London徒然草

「ばく」のロンドン日記

思い出はネズミ花火

2005-12-23 | ロンドン暮らし
増え続ける本の整理をしていたら、向田邦子さんの「父の詫び状」がでてきました。
ぱらぱらとめくっていたら、ふと、この本の中の、好きなフレーズを思い出しました。

ー思い出というのはねずみ花火のようなもので、いったん火をつけると、不意に足許で小さく火を吹き上げ、思いもかけない所へ飛んで行って爆ぜ、人をびっくりさせる。ー

今日は11人のクリスマスディナー(お昼に食べてもディナーです)のために買い込んだ大量の野菜、副菜の材料、チーズ,チョコ、デザートの材料、ビールや、ワイン、テーブルセッティング用のいろいろ、キャンドルなどを、まるでパズルのように冷蔵庫や、パントリーに詰め込んでやれやれ、最後は5キロのターキーをどうするか。冷蔵庫には絶対に入らないので,ねずちゃんよけに,コンテナにいれて、ガレージに入れる事に決めました。外は寒いから,大丈夫~。重いターキーにコンテナと格闘している時、不意にある映画のシーンが。

私の好きなイギリス映画、「Billy Elliot」多分、邦題は「リトルダンサー」
貧しい炭鉱町に産まれた、ビリーが周りの反対と、応援を受けながら、一流のバレエダンサーになるストーリー。
昨日、バレエを見に行った事も関係があるのかもしれません。

映画の中で、クリスマスのディナーを、確かセッティングされたテーブルでなくて、暖炉の横に座って、食べていたビリー。そして、お父さんが、暖炉にくべるために、死んだお母さんのピアノをたたき壊すシーン。

ツリーや山ほどのプレゼントや、あふれるばかりの食料と、幸せであるべきクリスマスに、あのシーンは辛かった....。

優雅で、夢があふれる、お上品なイギリス映画ではないけれど、地方の閉塞感や、労働者階級の人々の暮らし。そして感情表現が下手なこの国の国民性も、うまく表されていたし。

この日記を書いてからkitkatさんのところに、うかがったら最新の、 「キングコング」 をみられたとかで、映画で主人公の少年を演じていた ジェイミー ベルが,キングコングに出演してるそうです。偶然です。

向田邦子とターキーとBilly Elliot。

ねずみ花火は、やはり思いがけない所で,爆ぜました。