コンビニ経営相談室「あかり」

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まだ言ってる、この人。「コンビニはまだ伸びる嘘」

2016年08月08日 16時51分28秒 | 日記
 

コンビニはまだ伸びる…鈴木名誉顧問

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文名誉顧問(83)は12日、毎

「セブン&アイ鈴木前会長は流通の神様」のデタラメ…ヨーカ堂と百貨店は完全に失敗

2016年6月10日 6時0分 ビジネスジャーナル

セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一前社長の処遇をめぐる鈴木敏文前会長の人事案から巻き起こった経営混乱で、堰を切ったように持株会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)内部の深い事情が赤裸々に伝わってきました。

 それにしても、「もの言うファンド」のサード・ポイントならずとも鈴木氏が提示した人事案は、いかにも唐突に感じたはずです。井阪社長からはなんの新しい提案もなく、リーダーとしては物足りないから任期が終わるのを契機に社長を退いてもらう、という提案でしたが、セブン-イレブンは5年連続で過去最高の営業利益を記録する好調ぶり。その先頭に立ってきたのが井阪氏なので、疑問に感じる人は少なくなかったのではないでしょうか。ゆえに「鈴木氏が息子の康弘氏(取締役執行役員最高情報責任者)を社長にするために、強権をふるい始めた」と見られてしまったのでしょう。

 むしろセブン&アイHDのアキレス腱は、総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂、百貨店のそごう・西武、そしてオムニチャネルの旗を掲げて買収したニッセン・ホールディングスで、誰が見てもそれらをどう立て直すのかのほうが差し迫った経営課題です。

 そして事実上のクーデターが起こりました。

 さて、鈴木氏には、枕詞のように「流通の神様」という称号がつけられています。確かにセブン-イレブンを育てあげ、さらに最初は手本だった米サウスランド社をも吸収し、巨大なコンビニチェーンを築いてきた功績が大きいことはいうまでもありません。しかし、「コンビニ」ではなく「流通」の神様となると違和感を覚えます。

●セブン-イレブン成功の方程式がヨーカ堂の失敗に

 セブン-イレブンの成長によって、セブン&アイHD全体はイオンと双璧をなす流通企業となりましたが、ヨーカ堂のGMS事業やそごう・西武の百貨店事業では、セブン&アイHDは時代変化に適応できず、敗者といっても過言ではありません。そしてそのトップに君臨してきたのは、ほかならぬ鈴木氏でした。

 鈴木氏は1992年に伊藤雅俊名誉会長からバトンタッチされ、ヨーカ堂の社長に就任しました。また、05年のセブン&アイHD設立後は会長としてヨーカ堂の経営トップの座にいました。

 しかし、ヨーカ堂の社長に就任して以降は、それまで伸びていたヨーカ堂の売上高はバブル崩壊の影響もあって頭打ちになり、営業利益も長期的に減少傾向をたどっています。そして、16年2月期決算ではついに139億8000万円の営業赤字に転落してしまいます。

 GMSはいずれの企業も四苦八苦の状態とはいえ、「流通の神様」だったのならば、なんらかの手を打っていたはずです。

 これまでのセブン&アイHDの経営で感じるのは、セブンの成功と勝利の方程式、あるいはパラダイムが、コンビニ以外の業態では逆に弱みとなり、経営の足を引っ張ってきたのではないかということです。

 ではセブン-イレブンの成功と勝利の方程式の何が、他の業態では通じなかった、あるいは足を引っ張ったのでしょうか。

●チームマーチャンダイジングの罠

 セブン-イレブンでいえば、弁当やおにぎりなどのオリジナルデイリー商品やプライベートブランド(PB)のセブンプレミアムが品揃えの強みとなっています。昨今ではセブンカフェの成功がよく取り上げられますが、これらの商品力を生み出しているのがチームマーチャンダイジング(MD)だといわれています。メーカーやサプライヤーからの提案やコンペを通して、チームとして協業し、売れる商品に仕上げていく商品開発のスタイルです。セブン-イレブンではこれがうまく機能し、他のコンビニとの競争優位をつくり出してきました(2015年7月6日付「ニュースイッチ」記事『「セブンカフェ」はなぜ美味しく早いのか? チームMDの秘密に迫る』参照)。

 しかし、チームMDには罠が潜んでいます。セブン-イレブンとヨーカ堂では単品当たりの販売数量がまったく違います。セブン-イレブンならメーカーやサプライヤーにとって、つまり売り手にとっても採用されれば大きな売上数量が見込めるので、セブン-イレブンのオリジナル仕様を開発し提供するメリットは計り知れません。

 ところがヨーカ堂となると話は違ってきます。GMSは扱い品目が多いだけにコンビニ以上に競争が厳しいのです。同じGMSだけでなく、食品スーパー、紳士服やカジュアルウェアなどの衣料品チェーン、靴、医薬品、酒の小売店などのライバルがひしめいています。

 たとえば、同じGMS事業でいえば、営業収益ではイオンが2.8兆円で、ヨーカ堂は1.3兆円と倍以上の差をつけられています。取引額が異なれば、当然取引条件にも差がついてきます。

 衣料品をとってもヨーカ堂の年間販売額はおよそ1870億円ですが、衣料品チェーンのユニクロは国内だけで7000億円を超えています。洋服の青山の売上高もほぼヨーカ堂の衣料品全体と同程度です。つまり、購買力で競争優位に立てません。ユニクロなら原反から契約して先発で商品化を行い、他のチェーンとの差別化を図れますが、ヨーカ堂ではそれだけの数量を捌く販売力はありません。

 流通業が粗利を上げていくためにはPBがカギを握っていますが、セブン-イレブン以外では、MDに頼っていては競争優位に立てるPB開発には無理があるのです。

●フランチャイズ・システムの罠

「機会ロスをなくせば売上は必ず伸びる」が、鈴木氏の口癖でした。それはセブン-イレブンのフランチャイズチェーン(FC)の仕組みでは成り立っても、ヨーカ堂や百貨店で通用するとは限りません。

 セブン-イレブンの強みはシステムの優位、またFC展開のきめ細かなバックアップ体制だといわれています。FC契約にしたがってセブン-イレブンから運営の指導を受け、セブン-イレブンから商品を仕入れて売るわけですが、仕入れのリスクはオーナーが負っています。

「商機のロスを防げ」と号令がかかり、過剰に仕入れ、売れ残った弁当や惣菜は結果店側が廃棄するので、セブン-イレブンには売れ残りのリスクがありません。しかも、賞味期限切れで廃棄される商品にまで本部へのロイヤルティーがかけられますが、加盟店が反旗を翻し契約違反だとして「廃棄ロス訴訟」が起こっています。

 セブン-イレブン側はFC店に商品を押し込めばいいだけなので、どうしても売り切ることへの甘い体質が生じかねません。その発想をヨーカ堂に持ち込むと大変なことが起こります。在庫コントロールが効かなくなってしまい、不良在庫が積み上がります。

 セブン&アイHDのワイシャツ事件がそれを象徴しています。初年度で数万枚の販売を担当者らは想定していたにもかかわらず、当時の鈴木氏の「機会ロス撲滅」の鶴の一声で計画が膨れ上がったのですが、結局は売れずに不良在庫として残ってしまったといわれています。

●ドミナント戦略の罠

 セブン-イレブンはエリア集中型の出店政策で成功してきました。エリアに集中したほうが、物流は圧倒的に効率化されます。また知名度アップの効果、ライバル店を排除するパワーにもなってきます。具体的には、日販(一日当たりの売上高)が80万円を超えた店舗の近隣に新店舗を出すともいわれています。

 しかし、ヨーカ堂の場合はドミナント戦略にこだわるあまりか、店舗が関東に偏りすぎ、出店競争では遅れをとってきました。ようやく、岡山の食品スーパー天満屋ストアとの資本提携や大阪のスーパー、万代(まんだい)との業務提携で関西進出にアクセルを踏む動きにでてきていますが、時すでに遅しかもしれません。

●オムニ7ではヨーカ堂は救えない

 鈴木氏が「第二の創業」と位置づけ、ヨーカ堂や百貨店事業を進化させようというのがオムニチャネル事業です。専用の通販サイト「omni7(オムニセブン)」を立ち上げ、100社以上ある販売チャネルの商品を一元化し、各社の顧客情報も統合するということですが、かなり疑問符がつきます。

 なぜなら、いくら100社以上販売チャネルがあったとしても、アマゾンや楽天などの商品の集積度にはとてもかなうものではありません。ECでは、商品の集積度が決定的な鍵を握ります。むしろ自社の販売チャネルでの扱い商品というのは強みではなく制約となり、競争力を損ないかねません。セブン-イレブンでタブレットを使って購入するというのも、いまやショールーミングで店舗を利用して、スマートフォン(スマホ)で購入する時代には現実味がありません。

 実際、通販事業のノウハウを求めてニッセンを吸収しましたが、通販事業は惨憺たる結果です。同事業の15年2月期の売上高は1858億円で、16年2月期には2000億円の大台に乗せると意気込んでいたにもかかわらず、実際には14.6%減の1587億円にまで縮小し、逆に営業利益は75億円の赤字から85億円へと赤字が増えています。そしてオムニ7の戦略は、セブン-イレブンの店舗負担を増やし、店舗の不満に火をつけかねないのです。

●ヨーカ堂はドイツのアルディになれるか

 GMSが圧倒的な品揃えと安さで成長してきた、つまり規模の経済と嗜好の多様化を成長の原理としていたのに対して、コンビニが画期的だったのは、限りのある店舗スペースと品揃えで、商品の回転率で稼ぐスピードの経済原理と、FCシステムによって店舗数を増やしていくことで成長してきました。

 このまったく異なる原理を持つビジネスモデルの両方を成功させるには、もしかすると「流通の神様」でなければどだい無理な芸当なのかもしれません。コンビニ・パラダイムにどっぷり浸かった鈴木氏がヨーカ堂や百貨店の経営の陣頭指揮をとることはむしろマイナスでした。それは業績という結果が示しているところです。

 もし、ヨーカ堂にセブン-イレブンが実現したスピードの経済を持ち込むのなら、それはドイツを本拠地とするハード・ディスカウンターのアルディが見本になるかもしれません。

 GMSでも、ウォルマートのようなディスカウンターでも1店舗で4万アイテムを取り扱うのが普通ですが、アルディは1400アイテムしか扱っていません。それで一店舗の売上が同じとすれば、30倍近い回転率の差になります。そしてその90%がPBです。1アイテム当たりの販売数量が大きいので、高品質な商品を圧倒的な低価格で売ることができるというビジネスモデルです。

 ちなみにグローバル市場での小売業ランキングでは、セブン&アイHDは19位ですが、アルディは第7位で、セブン&アイHDの09年から14年の年平均成長率は3.4%ですが、アルディは6.8%で成長率でも上回る小売りチェーンです。

●単発成長エンジンのセブン-イレブンに死角はないか

 店舗数の増加にアクセルを踏み、コンビニ市場のシェア50%を目指すセブン-イレブンですが、FC制度といっても16年2月末時点で全店舗1万8572店のうち73.4%の1万3623店はCタイプ店、つまり土地や店舗建物はセブン-イレブン側が用意する店舗です。

 FCオーナーといっても実質的には雇われオーナーで、労働条件が極めて厳しく、ブラックだといわれる所以です。店舗数を増やす、しかもドミナント戦略だとなると、せっかく日販を80万円にまで持っていっても、近隣に新店ができ、あっというまに50万円に下がってしまうこともあり得るのです。

 ライバルだけでなく、近隣のセブン-イレブンとも競争になる。それでなくとも成熟してきたコンビニで競争が激化すれば、各店舗の売上も伸びず、現場のほうから疲弊し、崩れてくる可能性も捨て切れません。

(文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役)

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毎日新聞の記事とビジネスジャーナルの記事を2つ転載させていただきました。

鈴木名誉顧問(セブン&アイHD前会長)の退任劇の必然性がはっきりしてきます。

現在のセブン&アイHDの株価が低迷することも理解できます。

コンビニ加盟店の犠牲のもとにセブンイレブンが成長してきたこと、

そのシステムをGMSに導入しようとして大失敗したこと、現在も総合スーパーや百貨店事業が

低迷し、回復の兆しが見えないことなどが読み取れます。

その環境の中でまだ「コンビニは伸びる」と言い続ける「経営の神様」に

違和感を感じます。

 セブンイレブンでそれなりの利益を確保している店舗は裁判を勝ち取り

合法的に「見切り販売」をしている店舗。その店舗も社会保険の強制徴収、最低賃金の上昇で

経営に危険信号が灯っている。

 赤字部分を加盟店に「転嫁」して成長してきたその基盤が危なくなっていることを

理解せず「コンビニは伸びる」と言い切ることに「詐欺師」的な人物像が見えてきます。

二位波さんとかぶります。

 コンビニが伸びず、総合スーパーや百貨店事業が低迷したらHDは壊滅します。

だから、株価は低迷するのでしょう。

 社会保険の本部負担を考えているのであれば、早く実行した方が

業界での地位を固められると思います。