しほからき 酒と思ひし 酢の壷に こもりし蛇に 我が名を告げよ
*これはかのじょの作品です。2008年のもの。明調ですね。実にくっきりと美しい。神にも人にも恥ずかしいことをしていない、真っ正直な人だからこそ詠える歌です。
塩辛い酒だと思っている壺の中にこもっている、蛇のように迷っている人に、わたしの名を告げなさい。
わたしはその人たちを導くためにきたのだから。
名とは、その存在の真実を言い表すもの、その存在そのものを表すものです。ですから美しいものには美しい名がつきます。
前に彼がつぶやきで、ソウル・ネームについて言っていましたね。実にすべての存在は、霊魂の世界で自分の名前を有しているのです。それはそれは、自分にぴったりの美しい名前を持っているのです。
かのじょの霊魂の世界での名前も、素晴らしいですよ。岩のように硬い男、という感じの名前がついているのです。日本の神話の名前を探せば、イワレヒコというのに近いですね。信じられないでしょう、あの顔からは。コノハナサクヤヒメなんてのが合うと思っているでしょう。だが、神は本当に真実を見なさっている。
岩のように硬いからこそ、彼は真実を裏切ることなど一切できない。あくまでも愛に忠実に、まっすぐに行く。おまえはそういう男なのだと、神はその名を通して彼に語り掛けるのです。彼と言ったりかのじょと言ったりややこしいですね。そこは読み手の方で読み取ってください。
表題の意味はこういうことだ。嘘が大嫌いで真実のみのために生きる、まっすぐなやつが来た。その嘘の世界にこりかたまって、酢を酒と思い込んで飲んでいる、蛇のようにしつこいやつに、もうそろそろやめろと言いに来た。
その通り。かのじょはその表現を通して、何度となく言っていました。もう馬鹿な世の中はそろそろ終わるから、まっとうに生きましょうと。
しかしその歌を、真っ向から馬鹿にしていたのが、人間なのです。彼らは気付かなかった。永遠に馬鹿なことがやり続けられるのだと信じていた。馬鹿なことをやれば、みんなに勝てるのだと思い込んでいた。
それが大変なことになるのだとは、思ってもいなかったのです。
本当に愚かだ。あの時かのじょのメッセージに気付いていればよかったものを。何もわからなかったから愚弄しつくしてしまった。そしてその後には、イワレヒコではない全く別の名を持った天使がやってくるのです。
試練という名の。
和風に言えば、アラシヒコとでもいえばよいのか。嵐のように試練をもたらす男という意味です。