白梅の 香り求めて 打ち出でぬ さまよへる身は おろかなりやと
*これは、男の弟子の作品です。以前紹介した、「たまゆら」の歌に答えてみたものらしい。一応リンクはつけておきましょう。かのじょが残したあの歌は、男性には評判がいいのですよ。実にかわいらしいですから。
白梅の香りを求めて、外に出てきた。こうしてあなたをさがしてさまよっているわたしは、やはり愚かだろうか。
かわいいですね。だが、もう少し前の時代ならもっとほめてあげられたでしょうが、今はもちろん、馬鹿ですよと言いますよ。
白梅の香はもう消えてしまったのです。あなたがそれを消してしまったのだ。探してもあるはずのないものを、探してどうするのですか。
今は、女性との間に生まれる、あまやかな情感に酔うていられる時ではありません。男には、せねばならないことがある。やってしまったことの責任を取り、始末をつけるために、あらゆることをやらねばならない。
女性はもうほとんど使命を果たしている。弱い腕でもできることを積み重ねて、真を通し、人類を救う乾坤一擲の手を打った。馬鹿な男は、それを影から邪魔することしかしなかった。
人類の未来への窓を開いたのは女性なのだ。ならば男は、どうするのか。それを無言のうちに問われているのに、いつまでも聞こえないふりをして、浅はかな恋の芝居に女を誘おうとするようなことばかりしていては、もう神にも見捨てられます。
この歌によせて、友達が一つ詠んでくれたので、それも紹介しましょう。
たかしほを かぶる明日の 声を聞き まだすがりつく まぼろしの恋
痛いですね。「たかしほ(高潮)」とは文字通り、内陸まで押し寄せてくる高い波のことだ。阿呆ばかりやっていると、法則があふれてきて、高波のように襲い掛かって来る。そしてすべてをさらわれてしまう。そんな時が明日にも迫っているというのに、馬鹿は未だに、自分がまだ偉いものでいられた、過去の幻の世界にすがりついているのだ。
いい加減、そろそろ目を覚ましたらどうですか。くうねるあそぶで、女と遊んでばかりいられた時代では、もうないのですよ。