London徒然草

「ばく」のロンドン日記

ルートマスターバス

2005-12-16 | ロンドン暮らし
先週の話ですが,ロンドンから,あの有名な、赤くてころんと丸い形をした、ルートマスターバスが引退しました。

バブルデッカーバスはもちろん健在ですが,すべてワンマンバス。前から乗り込む,四角いダブルデッカーばかりになってしまいました。

確かに経済効率も悪いし、ルートマスターバスは、もし体に障害があったり、ベビーカーを乗せる事は,限りなく不可能に近かったので,時代の流れとして,引退は仕方ないのかもしれません。

かわりに,ニューヨークなどで見かける,ベンディータイプのバス(普通の1階だけのバスを2台くっつけたもの)も走り始めました。 ちょっと,体がかたい毛虫みたい。

私が、25歳のときに、はじめて勤めた出版社を辞めて,英語の勉強をするために、貯金を握りしめてロンドンに来たとき、バスはルートマスターだけでした。当時、女性は「クリスマスケーキ」などと言われ,短大で十分とか、25までに結婚できないと~,なんていう事を、まだ聞いたりする時代で,そんな年齢で,語学留学なんて...という意見もある中での,旅立ちでした。

ロンドン貧乏学生生活を初めて,地下鉄の値段の高さ、物価の高さに悲鳴をあげ,もっぱら安いバスパスと自転車を併用する生活。当時住んでいたエンジェルという場所から,あらゆる所にバスのルートがあった事も,よく利用した理由の一つ。お気に入りの2階の一番前に陣取り,ロンドンの町を走り回るのは、新鮮で新鮮で。

あのルートマスターの、走っている時も全開のオープンデッキで、全身を通り抜けて行く風を感じながら、信号などでとまったら、ひょいと乗ったり降りたりできる「自由」と、日本を飛び出して,親も親戚も会社も、遠く吹き飛び、心の底から感じた「自由」は、私の中で重ね合わさっているのでした。

私も,あの頃の私から,引退したのかな?

かろうじて,ロンドンの観光用に短い2路線だけ,ルートマスターを残すそうです。

そのうちいつか、わざわざ乗りに行きたくなるかもしれません。

ルートマスターの2階の一番後ろの席は,犬連れの人の座るべき席でしたが、ワンマンバスには、わんこは連れて乗れるのかなあ? ピップ君知ってる?