奥山の 玉のいはやど はるかにて 眠る月夜の 夢も知られず
*月の岩戸ならぬ、玉の岩戸、というのを考えたのは、エラキスです。柘榴とも名乗っていますがね。彼は今、出版の準備をしてくれている。その最中で、こういうことばを思いついたらしい。短編集の巻頭詩に採用しています。
かのじょが眠っている月の岩戸も含め、わたしたちがこの媒体を世間から守るために閉じこもっているこの家全体をも意味するらしい。
ここは大変な世界ですから。わたしたちもかのじょのように、自分を守るために、まるで引きこもりのように閉じこもっているのです。
引きこもりはあまりいいことではありませんがね、しかし今の時代では、そうなるしかない人間というのがいる。外では、あまりに馬鹿がひどいことをしているからです。
自分のまことでまじめに生きようとしている人間を、ことさらにいじめてくる馬鹿が相当にたくさんいるのです。きれいに生きようとするのが憎いのです。嫌なのです。自分はとても汚いことを考えたり、したりしているからです。
それでも、嘘で見栄えを整えれば、自分もきれいでよい人間になれるのだと、馬鹿はそういうことにしたいのだ。嘘の方が正しくて、かっこいいのだということにしたいのだ。
それだけでずっとやってきたのですがね、まさか人間の感性が進化して、嘘をすべてみぬけるようになるとは思わなかった。
本当の姿がばれてしまえば、馬鹿は終わりです。
もう誰も噓をつけなくなる。嘘が通用しなくなれば、馬鹿はもう何もできない。みんなが騙されてくれなくなれば、馬鹿には何もないのです。
もうすぐ今年も終わりますね。進化した感性を通して、あなたがたもいろいろなものの本当の姿を見たでしょう。そして人類世界は変わり始めている。
消えてしまった月の夢はもうないが。新たな救いは見え始めてきている。人類自身が、自分を救うべく、目覚め始めている。
来年はもっとすごい年になるでしょう。