を視察し、8月28日、衆議院災害対策特別委員会における閉会中審査で質問に立ちました。私が質したポイントは以下の3つです。第一に、初動における首相官邸の危機管理体制の不備について。第二に、地方自治体の災害対処能力と住民の安全確保について、第三に、「土砂災害防止法」(2001年施行)の限界と改正の方向性について。

緩慢だった首相不在の官邸危機管理機能

 第一の首相官邸における危機管理体制の不備について、私は、首相のゴルフをめぐる「揚げ足取り」のような質疑は極力控えました。しかし、私は、改めて災害対処における初動を時系列でたどり、首相不在の官邸機能が著しく緩慢であったことを突き止めたので、その点を質しました。

 質疑を通じて次のことが明らかになりました。今回の土砂災害は、当日の未明午前3時20分ごろ発生。広島市による避難勧告は4時15分。直ちに官邸に情報連絡室が立ち上がりましたが、山梨県鳴沢村の安倍首相の下に情報が上がったのは、2時間後の6時15分でした。その間に、広島県は土砂崩れにより複数の人々が生き埋めになっている情報を公表(4時30分)、気象庁は警戒態勢に入り(6時)、NHKは「広島市で土砂災害、2人不明、7人と連絡取れず」と速報(6時6分)していました。その後、6時30分に関係省庁に対し「総理指示」が発出されましたが、この時点で、災害対処を統括指揮する危機管理監が官邸に到着していないことが判明。そのためかどうか、肝心の総理指示がマスメディアに伝わることなく2時間も放置され、それがマスコミにFAXされたのは2時間後の8時30分、緊急参集チームが官邸にそろったのはどうやらその30分前だった模様。結局、その間に安倍首相はゴルフを開始してしまいました。

政府も危機管理の不備を認め、改善を約束

 危機管理には、具体的な危機対処とともに政府の姿勢と対処内容を国民に周知する「クライシス・コミュニケーション」が重要な柱です。これは、私たちが、あの「3.11東日本大震災」の時に痛感させられたことでもありました。私の指摘に対し、官邸危機管理室の事務方はミスを認め謝罪、答弁に立った加藤勝信官房副長官も、危機管理上の不手際を認め今後改善することを明言しました。

異常気象を「異常」と捉えず、全国の防災計画を総点検すべし

 第二の課題は、広島市による避難指示の致命的な遅れについて。広島市では、15年前の教訓も踏まえ、「避難基準雨量」という避難勧告にあたっての独自の新基準も定め詳細なマニュアルを策定していましたが、災害担当職員の未熟さからか判断が決定的に遅れてしまいました。これは、広島市だけの課題ではありません。じっさい、8月25日に起こった北海道礼文町の土砂災害では、北海道庁からの再三の勧告にもかかわらず礼文町は遂に避難勧告を出すことすらできず、二人の犠牲者を出してしまいました。このように、自治体による地域防災計画は、国の責任においてもう一度総点検すべきです。しかも、ここまで「異常気象」が連続して襲いかかって来るようになっているのですから、もはや「異常」という意識は捨てて、この現実を直視し、全国津々浦々における災害に対する自助、共助、公助の在り方を抜本的に見直す必要があることを政府に対し特に要請しました。

土砂災害防止法の改正は急務

 第三の課題は、現行の土砂災害防止法の限界について。この法律は、15年前の同じ広島市で起こった土砂災害(土砂崩れ300カ所、31人死亡)の教訓から制定されたものです。全国の地質・地形調査を通じて認定した「土砂災害危険箇所」(52万箇所余)をそれぞれ危険の度合いに応じて「警戒区域」「特別警戒区域」に指定し、土地利用規制や住民退避の防災計画に活かして行こうという趣旨です。しかし、今回の災害発生地区はいずれも「危険個所」と認定されながら、警戒区域に指定されていなかったのです。したがって、広島市の避難指示も遅れ、住民にもそれほど危険な地域に住んでいると言った自覚が希薄だったのです。これが今回70人を超える死者を出してしまった直接の原因といえます。

災害対策に与党も野党もない

 私が土砂災害防止法の限界を痛感したのは、この警戒区域指定に基づく土地利用規制がすでに宅地化されたエリアには及ぼすことができず、じっさい移転勧告が出た例は全国でもないということからです。今回の安佐南地区は昭和46年から宅地造成が行われ、その後「危険箇所」であることが判明しても、警戒区域指定もなされぬまま、しかも、県営住宅まで建てられ(あたかも、県が安全性のお墨付きを出しているかのような印象を与え)、住民の方々は危険性を十分に認識できていなかったのです。以上の事実を踏まえ、私からは、この際土砂災害防止法の改正を行い、現状37%(全国平均68%)にとどまる警戒区域指定手続きの促進と、危険箇所であることを住民に周知徹底させる具体的施策を講じるよう古屋防災担当大臣に強く要請しました。

 今後とも、「次の内閣」防災担当相として、国民の生命と生活を守るため全力を尽くしてまいります。

衆議院議員 長島昭久
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戦後安保政策の大転換には、 丁寧な国会審議と十分な国民の理解が必要!

 7月1日、安倍政権は閣議決定で集団的自衛権の行使を合憲とする新たな政府見解を示しました。その後に出された報道機関の世論調査を見る限り、民意は真っ二つに分かれ、安倍政権の強引なやり方に対する批判も含め、集団的自衛権の行使に対する慎重意見は過半数を超えています。

 今後の議論の動向を展望しつつ、私の見解を改めて述べたいと思います。
まず、このような戦後の安全保障政策の一大転換にあたっては、政府は最大限国民の理解を得る努力をするべきです。

外交・安全保障に与党も野党もない、あるのは国益のみ

 私は、現下の厳しい国際環境に鑑み、我が国の存立が危機に直面したような事態に限って、個別的自衛権に加え集団的自衛権とみなされるような自衛行動を密接な関係を持つ国と共同で行うことは、厳格なシビリアン・コントロールの下で許されるべきだと考えています。したがって、これまで国会質疑でも、著書でも、講演でも、そのように主張して来ました。

 我が国をとりまく安全保障環境は、悪化の一途をたどっています。尖閣をめぐり連日繰り返される中国公船の領海侵犯(背後には軍艦が控えています)、北朝鮮の核とミサイル脅威の増大、ウクライナをめぐり「力による一方的な現状変更」を試みるロシア等々。そういった深刻な情勢悪化に対応するためにも、日米同盟協力の強化は喫緊の課題です。その際にも、冷戦期やその後の10年余り続いた米国の力が圧倒的だった時代とは異なり、すべてを米国に頼り切れるような状況でもありません。

「閣議決定」だけで自衛隊は動かせない!

 しかし、だからと言って、少なくとも過去40年(集団的自衛権をめぐる政府解釈は1970年代初めごろに確立しました)歴代政府によって繰り返し確認されて来た憲法解釈の大原則を変更するのに、一片の閣議決定で済まされるはずがありません。しかも、その閣議決定は、首相の意向に沿った有識者による報告書に基づき、わずか1ヶ月余りの密室における与党協議の結果を受けてなされたに過ぎません。その間、国会では不十分な情報に基づく散発的な議論がなされたのみで、ほとんどスルー状態でした。しかも、国民の皆さんは、さらに不十分な断片情報にしか接することはできませんでした。

 さて、この閣議決定を受けて国会がどう動くべきでしょうか。私は、すでに同憂の野党超党派議員と共に、「安全保障基本法」の制定を通じて自衛権の再定義を行い、行政府の行動に歯止めをかける立法府としての憲法解釈を明らかにするべきだと主張して来ました。主張するだけでなく、実際に安全保障基本法案をつくり、その骨子を公表し、野党各党の有志を通じて各党に国会への共同提案を呼びかけました。残念ながら、先の通常国会では実を結びませんでしたが、次期臨時国会の冒頭にこの安保基本法案を提出したいと考えます。

国会による歯止めなくして、自衛権の再定義なし

 その際、焦点となるのが「歯止め」です。憲法9条の改正ではなく、あくまでも解釈の変更で行くのですから、おのずから憲法規範の限界があります。我が国が、イギリスやフランスやドイツのようにほぼ無制限に集団的自衛権を行使することは不可能なのです。したがって、限定的な行使にならざるを得ません。その「限定」をどのように担保するか、が立法上の焦点となります。

 与党協議の結果、自衛権を行使できるのは「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合に限られることとされました。この条件であれば、個別的自衛権の延長と説明できなくもありません。これに加えて、私たちの安保基本法案では、「他国の領土、領空、領海で武力行使しない」と、自衛権行使の範囲を厳格に定めました。これであれば、自衛のためとはいえ、我が国の武力行使(自衛隊の活動)が他国の領域にまで拡大する可能性は排除され、武力による国際紛争の解決を禁じた憲法9条の規範の範囲内に収まると考えます。

十分な国会審議と正確な情報公開なくして国民の理解は得られない!

 大事なことは、その「限定化」(歯止めと言い換えてもいいでしょう)は、内閣の決定ではなく、国民の直接代表として選ばれた国権の最高機関である国会において立法を通じてなされねばならないということです。安倍首相が記者会見で述べたことや、与党協議を経て閣議決定された内容は、どんなにそれが「限定的な」集団的自衛権の行使だと強調したとしても、一内閣における「口約束」に過ぎません。

 なぜなら、それは結果の正当性のみならず、国会の審議を通じて国民に広く正しく情報が公開され、国民の理解を深める(さらには世論の意向にしたがって適切な修正が加えられる)という民主主義プロセスの正当性も担保しなければならないと考えるからです。安倍政権は先を急ぐ余り、この民主主義の大事な大事なプロセスをすっ飛ばそうとしています。ですから、誤解に基づくものも含め激しい批判に直面しているのです。私は、このプロセスを通じて、国民の理解を得ながら、周辺国への説明も十分に尽くして、十分な信頼の上に「自衛権の再定義」を行うべきだと考えます。

衆議院議員 長島昭久


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衆議院本会議質問 『国家安全保障戦略、防衛計画大綱、中期防』

衆議院本会議質問 『国家安全保障戦略、防衛計画大綱、中期防』
平成26年3月18日 民主党衆議院議員 長島昭久


民主党の長島昭久です。ただ今議題となりました「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」ならびに「中期防衛力整備計画」について、安倍総理大臣はじめ担当大臣に質問いたします。

我が国を取り巻く戦略環境は、昨今急速に悪化しています。

北朝鮮では、最高指導者の親族が処刑されるなど、権力内部の不安定な状況がますます深刻化しています。

その北朝鮮は、累次にわたる核実験やミサイル発射実験などを通じて、すでに弾道ミサイルに搭載可能な<核の小型化>に成功している可能性も指摘されており、予断を許しません。

また、中国は、先の全人代において国防予算の伸び率を12.2%と公表。軍事費は、過去25年で34倍にまで増大、公表ベースでも我が国・防衛費の3倍近くの規模に膨れ上がっています。

●海洋活動も拡大を続け、いまや尖閣諸島や沖縄・南西諸島が連なる「第一列島線」をはるかに超えて、グアムを含む「第二列島線」にいたる広大な海域を、ほぼ恒常的に中国海軍の艦隊が縦横に動きまわる状況となっていす。

米軍の接近を拒否する、いわゆる<A2AD能力>の近代化も目覚ましく、弾道ミサイルや巡航ミサイルの射程距離や命中精度の向上は加速化し、第4世代の戦闘機や潜水艦、洋上艦艇の増強にも著しいものがあり、アジア太平洋地域における<抑止力の要>である米軍のパワー・プロジェクションに支障をきたしかねない情勢です。

また、ソ連邦崩壊直後には1/4にまで経済規模が縮小したロシアも、昨今急速に国力を回復し、軍の近代化や軍事活動の拡大が顕著となり、2008年のグルジア紛争に続き、今度はウクライナをめぐり「軍事力による一方的な現状変更」を試みる姿勢を鮮明にしています。

このように、我が国をとりまく戦略情勢がかつてないほどに不安定で不透明な状況に陥る中、我が国の<安全保障政策の抜本改革>は喫緊の課題です。

その意味で、昨年末、総理官邸にNSCが創設され、我が国初の「国家安全保障戦略」が公表され、「防衛計画の大綱」の見直しとともに、新たな「中期防衛力整備計画」が策定されたことは、時宜にかなったものと評価できます。

ただし、この「安保戦略」にも、新しい「防衛大綱」や「中期防」にも、看過できない<深刻な問題>が内在しています。

まず、新たな「防衛大綱」について伺います。

新「大綱」で採用された基本コンセプトである<統合機動防衛力>ですが、これは、民主党政権で策定された前大綱において、「基盤的防衛力構想」から転換を図る際に掲げた<動的防衛力>のコンセプトを継承し、さらに発展させたものであると評価します。●すなわち、冷戦期以来続いていた「北方重視、基盤的防衛力整備」の考え方から、南西方面へ戦略重心をシフトさせ、想定される事態に適時適切に対処し得る≪所要防衛力≫の整備という考え方に転換したものです。

民主党政権時、この戦略コンセプトの実現を担保する予算や兵力構成上の裏付けは、必ずしも十分ではありませんでした。●厳しい財政状況とは言え、当時、政務三役の一人として忸怩たる思いをした私としては、このたび、平成26年度防衛予算で「前年度比2.8%の増額」が実現されると知った際には、安堵したものです。

しかし、その内実を知って落胆を禁じ得ませんでした。<公務員給与復活分>を除けば、実質的にはたった0.8%の増額に止まるからです。これでは「羊頭狗肉」と言わねばなりません。●しかも、財務省が要求するような<調達合理化計画>が達成できなければ、「中期防」は文字通り絵に描いた餅に過ぎません。

ますます厳しくなる安全保障環境の中で、<今そこに在る危機>に対処するための≪所要防衛力≫の整備には、遅滞や未達は絶対に許されません。

そこで、総理に二点伺います。
●第一に、総理は、このような予算構造で、「大綱」や「中期防」がめざす<所要防衛力>の整備を、期限内に完成させることができると本気でお考えなのでしょうか。

●この点は、計画実現の責任者である小野寺防衛大臣にも明確にご答弁いただきたい。

先ほども申しあげたとおり、≪所要防衛力≫というものは、冷戦期において我が国防衛のための最低限の基盤を整えることを目指した<基盤的防衛力>とは異なり、定められた期限内に所要の防衛力が構築されなければ、国が守れないということを意味するのです。

したがって、この「中期防」には実効性を担保するために≪3年目の見直し≫が明記されているのです。

●そこで、総理に伺いたい。3年が経過した段階で、計画達成のため必要であれば、予算規模の「上方修正」を行うこともあり得るとお考えですか。


つぎに、「安保戦略」にも「防衛大綱」にも決定的に欠けている<重大な課題>を二つ指摘いたします。

第一に、武力攻撃に至らない侵害行為が生じる、いわゆる<グレイゾーン事態>への対処の問題です。●今日の安全保障環境は、冷戦期のような「有事」と「平時」との間に明確な境界を画すことはできません。●毎日のように、中国の政府公船による領海侵入に晒されている<尖閣諸島周辺>における緊張状態はまさにその典型です。

武力攻撃が生じていないため、国連憲章51条に規定する自衛権は行使できません。

だからといって、我が国の主権と領土を守るための<実力の行使>が認められないと解することはあまりにも不合理です。

「警察権」と呼ぶか「マイナー自衛権」と呼ぶかが問題でありません。●グレイゾーン事態に対処して我が国の主権と領土を守るためには、国際法上行使することが認められる正当な権限が、国内法上、海上保安庁や自衛隊に認められていることが最低限必要です。

これは、主権と領土にかかわる≪火急の課題≫です。

●そこで総理に伺います。グレイゾーンの事態に対処する上で、海上保安庁や自衛隊に国際法が認める正当な権限は付与されるのでしょうか。●権限の「隙間」は放置されないのでしょうか。●明日危機が起こるかもしれないとの認識に基づき、「グレイゾーン事態」に対処する法整備に関する総理の<ご覚悟>とともに<明確な答弁>を求めます。

第二に、冒頭に触れた中国の「A2AD能力」への対応策についてです。●「安保戦略」のどこを読んでも、「防衛大綱」のどこを読んでも、日米でどのような役割分担をして、<第一列島線>を守り、<第二列島線>との間の広大な海域における安全保障を確立し、延いては米国の<持続可能な前方プレゼンス>を確保しようとしているのか、明らかではありません。

今日の<日米同盟協力の「核心」>とも言うべきこの論点は、年末までに作業を完了するとされる「日米防衛協力のガイドライン」の改定と密接に関わるものであり、不明確なまま放置することは許されません。●与党内の協議が停滞している集団的自衛権の行使をめぐる問題にも、早急に決着をつけるべきです。もちろん、閣議決定の前に国会できちんと議論すべきことは言うまでもありません。

「日本が、できることとできないことを、はっきりさせて欲しい」というのが米国の本音です。●集団的自衛権をめぐる我が国のスタンスが曖昧なまま時を浪費すれば、ガイドラインをめぐる<実質協議の時間>がどんどん減ることになります。●<共同作戦計画>が立てられないままでは、日米防衛協力が有事の際に機能しませんし、そうなれば、<日米共同の抑止力>も張り子の虎となってしまいます。

●そこで総理に伺います。集団的自衛権の行使をめぐる今後の議論の見通しと、抑止力構築の要である「日米ガイドライン」との関係においてどれほど切迫感を持っておられるか、総理の<ご認識>を明確にお答えいただきたいと思います。


さいごに、<国家安全保障戦略>と、<いわゆる歴史問題>との関係について取り上げたいと思います。

私は、安倍総理が先週参議院予算委員会で表明された、日韓関係の改善に向けた「戦略的な決断」を率直に評価いたします。

日本の名誉のために「河野談話」の見直しを求めてきた人々は、「検証する」と決めたはずの「談話」について、検証もしないうちに「見直しはしない」などと明言するのは到底理解できないとして、安倍政権の姿勢を<軟弱だ!>と非難するでしょう。●期待を持たせてしまった分だけ、反動は大きいと思います。

また、この間の米国からの働き掛けをやり玉に挙げ、「またしても<対米追従>ではないか!」と失望する声も広がっています。

しかし、これらはいずれも「木を見て森を見ない」議論だと考えます。

国家は、主権と独立の維持、領土領空領海の保全、国民の生命・身体・財産の安全といった<基本的な利益>を確保するため、絶えず変化する安全保障環境の中で、あらゆる手段を尽くしていく必要があります。

これが≪国家安全保障戦略≫の根本です。

歴史問題と称される個々の論点について、我が国が声を大にして主張すべき事柄が少なくないことは私も十分認識しています。●しかし、国家の安全保障に関わる大局的・戦略的判断の下、場合によっては<過度のこだわり>を拭い去ることが求められることがあるのだと考えます。

時あたかも、来年は、①<第二次世界大戦終結>から70年、②<日韓基本条約締結>から50年、そして、③<大正4年の「対華21箇条要求」>から100年という、少なくとも三つの意味で歴史的な節目を迎えます。

そこに中国が、一方では米軍に対する接近拒否能力を拡大強化し、尖閣諸島の我が国領海に対する公船侵入などを繰り返しつつ、心理戦、法律戦、輿論戦からなる<三戦>を世界規模で、執拗に仕掛けてきているのです。

ゆめゆめ、<中国の術中>に嵌ってはなりません。

国家の名誉を懸けて、民族の誇りを懸けて、言いたいこともある。正さねばならないこともある。●しかし、戦後、国際社会に復帰して以来、先人たちが営々と積み重ねてきた<苦心の外交努力>の結果を後戻りさせ、国家の戦略的利益を失ってはならないと考えます。

「歴史修正主義者」との誹りを受けたり、我が国が「戦後秩序への挑戦者」であるなどという、あらぬ誤解を拡大させることが、<最優先課題>である安全保障分野の構造改革を進めるうえで大きな障害となることは、昨今の国際世論の動向を見ても明らかです。

 今大事なのは、孤立化と破滅の道を突き進んだ<昭和の過激なナショナリズム>に戻るのではなく、屈辱の不平等条約改正に53年の月日を費しながら粘り強くこれを実現した≪明治のリアリズム≫を思い起こすことだと考えます。

すなわち、特定の問題については<戦略的な忍耐>を維持する一方、喫緊の課題である安全保障政策の改革を最優先に推し進め、国際協調主義に基く「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、プロ・アクティブな外交を展開することが肝要であると考えます。

●最後に、この戦略と歴史問題の微妙なバランスについて、安倍総理ならびに岸田外務大臣の御所見を承って、私の質問とさせていただきます。
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